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19 憧れのタンデムツーリング
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「え? ゼクス殿下とシビル閣下となんですか?」
私は、最終日に予定されているお見合いが、彼らふたりだと聞きびっくりした。
「そうなのよ。一緒におふたりが参加するっていうから、恐れをなして残りの2人は辞退して来たの。だからその日は、彼らと、辞退しなかったひとりとの3人だけになるわ」
「ふたりが……」
あれから3日に一回ずつお見合いをした。どの人も姿形は申し分ないのだけど、同じような事しか言わない。私という個人を見てくれないし、女が何かをしようとするなんてとんでもないといった、私からすると大昔の男性のようでしっくりこなかった。
最終日にすらひとりも選ばないのは流石にダメだろうと思い、それまでの20名の人たちのひとりひとりを思い浮かべたけれど、どうしても彼らの誰とも結婚なんてできないとしか思えなかった。
「どちらにしても、カレンちゃんって異界の乙女でもあるから、守る盾は大きい方がいいわ。それには、王族であるゼクス殿下か公爵になるシビル閣下が適任なのよ。あ、両方とでもいいのよ? ふたりはカレンちゃんと数日一緒だったでしょう? 初日に彼らとお見合いになると、他の令息たちにアンフェアすぎるから最終日まで秘密にしていたの」
「え? どういう事ですか?」
「今回のお見合いの順番をね、彼らを後回しにする事で、他家には最低限の義理は果たした形にはなったの。カレンちゃんがこれまでの令息たちに惹かれて3人選んでしまえば、殿下たちの出る幕はなかったのだもの。ねぇ、カレンちゃんは殿下や閣下は嫌かしら?」
いわゆる、出来レース的な政略結婚っていうやつ……? でも、今までのお見合いもそんなものか……。
彼らが優しく大切にしてくれたのは、私を子供だと思っていたから。今の私の事をどう思っているのかわからない。でも、嫌われてはいないと思うし、恋愛してから結婚したいだなんて我がまま言えば皆が困るだろう。
ひょっとしたら、今も城で私のために、なんとか夫を複数選ぶ前にひとりにしてあげて欲しいと様々な場所で頑張ってくれている先輩にも迷惑がかかるかもしれない。
それこそ、先輩も絶対に複数選ばないといけなくなるとか。それだけは絶対に嫌だ。
彼らが私を望んでくれるのならきっと大丈夫だ、と震えそうになる体を自分で抱きしめた。ちがうちがうそんなんじゃない、と何かを訴えかけてくる心に蓋をする。
それに……誰かを選ばなければならないのなら、ふたりがいい。きっと彼らなら、私に恋愛感情がなくても、幸せにしてくれるだろうし、私もふたりに何かをしたいと思うから。
「あの、お義母様、私……」
「カレンちゃん。何度も言うように断ってもいいの。色々うるさいのはなんとか出来るのだから。取り合えず婚約してみるとか、そういうのでもいいんじゃないかって、ビィノ様や神殿の聖女であらせられるパーシー様も仰ってくださっているのよ」
「先輩……じゃなかったビィノ様だけでなく、神殿の聖女様、ですか?」
「ええ。神託をそもそも受けたのは神殿なの。神様という世界を創造する存在があってね。カレンちゃん神様とかそういうのはわかるかしら?」
「はい。私の世界には様々な神様が信じられていました。この国のように魔法もなかったし、神様も信じない人もいましたけど、なんとなくわかると思います」
びっくりな事なんだけど、この世界には神様が本当にいるみたい。魔法とか不思議があるのだから、それもそうかと納得してしまうけれど、どんな神様なのかなんて考えてしまう。
「そう、それなら話が早いわね。神殿には聖女様がいらっしゃるの。ずっと以前に、この方が、異界から環境に強い乙女が授かるという神託と、その方法である召喚の術式や魔法陣をお聞きになられたのよ」
「そうなんですね」
「私は、正直なところ、異界の乙女というものに懐疑的だったの。カレンちゃんにとっては最悪の結果だっただろうけれどもね……でも、こうしてカレンちゃんに会う事が出来て良かったと思うわ」
「お義母様……」
義母が、しんみりした私をぎゅっと抱きしめてくれる。この人とこうして義理の母子になれて良かったのは私のほうだと思った。
コンコン
その時、ドアがノックされた。
「ああ、そうだ。カレンちゃんも毎日、特に心が疲れたでしょう? ゼファーが、カレンちゃん用のヘルメットが出来たって言っててね。バイクのタンデムツーリングというのだったかしら? 気晴らしにゼファーとお出かけしてきなさいな」
