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ふたりは、結婚式の翌日から新婚旅行に来ていた。ところが初日は尋常ないほどの大雨で、出かけることが難しい。観光をする予定だったふたりを室内に閉じ込めたのである。
「アイーシャ、残念だろうが……」
「はい、残念です。でも、ほんの少しだけですよ? 私は、ウォーレン様といるここが、いっちばん幸せな場所なのですから」
ここが一番楽しいという妻の姿に、ウォーレンの体が震えた。
アイーシャが、今日行く予定だった水族館を楽しみにしていたのは知っていた。海の中に強化ガラス張りで作られたそこには、アイーシャが見たこともない様々な水性生物がたくさん生息している。そんな大自然の海の底を見れると、アイーシャはカメラの手入れをして楽しみにしていた。
あいにく、この大雨では海の状態が悪すぎる。たとえ、無理に行ったとしても、濁り切った海の中の様子は見えないだろう。
実は、この旅行を国王たちが大盤振る舞いしたのは理由があった。外交目的の外せない予定もたくさん詰め込まれている。そのため、今回の旅行中に、そこに行くことは不可能であった。
「ふふふ、また今度、ウォーレン様とここ来る楽しみが出来たんですよね」
「アイーシャ」
雨の分厚いカーテンが、窓から見える景色を隠している。オーシャンビューの部屋からぼんやり見える景色の向こうの海が、荒れ狂っている様子がわかり怖くなった。
背中に、広い胸板を感じる。ウォーレンが、そっとアイーシャを包み込むように腕を前に回した。
湯上りのアイーシャの髪は、おくれ毛を少し残してアップされている。むき出しの柔らかい首筋に、後ろから吸い付いた。
「あ……ん……」
ウォーレンがちろりと舌先で舐めとると、敏感に感じ取ってしまう。その動きに合わせてぴくつく体を捩って、おなかの奥に現れたもぞりとした感覚を逃そうとした。
「必ず連れてくる。その時は……」
ふたりだけじゃないかもな、と耳元で囁かれた。
その意味を悟ったアイーシャは、胸元を覆っている大きな手に、自らの手を合わせる。指の間から指を交差させて、一番敏感な場所に、彼の指先を誘導した。
首を長く伸ばして、斜め後ろにある彼の唇に向かうと、待ち構えたように大きな唇がそれに吸い付いた。
「オレの妻は、淫らだ」
「嫌、ですか?」
「嫌なものか。もっとオレを求めて乱れてくれ」
身もだえしそうなほどの吐息越しの囁きが、胸を熱く乱れさせた。思うがまま、力強くアイーシャを躍らせる指の動きにのまれたい。うっとり目を閉じて、彼の言葉と息遣いに酔いしれた。
ふわっと体が浮いた気がした。足が地についていないような心もとない気分になるが、少しも怖いとは思わない。ただ、片時も彼から離れたくなくて、力いっぱいしがみついた。
「はぁ、ウォーレンさま……」
婚前、ウォーレンにもぎりぎりの自制心があったようだ。ふたりは最後まではいたしていない。いたしていないが、8割ほど男女の交わりを終えていた。
あっという間に服を脱がせ合った、絹糸一本すらまとわぬ彼らは、唇と舌を絡め合う。普段の自分と言う殻も脱ぎ捨てたように、大胆に彼を求めた。
アイーシャの細い指が、足にこすりつけられた欲にまみれた強直の先端に触れる。柔らかい先のくぼみや、くびれた傘に指をあてて擦る。ウォーレンが、気持ちよさそうに眉をしかめて呼吸をつまらせてくれるのが嬉しくて、もっとかわいがった。
「アイーシャ、もう……。いいか?」
「聞かないでください」
ふふっと微笑む彼女は、いつものように可愛くて愛らしい。だが、妖艶な魔女のようにウォーレンを誘った彼女に飲み込まれる。大きな手で簡単に持てるほど細い太ももに、指を食い込ませた。
アイーシャは、ウォーレンの込めた力に逆らわず、足をすっと広げる。恥ずかしくて、見て欲しくなくて、でも、自分の全てを知ってもらいたくて。
広げられた足の間にある、見事な肉体が瞳に映る。徐々に近づく彼の欲の証が見えなくなる。
