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俺の女神は、美しく、そして愛らしい R15~
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一体、どこの誰なのだろう? なんて綺麗な女性なんだ……。聖女である王女殿下も美しいが比べものにならない。
すぐに折れてしまいそうな腕が、俺の首に柔らかく巻き付き、そっと体を寄せられた時に浮かんだ、腕の中で震える彼女をこのまま連れ去りたいなどという、馬鹿な考えを振り払う。
俺のマントに包んだ美しい彼女をそっと地に立たせ、風魔法で濡れた肌を乾かす。
遠目でもわかるほど白く抜けるような傷一つない肌は平民の娘ではありえない。俺のような平民の騎士では、決して見る事すら叶わないほどの貴族の令嬢なのだろう。ひょっとしたら既婚者かとも思ったが、婚姻の時に刻まれる魔法契約の紋が手の甲に見当たらない事に安堵した。
俺の腕に捕え彼女を抱きしめ、冷え切ったその唇も肌も、俺で温める事が出来るのならば……
平民で孤児の俺などが、高貴な女性をこうして抱き上げた事すら無礼極まりない行為だというのに、なんという大それた考えなのだ。騎士としてあるまじき邪な感情を必死に抑えようとするが、彼女から香る仄かな甘い香りが鼻腔を通り頭がくらくらしてそれが難しい。
だが……
冷たすぎる水気を吹き飛ばす度に、彼女のぷるんとした、温度が下がりやや色を失った唇から吐息が漏れ、風が巻き起こる流れでマントの裾が揺れて肌が見え隠れする。
先ほど、池の中で俺に見せてくれた姿よりも、もっと奥深くを見たいなど、まるで破落戸のような邪な考えを振り払おうとすればするほど中心が硬く屹立する。
そんな俺の下心など見られたくないため、目を閉じるように伝えると素直に従うなんて、この人は疑う事を知らないのかと心配になってしまった。俺が守ってやりたい、そう思った。
彼女の体が乾き、後ろを向く。視界から彼女の姿が消えれば落ち着くだろうと思ったが大間違いだった。見えない分、よりいかがわしい妄想が俺を苛む。
マントをその身から外し、柔らかな服を身に纏うために生じる衣擦れの音が俺の欲情を煽った。このままでは、とても彼女に堂々と相まみえる事など出来ない。必死に呼吸を整え高ぶりを鎮める。
自分のずぶ濡れになった体を、そんな気持ちを吹き飛ばすかのように乱暴に風魔法を当てて乾かした。
「あの、お待たせしました。お手数おかけして申し訳ございませんでした」
「いや、こちらこそ、不躾にあなたの姿を見て触れてしまうなど……すまなかっ………………」
背後から、俺を誘うような美しい声が聞こえ振り向く。すると、そこには体の線を隠していないシャンパンゴールドのワンピースを着た女神がいた。
胸元は大胆に大きくVの字にカットされ、白く柔らかそうな膨らみの一部が見えている。少しずらせば、すぐに頼りないワンピースが、すとんと体から落ちそうだ。
細い腰にそこから続くなだらかな曲線と、サイドにスリットが入っているためすらりとした長い足の白さが覗いていて目に毒だと思った。
言葉も、息も、瞬きすら忘れ、そんな彼女の姿に完全に虜になった俺は立ちすくんだ。
「いえ、こんな所で水浴びをしていた私が悪いんです。…………? どうしました?」
穢れを知らぬ温室育ちであろう彼女が、首を少し傾けて問いかけて来たため我に返る。
「い、いや、なんでもない! そ、そうか。ところで、どうしてこんな所に? 平和な森とはいえ、真夜中だ。連れはいないのか?」
訳もわからず焦ってしまい、言葉がおかしい。思うよりも早く、口が動いて、彼女の状況など考えもせず一気に質問攻めをしてしまった。
俺の重なる問いかけで、彼女が困ったように視線をうろうろさせ、どう応えようか悩んでいるのが分かり、性急すぎた自分の言葉を恥じた。
真夜中の、しかもこのような場所に、ひとりでいるのだ。事情があるに決まっている。無理に聞き出そうとして、彼女を傷つけるところだったかもしれない。
落ち着け、落ち着けと心の中で繰り返し、平常心を取り戻そうと呼吸を整え、彼女を怖がらせないようにゆっくりした口調で言い換えた。
「あ、その。捲し立ててしまいすまない。事情はそれぞれにあると思うし、言いたくなければいいんだ。だが、ここに、このままというわけにもいかないだろう? その、あなたさえ良かったらなんだが……近くに野営をしている場所がある。ご令嬢を案内するには狭く汚いとは思うが……」
「騎士様、ありがとうございます。ご令嬢だなんて、そんな深層のお姫様とかじゃないんですよ? ですから、あまり気を使わないでくださいませ。それよりも、私をその……、助けていただいてありがとうございます。あの、騎士様まで濡らしてしまって、申し訳ありません」
「そ、そうでしたか」
貴族ではなかったのか。では大金持ちの商人のお嬢様か何かか? それなら、俺でも十分に釣り合う……いや、こんな時に何を考えているんだ!
