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ひゅんっなコアラ
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「マイン、生きていたのね?」
俺は、一体何を見せられているんだろうか。愛しい妻の母親、つまり俺の義母をはめて追い出した女が、感動の再会を喜んで涙を流している。
(ま、義母さんは嫌がって、避けたけど)
抱きしめようと駆け寄ったおばさんが、バランスを崩して思いっきり転けた。
(ははは、絨毯のないむき出しの大理石に思いっきり打ち付けたな。ざまぁみろ)
俺の大切な人たちを苦したばばあが、痛い痛いと泣きわめいている。アイリスに見せてやりたくなった。
(いや、アイリスなら、あんなおばさんでも、心配して助けてあげるんだろうなあ。ああ、俺の天使。あんな極悪人の不倫女にまで優しいんだから。俺の花嫁は最高だな)
「ちょっと、お母様大丈夫ぅ? みっともないからさっさと起き上がってくださいね? あと、そこのあなた、お父様とクアドリ様を離してくれる? なんなら、お父様だけでいいわ。ふふふ、あなた、とってもかっこいいわね。獣人の男の人でも、こんなにも素敵な人がいるなんて。私、獣人を誤解していたかも♡」
赤い髪の女がそう言いながら、俺を見てしなをつくり、色目を使ってくる。
(きっしょくわりぃ! こっち見んな! それにしても、母親が冷たい床に倒れてんのに、助けようとしねぇんだな)
恐らく、この女がアイリスの父親違いの妹だろう。こいつも散々アイリスをいじめていた。それに、俺がだいっきらいな女の部類だ。生理的嫌悪感で、俺の毛皮が全部逆立つような気がした。実際、鳥肌が立っている。
「おおラドロウ。お前の魔法で、この木を燃やしておくれ」
「無理よ。全身丸焦げになっていいのならやるけど」
「そんなことより、侯爵。俺は、どうしても侯爵家の後継者と結婚しなければならないんだ。アイリスが正当な後継者として復権するのなら、俺はもちろんアイリスの婿になるんだよな?」
「なんですって? なんでそんなことに? それに、ラドロウ様、あなたはあのブスよりも私のほうを愛してるって言ってたじゃない」
「やかましい。侯爵家の跡取りだから、優しくしてやっていたんだ。それを……。お前のような阿婆擦れなど、誰が愛するというんだ。俺が知っているだけで、お前の愛人は、5人いるだろうが!」
「どうしてそれを? あ、違うの。クアドリ様。あの人達はご友人で……」
(勝手にやってろ)
聞きたくもない、誰かに説明でもしているかのような劇はまだおわらないようだ。うんざりしていると、パンパンと手を叩く音がした。
「はい、そこまで。あなた、ラドロウさんと、クアドリさんね。はじめまして。わたくし、この人の妻のマインと申します」
じいさんとおっさんは、義母さんの言葉を遮ろうとせず、じっと口をつぐんだまま。恐らく、口を挟めば飛び火するのだろう。俺も彼らを見習って口をチャックした。
「は? お父様、お母様を裏切っていたの? しかも、私と同じくらいの年齢の女の子に? さいってー」
義母さんの今の見た目年齢は20前後だ。ラドロウが若い愛人と勘違いするのも無理はない。
「ちがう! こいつは、俺を裏切った元の妻だ。ラドロウ、安心しておくれ。俺はカーソ一筋だよ」
「おっさんは黙ってろ」
(そういえば、アイリスの父親だから、義父か。義父……俺の花嫁の父親は、俺のおやじだけだから、他人でいいか)
俺は、ユーカリの葉を煩い口に突っ込んだ。隣にいるクズ男にもそうしようかとチラッと見ると、口をつぐんで首を横に振っている。
「なんだ、お前はもうしゃべらねぇのか」
