あれな除霊屋さん

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とある日のバイト風景

とある日のバイト風景1

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 皆様こんにちは佐山鈴です。
 今回は日ごろの除霊アルバイトの様子を紹介します。


今回の一例になります。
土曜日9時~17時、休憩1時間。
仕事内容、電話対応と師匠の世話。



「おはようございます」

 8時30分ごろに付いた私は、まず事務所の寝室で寝ている師匠を起こしに行く。
 まぁ、起きていることはそうそう無く、そして寝起きが悪い。


「師匠、起きてください朝ですよ」


 カーテンを開ける。自動なので、リモコンを押すだけなのだけど。
 自動カーテンを生涯操作するなんて思ってもいなかった。
 ここはビルの二階であるが、ガラス面に特殊な加工がされているようで、外から中は見えない。
 中から外ははっきり見えるのに。
 技術とお金ってすごいんだなって改めて思う。
 そして、カーテンを開けて日差しが入っても師匠は気にならないご様子。



 声をかけてもまず反応は無い。
 近くに行って体を揺すってみる。


「師匠、起きてくださいよ」


 やっとここで、唸り声を少々上げて軽そうな布団に顔を埋める。



 一旦ほっといて、コーヒーを淹れにリビングに向かった。
 インスタントコーヒーを淹れて、軽い朝食を作る。

 広々としたリビングに併設されているアイランドキッチンは何故か私用のエプロンが置いてあり、一通りの家電や器具も置いてある。
 別の家で基本過ごしていると言っているのに。
 冷蔵庫を開けると、卵やベーコンなどがおいてある。
 以前私がバイト以外の日に立ち寄った日はすっからかんだった。
 私が来る前に買っているのか、たまたまあるのか。
 聞いたことはない。
 そして、大抵作って欲しいメニューを決めて材料を置いてあるようだった。

 トースターにパンをセットして、ベーコンと卵を焼く。
 その間に即席スープ。小さく切った野菜を、耐熱の大きめのマグカップに入れてレンジでチン。

 さっき淹れたコーヒーは私が勝手に飲むもの。
 私用のカップも知らないうちに増えていた。小さなおじさんが描いてある。
 師匠が買ってくれていて、なぜこれにしたかこの時は聞いた。
 理由はたまに私がおじさんに見えるかららしい。
 私がいつおじさんに見えるのかは、甚だ疑問だが御礼をちゃんと伝えた。
 時間が経つと、センスはどうかと思うが愛着が沸いていて今ではお気に入り。


 パンが焼け、その上にバターをひと塗り。
 目玉焼きもスープも丁度できたので、リビングにセットしてお湯も再度沸かして、もう一度師匠を呼びに行く。




「師匠。朝ご飯の用意ができましたよ。覚める前に起きてください」

 ベッド再度に膝をついて、頭までかぶった布団の上から体を揺する。
 師匠と何回か、頭がある付近で呼びかける。
 もぞっと頭を布団から出すと、目をこすりながら出てきた。


「……んぅ」

 師匠はご飯を作ると早めに起きてくる。
 ご実家の教えか何かで、食べ物には感謝をしなければならないとかなんとか。

 無言のまま、ベッドから降りた師匠は全裸。
 毎度全裸なので、私は後ろを向いて待機。

 クローゼットをあけては、ガサゴソと服を着ているようだ。


「今日はトーストと目玉焼き、ベーコンと野菜スープです」
「……ぁあ」

 ありがとうとは言われたことがあっただろうか。
 朝食を作り始めたのもいつからで、なぜだったのかも今ではよく覚えていない。

「コーヒーは、アラビアのやつと妖精が描いてあるパッケージのと、青いサーファーのどれが良いですか」

 どれもインスタント。豆から淹れろと毎回言われるけど、豆から淹れたことは今まで一度も無いからそもそもインスタントのしか聞かない。

 後ろを向いていたら、後ろからいきなり抱き着かれた。
 耳元で、豆から淹れろと言われて耳たぶにキスをされた。


「ひっ、!」

 ビクついた私の体を離して、部屋を出ていった。
 扉が閉まる前に、青いサーファーのやつとだけ言い残して言った。

「……師匠は耳弱いの知っててやるんだよなぁ」

 キスをされた耳だけいやに熱がともって、早く熱が冷めるようにそっと手を添えた。


 寝ぐせボンバーだった髪も綺麗にセットされて、リビングに帰ってきた。
 青いサーファーのインスタントコーヒーを淹れて。
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