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本編
3.小学生の記憶 2/2※※
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※暴力表現、犯罪、強姦、無理やりな表現が入ります。
苦手な方は飛ばしていただいて問題ありません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
健康診断の3ヶ月前。
菅田 悠介は、傷害・強姦未遂にあった。
幸いお尻に突っ込まれたりとかは無かったが、かなり精神的なダメージを受けて定期的に精神科に通う羽目になってしまった。
その時の話もついでだからしよう。
比較的静かな性格で、見た目もおとなしそうというのが祟ったらしい。
帰り道一人になるところを狙われて、小さな公園のトイレの一室に連れ込まれた。
後ろから声をかけてきた男性は、40代くらいで見た目も普通であった。
Tシャツにゆるっとしたズボンにスニーカー。バックとかが持っておらず、友達の家に遊びに来たが道に迷ったから近くのコンビニまで案内して欲しいというものだった。
近くのコンビニなら遠くもないし、知っている道なので親切心全開で何も警戒をしなかった。
そのコンビニまで行くにはその公園を通り過ぎるの必要があった。
ブランコと、鉄棒と、シーソーと砂場があって、男女の公衆トイレがあるような古い小さな公園。近くにもう少し大きな公園があるので、ちびっこはみんなそちらに行くような公園。
ほどんど使われない場所はなんだか少し薄暗く、不気味だったのを覚えている。
そしてその公園の公衆トイレで僕は性暴行を受けた。
公園の横を通り過ぎようとしたら、あ!思い出したかも知れないと、いきなり腕を掴まれてこっちだよね?!と自分を引きずるように足早になった。
困惑した自分はこの時に、大声を出したり、手を振りほどいたりはしなかった。
それを良しとした男は不自然にトイレの方に向かい、トイレに寄っていい?と自分もトイレまで引っ張られた。
「……外で待ってます」
ここのトイレは男性用トイレが2つ、個室が1つ、あとは女性用トイレ。
ほとんど人が使っていないので、あまり綺麗とはいえず、蜘蛛の巣や虫が床や水道の所に落ちていた。
初めて自分が拒否の言葉を上げたので、彼はそうだねと言ってトイレに入って行った。
するとすぐ僕の事を呼んだ。
お腹が痛くて個室に入ったけどトイレットペーパーが無いから、女子トイレか掃除用具の中にあったら取って欲しいと。
掃除用具は鍵がかかっており、開けられなかった。
ただ、女子トイレならあるかも知れない。
「掃除用具の中にはありません」
こう伝えると、女子トイレからとってきてと、もう一度言われた。
自分は男だから女子トイレに入ってはいけない。
足音が遠ざからないのがわかったのか、再度お腹が痛いから、女子トイレの前で中に誰かいるか聞いて、トイレットペーパーを取らせてほしいと声をかければいい。何も返ってこなければ誰も居ないから同じ個室があるからその中に入ってトイレットペーパーを取ってきて。もし出るときに誰かに会ったら、おじさんに頼まれて取るように言われたって言っていいから。自分が謝るから大丈夫だよって。
そして僕は女子トイレに向かって声をかけて、誰も居なかったから女子トイレに入った。
悪い事をしている、誰かが来たら怒られる。
ドキドキしながら女子トイレに入ったが、特に誰も居ないしトイレットペーパーも見つけた。
男子トイレに戻ってトイレットペーパーを見つけたことを男性にいうと、今少しだけ扉を開けるから、隙間から手を入れて欲しいと言われた。
扉の前に立って、声をかけると鍵が開いて、ゆっくり扉が開かれた。
そしてトイレットペーパーを持った手をすっと入れたとたん、扉が大きく開いて、思いっきり腕を引かれて個室の中に引き込まれた。