「え? いいんですか?」
「ゼファーは魔法使いとしてもとても優秀だし、危険はないと思うから楽しんでいらっしゃい」
「はい!」
私は、呼びに来てくれた老執事と一緒に庭に出た。
「ゼファーお義兄様……!」
ゼファーは、すでにハヤブサの側に立っていた。すでに安全点検は終わっているみたい。
「カレン、帽子からヘルメットに変えてみて、頭周りや、大きさは中の紐で調整できるから……」
ゼファーは、私がこの家に来てから数日後に、義母に言われて私の事を名前で呼ぶようになっていた。義理とはいえ妹だし問題ないって。ヘルメットを受け取りつつ、バイクをマジマジ見ていた。
「ハヤブサのシリーズは他にもあるんです。それらはジスペケとも俺は言ってるんです。このバイクみたいな物がカレンの世界でもあったのですか?」
「はい……。魔法がないから動かすには別の方法でしたけど、ほんとそっくりで。GSXシリーズの一つでハヤブサっていうすごく速いバイクがあったんです。キーを差し込んで起動すると、キュルルって甲高い音が鳴って、アイドリング音が続くんです。アクセルを吹かせば、ブォン、ブォォンッ! って爆発するみたいな音と共にバイクが風のようにビューンって走り出して……とってもカッコイイんです」
「……並列4ストローク、ツインカム……」
「え? ゼファーお義兄様、何か言いました?」
「あ、ああ。いやなんでもないんです。駆動とかは俺の魔法を利用しているから、カレンの世界とは大分違う構造なのでしょうね。ここにある、黒いカウルの中には魔法をエネルギーに変換するための魔石や術式が書き込まれたボックスが入っているんです」
そう言いながら、ゼファーが黒のボディを軽くコンコンって叩いて、色々説明してくれた。
売った製品は、偽造防止のために、ゼファー以外が分解しようとすれば消滅するようにブラックボックスまで仕込んでいるみたい。
ゼファーと私はバイクの事で興奮して、一緒に細かなパーツを覗き込む。
気が付けば顔が近くて、恥ずかしくなりパッと離れた。
「あ、あの、ヘルメットに変えますね!」
慌ててそういいながら、ベールのついた大きな帽子を脱ぎ去った。ヘルメットにはキングペンギンのロゴマークがついていて、ゼファーの取引先のニンスールが仕入れてくれたようだ。
「あ、ちょ……カレン、待って下さい!」
ゼファーが慌てて目をつぶり後ろを向く。
そう言えば彼にも顔を見せてはいけなかったんだ、とちょっと反省した。ヘルメットをかぶると、確かに外側からだと黒いUVカットのスモークガラスのようなシールドだったのに、中からはとてもクリアで何もないみたい。
頭位は問題ないから、顎の下の紐を調節してぴたりとはめた。
「ゼファーお義兄様、お待たせしました!」
声をかけると、ゼファーの耳が少し赤かった。
どうやらこの世界では、独身男性が適齢期の未婚の女の子の顔を見るのは、結婚の約束でもあるし、裸をみるくらい恥ずかしい事らしい。変な習慣だなとクスクス笑ってしまう。
「カレン、カレンはもう少し恥じらいと警戒心というものをですね……」
「はぁい。でも、お義兄様ですもの」
「カレン」
「ごめんなさい。気をつけます」
私には、顔を見せ合うだけなのに変なのという気持ちが大きいから、反省なんてそれほどしようがない。結局、ゼファーが折れる形で、しょうがないですねと、苦笑しながらヘルメット越しに頭をぽんぽん優しく叩かれた。
後部シートに乗せられ、しっかり彼の体に抱き着くと、静かにハヤブサが動き出す。
サイドカー越しに見た景色の移り変わりなんて、めじゃないくらいすごく速くて、本当に大空を舞う隼のようだ。
がっしりとした大きな背中の人が、スピードを出しながらも安全運転を心掛けて慎重に運転してくれているのがわかる。
「カレン、大丈夫ですか?」
「はい!」
「もう少しスピードをあげても?」
「もっちろん! お願いしまーす! グリッドスタート、シグナルのレッドがスタートの時間が近づくにつれてどんどんついて行く! ポールポジション、グリッド1番は期待のゼファー選手です。オールブラック! エンジン、フルスロットル~!」
私がそう言うと、ゼファーも笑っているのか、少し震えていた。
彼には何を言っているのかさっぱりわからないだろう。
でも、私がこの家にきてから、初めて心の底から喜んではしゃいでいるのが分かってくれたのかゼファーの声も明るく楽しそう。
「しっかり掴まっていてくださいね?」
「ラジャー!」
