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アメリカヤマギシのダンスなみの行軍の遅さ
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「次の目的地まで、わしだけ転移してはいかんかのう……。馬車は小さいし腰にクるんじゃが……イテテ」
「あー、もう! 一体いつになったら次の町に着くんですの? ガタガタする馬車の中で、かれこれ2時間も閉じ込められるだなんて……。おかしくなっちゃいそうですわ」
「姫様、もう暫くの御辛抱でございますゆえ……」
「うるさいですわ。聞き飽きた言葉を何度言うのです。お前がするのは、この馬車からわたくしを外に出すように取り計らう事でしょう?」
「も、申し訳ございません……」
勇者たちとの旅は、悪天候やがけ崩れといった災害に見舞われる事がなかった。だが、世間知らずの、魔法の塔だけで不自由なく過ごした賢者(76才)や、スプーンや身を飾る宝石などといった物以外、着替えすら自分でした事のない聖女であるこの国の唯一の姫(ここ数年ずっと19才)にとっては過酷以外の何物でもなかったようだ。
賢者は自由気ままにソロプレイがいいと、すぐにどこかに魔法で何処かに行きたがる。気持ちはわからなくもないが、これは勇者とともに旅をしなければならないという天啓でもある。付き合ってもらわなくてはならない。
聖女は、少し気に入らない事があれば身の回りの世話をする侍女やメイド6人にストレスをぶつけるようになる。彼女の機嫌を損なうわけにもいかず、行軍はのろのろとしてしまう。
まるでアメリカヤマシギ並みだ。あの鳥は、かわいいのだが一歩進むごとに、上下に首から下、お尻までの胴体をふりふりしないと進んでくれない。ふりふりふりふり→右足一歩→ふりふりふりふり→左足一歩、というまるで楽しそうなダンスをしているかのような移動をする。
時速でいうと約8キロ、鳥の飛ぶ平均速度が約50キロという事を考慮すると、いかに遅いかわかるだろう。一日、ほとんどを休みながら進むため、出発から半年かけても王都からまだ100キロも進んでいない。
勇者と、その幼馴染である戦士は、その日食べるものも困るほどの貧乏な村で育っていたせいか、この長い果ての無い旅に不満はないようだ。逆に、まとも以上の食事や宿に泊まれる彼らにとって贅沢な旅行を楽しんでいるかのようだった。
時々、魔王の手下が邪魔をしに来たり、ダンジョンに入りながらでもあるため、これでも進んだほうなのかもしれない。
運よく、バトルや探検の度に、勇者たちの武器や防具、アイテムが手に入るのだ。
とにかく、今日もこれ以上は進めなさそうだ。勇者と戦士は、ふたりとも数年かけて旅をしていいといったくらいでゆっくり進んでも構わないらしい。
王女でもある聖女の怒りを抑える必要があるため、予定よりも近い町に立ち寄るよう御者や護衛騎士たちに指示をした。俺と違って家族が待つ彼らだ。一日も早く、この旅を終えて帰りたいのだ。長い溜息をつき、馬車(の中の王女)を睨みつける彼らをなだめるのも、いつも俺の役目になった。
勇者一行と周囲の人々の調整役を何とかこなしつつ、旅が10か月経った頃、しびれを切らしたのか四天王がついに現れ始めた。
最初は愛くるしい14才くらいの容貌の少年だった。
「やあ、こんにちは! 僕はズモ。ズモ・ナニーサっていうんだ」
突然現れた彼に向かって、俺は立ち上がり彼らを背にした。キッと睨みつけると、にこにこ笑っているため、なんとなく攻撃しにくい気がした。
剣を構えたものの、どうしたものか考えていると、誤嚥性肺炎予防のために咽につまらないようによく噛んで食事をしていた賢者が、ようやく最後の柔らかい白身魚の煮つけを飲み込むと口を開いた。
「な? ズモじゃと……?」
「なぁに、ケンジャ。あの可愛い男の子を知っているの?」
「魔王の配下。四天王のひとりじゃ。ホラフィーキ・ビーグマウスーヌの著には、その力は類をみないほど強く、愛くるしい笑顔で残忍極まりない所業を繰り返してきたと記されている」
