100人とセックスをしないと解けない呪いがかかってしまった!

市樺チカ

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呪い

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目が覚めると体が綺麗に清められていた。族長さんと聖騎士さんのどちらかが後始末をしてくれたらしい。



「さて、勇者も起きたことですし、調査の結果をお話しましょうか」


族長さんいわく、呪いに対する神父様の見解は半分正解といったところなのだそうだ。

正確には、僕にかかっているのは変化の呪いで、対象をインキュバスに変えてしまうものらしい。

インキュバスは種族特性として体力や攻撃力などのステータスが低い。
その代わりに相手を催淫して攻撃不可状態にするスキルを持っていて、その上で体力を吸収するドレイン魔法を使用して相手を殺すのだという。

「しかし私や聖騎士にドレインが使われた形跡は無いし、貴方はセックスが終わると同時に変化が解けて人間に戻っています。これは呪いが不完全だということを示してるのではないかと考えています」
「不完全…魔王が失敗したということですか?」
「失敗なのか、何かの理由があるのかは私には分かりません。私が分かったのはこれだけです」
「なるほど…では、解呪の方法も分からないんですね…」
「ええ」

族長さんはさっぱりと言い切ると立ち上がり、書棚から古い本を持ってきた。

「エルフが興味を持つのはあくまでも魔法についてのみ。貴方のそれは魔法とは別のもので構成されていますから、範疇ではありません」
「おい、そんな言い方はないだろう!」

聖騎士さんが今にも掴みかかりそうな雰囲気で立ち上がる。
肌を刺すような殺気が漂い始めているが、族長さんは飄々とした様子で本を開いた。

「これは予測でしかありませんが…」

開かれたページには世界地図が描かれている。族長さんは今僕たちがいる大陸の、海を挟んで向こう側にある小島を指差していた。

「この極東の島には特殊なスキルを持った剣士や盗賊が居ると聞いています。もしも呪いの元凶が魔王のスキルなのだとしたら、少しは参考になる情報が得られるかもしれませんね」

そう言うと、族長さんは僕たちに背を向けて部屋を出ていこうとした。
僕が慌てて引き留めようと立ち上がると、それよりも素早い動きで聖騎士さんが族長さんの肩を掴む。

「…っ、すまなかった。感謝する…」
「謝罪を受けるようなことは何も。私たちが魔法以外に興味が無いのは事実ですから」

聖騎士さんの手が払われた。
僕は微妙な顔をする二人の間に割り込んで族長さんの手を握る。

「族長さん、ありがとうございました!何だか希望が見えたような気がします。族長さんは優しい方なんですね!」

にこりと笑みを浮かべて顔を見ると、ぽかんと口を開けたままの族長さん。数秒固まった後、静かな笑い声が部屋に響いた。

「ふふふ、貴方は変わっていますね。人間なのが惜しいです」
「…?どういう意味ですか?」
「貴方がエルフなら私が娶って差し上げたかった、という意味ですよ。といってもインキュバス状態の貴方なら私とセックス可能ですから、問題無いのですがね」
「族長殿っ。戯れはその程度にしてもらいたい」

再び険悪なムードになりかけているのを何とか宥めた。


結局、族長さんは僕たちが出ていくまでの間の宿や食料の保証をしてくれたし、別れの際には貴重な魔法薬を分けてくれた。

「こっちは聖騎士に、ただの栄養剤です。そして貴方にはこの発情抑制剤を。危うい相手と二人きりになる時には必ず飲むのですよ」
「こんな貴重なものを…!ありがとうございます!」
「お気になさらず。―それから、もしも解呪出来ないままに聖騎士が死ぬようなことがあればすぐに私のところに来てくださいね。いつでも歓迎します」
「ふん、無用な心配だよ」

聖騎士さんは勢いよく背を向けると森の外へ向かって歩き始めてしまった。急がなければ置いていかれてしまう。

「勇者…」

不意に手を掴まれてバランスを崩す。転びそうになったところを族長さんに支えられ、そのまま抱きすくめられてしまった。

「あ、あの…!」
「ふふ、静かに」

何を、と言いかけて開いた口に族長さんの唇が重なった。
静かに舌が入ってきて口内が蹂躙され、唇が離れる。ぴちゃ、と小さな水音が鳴った。

「どうか気を付けて」
「っ、は、はい…」

薄く頬を染めた族長さんはあまりにもセクシーだった。


僕はおちんぽが疼くのを手で抑え、慌てて聖騎士さんの後を追った。
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