官能小説家の執筆旅行

市樺チカ

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後悔※

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部屋へ戻ると、居間で執筆をしていた真田が筆を置いて謝ってきた。

「手間を掛けたね。まさかあんな外れ籖を引くなんて」
「いえ、自分は特に何も。先生は色男ですから、こういう事もありましょう」

熊井は小さく笑うと、ゆうぎりからの言伝てを伝えた。

「本当にしつこいな。もう女は懲り懲りだよ」
「あの手の店は相手が分かりませんからね」
「そうだね。僕を深く知っていて、物分かりが良くて―そういう相手が現れないものかな」

へらりと笑う真田に、熊井は険しい顔をした。



「さて、もう少し書いたら―」

再び後ろを向いて机に向き合う真田。
その細い肩を掴み、強く手前に引いた。

「―っ」

がつん、と唇に衝撃が走り、熊井の顔が視界いっぱいに広がる。
目を見開いて固まる真田を見て、慌てて体を引いた。

「す、すみません。失礼しま―」

今度は真田が熊井の手首を掴み、引き寄せる。
体勢を崩して倒れ込む熊井を抱き止めて、再び唇を合わせた。


口内をねぶりながら髭に囲まれた頬に
手を当てる。
そこは熱く熱を持っていて、普段よりも少し赤い。

「…んっ」

舌先をぬるりと舐め上げ、唇が離れた。

「―良いのかい?」
「…、自分を、使って下さい…」

真っ直ぐに見つめ合い、ふたたび唇を絡めた。
そしてちゅ、と音を立てて離れると、真田の頭が首筋へと移る。

「っ」

背中に回した手をゆっくりと抜き取り、顔の横へ付く。
畳と自分との間に熊井を縫い付けた。

鼻先で尖った喉仏を撫でる。
深く呼吸をして胸いっぱいに熊井の香りを吸い込んだ。
香水や白粉ではない、熊井自身から発せれる香りで胸が満たされる。


真田の白い指先が、ぴっちりと合わせられたシャツの釦を外していく。
全て外れた所で、首筋と鎖骨の境目を舌先でゆるく撫でた。
ぴちゃりと音が響く。

刺青と肌色との境目に口付けを落としながら、顔を下げていく。
胸板を通って腹、臍、そして下生えへと続く所で止まった。


「…後悔するかも知れないよ」
「―、構いません」

頬を染めながら真田を見つめる眼は、とても真っ直ぐだった。

手でベルトを外す。
そして熊井の腰に手を当てながら、歯で留め金を挟んで外した。

熊井は自らの股ぐらで蠢く真田の姿を息を荒くしながら眺めていた。


下着とズボンが同時に下ろされる。
ぶるんと震えて現れた肉杭は、根本から熱く立ち上がって天を突いていた。

「―っ、先生っ」

柔らかい双玉に優しく口付け、舌をあてて幹の裏側をつつ、と舐め上げる。

「ぅ、あぁっ」

熊井の腰が揺れる。
先端に口付けると、鈴口がぱくりと開いて露を垂らした。
舌先を尖らせてちろりと刺激をすると、ぱくぱくと口を開いて更に大量の露を垂らす。

「せ、先生っ…、それ以上しては―っ」

真田は先端に唇を合わせると、ずろろと吸い付きながら根本までを飲み込んだ。

口内の柔い肉が熊井を優しく包み込む。
数度頭を上下すると、びくびくと腰が揺れた。

「―っ、駄目です、ぁ、ぁあっ―ッ」

吸い付きを強めると、呆気なく口内に苦い飛沫が散らされた。


口を閉じ、溢さないように顔を上げる。
ゆっくりと頭を上げていき、熊井の口元の所で止まった。

左手で顎を掴み、右手の人差し指と中指を揃えて口に突っ込む。
二つ目の関節が入った所で、上下に大きく開いた。


開かれた口元を目掛けて、ゆっくりと真田が唇を開く。
半透明でとろみのある液体が、熊井の口内へ落ちていった。

「飲まずに溜めなさい」

熊井は目に涙を浮かべながら頷き、口を閉じた。
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