うんうんと何度も頷く。侯爵と同じ目に会いたくないのだろう。どうしたものかと考えて、俺はそいつの顔面近くにユーカリの葉がいっぱいついている枝を置いた。肌に触れるか触れないかの距離で。
そいつは、涙目でこちらを見上げてきたが、気持ち悪い。いっそ、煩いあの赤い髪の女も一緒にふんじまるかと思っていると、義母さんがつかつか寄ってきた。
「クアドリさん。よくも、わたくしの娘に酷いことをしたわね。たぶらかしたあげく魅了の指輪をつけさせるなんて。おかげで、アイリスがどれほど辛かったか……はじめましての挨拶よ。どうぞ受け取ってっ!」
義母さんが、つま先でユーカリの枝を男にぐいぐい押し付けた。
「ふふ、痛いでしょう? でもね、うちの子はもっと痛かったのよ!」
(おお、なんか悪の女王様みたいだ。かっけー)
俺は、義母さんの行動に、もっとやれと拍手喝采した。勿論、心の中で、だが。
「そして、あんた! 過去に戻れるのなら、あんたはやめとけと、昔のわたくしに言うのに!」
「そんな風に気が強いから、パイ様は私を選んだのよ!」
「カーソ、あんたも同じ目にあいたいの? ふん、中身は、わたくしよりもよっぽど気が強くて悪女さながらの、寝取りが趣味の女のくせに! あんたのせいで、何人の恋人たちがわかれたか!」
「私は何もしてないわ! 恋人がいるのに、私にラブレターを渡す男が悪いのよ」
「困った、困ったっていいつつ、嬉しかったんじゃないの?」
「やめろ、マイン。カーソを悪く言うな!」
(あ、せっかく突っ込んだユーカリを吐き出しやがった。きったねぇ)
「わたくしもたいがいだけど、あんたも女を見る目がないわね……その愛するカーソ様は、当時、キープの男と仲良くしていたんだけど。その男は真っ赤な髪でね。そう、そこのラドロウさんそっくりだったわ」
「なっ! 自分がその男と不倫したからといって、カーソまでそういう風にいうとは。許さんぞ!」
「許さん? それはこっちのセリフよ! 浮気はするわ、自分がしたのにわたくしがそうだと決めつけて追い出すわ、アイリスを虐待するわ……。あのね、もともと、この侯爵家の後継者はわたくしなの! 義父様が、あんたじゃ頼りないから、わたくしに後を継ぐように言ってくださって、正式な文書もあるわ。あの頃は、家を出てあなたに侯爵を譲ろうとしたけど。でもね、もうそんな気はないわ。わたくしが生きている以上、この家はわたくしのもの。あんたは、一時的に侯爵代理をしていただけ。どうせ、職務を放置していて、名ばかりだったでしょうけど。つまり、わたくしが生きて戻った以上、わたくしがこの侯爵家の主なの。次代の侯爵は、アイリスただひとりよ!」
そう言うと、義母は、もう一度侯爵の口にユーカリの葉を放りこんだ。
(情報がありすぎて、よくわかんねえが、ようするに義母さんの勝ちってことだな)
アイリスがいれば、俺にもわかるように説明してくれただろう。
「マイン様、俺は、宰相閣下のお声がかりもあって、この家に婿としてやってまいりました。パイ前侯爵が、勝手に、アイリスから、ラドロウの婚約者に変えさせられて。俺は、アイリスを愛していました。その証拠に、ラドロウよりも高価で精巧な指輪をあげましたし。ああ、アイリス。俺の本当の花嫁。俺は騙されていただけなんです。もう一度、俺をアイリスと婚約させていただけますよね?」
そんな風に思っていると、この部屋の中で一番嫌いなやつがしゃべりだした。義母さんに痛い目に合わされたっていうのに、どうやら、口の中にユーカリを入れてもらいたいらしい。
「誰がしゃべっていいと言ったのかしら? しかも、アイリスの婿ですって? この外道が。耳が腐るわっ!」
俺が動くより先に、義母さんが動いた。今度はユーカリの葉ごしではなく、直接先の尖ったブーツで顔面を蹴り上げる。
(おおう、人間の女性は、たおやかで優しいんじゃなかったのか? 気が強いなんて生易しい。マニーデよりも怖ぇ!)