分厚いステーキに、優雅にナイフを入れながら、興味がなさそうに聖女が訊ねた。
因みに、勇者と戦士は早食いの大食いのためとっくに食べ終わっている。
ふたりの食事が遅すぎるから、いつも周囲を元気に散歩しつつ狩りなどを楽しんでいるのだ。
「あれ? 勇者と戦士がいないなあ。ま、いっか。君たちさ、この間僕の部下を泣かせたでしょ? あの子の家族の事まで、知らないのに悪口言うなんてさ、酷くない? ちょっと御礼をしに来たんだ」
「ああ、いきなり泣き出して逃げた奴がいましたわね……なによ、ぶさいくな顔をそう言って何が悪いのです? あんな顔、両親もぶさいくに決まっているでしょ?」
確かに、数日前に戦った相手の青年は平凡な顔をしていた。決して聖女が言うようにぶさいくではない。
ただ、彼女の美醜の価値観が極端なだけだ。そもそも、外見だけでケラケラ嘲笑いながら罵ったあの時の彼女の姿を思い出すと、俺の胸も痛んだ。
敵とはいえ、あのような対応をされては気の毒だとは思う。あれでは、まるで聖女のほうが魔王の配下のようだなんて馬鹿な考えが浮かび、慌ててそれを消し去るように頭を振る。
見れば、賢者も、王女である彼女にはあからさまに何も言えない立場とはいえ、眉をしかめて彼女を含みのある視線で見ていた。
ズモが聖女のその言葉を聞き終ると、のほほんとした口調と表情とは打って変わって、彼から凄まじい闘気が向けられた。
背後の彼らが座っている食事のテーブルの上の食器などが吹き飛んでいく。耳障りな食器の割れる音が鳴り響く。スープやパン、食事の残りが地面にぼとぼと落ちるのが見なくてもわかった。
「あ、しまった……! あちゃー。魔王様に食事は粗末にするなって言われているのに。うーん……怒られちゃう……」
何かをぶつぶつ呟いているが、魔法の呪文詠唱ではなさそうだ。一体何を企んでいるのかわからない。俺はぐっと愛用の大剣をズモに向けて背後を守る体勢をとった。
「あれ? 君は誰? 勇者と戦士は同い年で18才になったばっかりでしょう? 賢者は80くらいのはずだし、聖女は23才だった……。どう見ても、30才くらいだよね? 実は18才? だったら、なんかごめん」
「……俺は25才だ。勇者どのたちではないが、彼らを守護する騎士としての任務を果たすべく行動を共にしている。勇者どのと戦士どのがいない今を狙うとはなんという悪辣な……!」
「え? 25? マジ? えーと、ごめんなさい……。魔王様に、見えた年齢よりも5歳は下に言えって教えてもらっていたのに……。失敗しちゃった」
俺は油断大敵、先手必勝とばかりに、大剣に炎を纏わりつかせ一閃をズモに叩きこもうとした時、彼は頭を下げて俺に謝罪した。
いや、俺が怒っているのは年齢を間違えられたからではない。いつもおっさんに見られるのだ。その程度の誤差では傷つかない……。少し気にしている程度だ。
気をそがれてしまい、マジマジ頭を下げた彼を見つめて戸惑っていた。すると、ズモは気を取り直して言葉を続け始めたのである。
「えーと、君はさ、要するに勇者パーティの人じゃないんでしょう? だったらちょっとどいてくんない? 用事があるのは後ろの賢者のおじいちゃんと、特に、意地悪を言った聖女のおねえちゃんなんだ」
「誰がおじいちゃんじゃ! 年寄りを敬わんか、この失礼なガキンチョめ!」
「僕の方がはるかに年上なんだけどねえ? だったら僕を敬ってくれるの、おじいちゃん?」
「ちょっと、わたくしは19才よ! なんて失礼な。可愛いからボーイフレンドにしてあげようかなって思っていたのに……。……なんでほんとの年齢がバレたし」
「肌の張りとかがさ、化粧で誤魔化しているのがわかるっての。とにかく、ちょっとバトルしようじゃないか!」
賢者と聖女が怒りだし、ズモも戦闘態勢に入った。
まずい……、勇者と戦士のいない今、完全に形成が不利だ。
こんな所で彼らに何かがあっては大変だ。聖女の侍女やメイドたちはすでに木の影に隠れているが、そんな場所、戦いが始まればあっというまに吹き飛んでしまう。
どうする?
