フィオ君、娼館で下働き?

むふ

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娼館アマルティ

娼館アマルティ1/3

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 ここアマルティは人の欲という欲が渦巻く、高級娼館。
 2階からは外を歩く男達に布一枚、際どい服を着た美しい女性達が愛想を振りまいていた。
 美しい女性に吸い寄せられて、1人また1人と中へ入っていく。


 1階はBARになっている。
 お酒を飲みながら綺麗なお姉さんと楽しくおしゃべり。気に入った子を見つけるとそのまま2階で熱い夜を。


「ほらフィオ!青の間で仕立てしたならってきな。その後は予約新しいお客様だから出迎えだよ」


「はっ、はい」


 キョドっている小さな男の子に指示を出しているのはこの娼館の主。フローラ。フローラ自身もまだまだお客が取れるくらいの美魔女。もう50歳近いことは禁句である。艶やかな肌と肉肉しい太もも。厚い唇とぱっちりした目がなんとも気が強く見えて、そしてエロい。

 そんなフローラの前でおどおどしているのが、フィオ。幼いが立派な従業員だ。
 年齢定かではないが、物心つく前からこの娼館にいる。育ての親はフローラであった。


「ほら!働かざるもの食うもんなんてないよ!それより追い出すよ!」


 フィオのお尻をどれほど細かい細工がされているのか、いくらの値がついているのかわからない美しい扇子で叩いた。
 小さく、いてっと言う声と共に急いで2階に上がっていく。



 フィオは特に取り柄も無い少年。
 娼館の近くに幼い頃に捨てられていたところをフローラが拾ってこの娼館全員で育てた。周りが女の人ばかりであり、女が力を持っている場所で自分の意思より指示を貰って動く毎日。
 それなりに皆優しいし、フローラも言葉は強いが面倒見の良い人。お母さんと呼んでみたら怒られたから、ここにいる皆んなはフィオにとってお姉さんと呼んでいる。
 少し自信が無くて、容量も悪い。手先も器用じゃないが、男のフィオにも仕事が当然振られる。
 ここの世界は守られてばかりで生活できるほど甘い世界ではない。


 数日前までは掃除や洗い物、片付け等の裏方の仕事ばかりだったのに、流行りの風邪で寝込んだお姉さん方の代わりに今までお姉さん方がやっていた仕事が舞い込んできてしまった。


 仕立て―文字通り仕立てる事。お客様とお姉さんが本番に入る前に、お客様の身を綺麗に清潔に洗い準備する事。




 人手が足りなくて、少ないお姉さん方で回すのに本番前の準備をフィオが手伝うことになった。その分料金は値引きするし、初めて男の人が手伝うので了承を得たお客様だけである。



 遡ること数日前――。


「フィオ」
「へ、はい?」
「人が足りない」
「そうだよねー。フローラ姉さんもお客とる?」
「ん?私は高いよ」
「そうよねー。フローラ後ろ行っちゃったら指示出しあたしになっちゃうし、嫌よー。面倒な客の相手してもらわないとフローラには」


 昼間、開店前の時間で1階のBARに数人の蝶とバーテンダーのオリバー、フローラとフィオが集まって何やら皆困っていたようだ。


 ここ数日の寒暖差で体調を崩した蝶達が続出。
 一応人気店なだけあることもあり、何とか残りの人数で回していたがそろそろ限界であった。
 そして数日後には数ヶ月に一度の騎士団の団体予約がある。稼ぎどきであり、できる限り巻き上げ……お客様に満足してもらいたい。
 それで絶対的に人数が足りない中、どう回そうかとみんなでああでもないこうでも無いと知恵を出していた。


 「ねぇえ?人が足りないのはもう仕方がないから、夜はもう騎士団の皆様の貸し切りにしちゃってって毎度大体騎士団予約入っている時は他のお客様帰っちゃうけどん……完全予約にしてプレミヤ感出すのはどーお?」


 筋肉ムキムキの色黒スキンヘッドのバーテンダーオリバーから提案が出た。
 元々騎士団の予約が入っている時は一般の人は良い蝶は軒並み取られていて、自分に回ってもらうにはいつもより多くお金を支払わなくてはならなくなるので自然と足が遠のく。あまり人が来ないとわかっているならいっそのこと貸し切りにしてしまえば新規のお客様の相手をする人員がかからなくなる。


 「そうねー。人数に対して蝶がたりないからサービスの内容変えないとよねー。エッチなサービス減って収入減らしたくないから、貸切代付けて帳尻合わせるっていうのは良いわね……。オリバー案採用!」
 「でもでも、貸切にしても人が足りないからそもそも一対一が難しいし、準備もかける時間も無いよ?」


