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母乳チートになりました
母乳チートになりました1/4
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・胸糞あり
・赤ちゃんが亡くなる表現あり
・モロ語あり
私の名前は、平松綾香23歳。
妊娠を彼に告げたら捨てられ、一生懸命育てようと思って頑張っていたけど赤ちゃんには先天性の病気があり、出産後数日で亡くなってしまった。絶望してビルから飛び降り、気がついたら森の中。
そんな私が森で拾った子達を育てて、その子達に色んな意味で愛されるお話し。
「……?あれ?…………ここは?」
深い深い森の中、木々の間から木漏れ日がさしている。涼やかな風が時折り吹いて、葉を揺らしている。
遠くから鳥の声が聞こえ、辺りは木と草だけ。
木の幹にもたれ掛かるように寝ていたのかお尻が痛い。自分の身体を触り、服を見ると飛び降りた時の格好と同じ。頭や身体に外傷はない。夢なのか、ここはあの世なのか仕切りにあたりを見回して考える。
頬をつねる時痛みが走り、立ち上がると足も付いていて歩けもする。
――ここは……、どこ……。
とりあえず着の身着のまま歩き出してみた。
歩いてみるとここは地球ではないのかと思い始めた。
生えている草や花が見たこともない形をしていたり、空を飛ぶ鳥も見た事がない。
――アフリカとか、マングローブとか……自然豊かなところでもこんなの無いよね……。
腕が4本生えている猿みたいな動物を遠目に見つけて、咄嗟にその場に屈んで距離を取った。
――え、気持ち悪っ。
得体の知れない動物をみて不安と恐怖が襲った。
日本でも猿が人を襲うこともある。どんな生態なのかもわからないので、関わらない事が最善だった。
そして地球では無い事が確信した。
少し開けた場所に出ると、太陽が3つあった。
直視できないが、明らかに3つある。
「嘘……。ここどこ……」
どこかの世界に飛ばされたのだとわかった。
小説の中の話だと思っていたことが自分に起きている。
転生したのか、転生前の記憶が蘇ったパターンなのか。とりあえず顔を確認するにも水を確保しなければならなかった。
やっと小さな川を見つけた。川といって良いのかわからないくらい細い。
水質なんて気にする余裕もなく手ですくって気が済むまで飲んだ。
その後も川沿いを歩き、人1人やっと入れる岩の間に身を潜めた。
食べ物なんて都合よく見つからず、ポケットに入っていたいつもらったかもわからない飴を舐めてしのいでいた。
――死のうと思っていたのに……今必死に生きようとしてるなんておかしいけど……。
体を休めては水を飲んで、木の幹をはいでしゃぶって、草を噛んで飢えに耐えた。
食料をなんとか見つけようと彷徨っていると何の神様のいたずらか、赤ちゃんの鳴き声に似た声を聞いてしまう。空腹で幻聴が聞こえているのか、こちらの世界の獣の鳴き声かわからない。
獣であったらどうしようと思いながらも人がいる可能性にかけて声のする方向に足を向けた。
――嘘でしょ……。
目にしたのは木の幹に無造作に置かれたお包みに包まれた2人の赤ちゃん。
何かの罠なのか、普通に散歩に来て日向ぼっこしている所なのかわからない。
赤ちゃんがいるということは親や大人が居るはず。
茂みや木の影に隠れながら赤ちゃんを支点に人を探した。
1時間もかからずぐるりと回ったが人の気配がない。
相変わらず赤ちゃんは泣いている。
まだ産まれて1ヶ月くらいじゃないのか、適当に着せられた服とはだけだお包みにとても異様な光景に映る。
「いやいやいや、こんなに放置っておかしく無い?親何してるのよ……。近くに行ったら罠仕掛けられてるとか?え?どうしよ……」
結局人の影はなく、他人の子ではあるがおっぱいを吸わせた。数日前に亡くなった我が子のための母乳。
出は良いようで、この世界に来てからも母乳が漏れる感覚があったが勿体無くて痛みに耐えながら放置していた。こんなところで役に立つとは思っていたなかった。
赤と青の対比の髪の色。
弱っていた赤ちゃんは綺麗な青色の髪。
何とかおっぱいには吸い付けるくらいの元気はあって良かったが、勢いよく出たおっぱいにむせてしまった。
3分くらいで一度外して、赤い髪の赤ちゃんに反対のおっぱいを咥えさせる。
上手に飲んでいる。胸を離さんばかりに手を一生懸命伸ばして肌を触ってくる。
2人が満足するまで交互に抱いて授乳をした。
――………………どうして……。
今は亡き赤ちゃんを思い出して2人に重ねる。
赤ちゃんの親へのどうしようもない憤りと、虚しさと、悲しさとぐちゃぐちゃにになった感情が堰を切って押し寄せてくる。
自然と流れる涙が枯れることはないのかも知れない。
自分の拠点にしている岩の穴に連れ帰った。
うんちとおしっこで汚れた布を自分の服を破いて交換する。
人というのは食事を取らないとすぐ動けなくなってしまう。
赤ちゃんに授乳しながら、外から獣に襲われないか気を張っていることもあり更に寝られない。
産後寝不足になるのは世の常であるが、更に過酷であった。その上食事も無い。
人が弱るのは必然である。
赤ちゃんを拾って4日目で立てなくなってしまった。
傍ではお腹が空いたのか、オムツが汚れたのか、寒いのか暑いのかわからないが泣く赤ちゃん。
泣かれると自分を責められているような錯覚を起こしてしまう。
――ごめんね……。お母さん、また子育てうまくできなかった…………。
執拗に自分を責めてしまう。自身の子どもが病気だった事も自分が悪いと何度責めたか。それでも赤ちゃんが泣き止むように流れる涙も拭わず、抱き抱えて授乳をする。
ごめんね、ごめんねと遠くに聞こえる泣き声に謝罪しか出来ない。薄れる意識の中、体を覆う暖かさに意識を手放した。
――お母さん大好きだよ。
自分の都合が良い夢を見ている。
暖かく包まれた体が心地いい。
産んだ赤ちゃんなのか、喋れるわけも無いのに聞こえた声に安堵した。
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