冷や汗が背中にたらりと流れ落ちたその時、生命力あふれる声が響いたのだった。
「なんだ、魔王軍の手下か? 師匠のじいちゃんとセイジョのお姫さんたちには指一本ふれさせやしないぜっ!」
「ユウシャ、行くぞ……!」
「おう、センシ。俺たちの力を合わせれば、魔王軍なんて目じゃないぜ!」
※アメリカヤマギシ:独特のダンスが有名です。名前は知らなくても、あの動きをご存じの方は多いかと思います。あんまりにも可愛らしくてほっこりしてしまいます。
親のあとをヒナが同じようにダンスをしながらついていくのです。
興味のある方は、動画などでご覧くださいませ。
「あー、もう! 一体いつになったら次の町に着くんですの? ガタガタする馬車の中で、かれこれ2時間も閉じ込められるだなんて……。おかしくなっちゃいそうですわ」
「姫様、もう暫くの御辛抱でございますゆえ……」
「うるさいですわ。聞き飽きた言葉を何度言うのです。お前がするのは、この馬車からわたくしを外に出すように取り計らう事でしょう?」
「も、申し訳ございません……」
勇者たちとの旅は、悪天候やがけ崩れといった災害に見舞われる事がなかった。だが、世間知らずの、魔法の塔だけで不自由なく過ごした賢者(76才)や、スプーンや身を飾る宝石などといった物以外、着替えすら自分でした事のない聖女であるこの国の唯一の姫(ここ数年ずっと19才)にとっては過酷以外の何物でもなかったようだ。
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聖女は、少し気に入らない事があれば身の回りの世話をする侍女やメイド6人にストレスをぶつけるようになる。彼女の機嫌を損なうわけにもいかず、行軍はのろのろとしてしまう。
まるでアメリカヤマシギ並みだ。あの鳥は、かわいいのだが一歩進むごとに、上下に首から下、お尻までの胴体をふりふりしないと進んでくれない。ふりふりふりふり→右足一歩→ふりふりふりふり→左足一歩、というまるで楽しそうなダンスをしているかのような移動をする。
時速でいうと約8キロ、鳥の飛ぶ平均速度が約50キロという事を考慮すると、いかに遅いかわかるだろう。一日、ほとんどを休みながら進むため、出発から半年かけても王都からまだ100キロも進んでいない。
勇者と、その幼馴染である戦士は、その日食べるものも困るほどの貧乏な村で育っていたせいか、この長い果ての無い旅に不満はないようだ。逆に、まとも以上の食事や宿に泊まれる彼らにとって贅沢な旅行を楽しんでいるかのようだった。
時々、魔王の手下が邪魔をしに来たり、ダンジョンに入りながらでもあるため、これでも進んだほうなのかもしれない。
運よく、バトルや探検の度に、勇者たちの武器や防具、アイテムが手に入るのだ。
とにかく、今日もこれ以上は進めなさそうだ。勇者と戦士は、ふたりとも数年かけて旅をしていいといったくらいでゆっくり進んでも構わないらしい。
王女でもある聖女の怒りを抑える必要があるため、予定よりも近い町に立ち寄るよう御者や護衛騎士たちに指示をした。俺と違って家族が待つ彼らだ。一日も早く、この旅を終えて帰りたいのだ。長い溜息をつき、馬車(の中の王女)を睨みつける彼らをなだめるのも、いつも俺の役目になった。
勇者一行と周囲の人々の調整役を何とかこなしつつ、旅が10か月経った頃、しびれを切らしたのか四天王がついに現れ始めた。
最初は愛くるしい14才くらいの容貌の少年だった。
「やあ、こんにちは! 僕はズモ。ズモ・ナニーサっていうんだ」
突然現れた彼に向かって、俺は立ち上がり彼らを背にした。キッと睨みつけると、にこにこ笑っているため、なんとなく攻撃しにくい気がした。
剣を構えたものの、どうしたものか考えていると、誤嚥性肺炎予防のために咽につまらないようによく噛んで食事をしていた賢者が、ようやく最後の柔らかい白身魚の煮つけを飲み込むと口を開いた。
「な? ズモじゃと……?」
「なぁに、ケンジャ。あの可愛い男の子を知っているの?」
「魔王の配下。四天王のひとりじゃ。ホラフィーキ・ビーグマウスーヌの著には、その力は類をみないほど強く、愛くるしい笑顔で残忍極まりない所業を繰り返してきたと記されている」
分厚いステーキに、優雅にナイフを入れながら、興味がなさそうに聖女が訊ねた。
因みに、勇者と戦士は早食いの大食いのためとっくに食べ終わっている。
ふたりの食事が遅すぎるから、いつも周囲を元気に散歩しつつ狩りなどを楽しんでいるのだ。
