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夏の暑い日、合宿先でイケメンに犯される熊男の俺
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強い日差しがジリジリと肌を刺す。上からの太陽をアスファルトが照り返し、まるでオーブンで焼かれている気分だ。
じっとしているだけでも無限に汗が湧いてくる。
ぐるりと顔を囲む黒々とした髭が、垂れた汗を絡めてべっとりと張り付いてくるのが不快で堪らない。
今日は大学の写真同好会の交流合宿。
といってもメンバーはたった五人のしょぼくれた集まりだ。しかも、そのうち二人はカップルである。
可愛い女の子が居るから、という触れ込みで入ったは良いものの、数ヶ月後にはその子は会長の彼女になっていた。詐欺にあった気分である。
しかし始まりは下心だったが、生来の機械好きと見かけによらない美しい物好きが写真撮影と上手く噛み合ってしまっていた。
それに、残り二人は気の良い男達なのだ。
「佐田君、待たせてごめんね」
後ろから肩を叩かれ振り返ると、淡いブルーのシャツを着こなす爽やかな青年がいた。
「栗原、おつかれ。宮本はどうした?」
「寝坊したみたいだよ。さっき連絡が来てたから、着くのは夕方頃になるんじゃないかな」
苦笑しながら差し出された袋を覗くと、棒アイスがふたつ転がっていた。
「そこで買ってきたんだ。食べながら歩こう」
「おう、悪いな」
ひとつを取り出して咥えると、すぐに柔らかくなって溶けだしてしまった。ミルク味だ。
「…さ、行こうか」
旅館までおよそ20分。
他愛ない会話をしながら歩を進めた。
受付を済ませて案内されたのは大きな窓から海を一望できる、とても眺めの良い部屋だった。
「もう温泉に入れるみたいだよ。汗もかいたし、荷物を置いたら行ってみようか」
「そうだな。どうせ会長達も宮本も暫く来ないだろう」
棚を開けて荷物を詰め、代わりに浴衣を取り出す。
「いくつかサイズがあるようだが、Lで問題ないか?」
「うん、大丈夫だと思うよ。ありがとう」
栗原に浴衣を手渡す。
受け取る為に差し出された腕が、同じ男とは思えない程に白く細く、思わず見つめてしまった。
「どうしたの?」
「あぁ、すまない。綺麗な腕だと思ってな…」
「あははっ、急に何かと思ったよ。昔から筋肉がつきにくい体質なんだ。体毛も薄くて、髭もないし。僕からしたら佐田君が羨ましいよ」
「毛なんぞ邪魔なだけだ」
自分の太く毛むくじゃらな腕を見て、思わず嘆息した。俺も栗原のようだったら、熊だなんだと敬遠される事も無く充実した大学生活を送れていたのだろうか。
「はぁ。気持ちいいね」
露天風呂に肩を並べて入る。乳白色の湯はとろりとしていて、肌に心地良い。
先ほどの事があったからだろうか、濡れた髪をかき上げる栗原の横顔がやけに色っぽく見える。
俺が女だったら一瞬で落ちていただろう。
「ねぇ佐田君、君は彼女いないの?」
涼やかな眼がこちらを向く。
「いるわけないだろ、こんな熊男に。今日も電車で席を譲ろうとしたら悲鳴を上げて逃げられた」
「そうなんだ、勿体無いね。僕は男らしくて格好良いと思うんだけど」
「…お前みたいな感性の奴はなかなか居ないと思うが」
体の力が抜けていくのに任せて、湯船の縁に頭を預ける。
目を瞑り、タオルを顔に乗せた。
「俺は栗原みたいな男前に生まれたかった。そうしたらこの年まで童貞って事も無かっただろうな」