ほんのわずかな、粘り気のある液が触れ合う音がした。同時に、足の付け根から、今まで経験したことがない圧が襲ってきた。お腹の中どころか、自分の全てが引き裂かれそうなほどの痛みに、アイーシャは唇を噛んだ。
「は、はぁ、はっ! んんっ! ん~~っ!」
「アイーシャ、噛むならこれを噛め」
彼の太い指が、噛み締めた彼女の歯の間に入る。指を噛むわけにはいかないと思っても、どうにもならなかった。少しずつ、めりめりと引き裂くように入ってくるそれが止まったころには、彼女の涎で濡れたウォーレンの指には歯の痕がくっきりついていた。
「アイーシャ、大丈夫か?」
どう見ても大丈夫ではない。だが、ウォーレンはそれしか言葉が見つからなかったようだ。眉をハノ字にして心配する、不器用な彼が愛おしい。ずきんずきん痛む中にある、彼の存在を感じながら両腕を広げた。
「大丈夫、じゃないです。だから、抱っこしてください」
「いくらでも」
アイーシャの中は、ほかならぬウォーレンによって傷がついている。少しでも動けば非常に痛むだろう。ウォーレンは、彼女が落ち着くまで、軽くのしかかるように抱きしめた。
折角の日に、アイーシャは、このまま終わりたくなかった。最後までしていいと伝えたが、これ以上彼女を痛めつけたくないウォーレンによって却下されたのである。
外交込みのひと月にも及ぶ新婚旅行は、あっという間に残すところ2日になる。帰国する前日、ウォーレンはアイーシャをとある場所に連れてきた。
そこは、天然の水晶やルビー、サファイアなどが原石の状態で埋め込まれている岸壁で覆われている洞窟だ。研磨されていない鉱石と海の青に、太陽の光が注ぎ込まれて、幻想的な虹彩の空間になっているという。
入り組んだ秘境にあり、その道程の厳しさから一般人が気軽に訪れることが出来ない。人間である普通の令嬢であるアイーシャも、通常なら入り込めなかっただろう。そんな彼女を、ウォーレンが軽々と抱えて、目的の場所に向かってくれたのである。
ところが、直前の洞窟の入り口は小さな穴しかない。ふたりの行く手を阻んでいた。アイーシャは入れそうだが、大柄なウォーレンには到底無理なようだ。
「アイーシャ、こっちだ」
「え? でも、入り口が小さすぎてウォーレン様が入れないわ? ウォーレン様と見れないなら、私、見なくていい」
可愛い妻のいじらしい言葉に、ウォーレンは胸が震えた。
「問題ない」
そっと彼女を立ち上がらせると、獣化したのである。それは、人化状態の彼とは思えないほど小さくかわいらしい。ウォンバットになったウォーレンに、目を輝かせてかわいいかわいいと連呼した。
ウォーレンに抱き着いて、わしわしと毛皮をマッサージする。すると、ウォーレンは目を細めて、もっともっとと甘えてきた。
「ヤバーい。かわいいー。ウォーレン様、かわいすぎます!」
数分、思う存分ウォンバットを愛でたあと、小さくなった彼と一緒に洞窟の狭い入り口を通り抜ける。すると、そこには想像以上の美しい情景があった。
思わず息が止まるほど、厳かな光に満ちている。神々しいという表現は、この場所のためにあるといっても過言ではないと思える程、アイーシャは洞窟の中の光景に魅入られた。
大きめの岩に腰かける。彼女の膝に、ウォーレンが前足と顔を乗せた。彼の頭を撫でながら、時に赤みが強く、そう思った瞬間、透明になり、青、紫、黄色と様々に変わるプリズムの乱舞を見続けた。
「アイーシャ」
いつの間にか、記憶が飛ぶほど、ぼうっとしていたようだ。ぎりぎり人化できるくらいの狭い空間で、人化したウォーレンが彼女を抱きしめる。
「ウォーレンさま……私、この世界に生まれ変わって良かった。ウォーレン様に出会えて、良かった。本当よ?」
「それはこちらのセリフだ。アイーシャ、オレに会いに来てくれてありがとう」
虹彩がふたりを優しく包む。虹色に光る互いだけを映した瞳が徐々に閉じられた。
この幸せが永遠に続くと願いながら、ふたりの唇がその距離を無くしたのであった。
(R18)転生伯爵令嬢は、強面騎士団長に甘えられたい──完
