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 省吾さんとホテルに向かう途中、もうすぐ彼と明日の朝まで離れ離れになるのかと思うと足が遅くなった。私の歩みに合わせてゆっくり歩いてくれる彼に甘えて、大きな交差点に差し掛かろうとした時に足を止める。

 さっきまで彼と楽しんだパークを見たくて顔を後ろに向けると、暗闇になっていく夕暮れ時に、ネオンに照らされたパークが浮かび上がっていた。

 このまま、ずっと側にいたい。さっき、彼は私の事を大切な人だと言ってくれたし、織幡さんときちんとお別れが出来た今、薄いベールに包まれていたかのような彼の私への好意が見えた気がする。

 彼からも同じ気持ちを聞く事が出来ると思うのに、自分からは、なんとなくむず痒くて好きだと言えない。もう少し彼の気持ちをはっきり知りたくて、さっきの言葉の意味を聞いてみると口ごもられた。彼に好かれているという淡い自信が急速にしぼむ。
 だけど、彼の様子は戸惑いと照れくささが先だっているだけで、やっぱり脈があると確信した。重ねて聞くと、やっと彼が私にしっかり「好きだ」と言ってくれた。

 もう、嬉しくて、切なくて、胸が苦しいほどとてつもなく幸せで、私からも同じように言葉を伝えたかったのに、唇を塞がれてしまう。

「ん……」

 ちゅっと一瞬だけ吸い付かれて、リップ音が高く鳴った。近くを通り過ぎる人たちが、私たちの事をじろじろ見て話しをしているのが耳に聞こえて来たけれど、そのままふたつ目のキスを受け取る。

「彩音、好きだ」

 ぎゅっと彼の逞しい腕が私を捕える。息が苦しくなるほどの力で抱きしめられて、はぁっと息を吐いた。

「省吾さん、私も……」

 彼に口をふさがれてしまい、やっぱり言葉で伝える事が叶わない。みっつ目、よっつ目のキスを贈られた時、そっと彼の唇が耳に触れるか触れないかの距離で、「今日は離れたくない。彩音とひとつになりたいんだ」と吐息と共に呟かれた。

「省吾さん、好きです。私も、一緒にいたい」

 息が止まるほどの多幸感と、ぞくぞくする恥ずかしさが渦巻く中、やっと彼に自分の気持ちを伝える事が出来た。最後に、いつつ目のキスを落された後、省吾さんが私の手をしっかり握り、足早にホテルに向かう。

 ほんの少しだけ早歩きになりながら彼についていく途中、隣にいる彼の熱い気持ちが手から伝わって体全体に行き渡る。もう、彼の事しか考える事が出来ない。

 フロントに、もう一人分の宿泊追加を伝えると快諾された。ディナー付きの宿泊プランだったけれど省吾さんが断わるのを聞いて、体の熱が上がった。

 部屋に行くエレベーターの中は誰もいない。私たちしかいないのをいい事に、彼は何度もキスをくれた。部屋にたどり着くまでの間に、一体いくつのキスをくれたのかもう数なんて数えていられなかった。

「彩音、彩音……!」
「省吾さん、んんっ」

 シーンと静まり返った広い廊下を抜けて部屋に入るなり、深く力強いキスをされる。彼の大きな手が、思わせぶりに背中から下半身に降りて、服を少しずつ乱した。

「ん、待って、まってぇ……」
「もう充分待った。これ以上は待てない」

 キスの合間に、胸に手を当てられた。大きな手が胸に食い込むように揉みしだかれる。このまま、嵐のように私に向かってくる彼を受け入れたい気もするけれど、さっきまでパークで遊んでいたから体が汚れている。

「お願い、シャワーを、浴びたいの」
「……このままで、かまわない」

 私の言う事を全部聞き入れてくれない。いつもの省吾さんなら、私の望む通りにしてくれたというのに。性急にキスで私の言葉と思考を奪おうと、より激しく彼の熱が伝えられる。

「ん、はぁ、んっ!」

 服がたくし上げられ、ズボンのボタンが外された。ほんの少しできた隙間から、服の中に大きな手がすっと入り込んで縦横無尽に動き回る。
 そっと指先で撫でられたかと思うと、くいっと指先を肌に押し付けられた。そちらに意識が行ったかと思うと、首に吸い付かれながら舐られる。

 体中にびりびりとした感覚が、研ぎ澄まされた刃のように私に襲い掛かって来る。彼の吐息すら、その刃になって私の肌の奥を苛んだ。

「ああ、そこは……ダメェ……!」

 きゅっと胸の先端を摘ままれ、足の付け根にある固く尖った粒をいじめられる。言葉では拒絶を伝えているのに、好きな人に触れて欲しいと、体が彼をもっともっとと求めた。

「はぁ彩音、好きだ、好きなんだ」
「んあっ、んんっ、も、もう……」

 足の爪の先の先まで力が入る。強い快楽の芽から逃れようと腰がひけているのに、彼の指は逃さないとぐっと押し入れてきた。

 くちゅりといやらしい音が、彼がそこをいじる度に聞こえる。淫靡なその音が、さらに快感を引き出した。

 いつの間にかブラが下げられていて、胸の先端が、くいっと彼に向かって上がっている。その場所が彼を誘っているかのようで、彼がそれに応えて口に含んだ。

 彼の唇と足のつけねから、聞いていられない恥ずかしい音が産まれる。逃れたいようで、もっと欲しくなる感覚が急速に強くなった。

「あ、ああ、も、やぁっ……、んんー!」

 省吾さんが私のもうすぐイきそうな状態を感じたのか、胸の尖りと恥部を同時に激しく責め立てられた。立ったまま絶頂を迎えて、ぷるぷる体が震えて倒れそうな私を、しっかり抱いて彼が何処かに向かう。

「彩音、綺麗だ」
「しょうご、さん……」

 体に力が入り辛い。イったばかりの肌は、敏感すぎて彼が覆いかぶさって来る肌が擦れ合うだけでビクビク震える。服はほとんどはぎ取られていて、申し訳ないくらいに下着一枚だけがずらされた状態で足に引っ掛かっているのみだ。

 自分の事だけであっぷあっぷだったから、彼が服を脱いでいる事に気が付いていなかった。裸になった彼の盛り上がった肉体が、まるで大きな檻のように覆いかぶさって来る。

 右足を肩にかけられ、大きく開かれたから恥ずかしくて顔を背けた。もう十分すぎるほどに濡れそぼった足の付け根に、彼の大きな先端が小刻みに擦りつけられ、今から何をされるのかと思うと胸がドキドキして破裂しそうなほど高鳴る。

「彩音、力を抜いて」
「……」

 返事なんて出来るはずがない。こくりと頷いた時、花弁の奥に小さな水音と共に入り込んできたのであった。


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