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新しい自分
新しい自分5/5
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2回目の岩が崩れて、横穴に何とか飛び込んでイリアが目覚めるまでのルーカスはというと……。
「んーーーっ、はぁ、……はぁっ」
息遣いが荒くなっていた。
上に残っている3人に支持を出し、腕の痛みに耐えて数十分。呼吸と身体強化、痛覚遮断を駆使してなんとか痛みを逃していた。一度かけた魔法も時間が経てば解けてしまう。また、リラックスし、集中してかけた魔法は持続する時間も長い為、痛みへ向かっている意識を他に移さなければならなかった。
それが間違いだった。
小脇に抱えるようにして横穴に滑り込んだ体制のまま、自身は上半身を起こしていたが、イリアはうつ伏せのまま。
平手打ちをくらい、痛いところを突かれ、賞賛や媚る素ぶりもしない。この可愛げのない女性にプライドを粉々に砕かれたルーカス。そんなイリアを横目に、体勢を整えて岩壁を背もたれに座り直した。
しばしイリアが横になっているであろう場所に目を向けて、息遣いがあることを確認して一つため息をついた。
――女性を地面で寝かせるなんて、俺の流儀に反してる。平手をかまされた相手だとしても……だ。
片腕を伸ばしてイリアの身体に触れる。
少々乱暴であるが、片手なので仕方がない。
引きずるように腕に抱えて、自分の膝に座らせる。頭を自分の肩にもたれかけさせた。
顔の横にイリアの顔。息が首にあたり、少しこそばゆい。
――3人は無事、脱出できるかな。
ぼんやりする事数分……。
今まで気にならなかった物が気になり出した。
イリアを抱いている為、必然的に距離が近くなる。当然、匂いを感じやすくなる。ほぼ密閉された空間にいることも相まって、一度気になったら他の事を考えられなくなってしまった。
――……匂い、強いな。
お風呂に入っていないイリアの身体からは、酸っぱいような、汗臭いような、モワッとした匂いを発していた。
――匂いは慣れるっていうからね。それにこんなになるまで1人でここにいたのか。
ルーカスは1人取り残されたイリアを可哀想に思い、そして凄い女性であることを認めざるおえなかった。
一頻りイリアへの考察、今後どうするか考え、はたっと意識を現実に引き戻すと、またこの籠った匂いが気になり出した。
――……匂いって慣れるもんじゃないのか?……酸欠かっ?!
何だか匂いに当てられてクラクラしてきた。
酸欠の可能性を考えたが、自分ではどうしようもない。魔力が残っていても、岩にスキルを当てればこの場所も崩れない。ルーカスに出来ることは何もなく、イリアを揺すって起こすしかなかった。
――起きないっ。
イリア頼みであったが、揺すっても、身体を叩いても起きない。
「起きてっ、起きてほしいんだけどっ……っ」
耳元により口元を寄せて、大きな声を出してみる。しかし、全くの無反応。逆に大きく息を吸ったことによって匂いをダイレクトに嗅いでしまい、一瞬もっていかれた。
――あぁ、やばい。
起きてと声をかけていたが、どんどん声が小さくなっていく。声量が下がるに従って、鼻息が荒くなっているのは本人は分かっていない。起きない事がわかったら顔を近づける必要はないにも関わらず、無意識にイリアの首筋に鼻を向けてしまっていた。
「……っ、んっ…………っはぁ、ぁ」
意識が朦朧としているが、しっかり顔はイリアの首に埋めるように項垂れている。
完全にトリップしてしまった。
「……ぁ、ぁー、……良い匂い……ん……ふっ」
イリアのお尻の下に鎮座している立派なモノは、首をもたげて窮屈にしていた。自由に腰を動かすこともできず、手を使うこともできない。そんなもどかしい現状が続いた。
一心不乱にイリアの匂いを嗅いでいた。
スラックスにはシミができ、申し訳程度に腰が上下に揺れている。爆発寸前のモノは、苦しそうにシミを大きくするだけで吐き出す為にはもう一声。
「んーっ、ふぅー…………っ!」
その時、イリアが身じろぎし、ルーカスの頬に思いっきりおでこがぶつかった。
頭の中がスパークし、同時に平手を受けた時の映像がフラッシュバックした。全身を一気に血が駆け巡り、毛が逆立つような衝撃。
「っっ!」
小さく痙攣した身体が落ち着いた頃、ルーカスは現実に引き戻され、天を仰いだ。
――……ぇ、どういうこと。
ズボンの中は、触ってもいないのに吐き出された粘液でグッチョリ。そしてそれが染みていることもわかる。
ルーカス自身、困惑するしかなかった。
確かに夜のお相手はこと欠かす事無く、頻繁に行っているくらい性欲は強い。本来なら、救助任務が終わった後、あの3人誰かと仲良しする気満々でいた。任務に来る前も済ましてきてある。溜まってはいないはず。
そして、重要なのは特に匂いフェチや被虐趣味がある訳ではなく、ノーマルの技師であること。
――……俺、変態みたいじゃん。
項垂れ、どう言い訳するか、謝るのが先か?とああでもない、こうでもないと久しぶりのパニック。
必死に謝罪の内容を考え、どうしようもない下半身をそのままにイリアが目覚めるのを待った。
――あれだ!酸欠で死ぬと思ったから、子孫を残そうという本能だ!
結局、イリアのお尻が湿っていたことは地面に座ったからでは無いことを本人は全く気が付かず、謝る機会を逃したルーカス。
この日からルーカスの性事情、ましてや今後の生活に大きな変化が出ることはこの時はまだ知らなかった。
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