くだらん、とボソリ呟く。つまらない話をしてしまった。
謝ろうとタオルを取って顔を向けると、栗原の整った顔が目の前に迫っていた。思わず息を飲む。
「佐田君はとても素敵な人だよ。…本当に」
白い腕が伸びてきて、頬に触れる。
髭に囲まれた輪郭を撫でるようにゆっくりと顎へ降りていく。
「お、おい…どうしたんだよ…」
「…ごめんね、佐田君。嫌だったら僕を殴っていいから。だから少しだけ―」
形の良い、自分よりも少し赤い唇が自分のものと重なる。
生まれて初めての口付けだった。
「―っ、んぅっ」
触れるだけを二度繰り返し、今度は熱い舌が入ってくる。
舌の裏側、歯の根元、頬の内側。柔らかく、時に尖らせた舌が口内を愛撫していく。
初めての感覚に言葉が出ない。
男に口付けされるなんて嫌な筈なのに、栗原の巧みな舌使いに翻弄されてすっかり感じ入ってしまっていた。
幾度か繰り返した後。
ぴちゃ、と淫猥な音を響かせて唇が離れた。不思議と名残惜しい。
鼻と鼻を触れあわせながら、額同士を重ね合わせた。
「僕、佐田君を好きになってしまったんだ。…気持ち悪いでしょ?ごめんね…もう、しないから」
ゆっくりと栗原の体が離れていく。その顔は泣きそうに歪められていて、見ていると悲しい気持ちになる。
「栗原」
細い腕を掴み、もう一度こちらを向かせる。
「すまない、突然で驚いて―。ただ、嫌ではなかったんだ。それに…そんな顔をされると―、」
最後まで言い切る前に、栗原が腕を掴み返し、強く引いて抱き締められる。
触れた首筋は滑らかで、真っ白だ。
「佐田君、キス、してもいいかな」
「あ、あぁ…」
ゆっくりと、もう一度唇が触れあう。
今度は何かを確かめるように、深く入念な口付けだ。
最後に頬に軽く唇をあて、再び額同士を重ね合わせる。そのまま暫く見つめ合い、互いに笑った。
湯船の縁に腰掛け、毛に覆われた胸元を舐め回る栗原を眺める。
赤い舌が右へ動いて少し立ち上がった乳首を刺激する。
「っは、ぁ」
柔らかく舐めあげては、固く尖らせて転がす。
自分で触れる時は全く反応しなかったそこが、面白いように快感の波を起こしていた。
「っは、佐田君、とてもセクシーだよ」
「おかしなことを…っ」
「本当だよ。動きに合わせてこっちもピクピクするんだ。とてもいやらしいね」
見れば自分のそれは今までに無いほどそそり勃ち、腹へ向かって反り返っている。先端は赤黒く、透明な雫を滲ませていた。
「っ、すまないっ」
途端に恥ずかしくなり側にあったタオルで覆う。しかし濡れて半透明に透けた布を肉棒が持ち上げ、より一層淫靡だ。
栗原は笑みを浮かべながら手を下へと滑らせた。
「うっ、駄目だ栗原!触ったら―ッ」
布の上から五本の指先がくすぐるように先端を刺激し、反対の手のひらが幹を撫で擦る。混乱する頭を余所に、ほんの数秒で呆気なく精を放った。
どくんと大きな脈動を数回繰り返す。三、四、五、六…。自分で慰める時の比ではない量がタオルに叩きつけられ、吸いきれない分がじんわりと布を越えて湧き出てくる。
「―ッ、はっ…ぅ」
「あぁっ!もう、堪らないよ」
感激したように笑みを浮かべる栗原をぼんやりと見つめると、顎を掴まれ唇が塞がれる。先ほどよりもずっと激しく熱が籠った口付けだ。
…じゅ、…ちゅぱ…、耳を塞ぎたくなるような水音が響く。まるで聴覚を犯されているようだ。
自らの股ぐらに意識を向ければ、先ほど精を放ったばかりとは思えない位に固く上を向いていた。
「ふふ、可愛いね」