俺の股間がひゅんっとなった。俺は、じいさんたちのように、義母さんには逆らってはいけないことを学んだ。
俺は、一体何を見せられているんだろうか。愛しい妻の母親、つまり俺の義母をはめて追い出した女が、感動の再会を喜んで涙を流している。
(ま、義母さんは嫌がって、避けたけど)
抱きしめようと駆け寄ったおばさんが、バランスを崩して思いっきり転けた。
(ははは、絨毯のないむき出しの大理石に思いっきり打ち付けたな。ざまぁみろ)
俺の大切な人たちを苦したばばあが、痛い痛いと泣きわめいている。アイリスに見せてやりたくなった。
(いや、アイリスなら、あんなおばさんでも、心配して助けてあげるんだろうなあ。ああ、俺の天使。あんな極悪人の不倫女にまで優しいんだから。俺の花嫁は最高だな)
「ちょっと、お母様大丈夫ぅ? みっともないからさっさと起き上がってくださいね? あと、そこのあなた、お父様とクアドリ様を離してくれる? なんなら、お父様だけでいいわ。ふふふ、あなた、とってもかっこいいわね。獣人の男の人でも、こんなにも素敵な人がいるなんて。私、獣人を誤解していたかも♡」
赤い髪の女がそう言いながら、俺を見てしなをつくり、色目を使ってくる。
(きっしょくわりぃ! こっち見んな! それにしても、母親が冷たい床に倒れてんのに、助けようとしねぇんだな)
恐らく、この女がアイリスの父親違いの妹だろう。こいつも散々アイリスをいじめていた。それに、俺がだいっきらいな女の部類だ。生理的嫌悪感で、俺の毛皮が全部逆立つような気がした。実際、鳥肌が立っている。
「おおラドロウ。お前の魔法で、この木を燃やしておくれ」
「無理よ。全身丸焦げになっていいのならやるけど」
「そんなことより、侯爵。俺は、どうしても侯爵家の後継者と結婚しなければならないんだ。アイリスが正当な後継者として復権するのなら、俺はもちろんアイリスの婿になるんだよな?」
「なんですって? なんでそんなことに? それに、ラドロウ様、あなたはあのブスよりも私のほうを愛してるって言ってたじゃない」
「やかましい。侯爵家の跡取りだから、優しくしてやっていたんだ。それを……。お前のような阿婆擦れなど、誰が愛するというんだ。俺が知っているだけで、お前の愛人は、5人いるだろうが!」
「どうしてそれを? あ、違うの。クアドリ様。あの人達はご友人で……」
(勝手にやってろ)
聞きたくもない、誰かに説明でもしているかのような劇はまだおわらないようだ。うんざりしていると、パンパンと手を叩く音がした。
「はい、そこまで。あなた、ラドロウさんと、クアドリさんね。はじめまして。わたくし、この人の妻のマインと申します」
じいさんとおっさんは、義母さんの言葉を遮ろうとせず、じっと口をつぐんだまま。恐らく、口を挟めば飛び火するのだろう。俺も彼らを見習って口をチャックした。
「は? お父様、お母様を裏切っていたの? しかも、私と同じくらいの年齢の女の子に? さいってー」
義母さんの今の見た目年齢は20前後だ。ラドロウが若い愛人と勘違いするのも無理はない。
「ちがう! こいつは、俺を裏切った元の妻だ。ラドロウ、安心しておくれ。俺はカーソ一筋だよ」
「おっさんは黙ってろ」
(そういえば、アイリスの父親だから、義父か。義父……俺の花嫁の父親は、俺のおやじだけだから、他人でいいか)
俺は、ユーカリの葉を煩い口に突っ込んだ。隣にいるクズ男にもそうしようかとチラッと見ると、口をつぐんで首を横に振っている。
「なんだ、お前はもうしゃべらねぇのか」
うんうんと何度も頷く。侯爵と同じ目に会いたくないのだろう。どうしたものかと考えて、俺はそいつの顔面近くにユーカリの葉がいっぱいついている枝を置いた。肌に触れるか触れないかの距離で。
