転生したら母乳チートになりました

むふ

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2.異世界

2.異世界1/2

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「あ?あれ?ここは?」


 深い深い森の中、木々の間から木漏れ日がさしている。涼やかな風が時折り吹いて、葉を揺らしている。
 遠くから鳥の声が聞こえ、辺りは木と草だけ。

 木の幹にもたれ掛かるように寝ていたのかお尻が痛い。自分の身体を触り、服を見ると飛び降りた時の格好と同じ。頭や身体に外傷はない。夢なのか、ここはあの世なのか仕切りにあたりを見回して考える。

 頬をつねる時痛みが走り、立ち上がると足も付いていて歩けもする。

 ――ここは……、どこ……。



「!?心明?!!!」


 心明子どもが亡くなり、同じ場所に行こうと身を投げた。
 しかし病院でもないここはどこなのだろうか。

 
 心明の骨壷を抱いて飛んだのに周りに見当たらない。必死に探すが、見つけられなかった。


 枯れたはずの目から涙が溢れた。
 とりあえず着の身着のまま探すしかなかった。
 
 歩いてみるとここは地球ではないのかと思い始めた。
 生えている草や花が見たこともない形をしていたり、空を飛ぶ鳥も見た事がない。


 ――アフリカとか、マングローブとか……自然豊かなところでもこんなの無いよね……。


 腕が4本生えている猿みたいな動物を遠目に見つけて、咄嗟にその場に屈んで距離を取った。


 ――え、気持ち悪っ。


 得体の知れない動物をみて不安と恐怖が襲った。
 日本でも猿が人を襲うこともある。どんな生態なのかもわからないので、関わらない事が最善だった。

 
 そして地球では無い事が確信した。
 少し開けた場所に出ると、太陽が3つあった。
 直視できないが、明らかに3つある。


「嘘……。ここどこ……」



 闇雲に歩いても仕方がないが、ポケットにあるのは飛び降りた時にすぐ身元がわかるように身分証明書と入れ忘れていたいつもらったかもわからない飴が1つ。
 水を確保しなければ終わる。


「って、私死のうとしてたのに……なんでまた生きようとしてるんだろ……」


 何故か死にしれなかった事に疑問を持ちつつ、苦しいのは嫌だからとまた飛び降りれるように崖とか無いかなと思いながら歩いた。




 何時間歩いたか。
 結局骨壷ここあは見つからない。
 陽は傾いてきて水も見当たらない。
 疲れて歩くのもしんどくなってきた。


 少し眠ってしまったのか、気がつくとあたりは暗くなり空には2つの月が昇っていた。
 夜は昼間と違って奇妙な声が聞こえる。人の笑い声や、叫び声のような甲高い鳴き声。呻き声も聞こえる。


 近くで木が擦れる音がして、疲れた体に鞭を打って走り出した。


「やばい!やばい!夜になった!火なんてないし……ライオンとかオオカミとか肉食の動物にやられたら……!」


 洞窟とか木の幹の下に空洞になっている所なんて都合良く見つかる訳もなく、月に照らされて夜でも明るい方だが何も見つけられないまま疲労だけが溜まっていく。




 何とか光に照らされるまま明るいところを移動していると、小さな小川を見つけた。
 20㎝程度の小さな水の流れ道。
 一日中歩き通しで水を見た途端に一気に喉の渇きを覚えた。
 水質なんて気にしていられず、手ですくって口に運ぶ。お腹を壊すかも知れないが、背に腹は変えられない。

 ひとしきり水を飲んで少し休む。
 水の周りには人や動物が集まると聞くので、とりあえず水の流れを辿った。
 途中で食べられるかわからないが木の実も見つけて齧ってみる。とても酸っぱい。
 仕方なくポケットに入れていた飴を砕いて半分食べた。


 川を辿っていると大きな岩の間に人が1人入れるくらいのスペースを見つけた。
 ただ、こういう穴は高確率で何か潜んでいる場合がある。
 少し大きめの石を拾ってきて何度か穴目掛けて投げ入れる。何も出てこないことを確認して自分も入った。
 しゃがんでやっとの広さ。
 寝たら足が半分出てしまう。
 贅沢は言えないので、とりあえずその穴で一晩を過ごした。
 うとうととうたた寝をしてしまったが、幸いにも獣に襲われることは無かった。


「心明、ごめんね……ママ同じ所に行けなかったみたい……」



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