言いながらゆっくりとタオルを剥がす。現れた肉棒はやはり赤黒く、外気に触れた刺激でふるふると震えていた。ごくり。栗原が生唾を飲む音が聞こえる。
唇から頷、首、飛び出た喉仏を通ってどんどんと下へと頭が降りていく。水に濡れて流れを作っている毛を整えるように、胸、腹。そしてとうとう下腹の茂みへとたどり着く。
丁寧な手つきで袋をなぞり、穴へと繋がる道を往復する。むず痒いような快感が更に怒張を激しくさせた。
「少しだけ、舐めさせて…」
小さく開いた口から赤い舌が覗く。そのまま先端の割れ目から先走った液を舐めとると、唇を付けて吸い付きながら一気に根元まで呑み込んだ。
「う、ぅぁあッ、出るっ」
突然の刺激にビュッと勢い良く口内に精を吐き出す。僅かに眉を寄せて精を受け取ると、更に吸い付きを強めて頭を上下させた。
「や、やめろっ…吐き出せ!」
両手で頭を押さえて腰を引く。栗原はいかにも名残惜しそうに口を放す。真っ赤な舌と立ち上がったままの肉棒が唾液の線で繋がって、湯船に落ちた。
「こふぇ、みへへ」
大きく口を開けてこちらを見る。舌の上には白くどろりとした液が溜まって揺れている。
こくん、こくん。見せ付けるように栗原の喉がゆっくりと動き、それを飲み込んでいった。
「ごめんね、飲んじゃった」
「き、汚いだろう…」
「佐田君が僕に感じて出してくれた物だからね、全然汚くないよ。」
目を細めて笑う姿はかなり煽情的で、絵になっている。ふと、こんな姿を写真に納めたいと思った。
「出したばかりなのに申し訳ないんだけど…、僕ももう限界なんだ…。少し手を貸して貰えるかな?」
腕を引かれて再び湯に浸かると、その手を栗原の股ぐらへと導いた。
「こうしていれば直接見なくていいし、やりやすいでしょう?」
導かれるままに進むとあたたかい物に僅かに触れた。恐る恐る指でつつくと栗原の肩が震える。
「っは、焦らさないで…」
「あ、あぁ。痛かったら言えよ―」
自らを慰める時のように、優しく幹を掴む。数度扱き上げて、先端から溢れた先走りの滑りを利用するように、今度は少し力を入れて上下した。
「ぁあっ…どうしよう…すぐに、―っ」
栗原の呼吸がどんどん浅く早くなる。
その様子を眺めながら、不思議な感覚を覚えていた。
自分の太くて無骨な指に、華奢な栗原が翻弄されている。相手を汚しているような、支配しているような、形容し難い快感が湧きあがる。
「栗原、俺の前に座れ」
足を開いて座った股ぐらに栗原を座らせる。目の前に現れた白い首筋を一心不乱に舐め上げながら、右手を激しく上下した。
「ぁっ、佐田、君―、はっ、やばっ…ッ」
目の前の肩が大きく揺れ、栗原の頭が肩に預けられる。
柔らかい髪の香りを嗅ぎながら、密かに自分を慰めている左手のスピードを上げた。
「ふっ…ぁ…もう、出っ、る―っ!」
「―ッ、…っ」
握り込んだ栗原の物が大きく波打ち、勢い良く精が放たれる。
同時に自身も絶頂へと達していた。
「…はは、これじゃのぼせちゃうね」
「あぁ、上がるか」
気だるくなった体をずらし、一度栗原の横に移動する。
さて、と腰を持ち上げようとしたところで、露天風呂の入口扉が開かれた。
「おぉ!佐田に栗原!お前らここにいたのか」
「部屋に居ないからどこに行ったのかと思ったよー」
賑やかな声と共に会長と宮本が入ってくる。
「抜け駆けしやがって、全くよー!会長の俺を差し置くなんて、けしからん!」
「そうだそうだー!」
「会長すみません。ここに来るまでで汗だくで、我慢出来なくて」