カクンと、後ろに引っ張られるような慣性の法則もない。
まるで私自身も車体と同化したみたい。
物凄いスピードで、ゼファーと私を乗せて、ハヤブサが地面を静かに飛んだのであった。
私は、最終日に予定されているお見合いが、彼らふたりだと聞きびっくりした。
「そうなのよ。一緒におふたりが参加するっていうから、恐れをなして残りの2人は辞退して来たの。だからその日は、彼らと、辞退しなかったひとりとの3人だけになるわ」
「ふたりが……」
あれから3日に一回ずつお見合いをした。どの人も姿形は申し分ないのだけど、同じような事しか言わない。私という個人を見てくれないし、女が何かをしようとするなんてとんでもないといった、私からすると大昔の男性のようでしっくりこなかった。
最終日にすらひとりも選ばないのは流石にダメだろうと思い、それまでの20名の人たちのひとりひとりを思い浮かべたけれど、どうしても彼らの誰とも結婚なんてできないとしか思えなかった。
「どちらにしても、カレンちゃんって異界の乙女でもあるから、守る盾は大きい方がいいわ。それには、王族であるゼクス殿下か公爵になるシビル閣下が適任なのよ。あ、両方とでもいいのよ? ふたりはカレンちゃんと数日一緒だったでしょう? 初日に彼らとお見合いになると、他の令息たちにアンフェアすぎるから最終日まで秘密にしていたの」
「え? どういう事ですか?」
「今回のお見合いの順番をね、彼らを後回しにする事で、他家には最低限の義理は果たした形にはなったの。カレンちゃんがこれまでの令息たちに惹かれて3人選んでしまえば、殿下たちの出る幕はなかったのだもの。ねぇ、カレンちゃんは殿下や閣下は嫌かしら?」
いわゆる、出来レース的な政略結婚っていうやつ……? でも、今までのお見合いもそんなものか……。
彼らが優しく大切にしてくれたのは、私を子供だと思っていたから。今の私の事をどう思っているのかわからない。でも、嫌われてはいないと思うし、恋愛してから結婚したいだなんて我がまま言えば皆が困るだろう。
ひょっとしたら、今も城で私のために、なんとか夫を複数選ぶ前にひとりにしてあげて欲しいと様々な場所で頑張ってくれている先輩にも迷惑がかかるかもしれない。
それこそ、先輩も絶対に複数選ばないといけなくなるとか。それだけは絶対に嫌だ。
彼らが私を望んでくれるのならきっと大丈夫だ、と震えそうになる体を自分で抱きしめた。ちがうちがうそんなんじゃない、と何かを訴えかけてくる心に蓋をする。
それに……誰かを選ばなければならないのなら、ふたりがいい。きっと彼らなら、私に恋愛感情がなくても、幸せにしてくれるだろうし、私もふたりに何かをしたいと思うから。
「あの、お義母様、私……」
「カレンちゃん。何度も言うように断ってもいいの。色々うるさいのはなんとか出来るのだから。取り合えず婚約してみるとか、そういうのでもいいんじゃないかって、ビィノ様や神殿の聖女であらせられるパーシー様も仰ってくださっているのよ」
「先輩……じゃなかったビィノ様だけでなく、神殿の聖女様、ですか?」
「ええ。神託をそもそも受けたのは神殿なの。神様という世界を創造する存在があってね。カレンちゃん神様とかそういうのはわかるかしら?」
「はい。私の世界には様々な神様が信じられていました。この国のように魔法もなかったし、神様も信じない人もいましたけど、なんとなくわかると思います」
びっくりな事なんだけど、この世界には神様が本当にいるみたい。魔法とか不思議があるのだから、それもそうかと納得してしまうけれど、どんな神様なのかなんて考えてしまう。
「そう、それなら話が早いわね。神殿には聖女様がいらっしゃるの。ずっと以前に、この方が、異界から環境に強い乙女が授かるという神託と、その方法である召喚の術式や魔法陣をお聞きになられたのよ」
「そうなんですね」
「私は、正直なところ、異界の乙女というものに懐疑的だったの。カレンちゃんにとっては最悪の結果だっただろうけれどもね……でも、こうしてカレンちゃんに会う事が出来て良かったと思うわ」
「お義母様……」
義母が、しんみりした私をぎゅっと抱きしめてくれる。この人とこうして義理の母子になれて良かったのは私のほうだと思った。
コンコン
その時、ドアがノックされた。
「ああ、そうだ。カレンちゃんも毎日、特に心が疲れたでしょう? ゼファーが、カレンちゃん用のヘルメットが出来たって言っててね。バイクのタンデムツーリングというのだったかしら? 気晴らしにゼファーとお出かけしてきなさいな」
「え? いいんですか?」