 騎士団の皆んなが皆んなでは無いが、もちろんここは娼館。本番ありきの場所である。ほとんど8割の騎士が蝶と夜を明かすのは必然。それまでに体を洗って身綺麗にしてもらい、終わった後も部屋の掃除に次のセット、蝶の方も次の人に行くのに一度身支度を整える必要がある。そんなことしていたら騎士団の皆様にサービスが行き届かない。


 団長や副団長や今回の戦争の功労者であればやはり一対一でと思うが、それ以外の騎士団へ手厚いサービスは今回難しそうだった。


 「もういっそのこと皆一緒にやるしかないわ。……そうよ!嗜好を変えて!今回は乱行パーティにしましょう!」


 フローラはいきなり立ち上がって名案だわと鼻息荒くしている。


「えーフローラ姉さんそれあり?一応高級娼館なんだけどここ」
 「良いのよ。高級だからこそ、いつもと違った事にプレミヤ感がつくんじゃない。1階の模様替え前日にやるよ!」
 「まぁ、楽しそうじゃない?一対一じゃなくて多人数の殿方から求められるって……んふふ、燃えるわね」


 娼館1番の大きさを誇るおっぱいの持ち主、アルピはノリノリ。一方で、少し納得がいってなさそうなのはなんやかんやいつも文句は言うが、やる時はやるイライザ。ツンデレ属性があるのか、固定客がかなりいる。


 「アルピは今回功労者の騎士に付けて欲しいって言ってたから個室だよ」
 「えー!フローラ姉さん、私も色々な殿方の逞しい筋肉に癒されたいわ」


 アルピはこの娼館が3本の指に入るほどのエッチ大好き人間。
 今回の功労者の好みがおっぱい大きい蝶とのことで、1番大きなおっぱいの持ち主に白羽の矢が立った。


 「何でもいいけどぉ、それでも足りなくな~い?団長、副団長は遅れてくるにしても、仕立てと本番でしょー?それに功労者1人、それだけで3人とられるじゃない。残った子達で他の団員捌くって酷よ!せめて時間ずらさないと」
 「……んー……。確かにそうよね……せめて仕立てだけでも…………」


 皆でまた頭を抱えることとなった。
 貸切、乱行パーティで何とか全員捌く算段ではあったが、流石に乱行に混ぜる訳にはいかない長クラスは一対一にするしかない。
 人気スリートップのうちの1人がなんとか復帰に間に合いそうだからどちらかにつけるとして、片方の時間をできる限り引き延ばして乱行パーティから1人持ってくるかどうするかと悩んでいた。
 どうにか伸ばすにしてもどうやったら良いのやら。



 「へぷしっ」


 皆んなが頭を抱えていると、端っこで小さくなって空気になっていたフィオが小さくくしゃみした。


 「…………フィオ」
 「へ!すみませんっ」
 「フィオ……あんた、仕立てやりな」
 「へ?!」
 「えー!?」
 「えー!!!ちょっとフローラ正気?!フィオちゃん男の子よ?!可愛いチンチンついているわよ!?」


 フィオ本人もびっくりだが、フローラの突発的な思いつきはここにいる全員が声を上げるほど突拍子もない提案だった。


 「団長でも副団長でもどっちでも良いから、あんたが他の蝶くるまで仕立てすんだよ。何、身支度の手伝いだ。背中流してやったり話したりするだけでも何とかなるだろう?後で他の蝶にやり方習いな」
 「フローラ姉さんちょっとお客様もびっくりしないそれ?」


 男がキャストの娼館ならまだしも、ここは女がキャストの娼館である。もちろん嗜好性もノーマルな人である。本来なら仕立てから蝶がやり、ムード満点の中でエッチに入るのが、今回は本番から蝶がはいる。
 下手したら激昂されるかも知れない。


 「いや、あの2人だったら許してくれる。…………たぶん」
 「ちょっと!フィオ!何とか言いな!嫌なら嫌って言って良いのよ!」
 「…………でも、人いないし、……皆が困ってるなら……」
 「ほら!フィオも何か力になりたいんだから、良いじゃないか!」


 内気な性格のフィオ。拾って育てられたフローラからの言葉なら特に断ることはほぼ無い。他のメンバーもそれをわかっていてもちゃんと本人に意見を求めた。


 「男がキャストの娼館だってあるんだから、何も変なことじゃ無いよ!それに本番やれって言っている訳じゃ無いんだ。風呂の世話と時間を繋ぎなっていっているんだよ。……フィオ、できるかい?」


 そして断ることを知らないフィオは仕立ての役をやることとなった。
 




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