「宮本、お前は遅刻したんだから俺達を責める権利は無いぞ」
四人並んで湯に浸かり、笑い合う。
他愛ない会話をしながらも、湯の中で繋いだ手が深く絡んで心臓が高鳴り、すっかりのぼせ上がってしまった。
じっとしているだけでも無限に汗が湧いてくる。
ぐるりと顔を囲む黒々とした髭が、垂れた汗を絡めてべっとりと張り付いてくるのが不快で堪らない。
今日は大学の写真同好会の交流合宿。
といってもメンバーはたった五人のしょぼくれた集まりだ。しかも、そのうち二人はカップルである。
可愛い女の子が居るから、という触れ込みで入ったは良いものの、数ヶ月後にはその子は会長の彼女になっていた。詐欺にあった気分である。
しかし始まりは下心だったが、生来の機械好きと見かけによらない美しい物好きが写真撮影と上手く噛み合ってしまっていた。
それに、残り二人は気の良い男達なのだ。
「佐田君、待たせてごめんね」
後ろから肩を叩かれ振り返ると、淡いブルーのシャツを着こなす爽やかな青年がいた。
「栗原、おつかれ。宮本はどうした?」
「寝坊したみたいだよ。さっき連絡が来てたから、着くのは夕方頃になるんじゃないかな」
苦笑しながら差し出された袋を覗くと、棒アイスがふたつ転がっていた。
「そこで買ってきたんだ。食べながら歩こう」
「おう、悪いな」
ひとつを取り出して咥えると、すぐに柔らかくなって溶けだしてしまった。ミルク味だ。
「…さ、行こうか」
旅館までおよそ20分。
他愛ない会話をしながら歩を進めた。
受付を済ませて案内されたのは大きな窓から海を一望できる、とても眺めの良い部屋だった。
「もう温泉に入れるみたいだよ。汗もかいたし、荷物を置いたら行ってみようか」
「そうだな。どうせ会長達も宮本も暫く来ないだろう」
棚を開けて荷物を詰め、代わりに浴衣を取り出す。
「いくつかサイズがあるようだが、Lで問題ないか?」
「うん、大丈夫だと思うよ。ありがとう」
栗原に浴衣を手渡す。
受け取る為に差し出された腕が、同じ男とは思えない程に白く細く、思わず見つめてしまった。
「どうしたの?」
「あぁ、すまない。綺麗な腕だと思ってな…」
「あははっ、急に何かと思ったよ。昔から筋肉がつきにくい体質なんだ。体毛も薄くて、髭もないし。僕からしたら佐田君が羨ましいよ」
「毛なんぞ邪魔なだけだ」
自分の太く毛むくじゃらな腕を見て、思わず嘆息した。俺も栗原のようだったら、熊だなんだと敬遠される事も無く充実した大学生活を送れていたのだろうか。
「はぁ。気持ちいいね」
露天風呂に肩を並べて入る。乳白色の湯はとろりとしていて、肌に心地良い。
先ほどの事があったからだろうか、濡れた髪をかき上げる栗原の横顔がやけに色っぽく見える。
俺が女だったら一瞬で落ちていただろう。
「ねぇ佐田君、君は彼女いないの?」
涼やかな眼がこちらを向く。
「いるわけないだろ、こんな熊男に。今日も電車で席を譲ろうとしたら悲鳴を上げて逃げられた」
「そうなんだ、勿体無いね。僕は男らしくて格好良いと思うんだけど」
「…お前みたいな感性の奴はなかなか居ないと思うが」
体の力が抜けていくのに任せて、湯船の縁に頭を預ける。
目を瞑り、タオルを顔に乗せた。
「俺は栗原みたいな男前に生まれたかった。そうしたらこの年まで童貞って事も無かっただろうな」
くだらん、とボソリ呟く。つまらない話をしてしまった。
謝ろうとタオルを取って顔を向けると、栗原の整った顔が目の前に迫っていた。思わず息を飲む。