びっくりして声も出なかった。
個室に入っていた男性は、下半身を露出していた。
黒々としたあそこはぶら下がっており、すね毛や太ももの毛、あそこの毛もぼーぼーでそりゃ、個室に入っていたのだからうんこだろう。
ズボンを下ろしているのは当たり前で、おかしくない。
でも彼の顔がとても恐かった。
扉を閉められて、扉の前に立つ男の人の後ろ手で鍵を閉めたのが分かった。
「……どうしたんですか。トイレットペーパー、これ、……僕外で待ってますね」
「ちょっと待っててよ。ここで」
「え、……いっ、嫌です!外に出ます!がっ……!!」
個室に連れ込まれて、鍵を閉められてただ事じゃな事は自分でもわかった。
大きな声を出して、拒否をする。
しかし、僕が大きな声を出したとたん、頬を思いっきりビンタをされた。
「大声出したら、もう一回殴るよ。今度はグーだよ。でも、僕は君の事が大好きだから、痛い事はしたくないんだ。大好きなんだよ。だから声をかけたんだ。毎日見てた。3ヵ月前に引っ越してきてから、君の事ずっと見てた。一目惚れだったよ」
男はそう言いながら、露出している自分のあそこを撫で始めた。
頬はジンジンと熱をもってきた。
無意識に頬に手を添えて、目の前の恐怖と戦った。
耳鳴りがしているが、外に誰かいないか声が聞こえないか一生懸命考えた。
狭い個室の中に2人、扉の前に男が立っているから男が避けないと外にはでられない。
場所が入れ替わっても、自分が便座の上に上がらないと扉の開くスペースが無いくらい狭い。
――逃げられない。
「ここは人通りも少ないから、大声出しても誰も来ないからね。終わるまでおとなしくしてたら何もないよ」
恐怖で体が震えだした。
「ランドセルトイレの上に置きなよ、重いでしょ」
恐怖で何も答えないと、もう一度叩かれた。
「置けっていっているだろう!」
今度は反対の頬。
強く叩かれたために、壁に頭がぶつかって鈍い音がした。
声も出せないまま、男の言うとおりにランドセルを蓋の上に置く。
背中に少し余裕が出たので、靴一つ分男と距離を取った。
高々知れている距離でも、男と少しでも離れられた。
目の前でなおも続く、オナニー。
息も荒く、興奮した男の目はギラギラとしていて、ぼそぼそと大好きだと呟いていた。
そして男は、僕の服を掴んで上に引っ張った。
服を脱がせにかかっている、男の行動は小学4年生でもわかる。
行為そのものはよくわかって無くても、もっとひどい事をされる事だけはわかった。
「やめ!っやだ!!!!やだ!!!っ!!!!」
思いっきりグーで殴られた。
「うるさいな!静かにしてろ!」
口の中が切れて唾液が鉄の味がした。
男は僕のポケットからハンカチを乱暴に取り出して、口に乱暴に押し付けられた。
口を噤んでいるとハンカチの上から両頬を思いっきり掴まれた。
口の中は切れているので、指でグッと押されとても痛い。痛みに我慢できなくて口を開いた。
グッと掌にあったハンカチを口の中に押し込められた。
うーうーとくぐもった声しか出ない。
殴られた衝撃で壁に頭がぶつかり、目の前がチカチカする。
「あー。乱暴なことはしたくなかったのに、君が悪いんだよ。それに、声を出してもここには誰も来ないよ。おとなしくしてて」
服を上に捲られ、完全に引き抜かれぬまま、腕の所にとどまっている。
男の左手で簡単に服の上から手首を固定された。
綺麗だ、かわいいだと呟きながらズボンにも手をかけた。
体が勝手に拒否反応をしめした。
大きく震え、もう後ろに引けないのに腰を引こうとする。
ズボンを下げられまいと腰を折って、足を屈めて小さくなろうとするが、男が上に引っ張った。
「もう一回殴られたい?あぁ、もっとひどい事されたいのかな?君のお家も、学校も、お友達も、お父さんもお母さんも知っているからね。誰かに会いに行こうかな」
口角を釣り上げてそう言った。
