100人とセックスをしないと解けない呪いがかかってしまった!

市樺チカ

文字の大きさ
上 下
6 / 7

呪い

しおりを挟む
目が覚めると体が綺麗に清められていた。族長さんと聖騎士さんのどちらかが後始末をしてくれたらしい。



「さて、勇者も起きたことですし、調査の結果をお話しましょうか」


族長さんいわく、呪いに対する神父様の見解は半分正解といったところなのだそうだ。

正確には、僕にかかっているのは変化の呪いで、対象をインキュバスに変えてしまうものらしい。

インキュバスは種族特性として体力や攻撃力などのステータスが低い。
その代わりに相手を催淫して攻撃不可状態にするスキルを持っていて、その上で体力を吸収するドレイン魔法を使用して相手を殺すのだという。

「しかし私や聖騎士にドレインが使われた形跡は無いし、貴方はセックスが終わると同時に変化が解けて人間に戻っています。これは呪いが不完全だということを示してるのではないかと考えています」
「不完全…魔王が失敗したということですか?」
「失敗なのか、何かの理由があるのかは私には分かりません。私が分かったのはこれだけです」
「なるほど…では、解呪の方法も分からないんですね…」
「ええ」

族長さんはさっぱりと言い切ると立ち上がり、書棚から古い本を持ってきた。

「エルフが興味を持つのはあくまでも魔法についてのみ。貴方のそれは魔法とは別のもので構成されていますから、範疇ではありません」
「おい、そんな言い方はないだろう!」

聖騎士さんが今にも掴みかかりそうな雰囲気で立ち上がる。
肌を刺すような殺気が漂い始めているが、族長さんは飄々とした様子で本を開いた。

「これは予測でしかありませんが…」

開かれたページには世界地図が描かれている。族長さんは今僕たちがいる大陸の、海を挟んで向こう側にある小島を指差していた。

「この極東の島には特殊なスキルを持った剣士や盗賊が居ると聞いています。もしも呪いの元凶が魔王のスキルなのだとしたら、少しは参考になる情報が得られるかもしれませんね」

そう言うと、族長さんは僕たちに背を向けて部屋を出ていこうとした。
僕が慌てて引き留めようと立ち上がると、それよりも素早い動きで聖騎士さんが族長さんの肩を掴む。

「…っ、すまなかった。感謝する…」
「謝罪を受けるようなことは何も。私たちが魔法以外に興味が無いのは事実ですから」

聖騎士さんの手が払われた。
僕は微妙な顔をする二人の間に割り込んで族長さんの手を握る。

「族長さん、ありがとうございました!何だか希望が見えたような気がします。族長さんは優しい方なんですね!」

にこりと笑みを浮かべて顔を見ると、ぽかんと口を開けたままの族長さん。数秒固まった後、静かな笑い声が部屋に響いた。

「ふふふ、貴方は変わっていますね。人間なのが惜しいです」
「…?どういう意味ですか?」
「貴方がエルフなら私が娶って差し上げたかった、という意味ですよ。といってもインキュバス状態の貴方なら私とセックス可能ですから、問題無いのですがね」
「族長殿っ。戯れはその程度にしてもらいたい」

再び険悪なムードになりかけているのを何とか宥めた。


結局、族長さんは僕たちが出ていくまでの間の宿や食料の保証をしてくれたし、別れの際には貴重な魔法薬を分けてくれた。

「こっちは聖騎士に、ただの栄養剤です。そして貴方にはこの発情抑制剤を。危うい相手と二人きりになる時には必ず飲むのですよ」
「こんな貴重なものを…!ありがとうございます!」
「お気になさらず。―それから、もしも解呪出来ないままに聖騎士が死ぬようなことがあればすぐに私のところに来てくださいね。いつでも歓迎します」
「ふん、無用な心配だよ」

聖騎士さんは勢いよく背を向けると森の外へ向かって歩き始めてしまった。急がなければ置いていかれてしまう。

「勇者…」

不意に手を掴まれてバランスを崩す。転びそうになったところを族長さんに支えられ、そのまま抱きすくめられてしまった。

「あ、あの…!」
「ふふ、静かに」

何を、と言いかけて開いた口に族長さんの唇が重なった。
静かに舌が入ってきて口内が蹂躙され、唇が離れる。ぴちゃ、と小さな水音が鳴った。

「どうか気を付けて」
「っ、は、はい…」

薄く頬を染めた族長さんはあまりにもセクシーだった。


僕はおちんぽが疼くのを手で抑え、慌てて聖騎士さんの後を追った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

処理中です...