「ゼファーは魔法使いとしてもとても優秀だし、危険はないと思うから楽しんでいらっしゃい」
「はい!」
私は、呼びに来てくれた老執事と一緒に庭に出た。
「ゼファーお義兄様……!」
ゼファーは、すでにハヤブサの側に立っていた。すでに安全点検は終わっているみたい。
「カレン、帽子からヘルメットに変えてみて、頭周りや、大きさは中の紐で調整できるから……」
ゼファーは、私がこの家に来てから数日後に、義母に言われて私の事を名前で呼ぶようになっていた。義理とはいえ妹だし問題ないって。ヘルメットを受け取りつつ、バイクをマジマジ見ていた。
「ハヤブサのシリーズは他にもあるんです。それらはジスペケとも俺は言ってるんです。このバイクみたいな物がカレンの世界でもあったのですか?」
「はい……。魔法がないから動かすには別の方法でしたけど、ほんとそっくりで。GSXシリーズの一つでハヤブサっていうすごく速いバイクがあったんです。キーを差し込んで起動すると、キュルルって甲高い音が鳴って、アイドリング音が続くんです。アクセルを吹かせば、ブォン、ブォォンッ! って爆発するみたいな音と共にバイクが風のようにビューンって走り出して……とってもカッコイイんです」
「……並列4ストローク、ツインカム……」
「え? ゼファーお義兄様、何か言いました?」
「あ、ああ。いやなんでもないんです。駆動とかは俺の魔法を利用しているから、カレンの世界とは大分違う構造なのでしょうね。ここにある、黒いカウルの中には魔法をエネルギーに変換するための魔石や術式が書き込まれたボックスが入っているんです」
そう言いながら、ゼファーが黒のボディを軽くコンコンって叩いて、色々説明してくれた。
売った製品は、偽造防止のために、ゼファー以外が分解しようとすれば消滅するようにブラックボックスまで仕込んでいるみたい。
ゼファーと私はバイクの事で興奮して、一緒に細かなパーツを覗き込む。
気が付けば顔が近くて、恥ずかしくなりパッと離れた。
「あ、あの、ヘルメットに変えますね!」
慌ててそういいながら、ベールのついた大きな帽子を脱ぎ去った。ヘルメットにはキングペンギンのロゴマークがついていて、ゼファーの取引先のニンスールが仕入れてくれたようだ。
「あ、ちょ……カレン、待って下さい!」
ゼファーが慌てて目をつぶり後ろを向く。
そう言えば彼にも顔を見せてはいけなかったんだ、とちょっと反省した。ヘルメットをかぶると、確かに外側からだと黒いUVカットのスモークガラスのようなシールドだったのに、中からはとてもクリアで何もないみたい。
頭位は問題ないから、顎の下の紐を調節してぴたりとはめた。
「ゼファーお義兄様、お待たせしました!」
声をかけると、ゼファーの耳が少し赤かった。
どうやらこの世界では、独身男性が適齢期の未婚の女の子の顔を見るのは、結婚の約束でもあるし、裸をみるくらい恥ずかしい事らしい。変な習慣だなとクスクス笑ってしまう。
「カレン、カレンはもう少し恥じらいと警戒心というものをですね……」
「はぁい。でも、お義兄様ですもの」
「カレン」
「ごめんなさい。気をつけます」
私には、顔を見せ合うだけなのに変なのという気持ちが大きいから、反省なんてそれほどしようがない。結局、ゼファーが折れる形で、しょうがないですねと、苦笑しながらヘルメット越しに頭をぽんぽん優しく叩かれた。
後部シートに乗せられ、しっかり彼の体に抱き着くと、静かにハヤブサが動き出す。
サイドカー越しに見た景色の移り変わりなんて、めじゃないくらいすごく速くて、本当に大空を舞う隼のようだ。
がっしりとした大きな背中の人が、スピードを出しながらも安全運転を心掛けて慎重に運転してくれているのがわかる。
「カレン、大丈夫ですか?」
「はい!」
「もう少しスピードをあげても?」
「もっちろん! お願いしまーす! グリッドスタート、シグナルのレッドがスタートの時間が近づくにつれてどんどんついて行く! ポールポジション、グリッド1番は期待のゼファー選手です。オールブラック! エンジン、フルスロットル~!」
私がそう言うと、ゼファーも笑っているのか、少し震えていた。
彼には何を言っているのかさっぱりわからないだろう。
でも、私がこの家にきてから、初めて心の底から喜んではしゃいでいるのが分かってくれたのかゼファーの声も明るく楽しそう。
「しっかり掴まっていてくださいね?」
「ラジャー!」
カクンと、後ろに引っ張られるような慣性の法則もない。
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