小学4年生の頭では、他の人の所に行くわけがない、大人になんてなおさら。
そんなこと考えられる訳も無く、このことを知られたくない。恥ずかしい。怖い。殺されるかも知れない。
お父さん、お母さん、みんなの所に行かないように。
この思いでいっぱいだった。
静かになった僕のズボンをパンツごと下げた。
「そうだよ。最初からおとなしくしてくれれば、痛い事しなかったのに。君の事大好きなんだよ。愛しているんだよ」
「可愛い乳首だね。ピンク色だ」
「おちんちんもまだ毛が生えていないんだ」
「おしりは見えないのが残念だけど、仕方ない」
「大好きだよ。愛してる。かわいいね」
「すべすべのお肌だ」
一人うわごとの様にずっと話していた。
速く終われ、どっか行って。誰か助けて。
目の前の男が小さなうめき声をあげると、生暖かくて臭いのきつい何かが自分の顔とお腹にかけられた。
そうして男は僕のお腹にあそこを擦り付けて耳元でこういった。
「愛しているよ。この気持ちは本物だからね。誰かにお話ししたら、だめだよ。男同士が好きなのは変だから、おかしな子ってからかわれるからね。何も誰にも言わなければ大丈夫。誰にも言っちゃだめだよ……!」
そう話していると外で子供の遊ぶ声が聞こえ始めた。
そうすると男はそそくさと自分のズボンを上げて急いでトイレから出ていった。
僕の事をそのまま放置して。
恐怖に耐えて、目の前の男がいなくなった途端、涙があふれた。
ひっ、くっとズボンも上げないまま先ほどまで自分に起こっていた出来事を夢にしたかった。
脳裏に焼き付いた男の顔が気持ち悪くてしかたなかった。
愛している、好きだと言い続ける男が怖かった。
口に詰められたハンカチをとると、一気に鉄の味がした。
頬を叩かれ、殴られ、痛かった。
怖くて、恐くて、体が震えて立ち上がれなくて、開け放たれたトイレから出ることもできなかった。
そのうち公園で遊んでいた子供が、自分の泣き声を聞きつけて自分を見つけた。
見られたこともショックだったけど、もう目の前が砂嵐の様になって、他の人の目から自分を見ているような気さえした。
ほどなくして大人が呼ばれて、警察もきた。
体を服で包まれて、顔や胸につけられた精液を拭かれた。
何を聞かれても声が出なかった。
ただ、大人の目には何をされたか明白だった。
あの時は、幸いなことにほとんど体には触れられることもなく、後ろも無事だったがこの時初めて大人は怖い、男の人は怖いと思った。
そして男の言いつけ通り、ずっと何も話さなかったが、またそれも子供だったため、警察官に犯人にこう言われた?大丈夫だよ!と諭されてコロッと犯人の事を話した。
1か月は外に出ることが怖くなってしまい、父か母か誰かしら家に絶対いるようになった。
家に親が入れない時は、預かりをしてくれる施設に行った。
するとほどなく犯人は捕まって、学校に通えるようになったが健康診断で体調を崩して、彼と会ったのだった。
高校生となった今では男の人を怖いとか、触られるのがトラウマとか、公衆トイレがダメとか、そんなことない。
でもずっと心に残っているのは、男の人が男の人を好きなのは異常という事。
これは周りの反応からしても普通の事じゃないというのはわかった。
後は好き、愛していると言われても嬉しくない時があるということ。むしろ気持ち悪いと思ってしまった。
イコール、男同士の好きは気持ち悪いという事。
BLというジャンルに会っても、リアルで告白することはできず、自分は一歩間違えればあの時の犯人の様になってしまう。
理性を欠けば人は何でもできてしまう。
彼に好きと伝えても、自分が好意を持っている人間以外からの好意は奇妙で、不気味で、気持ち悪いものだ。
僕と犯人の違いなんて、微々たるものだ。
一歩足を踏み出してしまわないように、この気持ちを小説に書き留めて、物語の中の僕に体現してもらう。
あんな怖い目になんて合わせたくない。