「佐田君はとても素敵な人だよ。…本当に」
白い腕が伸びてきて、頬に触れる。
髭に囲まれた輪郭を撫でるようにゆっくりと顎へ降りていく。
「お、おい…どうしたんだよ…」
「…ごめんね、佐田君。嫌だったら僕を殴っていいから。だから少しだけ―」
形の良い、自分よりも少し赤い唇が自分のものと重なる。
生まれて初めての口付けだった。
「―っ、んぅっ」
触れるだけを二度繰り返し、今度は熱い舌が入ってくる。
舌の裏側、歯の根元、頬の内側。柔らかく、時に尖らせた舌が口内を愛撫していく。
初めての感覚に言葉が出ない。
男に口付けされるなんて嫌な筈なのに、栗原の巧みな舌使いに翻弄されてすっかり感じ入ってしまっていた。
幾度か繰り返した後。
ぴちゃ、と淫猥な音を響かせて唇が離れた。不思議と名残惜しい。
鼻と鼻を触れあわせながら、額同士を重ね合わせた。
「僕、佐田君を好きになってしまったんだ。…気持ち悪いでしょ?ごめんね…もう、しないから」
ゆっくりと栗原の体が離れていく。その顔は泣きそうに歪められていて、見ていると悲しい気持ちになる。
「栗原」
細い腕を掴み、もう一度こちらを向かせる。
「すまない、突然で驚いて―。ただ、嫌ではなかったんだ。それに…そんな顔をされると―、」
最後まで言い切る前に、栗原が腕を掴み返し、強く引いて抱き締められる。
触れた首筋は滑らかで、真っ白だ。
「佐田君、キス、してもいいかな」
「あ、あぁ…」
ゆっくりと、もう一度唇が触れあう。
今度は何かを確かめるように、深く入念な口付けだ。
最後に頬に軽く唇をあて、再び額同士を重ね合わせる。そのまま暫く見つめ合い、互いに笑った。
湯船の縁に腰掛け、毛に覆われた胸元を舐め回る栗原を眺める。
赤い舌が右へ動いて少し立ち上がった乳首を刺激する。
「っは、ぁ」
柔らかく舐めあげては、固く尖らせて転がす。
自分で触れる時は全く反応しなかったそこが、面白いように快感の波を起こしていた。
「っは、佐田君、とてもセクシーだよ」
「おかしなことを…っ」
「本当だよ。動きに合わせてこっちもピクピクするんだ。とてもいやらしいね」
見れば自分のそれは今までに無いほどそそり勃ち、腹へ向かって反り返っている。先端は赤黒く、透明な雫を滲ませていた。
「っ、すまないっ」
途端に恥ずかしくなり側にあったタオルで覆う。しかし濡れて半透明に透けた布を肉棒が持ち上げ、より一層淫靡だ。
栗原は笑みを浮かべながら手を下へと滑らせた。
「うっ、駄目だ栗原!触ったら―ッ」
布の上から五本の指先がくすぐるように先端を刺激し、反対の手のひらが幹を撫で擦る。混乱する頭を余所に、ほんの数秒で呆気なく精を放った。
どくんと大きな脈動を数回繰り返す。三、四、五、六…。自分で慰める時の比ではない量がタオルに叩きつけられ、吸いきれない分がじんわりと布を越えて湧き出てくる。
「―ッ、はっ…ぅ」
「あぁっ!もう、堪らないよ」
感激したように笑みを浮かべる栗原をぼんやりと見つめると、顎を掴まれ唇が塞がれる。先ほどよりもずっと激しく熱が籠った口付けだ。
…じゅ、…ちゅぱ…、耳を塞ぎたくなるような水音が響く。まるで聴覚を犯されているようだ。
自らの股ぐらに意識を向ければ、先ほど精を放ったばかりとは思えない位に固く上を向いていた。
「ふふ、可愛いね」
言いながらゆっくりとタオルを剥がす。現れた肉棒はやはり赤黒く、外気に触れた刺激でふるふると震えていた。ごくり。栗原が生唾を飲む音が聞こえる。
