変態騎士に好かれても困ります

パン屋へ

パン屋へ6/7

　待ちに待った瞬間。


　イリアがお店に入る少し前に変身薬を追加で飲む。
　2時間かからないくらいで、根本から元の髪色が見えてきたくらいだった。
　ある程度予想通りの効果時間で、無事お店の中に金髪で入ることができた。


　お会計ごとの金髪の方へのクッキープレゼントの為、ルーカスも何かしらパンを買わなくてはならなかった。
　イリアのおすすめを聞きながら何点かトレイに取って会計に並ぶ。
　無事クッキーをそれぞれ手に入れた。
　店を出て、目的の物を手に入れたイリアはホクホクであった。しかし、長時間相手を拘束していることを思い出して、すぐ報酬を渡すべくバッグから巾着を出した。


「ルーカス様、パン代をお返しします」


　そう言って、お釣りが来るくらいのお金をルーカスに渡そうとしたが、今日のお昼にするからいらないと断られてしまった。


「あ、でも報酬はいただくからね」


　おすすめだと言ったパン全てをトレイに乗せていたルーカス。同伴者も買わないと手に入らないクッキーの為、かかった費用はこっちでと思っていた。断られてしまい、そういうわけにはいかないと食い下がろうとしたところ報酬の話をされてしまって有耶無耶になってしまった。


「はい。もちろんです」


　報酬を渡して依頼は完了である。
　一食分にしては少し多い気がしたが、大きめの袋を片手に空いた片手で報酬を受け取ってポケットにしまった。
　そして報酬を入れた後ろのポケットから何やら紙を渡してきた。
　広げてみると住まいの場所であった。


「電話無いだろうから、俺の住んでる住所。湿地に行くのにこれからも連絡したいんだけど、どっちも組合挟むより速いかなと思って」
「いえ、ありがとうございます。私の住所を……」
「いいよ、会ってまだ間もないから、簡単に住所教えたらだめだよ。こちらから送る時は組合を挟んでお願いするね。もう少し仲良くなって大丈夫かなと思ったら時で良いから」


　そうするとじゃあまたねと、手を上げてイリアが何か言う前に颯爽と帰ってしまった。
　最後まで爽やかだった。


　――住所を教えなかったら自力で見つけて押しかける騎士も居れば、最後まで紳士な騎士も居るものですね。


　比較をする訳では無いが、世の中には色々な人がいるとしみじみ思うイリアだった。


　その後クッキー交換と報酬の交換は、2名しか交換できず金髪になって正解であったと胸を撫で下ろした。













　その日の夜。
　ルーカスは、微かに匂ったイリアの香りを思い出して下半身に手を伸ばすが、結果は不発。頭をもたげる所までも行かなかった。


「道のりは長い……。今後どうやってあの匂いを手に入れるか…………はぁ」


　紳士、中身は下心しかない変態どすけべであった。







　一方リオルドはというと、ベッドの上で布団に元気になった下半身を擦り付けていた。


「んーっ、んっ、ぁ………………イリアっ、そんなにしたらっ」


　頭の中でイリアに弄ばれて、涎を垂らしながら腰を振る。
　スラックスを完全に脱がず、前だけ開いて硬くなった先端をシーツに這わせた。
　時より腰を浮かせて、鈴口と亀頭をやわやわと緩急つけて擦り付ける。
　手は枕を抱いて、イリアの名前と喘ぎ声だけが部屋に響いた。


「なんっ……っで、あんな優男っ…………ぁっ、俺の方が……んんっぁ」


　変態、中身も変態であった。