「あれ? 勇者と戦士がいないなあ。ま、いっか。君たちさ、この間僕の部下を泣かせたでしょ? あの子の家族の事まで、知らないのに悪口言うなんてさ、酷くない? ちょっと御礼をしに来たんだ」
「ああ、いきなり泣き出して逃げた奴がいましたわね……なによ、ぶさいくな顔をそう言って何が悪いのです? あんな顔、両親もぶさいくに決まっているでしょ?」
確かに、数日前に戦った相手の青年は平凡な顔をしていた。決して聖女が言うようにぶさいくではない。
ただ、彼女の美醜の価値観が極端なだけだ。そもそも、外見だけでケラケラ嘲笑いながら罵ったあの時の彼女の姿を思い出すと、俺の胸も痛んだ。
敵とはいえ、あのような対応をされては気の毒だとは思う。あれでは、まるで聖女のほうが魔王の配下のようだなんて馬鹿な考えが浮かび、慌ててそれを消し去るように頭を振る。
見れば、賢者も、王女である彼女にはあからさまに何も言えない立場とはいえ、眉をしかめて彼女を含みのある視線で見ていた。
ズモが聖女のその言葉を聞き終ると、のほほんとした口調と表情とは打って変わって、彼から凄まじい闘気が向けられた。
背後の彼らが座っている食事のテーブルの上の食器などが吹き飛んでいく。耳障りな食器の割れる音が鳴り響く。スープやパン、食事の残りが地面にぼとぼと落ちるのが見なくてもわかった。
「あ、しまった……! あちゃー。魔王様に食事は粗末にするなって言われているのに。うーん……怒られちゃう……」
何かをぶつぶつ呟いているが、魔法の呪文詠唱ではなさそうだ。一体何を企んでいるのかわからない。俺はぐっと愛用の大剣をズモに向けて背後を守る体勢をとった。
「あれ? 君は誰? 勇者と戦士は同い年で18才になったばっかりでしょう? 賢者は80くらいのはずだし、聖女は23才だった……。どう見ても、30才くらいだよね? 実は18才? だったら、なんかごめん」
「……俺は25才だ。勇者どのたちではないが、彼らを守護する騎士としての任務を果たすべく行動を共にしている。勇者どのと戦士どのがいない今を狙うとはなんという悪辣な……!」
「え? 25? マジ? えーと、ごめんなさい……。魔王様に、見えた年齢よりも5歳は下に言えって教えてもらっていたのに……。失敗しちゃった」
俺は油断大敵、先手必勝とばかりに、大剣に炎を纏わりつかせ一閃をズモに叩きこもうとした時、彼は頭を下げて俺に謝罪した。
いや、俺が怒っているのは年齢を間違えられたからではない。いつもおっさんに見られるのだ。その程度の誤差では傷つかない……。少し気にしている程度だ。
気をそがれてしまい、マジマジ頭を下げた彼を見つめて戸惑っていた。すると、ズモは気を取り直して言葉を続け始めたのである。
「えーと、君はさ、要するに勇者パーティの人じゃないんでしょう? だったらちょっとどいてくんない? 用事があるのは後ろの賢者のおじいちゃんと、特に、意地悪を言った聖女のおねえちゃんなんだ」
「誰がおじいちゃんじゃ! 年寄りを敬わんか、この失礼なガキンチョめ!」
「僕の方がはるかに年上なんだけどねえ? だったら僕を敬ってくれるの、おじいちゃん?」
「ちょっと、わたくしは19才よ! なんて失礼な。可愛いからボーイフレンドにしてあげようかなって思っていたのに……。……なんでほんとの年齢がバレたし」
「肌の張りとかがさ、化粧で誤魔化しているのがわかるっての。とにかく、ちょっとバトルしようじゃないか!」
賢者と聖女が怒りだし、ズモも戦闘態勢に入った。
まずい……、勇者と戦士のいない今、完全に形成が不利だ。
こんな所で彼らに何かがあっては大変だ。聖女の侍女やメイドたちはすでに木の影に隠れているが、そんな場所、戦いが始まればあっというまに吹き飛んでしまう。
どうする?
冷や汗が背中にたらりと流れ落ちたその時、生命力あふれる声が響いたのだった。
「なんだ、魔王軍の手下か? 師匠のじいちゃんとセイジョのお姫さんたちには指一本ふれさせやしないぜっ!」
「ユウシャ、行くぞ……!」
「おう、センシ。俺たちの力を合わせれば、魔王軍なんて目じゃないぜ!」
※アメリカヤマギシ:独特のダンスが有名です。名前は知らなくても、あの動きをご存じの方は多いかと思います。あんまりにも可愛らしくてほっこりしてしまいます。
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