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
「アイーシャ、残念だろうが……」
「はい、残念です。でも、ほんの少しだけですよ? 私は、ウォーレン様といるここが、いっちばん幸せな場所なのですから」
ここが一番楽しいという妻の姿に、ウォーレンの体が震えた。
アイーシャが、今日行く予定だった水族館を楽しみにしていたのは知っていた。海の中に強化ガラス張りで作られたそこには、アイーシャが見たこともない様々な水性生物がたくさん生息している。そんな大自然の海の底を見れると、アイーシャはカメラの手入れをして楽しみにしていた。
あいにく、この大雨では海の状態が悪すぎる。たとえ、無理に行ったとしても、濁り切った海の中の様子は見えないだろう。
実は、この旅行を国王たちが大盤振る舞いしたのは理由があった。外交目的の外せない予定もたくさん詰め込まれている。そのため、今回の旅行中に、そこに行くことは不可能であった。
「ふふふ、また今度、ウォーレン様とここ来る楽しみが出来たんですよね」
「アイーシャ」
雨の分厚いカーテンが、窓から見える景色を隠している。オーシャンビューの部屋からぼんやり見える景色の向こうの海が、荒れ狂っている様子がわかり怖くなった。
背中に、広い胸板を感じる。ウォーレンが、そっとアイーシャを包み込むように腕を前に回した。
湯上りのアイーシャの髪は、おくれ毛を少し残してアップされている。むき出しの柔らかい首筋に、後ろから吸い付いた。
「あ……ん……」
ウォーレンがちろりと舌先で舐めとると、敏感に感じ取ってしまう。その動きに合わせてぴくつく体を捩って、おなかの奥に現れたもぞりとした感覚を逃そうとした。
「必ず連れてくる。その時は……」
ふたりだけじゃないかもな、と耳元で囁かれた。
その意味を悟ったアイーシャは、胸元を覆っている大きな手に、自らの手を合わせる。指の間から指を交差させて、一番敏感な場所に、彼の指先を誘導した。
首を長く伸ばして、斜め後ろにある彼の唇に向かうと、待ち構えたように大きな唇がそれに吸い付いた。
「オレの妻は、淫らだ」
「嫌、ですか?」
「嫌なものか。もっとオレを求めて乱れてくれ」
身もだえしそうなほどの吐息越しの囁きが、胸を熱く乱れさせた。思うがまま、力強くアイーシャを躍らせる指の動きにのまれたい。うっとり目を閉じて、彼の言葉と息遣いに酔いしれた。
ふわっと体が浮いた気がした。足が地についていないような心もとない気分になるが、少しも怖いとは思わない。ただ、片時も彼から離れたくなくて、力いっぱいしがみついた。
「はぁ、ウォーレンさま……」
婚前、ウォーレンにもぎりぎりの自制心があったようだ。ふたりは最後まではいたしていない。いたしていないが、8割ほど男女の交わりを終えていた。
あっという間に服を脱がせ合った、絹糸一本すらまとわぬ彼らは、唇と舌を絡め合う。普段の自分と言う殻も脱ぎ捨てたように、大胆に彼を求めた。
アイーシャの細い指が、足にこすりつけられた欲にまみれた強直の先端に触れる。柔らかい先のくぼみや、くびれた傘に指をあてて擦る。ウォーレンが、気持ちよさそうに眉をしかめて呼吸をつまらせてくれるのが嬉しくて、もっとかわいがった。
「アイーシャ、もう……。いいか?」
「聞かないでください」
ふふっと微笑む彼女は、いつものように可愛くて愛らしい。だが、妖艶な魔女のようにウォーレンを誘った彼女に飲み込まれる。大きな手で簡単に持てるほど細い太ももに、指を食い込ませた。
アイーシャは、ウォーレンの込めた力に逆らわず、足をすっと広げる。恥ずかしくて、見て欲しくなくて、でも、自分の全てを知ってもらいたくて。
広げられた足の間にある、見事な肉体が瞳に映る。徐々に近づく彼の欲の証が見えなくなる。
ほんのわずかな、粘り気のある液が触れ合う音がした。同時に、足の付け根から、今まで経験したことがない圧が襲ってきた。お腹の中どころか、自分の全てが引き裂かれそうなほどの痛みに、アイーシャは唇を噛んだ。