手の届かない高嶺の花かと思っていた人が、俺みたいな立場の男に頭を下げてくれるなんて。優しいその心遣いにますますさっき芽生えたばかりの感情が大きく膨らんでいく。
「お言葉に甘えて、はぐれてしまった共の者が迎えに来てくれるまで、ご一緒してもよろしいでしょうか……?」
「あ、ああ。勿論、その人の代わりと言ってはなんだが、あなたをお守りいたします」
「まあ、騎士様に守っていただけるなんて、嬉しいです……。あ、あの、私の事はサタ…………サニーとお呼びくださいませ」
「サニー様、では、俺の事はナイトと」
「ナイト様、ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
「いや、面倒などとは。ずっと、いてくれてかまわない」
「ふふ、ありがとうございます、ナイト様」
まさか、彼女とまだ一緒に過ごせるなど思ってもみなかった。本当に、このまま、彼女の迎えなど来なければいいなどという、彼女にとって不都合で気の毒な事態を願ってしまうほど、俺の身勝手な気持ちが膨れ上がる。
彼女の靴は、月のあかりがあるとはいえ、暗い森のぬかるんだ土の上を歩くのは無理だ。恥ずかしがる彼女を、やや強引に再び抱き上げた。
「ナイト様、重いでしょう? お仕事でお疲れでしょうに……度々申し訳なく……」
「いや、まるで小鳥のように軽いです。お気になさらず。ですが、もっと体を預けて、先ほどのようにしっかり掴まっていただけると。あの、危ないので」
「はい」
小さくて軽いとはいえ、女性を抱き上げて歩くためにはしっかり掴まっていて欲しいのは事実だ。バランス的にもそのほうが効率がいい。だが、もっと縋って欲しくて、彼女が抱き着きやすいように体勢を整える。
ふわふわの柔らかな女性の体が、俺の腕にあるだなんて。任務で女性を助けた事はあるが、こんなにも異性を感じるのは初めての事だ。
騎士は基本的にモテるが、平民で無骨な俺はそうではない。25になるまで恋人のひとりも出来なかった。
野営の場所には他にも仲間がいるが、俺のテントは幸い一人用だ。彼女をそこに運び入れ、簡易ソファに座らせるとにっこり微笑まれた。
「その、さっきも言ったが狭くて過ごしにくいと思うが……」
「いいえ、綺麗に掃除されていてとても快適です。どうぞ、ナイト様こそ楽になさって?」
「あ、ああ」
沈黙がテントの中に広がる。何をどう話していいのかさっぱりわからない。ちらっと彼女を見れば、バチっと視線が合った。
「あ、気が利かずすまない。お茶があったはず……」
なんとなく照れくさく、身の置き所がない気分になり立ちあがった。側にあるポットの中の水を温める。女性に自分で淹れるお茶を出すなんて初めての事で、口に合うかどうか心配になるがどうしようもない。こんな事なら、せめて、俺には関係がないとさぼっていた社交の場の礼儀作法をきちんと学んでおけば良かったと後悔した。
「あ、ナイト様……私が」
カチャカチャ音を立て、手際が悪い俺を見かねて彼女が側に来てくれた。腕が少しぶつかり、彼女の差し出した白い手が、俺の手に重なる。
「あ……」
俺が動揺したあまり、カップが床に落ちて割れた。幸いお茶を淹れる前だったので空だった。
「危ない。その、あちらにいて……」
「……私、ここにいてはいけませんか?」
破片でけがをしては大変だと思い、彼女の体をそっと押すと、潤んだ瞳で見上げられた。
どくり
赤らんだ頬に、池のほとりで見た時とは打って変わって、温かみのある赤い唇が俺の名を呼ぶ。たったそれだけで俺の心臓が大きく音を立てた。
「サニー、さま……」
「ナイト様、どうか、サニーと……あの、私、その……前からナイト様にこうして会いたくて……あ、いえ、なんでもないんです……」
まさか、まさかだろう?