傷つけたくない。
ただ、ただそれだけ。
これが僕が自分の気持ちを秘密にしている理由。
苦手な方は飛ばしていただいて問題ありません。
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健康診断の3ヶ月前。
菅田 悠介は、傷害・強姦未遂にあった。
幸いお尻に突っ込まれたりとかは無かったが、かなり精神的なダメージを受けて定期的に精神科に通う羽目になってしまった。
その時の話もついでだからしよう。
比較的静かな性格で、見た目もおとなしそうというのが祟ったらしい。
帰り道一人になるところを狙われて、小さな公園のトイレの一室に連れ込まれた。
後ろから声をかけてきた男性は、40代くらいで見た目も普通であった。
Tシャツにゆるっとしたズボンにスニーカー。バックとかが持っておらず、友達の家に遊びに来たが道に迷ったから近くのコンビニまで案内して欲しいというものだった。
近くのコンビニなら遠くもないし、知っている道なので親切心全開で何も警戒をしなかった。
そのコンビニまで行くにはその公園を通り過ぎるの必要があった。
ブランコと、鉄棒と、シーソーと砂場があって、男女の公衆トイレがあるような古い小さな公園。近くにもう少し大きな公園があるので、ちびっこはみんなそちらに行くような公園。
ほどんど使われない場所はなんだか少し薄暗く、不気味だったのを覚えている。
そしてその公園の公衆トイレで僕は性暴行を受けた。
公園の横を通り過ぎようとしたら、あ!思い出したかも知れないと、いきなり腕を掴まれてこっちだよね?!と自分を引きずるように足早になった。
困惑した自分はこの時に、大声を出したり、手を振りほどいたりはしなかった。
それを良しとした男は不自然にトイレの方に向かい、トイレに寄っていい?と自分もトイレまで引っ張られた。
「……外で待ってます」
ここのトイレは男性用トイレが2つ、個室が1つ、あとは女性用トイレ。
ほとんど人が使っていないので、あまり綺麗とはいえず、蜘蛛の巣や虫が床や水道の所に落ちていた。
初めて自分が拒否の言葉を上げたので、彼はそうだねと言ってトイレに入って行った。
するとすぐ僕の事を呼んだ。
お腹が痛くて個室に入ったけどトイレットペーパーが無いから、女子トイレか掃除用具の中にあったら取って欲しいと。
掃除用具は鍵がかかっており、開けられなかった。
ただ、女子トイレならあるかも知れない。
「掃除用具の中にはありません」
こう伝えると、女子トイレからとってきてと、もう一度言われた。
自分は男だから女子トイレに入ってはいけない。
足音が遠ざからないのがわかったのか、再度お腹が痛いから、女子トイレの前で中に誰かいるか聞いて、トイレットペーパーを取らせてほしいと声をかければいい。何も返ってこなければ誰も居ないから同じ個室があるからその中に入ってトイレットペーパーを取ってきて。もし出るときに誰かに会ったら、おじさんに頼まれて取るように言われたって言っていいから。自分が謝るから大丈夫だよって。
そして僕は女子トイレに向かって声をかけて、誰も居なかったから女子トイレに入った。
悪い事をしている、誰かが来たら怒られる。
ドキドキしながら女子トイレに入ったが、特に誰も居ないしトイレットペーパーも見つけた。
男子トイレに戻ってトイレットペーパーを見つけたことを男性にいうと、今少しだけ扉を開けるから、隙間から手を入れて欲しいと言われた。
扉の前に立って、声をかけると鍵が開いて、ゆっくり扉が開かれた。
そしてトイレットペーパーを持った手をすっと入れたとたん、扉が大きく開いて、思いっきり腕を引かれて個室の中に引き込まれた。
びっくりして声も出なかった。
個室に入っていた男性は、下半身を露出していた。
黒々としたあそこはぶら下がっており、すね毛や太ももの毛、あそこの毛もぼーぼーでそりゃ、個室に入っていたのだからうんこだろう。