そいつは、涙目でこちらを見上げてきたが、気持ち悪い。いっそ、煩いあの赤い髪の女も一緒にふんじまるかと思っていると、義母さんがつかつか寄ってきた。
「クアドリさん。よくも、わたくしの娘に酷いことをしたわね。たぶらかしたあげく魅了の指輪をつけさせるなんて。おかげで、アイリスがどれほど辛かったか……はじめましての挨拶よ。どうぞ受け取ってっ!」
義母さんが、つま先でユーカリの枝を男にぐいぐい押し付けた。
「ふふ、痛いでしょう? でもね、うちの子はもっと痛かったのよ!」
(おお、なんか悪の女王様みたいだ。かっけー)
俺は、義母さんの行動に、もっとやれと拍手喝采した。勿論、心の中で、だが。
「そして、あんた! 過去に戻れるのなら、あんたはやめとけと、昔のわたくしに言うのに!」
「そんな風に気が強いから、パイ様は私を選んだのよ!」
「カーソ、あんたも同じ目にあいたいの? ふん、中身は、わたくしよりもよっぽど気が強くて悪女さながらの、寝取りが趣味の女のくせに! あんたのせいで、何人の恋人たちがわかれたか!」
「私は何もしてないわ! 恋人がいるのに、私にラブレターを渡す男が悪いのよ」
「困った、困ったっていいつつ、嬉しかったんじゃないの?」
「やめろ、マイン。カーソを悪く言うな!」
(あ、せっかく突っ込んだユーカリを吐き出しやがった。きったねぇ)
「わたくしもたいがいだけど、あんたも女を見る目がないわね……その愛するカーソ様は、当時、キープの男と仲良くしていたんだけど。その男は真っ赤な髪でね。そう、そこのラドロウさんそっくりだったわ」
「なっ! 自分がその男と不倫したからといって、カーソまでそういう風にいうとは。許さんぞ!」
「許さん? それはこっちのセリフよ! 浮気はするわ、自分がしたのにわたくしがそうだと決めつけて追い出すわ、アイリスを虐待するわ……。あのね、もともと、この侯爵家の後継者はわたくしなの! 義父様が、あんたじゃ頼りないから、わたくしに後を継ぐように言ってくださって、正式な文書もあるわ。あの頃は、家を出てあなたに侯爵を譲ろうとしたけど。でもね、もうそんな気はないわ。わたくしが生きている以上、この家はわたくしのもの。あんたは、一時的に侯爵代理をしていただけ。どうせ、職務を放置していて、名ばかりだったでしょうけど。つまり、わたくしが生きて戻った以上、わたくしがこの侯爵家の主なの。次代の侯爵は、アイリスただひとりよ!」
そう言うと、義母は、もう一度侯爵の口にユーカリの葉を放りこんだ。
(情報がありすぎて、よくわかんねえが、ようするに義母さんの勝ちってことだな)
アイリスがいれば、俺にもわかるように説明してくれただろう。
「マイン様、俺は、宰相閣下のお声がかりもあって、この家に婿としてやってまいりました。パイ前侯爵が、勝手に、アイリスから、ラドロウの婚約者に変えさせられて。俺は、アイリスを愛していました。その証拠に、ラドロウよりも高価で精巧な指輪をあげましたし。ああ、アイリス。俺の本当の花嫁。俺は騙されていただけなんです。もう一度、俺をアイリスと婚約させていただけますよね?」
そんな風に思っていると、この部屋の中で一番嫌いなやつがしゃべりだした。義母さんに痛い目に合わされたっていうのに、どうやら、口の中にユーカリを入れてもらいたいらしい。
「誰がしゃべっていいと言ったのかしら? しかも、アイリスの婿ですって? この外道が。耳が腐るわっ!」
俺が動くより先に、義母さんが動いた。今度はユーカリの葉ごしではなく、直接先の尖ったブーツで顔面を蹴り上げる。
(おおう、人間の女性は、たおやかで優しいんじゃなかったのか? 気が強いなんて生易しい。マニーデよりも怖ぇ!)
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