俺と彼女は初対面のはずだ。こんなに美しく愛らしい人をひと目でも見ていたのなら忘れるはずなどない。なのに、彼女の言葉と表情は、まるで俺を前から知っていたかのようだ。しかも……自惚れでなければ好意を持ってくれているんじゃないかと、分不相応にも期待で胸が高鳴る。
「お、俺を、知っているのか?」
「え……と。……はい。以前から、ナイト様を素敵な方だと……思っていて……」
サニーが頬に手を当て、恥ずかしそうに小さく呟いた。
堪らない。そんな事を言われれば、これ以上我慢など出来ない。
続く言葉を待たず、俺は気が付くと、心が突き動かすがままに、彼女を抱き寄せていたのだった。
すぐに折れてしまいそうな腕が、俺の首に柔らかく巻き付き、そっと体を寄せられた時に浮かんだ、腕の中で震える彼女をこのまま連れ去りたいなどという、馬鹿な考えを振り払う。
俺のマントに包んだ美しい彼女をそっと地に立たせ、風魔法で濡れた肌を乾かす。
遠目でもわかるほど白く抜けるような傷一つない肌は平民の娘ではありえない。俺のような平民の騎士では、決して見る事すら叶わないほどの貴族の令嬢なのだろう。ひょっとしたら既婚者かとも思ったが、婚姻の時に刻まれる魔法契約の紋が手の甲に見当たらない事に安堵した。
俺の腕に捕え彼女を抱きしめ、冷え切ったその唇も肌も、俺で温める事が出来るのならば……
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だが……
冷たすぎる水気を吹き飛ばす度に、彼女のぷるんとした、温度が下がりやや色を失った唇から吐息が漏れ、風が巻き起こる流れでマントの裾が揺れて肌が見え隠れする。
先ほど、池の中で俺に見せてくれた姿よりも、もっと奥深くを見たいなど、まるで破落戸のような邪な考えを振り払おうとすればするほど中心が硬く屹立する。
そんな俺の下心など見られたくないため、目を閉じるように伝えると素直に従うなんて、この人は疑う事を知らないのかと心配になってしまった。俺が守ってやりたい、そう思った。
彼女の体が乾き、後ろを向く。視界から彼女の姿が消えれば落ち着くだろうと思ったが大間違いだった。見えない分、よりいかがわしい妄想が俺を苛む。
マントをその身から外し、柔らかな服を身に纏うために生じる衣擦れの音が俺の欲情を煽った。このままでは、とても彼女に堂々と相まみえる事など出来ない。必死に呼吸を整え高ぶりを鎮める。
自分のずぶ濡れになった体を、そんな気持ちを吹き飛ばすかのように乱暴に風魔法を当てて乾かした。
「あの、お待たせしました。お手数おかけして申し訳ございませんでした」
「いや、こちらこそ、不躾にあなたの姿を見て触れてしまうなど……すまなかっ………………」
背後から、俺を誘うような美しい声が聞こえ振り向く。すると、そこには体の線を隠していないシャンパンゴールドのワンピースを着た女神がいた。
胸元は大胆に大きくVの字にカットされ、白く柔らかそうな膨らみの一部が見えている。少しずらせば、すぐに頼りないワンピースが、すとんと体から落ちそうだ。
細い腰にそこから続くなだらかな曲線と、サイドにスリットが入っているためすらりとした長い足の白さが覗いていて目に毒だと思った。
言葉も、息も、瞬きすら忘れ、そんな彼女の姿に完全に虜になった俺は立ちすくんだ。
「いえ、こんな所で水浴びをしていた私が悪いんです。…………? どうしました?」
穢れを知らぬ温室育ちであろう彼女が、首を少し傾けて問いかけて来たため我に返る。
「い、いや、なんでもない! そ、そうか。ところで、どうしてこんな所に? 平和な森とはいえ、真夜中だ。連れはいないのか?」
訳もわからず焦ってしまい、言葉がおかしい。思うよりも早く、口が動いて、彼女の状況など考えもせず一気に質問攻めをしてしまった。
俺の重なる問いかけで、彼女が困ったように視線をうろうろさせ、どう応えようか悩んでいるのが分かり、性急すぎた自分の言葉を恥じた。
真夜中の、しかもこのような場所に、ひとりでいるのだ。事情があるに決まっている。無理に聞き出そうとして、彼女を傷つけるところだったかもしれない。
落ち着け、落ち着けと心の中で繰り返し、平常心を取り戻そうと呼吸を整え、彼女を怖がらせないようにゆっくりした口調で言い換えた。
「あ、その。捲し立ててしまいすまない。事情はそれぞれにあると思うし、言いたくなければいいんだ。だが、ここに、このままというわけにもいかないだろう? その、あなたさえ良かったらなんだが……近くに野営をしている場所がある。ご令嬢を案内するには狭く汚いとは思うが……」
「騎士様、ありがとうございます。ご令嬢だなんて、そんな深層のお姫様とかじゃないんですよ? ですから、あまり気を使わないでくださいませ。それよりも、私をその……、助けていただいてありがとうございます。あの、騎士様まで濡らしてしまって、申し訳ありません」
「そ、そうでしたか」
貴族ではなかったのか。では大金持ちの商人のお嬢様か何かか? それなら、俺でも十分に釣り合う……いや、こんな時に何を考えているんだ!