ズボンを下ろしているのは当たり前で、おかしくない。
でも彼の顔がとても恐かった。
扉を閉められて、扉の前に立つ男の人の後ろ手で鍵を閉めたのが分かった。
「……どうしたんですか。トイレットペーパー、これ、……僕外で待ってますね」
「ちょっと待っててよ。ここで」
「え、……いっ、嫌です!外に出ます!がっ……!!」
個室に連れ込まれて、鍵を閉められてただ事じゃな事は自分でもわかった。
大きな声を出して、拒否をする。
しかし、僕が大きな声を出したとたん、頬を思いっきりビンタをされた。
「大声出したら、もう一回殴るよ。今度はグーだよ。でも、僕は君の事が大好きだから、痛い事はしたくないんだ。大好きなんだよ。だから声をかけたんだ。毎日見てた。3ヵ月前に引っ越してきてから、君の事ずっと見てた。一目惚れだったよ」
男はそう言いながら、露出している自分のあそこを撫で始めた。
頬はジンジンと熱をもってきた。
無意識に頬に手を添えて、目の前の恐怖と戦った。
耳鳴りがしているが、外に誰かいないか声が聞こえないか一生懸命考えた。
狭い個室の中に2人、扉の前に男が立っているから男が避けないと外にはでられない。
場所が入れ替わっても、自分が便座の上に上がらないと扉の開くスペースが無いくらい狭い。
――逃げられない。
「ここは人通りも少ないから、大声出しても誰も来ないからね。終わるまでおとなしくしてたら何もないよ」
恐怖で体が震えだした。
「ランドセルトイレの上に置きなよ、重いでしょ」
恐怖で何も答えないと、もう一度叩かれた。
「置けっていっているだろう!」
今度は反対の頬。
強く叩かれたために、壁に頭がぶつかって鈍い音がした。
声も出せないまま、男の言うとおりにランドセルを蓋の上に置く。
背中に少し余裕が出たので、靴一つ分男と距離を取った。
高々知れている距離でも、男と少しでも離れられた。
目の前でなおも続く、オナニー。
息も荒く、興奮した男の目はギラギラとしていて、ぼそぼそと大好きだと呟いていた。
そして男は、僕の服を掴んで上に引っ張った。
服を脱がせにかかっている、男の行動は小学4年生でもわかる。
行為そのものはよくわかって無くても、もっとひどい事をされる事だけはわかった。
「やめ!っやだ!!!!やだ!!!っ!!!!」
思いっきりグーで殴られた。
「うるさいな!静かにしてろ!」
口の中が切れて唾液が鉄の味がした。
男は僕のポケットからハンカチを乱暴に取り出して、口に乱暴に押し付けられた。
口を噤んでいるとハンカチの上から両頬を思いっきり掴まれた。
口の中は切れているので、指でグッと押されとても痛い。痛みに我慢できなくて口を開いた。
グッと掌にあったハンカチを口の中に押し込められた。
うーうーとくぐもった声しか出ない。
殴られた衝撃で壁に頭がぶつかり、目の前がチカチカする。
「あー。乱暴なことはしたくなかったのに、君が悪いんだよ。それに、声を出してもここには誰も来ないよ。おとなしくしてて」
服を上に捲られ、完全に引き抜かれぬまま、腕の所にとどまっている。
男の左手で簡単に服の上から手首を固定された。
綺麗だ、かわいいだと呟きながらズボンにも手をかけた。
体が勝手に拒否反応をしめした。
大きく震え、もう後ろに引けないのに腰を引こうとする。
ズボンを下げられまいと腰を折って、足を屈めて小さくなろうとするが、男が上に引っ張った。
「もう一回殴られたい?あぁ、もっとひどい事されたいのかな?君のお家も、学校も、お友達も、お父さんもお母さんも知っているからね。誰かに会いに行こうかな」
口角を釣り上げてそう言った。
小学4年生の頭では、他の人の所に行くわけがない、大人になんてなおさら。
そんなこと考えられる訳も無く、このことを知られたくない。恥ずかしい。怖い。殺されるかも知れない。
お父さん、お母さん、みんなの所に行かないように。