「は、はぁ、はっ! んんっ! ん~~っ!」
「アイーシャ、噛むならこれを噛め」
彼の太い指が、噛み締めた彼女の歯の間に入る。指を噛むわけにはいかないと思っても、どうにもならなかった。少しずつ、めりめりと引き裂くように入ってくるそれが止まったころには、彼女の涎で濡れたウォーレンの指には歯の痕がくっきりついていた。
「アイーシャ、大丈夫か?」
どう見ても大丈夫ではない。だが、ウォーレンはそれしか言葉が見つからなかったようだ。眉をハノ字にして心配する、不器用な彼が愛おしい。ずきんずきん痛む中にある、彼の存在を感じながら両腕を広げた。
「大丈夫、じゃないです。だから、抱っこしてください」
「いくらでも」
アイーシャの中は、ほかならぬウォーレンによって傷がついている。少しでも動けば非常に痛むだろう。ウォーレンは、彼女が落ち着くまで、軽くのしかかるように抱きしめた。
折角の日に、アイーシャは、このまま終わりたくなかった。最後までしていいと伝えたが、これ以上彼女を痛めつけたくないウォーレンによって却下されたのである。
外交込みのひと月にも及ぶ新婚旅行は、あっという間に残すところ2日になる。帰国する前日、ウォーレンはアイーシャをとある場所に連れてきた。
そこは、天然の水晶やルビー、サファイアなどが原石の状態で埋め込まれている岸壁で覆われている洞窟だ。研磨されていない鉱石と海の青に、太陽の光が注ぎ込まれて、幻想的な虹彩の空間になっているという。
入り組んだ秘境にあり、その道程の厳しさから一般人が気軽に訪れることが出来ない。人間である普通の令嬢であるアイーシャも、通常なら入り込めなかっただろう。そんな彼女を、ウォーレンが軽々と抱えて、目的の場所に向かってくれたのである。
ところが、直前の洞窟の入り口は小さな穴しかない。ふたりの行く手を阻んでいた。アイーシャは入れそうだが、大柄なウォーレンには到底無理なようだ。
「アイーシャ、こっちだ」
「え? でも、入り口が小さすぎてウォーレン様が入れないわ? ウォーレン様と見れないなら、私、見なくていい」
可愛い妻のいじらしい言葉に、ウォーレンは胸が震えた。
「問題ない」
そっと彼女を立ち上がらせると、獣化したのである。それは、人化状態の彼とは思えないほど小さくかわいらしい。ウォンバットになったウォーレンに、目を輝かせてかわいいかわいいと連呼した。
ウォーレンに抱き着いて、わしわしと毛皮をマッサージする。すると、ウォーレンは目を細めて、もっともっとと甘えてきた。
「ヤバーい。かわいいー。ウォーレン様、かわいすぎます!」
数分、思う存分ウォンバットを愛でたあと、小さくなった彼と一緒に洞窟の狭い入り口を通り抜ける。すると、そこには想像以上の美しい情景があった。
思わず息が止まるほど、厳かな光に満ちている。神々しいという表現は、この場所のためにあるといっても過言ではないと思える程、アイーシャは洞窟の中の光景に魅入られた。
大きめの岩に腰かける。彼女の膝に、ウォーレンが前足と顔を乗せた。彼の頭を撫でながら、時に赤みが強く、そう思った瞬間、透明になり、青、紫、黄色と様々に変わるプリズムの乱舞を見続けた。
「アイーシャ」
いつの間にか、記憶が飛ぶほど、ぼうっとしていたようだ。ぎりぎり人化できるくらいの狭い空間で、人化したウォーレンが彼女を抱きしめる。
「ウォーレンさま……私、この世界に生まれ変わって良かった。ウォーレン様に出会えて、良かった。本当よ?」
「それはこちらのセリフだ。アイーシャ、オレに会いに来てくれてありがとう」
虹彩がふたりを優しく包む。虹色に光る互いだけを映した瞳が徐々に閉じられた。
この幸せが永遠に続くと願いながら、ふたりの唇がその距離を無くしたのであった。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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