唇から頷、首、飛び出た喉仏を通ってどんどんと下へと頭が降りていく。水に濡れて流れを作っている毛を整えるように、胸、腹。そしてとうとう下腹の茂みへとたどり着く。
丁寧な手つきで袋をなぞり、穴へと繋がる道を往復する。むず痒いような快感が更に怒張を激しくさせた。
「少しだけ、舐めさせて…」
小さく開いた口から赤い舌が覗く。そのまま先端の割れ目から先走った液を舐めとると、唇を付けて吸い付きながら一気に根元まで呑み込んだ。
「う、ぅぁあッ、出るっ」
突然の刺激にビュッと勢い良く口内に精を吐き出す。僅かに眉を寄せて精を受け取ると、更に吸い付きを強めて頭を上下させた。
「や、やめろっ…吐き出せ!」
両手で頭を押さえて腰を引く。栗原はいかにも名残惜しそうに口を放す。真っ赤な舌と立ち上がったままの肉棒が唾液の線で繋がって、湯船に落ちた。
「こふぇ、みへへ」
大きく口を開けてこちらを見る。舌の上には白くどろりとした液が溜まって揺れている。
こくん、こくん。見せ付けるように栗原の喉がゆっくりと動き、それを飲み込んでいった。
「ごめんね、飲んじゃった」
「き、汚いだろう…」
「佐田君が僕に感じて出してくれた物だからね、全然汚くないよ。」
目を細めて笑う姿はかなり煽情的で、絵になっている。ふと、こんな姿を写真に納めたいと思った。
「出したばかりなのに申し訳ないんだけど…、僕ももう限界なんだ…。少し手を貸して貰えるかな?」
腕を引かれて再び湯に浸かると、その手を栗原の股ぐらへと導いた。
「こうしていれば直接見なくていいし、やりやすいでしょう?」
導かれるままに進むとあたたかい物に僅かに触れた。恐る恐る指でつつくと栗原の肩が震える。
「っは、焦らさないで…」
「あ、あぁ。痛かったら言えよ―」
自らを慰める時のように、優しく幹を掴む。数度扱き上げて、先端から溢れた先走りの滑りを利用するように、今度は少し力を入れて上下した。
「ぁあっ…どうしよう…すぐに、―っ」
栗原の呼吸がどんどん浅く早くなる。
その様子を眺めながら、不思議な感覚を覚えていた。
自分の太くて無骨な指に、華奢な栗原が翻弄されている。相手を汚しているような、支配しているような、形容し難い快感が湧きあがる。
「栗原、俺の前に座れ」
足を開いて座った股ぐらに栗原を座らせる。目の前に現れた白い首筋を一心不乱に舐め上げながら、右手を激しく上下した。
「ぁっ、佐田、君―、はっ、やばっ…ッ」
目の前の肩が大きく揺れ、栗原の頭が肩に預けられる。
柔らかい髪の香りを嗅ぎながら、密かに自分を慰めている左手のスピードを上げた。
「ふっ…ぁ…もう、出っ、る―っ!」
「―ッ、…っ」
握り込んだ栗原の物が大きく波打ち、勢い良く精が放たれる。
同時に自身も絶頂へと達していた。
「…はは、これじゃのぼせちゃうね」
「あぁ、上がるか」
気だるくなった体をずらし、一度栗原の横に移動する。
さて、と腰を持ち上げようとしたところで、露天風呂の入口扉が開かれた。
「おぉ!佐田に栗原!お前らここにいたのか」
「部屋に居ないからどこに行ったのかと思ったよー」
賑やかな声と共に会長と宮本が入ってくる。
「抜け駆けしやがって、全くよー!会長の俺を差し置くなんて、けしからん!」
「そうだそうだー!」
「会長すみません。ここに来るまでで汗だくで、我慢出来なくて」
「宮本、お前は遅刻したんだから俺達を責める権利は無いぞ」
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