この思いでいっぱいだった。
静かになった僕のズボンをパンツごと下げた。
「そうだよ。最初からおとなしくしてくれれば、痛い事しなかったのに。君の事大好きなんだよ。愛しているんだよ」
「可愛い乳首だね。ピンク色だ」
「おちんちんもまだ毛が生えていないんだ」
「おしりは見えないのが残念だけど、仕方ない」
「大好きだよ。愛してる。かわいいね」
「すべすべのお肌だ」
一人うわごとの様にずっと話していた。
速く終われ、どっか行って。誰か助けて。
目の前の男が小さなうめき声をあげると、生暖かくて臭いのきつい何かが自分の顔とお腹にかけられた。
そうして男は僕のお腹にあそこを擦り付けて耳元でこういった。
「愛しているよ。この気持ちは本物だからね。誰かにお話ししたら、だめだよ。男同士が好きなのは変だから、おかしな子ってからかわれるからね。何も誰にも言わなければ大丈夫。誰にも言っちゃだめだよ……!」
そう話していると外で子供の遊ぶ声が聞こえ始めた。
そうすると男はそそくさと自分のズボンを上げて急いでトイレから出ていった。
僕の事をそのまま放置して。
恐怖に耐えて、目の前の男がいなくなった途端、涙があふれた。
ひっ、くっとズボンも上げないまま先ほどまで自分に起こっていた出来事を夢にしたかった。
脳裏に焼き付いた男の顔が気持ち悪くてしかたなかった。
愛している、好きだと言い続ける男が怖かった。
口に詰められたハンカチをとると、一気に鉄の味がした。
頬を叩かれ、殴られ、痛かった。
怖くて、恐くて、体が震えて立ち上がれなくて、開け放たれたトイレから出ることもできなかった。
そのうち公園で遊んでいた子供が、自分の泣き声を聞きつけて自分を見つけた。
見られたこともショックだったけど、もう目の前が砂嵐の様になって、他の人の目から自分を見ているような気さえした。
ほどなくして大人が呼ばれて、警察もきた。
体を服で包まれて、顔や胸につけられた精液を拭かれた。
何を聞かれても声が出なかった。
ただ、大人の目には何をされたか明白だった。
あの時は、幸いなことにほとんど体には触れられることもなく、後ろも無事だったがこの時初めて大人は怖い、男の人は怖いと思った。
そして男の言いつけ通り、ずっと何も話さなかったが、またそれも子供だったため、警察官に犯人にこう言われた?大丈夫だよ!と諭されてコロッと犯人の事を話した。
1か月は外に出ることが怖くなってしまい、父か母か誰かしら家に絶対いるようになった。
家に親が入れない時は、預かりをしてくれる施設に行った。
するとほどなく犯人は捕まって、学校に通えるようになったが健康診断で体調を崩して、彼と会ったのだった。
高校生となった今では男の人を怖いとか、触られるのがトラウマとか、公衆トイレがダメとか、そんなことない。
でもずっと心に残っているのは、男の人が男の人を好きなのは異常という事。
これは周りの反応からしても普通の事じゃないというのはわかった。
後は好き、愛していると言われても嬉しくない時があるということ。むしろ気持ち悪いと思ってしまった。
イコール、男同士の好きは気持ち悪いという事。
BLというジャンルに会っても、リアルで告白することはできず、自分は一歩間違えればあの時の犯人の様になってしまう。
理性を欠けば人は何でもできてしまう。
彼に好きと伝えても、自分が好意を持っている人間以外からの好意は奇妙で、不気味で、気持ち悪いものだ。
僕と犯人の違いなんて、微々たるものだ。
一歩足を踏み出してしまわないように、この気持ちを小説に書き留めて、物語の中の僕に体現してもらう。
あんな怖い目になんて合わせたくない。
傷つけたくない。
ただ、ただそれだけ。
これが僕が自分の気持ちを秘密にしている理由。
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