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今宵、俺の上で美しく踊れ⑦ R18

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 数日後、フラットとカッサンドラを見送った辺境の砦には平穏が訪れた。

 カッサンドラに、閨でのサヴァイヴの余計な一言を酔ったためにぽろっと暴露してしまったイヴォンヌは、翌朝目が覚めると、彼女に連れ去られようとしていた。

『やっぱり、初夜でやらかして大喧嘩とかってよく聞くけど。よりにもよってイヴォンヌに何てことを言うのよ……! もういいわ、わたくしと一緒にうちの領地にいらっしゃい! いいじゃないの、もともとは、第二妃としてうちに来ても良かったのに、フラット様が意地を張ってあなたを手放しちゃうから泣く泣くアレに託したというのに! ずーっと、わたくしと楽しく暮らしましょう? ね?』

 カッサンドラにカミングアウトした記憶がないイヴォンヌ。大事にされて愛された初めての夫との初夜の想い出として、忌まわしきその記憶が塗り替えられており、カッサンドラの勢いにたじたじとなりながらも説得するのに苦労をした。

『犬も食わねばなんとやらという小国の言葉を思い出しますわね……。でも、あなた男を見る眼が無さすぎじゃない?』
『……、でも、でも。彼はわたくしだけを想って……。とても大切にしてくれるし……』

 カッサンドラは、人間の本質はぽろっと出たその一言だと思っており、次期辺境伯はいずれ他の女を抱くだろうと偏見と嫌悪のまなざしで見てしまう。そして、そんなダメな男に心底惚れてしまった愚かでかわいい親友の姿に大きくため息をついた。

『……しょうがないわね。後継者も必要でしょうし、今回はひいてあげます。けれどイヴォンヌ。次は、問答無用で連れて行きますからね?』
『カッサンドラ様……!』

 イヴォンヌは、カッサンドラの親友としての気持ちに感激してうるうると瞳を潤ませる。サヴァイヴはこの時側におらず、彼らの護衛編成のための最終調整をしていた。もしも聞いていたのなら、絶望が彼を襲っていただろう。

『カッサンドラ、あまり無茶を言うんじゃないよ』
『あなた、ですがあなただって』

 にっこり微笑みながら、フラットがカッサンドラの耳に口を寄せて囁くと、カッサンドラは目を見開いた。

『まぁ……。では……』
『ああ。心配しなくても、君の母国との交易以外でも頻繁に交流が出来るようになるよ』

 カッサンドラは、イヴォンヌをチラリと見て、にーっこりと笑う。

『ねぇ、イヴォンヌ? 早く娘を作りなさいね? いいこと? 娘よ』

『まあ、カッサンドラ様……。恥ずかしいですわ。それに、神からの授かりものですし……』

『ふふふ、楽しみだわぁ』

 気の早いカッサンドラの言葉を聞いて恥じらうイヴォンヌを、フラットは穏やかに見つめていた。

『夫人、ではまた……』

『はい、大公様。お元気で……』

 二人の視線が交じり合う。そこには静かに流れる大河のような穏やかさだけがあった。




※※※※



「それにしても、娘ってどういう事なのかしら?」

「さあな。俺はどちらでも構わないよ」

「でも、跡継ぎを産まなきゃ……あ……、ん」

「子も欲しいけれど。今はほら、ヴィー。気持ちいいか?」

「あ、あ……。深……ぃ」

 細腰を両手で掴みながら、自分で痛くないように動くほうが楽だと妻が言い張るため、組み敷き彼女を揺らしたいのを堪えて、上に乗って腰をくねらすのをそっと手伝う。

 時折ぐいっと腰を軽く突き上げると、まだ苦しそうだ。前後上下に慣れない妻が必死に動く様子を見上げながら、もどかしい快感とその痴態を視姦して楽しむ。

「ん、ん……!」

「ヴィー、痛みは?」

「もうないかな? でも、おっきすぎて……ああ、またぁ!」

 愛しい妻が、はぁはぁと、熱い呼吸を繰り返し、汗で肌を光らせながらそんな事を言うのでずくりと中に入り込んだ己の分身が大きくなった。

「淫らでかわいい妻が、俺をこうさせるんだ」

 腕にぐっと力を入れると、ぼこっとその太さが増す。妻の腰をゆっくり、だが、彼女だけでは動けない速さと長いストロークを作るように動かしていった。

「あっ、ああっ、ま……って! まってぇ!」

「……、ヴィー、ヴィー!」

 髪を乱して、自分の腕の動きと、中の熱で淫靡に濃い色香を放ちながら彼女が乱れて行く。徐々に快楽も拾ってきている様子が、目と、中で行き来するそこをうねるように絞る粘膜の蠢きがサヴァイヴに教えてくれた。

 腰を突き出し、彼女の体を天井に向かって飛び跳ねさせると、彼女の重みでより深く入り込める。イヴォンヌが、動きに合わせて、だらしなく開いた唇から嬌声があがっていった。

 まだ彼女がこの体勢というよりも、中で達する事は難しそうだなと、必死になって動きを速めていく。息を詰め、急速にせりあがる吐精への誘いに合わせて腰をより突き上げながら、彼女の腰を下に落として押さえつけた。

「あ、ああ!」

 一番深い部分で切っ先が包み込まれる。びゅくびゅくと、断続的に白濁が通る度に、熱の太さが増してゆるやかに振動した。勢いよく彼女の奥の奥にそれを流し込むよう、ぐっ、ぐっと押し付けた。

 夫の下からの動きに翻弄され揺らされたイヴォンヌは、くたっと彼にもたれかかる。若干硬度がなくなったそれが、すぐに回復するのを感じてうろたえてしまった。

「ヴィー……、もう一度」

 痛がらなくなり、徐々に快楽を拾い出した事を知った彼は、愛しくてたまらない彼女を四つん這いにさせて後ろから腰を打ち付ける。白い背がのけぞり、彼女の銀の髪が乱れて肌に張り付き、その曲線を光らせていた。

 腕に力の入らなくなった妻が、ぺとりと顔をシーツに沈める。すると、より一層腰のカーブが強調され、可愛らしい白くて丸いおしりが、彼をもっと欲しいと言うように、ふるふる震えた。

 覆いかぶさり、下方に向いた柔らかな胸を揉みしだきながら先端を指でこねると、中がきゅうきゅう吸い付いて来る。

「んっ、んあっ、んんっ! ああ!」

「ヴィー……」

 中の蠢きが増し、サヴァイヴは腹のほうから腕を伸ばして、右手で彼女の粒を指先でつまみ、たっぷりあふれでた液で滑るそれを転がす。

「ああ、ヴァイス、あ、どうしよう、ああ……!」

「ヴィー、そのまま……。俺も一緒に……!」

 イヴォンヌが一際大きく声をあげると、それに少し遅れて、再び彼女の中を白濁が満たす。搾り取られるかのようなその動きが、腰がぬけるほど気持ちがいい。
 全身に流れる汗をお互いの肌が求めるようにぴたりと張り付き、二人シーツの海に沈んだのであった。


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