手の届かない高嶺の花かと思っていた人が、俺みたいな立場の男に頭を下げてくれるなんて。優しいその心遣いにますますさっき芽生えたばかりの感情が大きく膨らんでいく。
「お言葉に甘えて、はぐれてしまった共の者が迎えに来てくれるまで、ご一緒してもよろしいでしょうか……?」
「あ、ああ。勿論、その人の代わりと言ってはなんだが、あなたをお守りいたします」
「まあ、騎士様に守っていただけるなんて、嬉しいです……。あ、あの、私の事はサタ…………サニーとお呼びくださいませ」
「サニー様、では、俺の事はナイトと」
「ナイト様、ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
「いや、面倒などとは。ずっと、いてくれてかまわない」
「ふふ、ありがとうございます、ナイト様」
まさか、彼女とまだ一緒に過ごせるなど思ってもみなかった。本当に、このまま、彼女の迎えなど来なければいいなどという、彼女にとって不都合で気の毒な事態を願ってしまうほど、俺の身勝手な気持ちが膨れ上がる。
彼女の靴は、月のあかりがあるとはいえ、暗い森のぬかるんだ土の上を歩くのは無理だ。恥ずかしがる彼女を、やや強引に再び抱き上げた。
「ナイト様、重いでしょう? お仕事でお疲れでしょうに……度々申し訳なく……」
「いや、まるで小鳥のように軽いです。お気になさらず。ですが、もっと体を預けて、先ほどのようにしっかり掴まっていただけると。あの、危ないので」
「はい」
小さくて軽いとはいえ、女性を抱き上げて歩くためにはしっかり掴まっていて欲しいのは事実だ。バランス的にもそのほうが効率がいい。だが、もっと縋って欲しくて、彼女が抱き着きやすいように体勢を整える。
ふわふわの柔らかな女性の体が、俺の腕にあるだなんて。任務で女性を助けた事はあるが、こんなにも異性を感じるのは初めての事だ。
騎士は基本的にモテるが、平民で無骨な俺はそうではない。25になるまで恋人のひとりも出来なかった。
野営の場所には他にも仲間がいるが、俺のテントは幸い一人用だ。彼女をそこに運び入れ、簡易ソファに座らせるとにっこり微笑まれた。
「その、さっきも言ったが狭くて過ごしにくいと思うが……」
「いいえ、綺麗に掃除されていてとても快適です。どうぞ、ナイト様こそ楽になさって?」
「あ、ああ」
沈黙がテントの中に広がる。何をどう話していいのかさっぱりわからない。ちらっと彼女を見れば、バチっと視線が合った。
「あ、気が利かずすまない。お茶があったはず……」
なんとなく照れくさく、身の置き所がない気分になり立ちあがった。側にあるポットの中の水を温める。女性に自分で淹れるお茶を出すなんて初めての事で、口に合うかどうか心配になるがどうしようもない。こんな事なら、せめて、俺には関係がないとさぼっていた社交の場の礼儀作法をきちんと学んでおけば良かったと後悔した。
「あ、ナイト様……私が」
カチャカチャ音を立て、手際が悪い俺を見かねて彼女が側に来てくれた。腕が少しぶつかり、彼女の差し出した白い手が、俺の手に重なる。
「あ……」
俺が動揺したあまり、カップが床に落ちて割れた。幸いお茶を淹れる前だったので空だった。
「危ない。その、あちらにいて……」
「……私、ここにいてはいけませんか?」
破片でけがをしては大変だと思い、彼女の体をそっと押すと、潤んだ瞳で見上げられた。
どくり
赤らんだ頬に、池のほとりで見た時とは打って変わって、温かみのある赤い唇が俺の名を呼ぶ。たったそれだけで俺の心臓が大きく音を立てた。
「サニー、さま……」
「ナイト様、どうか、サニーと……あの、私、その……前からナイト様にこうして会いたくて……あ、いえ、なんでもないんです……」
まさか、まさかだろう?
俺と彼女は初対面のはずだ。こんなに美しく愛らしい人をひと目でも見ていたのなら忘れるはずなどない。なのに、彼女の言葉と表情は、まるで俺を前から知っていたかのようだ。しかも……自惚れでなければ好意を持ってくれているんじゃないかと、分不相応にも期待で胸が高鳴る。
「お、俺を、知っているのか?」
「え……と。……はい。以前から、ナイト様を素敵な方だと……思っていて……」
サニーが頬に手を当て、恥ずかしそうに小さく呟いた。
堪らない。そんな事を言われれば、これ以上我慢など出来ない。
続く言葉を待たず、俺は気が付くと、心が突き動かすがままに、彼女を抱き寄せていたのだった。
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