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今宵、俺の上で美しく踊れ⑤ R18

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  恥ずかしくてたまらない。彼の唇が色んな場所を触れていく。
  大きな手のひらで当てられるとその部分が隠れてしまう。

  はしたない声が漏れて、身体中がびりびりする。力が入っているのか、それとも入ってないのかすらわからず、自分じゃない声が自分の口から漏れていった。

  熱い吐息がかかる度に、そこから熱くなって、その温度が広がっていく。

  あり得ない場所に顔を埋められて、もう何処にも彼に隠している場所なんてない。

  それなのに、もっと見せろと貴方が言うから、初めてする格好までした。

  中をまさぐられ、粒をこねられて、現れる変な感覚を堪えて。

  空いている上に逃げようとしても、ぐいっと一瞬で彼の口に体が寄せられ、お仕置きとばかりに強く吸い付かれた。

「ああっ、あっ、あっ!」

  気持ちがいいなんて、嘘。勝手に力が入って震えるから息が出来なくて。
  翻弄されるまま何度も大きな声を出してぐったりする。

  でも、また愛でてほしくて、切ないお腹の中の奥に指先を当てて欲しくて、気がつけば腰をくねらせていた。

「ヴィー」

  低い声が心ごと体を包む。ああ、やっと自分に繋ぎ止める事が出来たんだと嬉しくて涙が出る。

  自由な貴方が好き。一生懸命ついていかないと、置いていってしまう貴方が嫌い。

  わたくしの事を気まぐれに思い出しては、ずっとわたくしの事だけを考えてたなんて言う。そんなの信じない。

  でも、今、この時だけはわたくしだけ。
  わたくしの野獣。

  この身一つで、誰にも捕らえられない貴方を繋ぎ止める事が出来るのなら、全部、小指の爪の小さな欠片まで差し出しましょう。

「ヴィー……」

  何度目かの息が長く止まる瞬間を迎えた時、ぎゅっと優しく抱き締められた。

「ヴィーごめん」

  何を、謝るのかと、白い思考の片隅で思ったとき、物凄い圧迫感が先ほどまで彼が触れて入って好き勝手に動いていた場所に現れる。

「……っつ!」

  いよいよかと思う暇もなかった。一気に頭が冷静を取り戻して痛みだけに支配される。

「い……、た……ぃ」

  皆が経験するから自分も耐えられると思った。
  彼女は痛くないとも言っていたし、自分もそんなに痛むはずがないと、根拠もないのに、怖がりながらも余裕に考えている部分もあって。

  自分がおかしいのだろうか?
  それとも、これで、くらい、自分が弱いのか?

  わからないまま、どうしていいのか思い付かず、痛くした彼の盛り上がった腕に爪をたてた。

「ヴィー……」

  声はあまり出さないように堪える事が出来ても、顔が歪む。あまりの痛がりように彼がすっと中から出ていった。

「ヴィー、ごめん」

  「だいじょ……、ぶ。だから……」

「痛くさせたいわけじゃないんだ。でも、俺もどうしていいかわからない……教育を受けただけで、それ以外はヴィーだけだから」

  こんな事になるくらいなら、クロヴィスに言われたように経験を積んでおけばよかった。


  聞こえているのに、言った自覚がないのだろうか。なんという事を呟く目の前の無神経男に腹が立った。
  いつだってこの人はそうだ。タイミングを逃したとかなんとか言いながら、ちっとも他人を気遣えない。

  不器用なんかじゃない。ただの馬鹿で、愚かで、子供の方がマシ。

  でも、しゅんっと本気で慣れていない自分を猛省しているのもわかってしまって、許してしまうわたくしはもっと馬鹿な女なのだ。

「ヴァイス」

「ヴィー?」

  彼の胸を軽く押して、離れた。

  もう、先ほどまでのような甘く蕩ける時間が終わったのかとあからさまに残念そうにする、憎い人。

  上向きに寝そべった彼に股がり見下ろす。

  なんだか、屈服させることが出来たみたいで気持ちがいい。

  視線を合わせたまま、まだ立ち上がる固くて大きなそれに手を伸ばす。

「ヴィー……?」

  戸惑いながらも、期待で欲望に満ちたその瞳を、挑戦するかのように見つめる。

  腰をあげ、さっきまであったそこに、先端を宛がった。

「あなたが、もう止めるのならわたくしがします。だからそこでじっとしていてください」

  痛みが怖い。中に、手首ほどある、今握っているものが入る恐怖と不安を振り払うかのように、ゆっくり腰を落としていった。

「うあっ、ヴィー、無理するな」

「意気地無しは黙っていて」

「俺は、ヴィーを傷つけたくないだけだっ」

  情緒不安の頃、側にいて慰めつつ、容赦なく無自覚にさっきみたいに傷つけられた事を思い出す。
  なぜ、わたくしが怒っているのか泣いているのかわかろうともしない唐変木。

  今ベッドの上で、別の女を抱けば良かったなんて言った彼に、仕返しのように別の男フラットの名を呼んだらどういう顔をするのかと、かなり悪趣味な事を考えてしまう。

  わかってる、そんな事をしても無意味だ。きっとわたくしの思惑や真意に気づかない。下手をすれば、技巧を高めようと、別の女で練習するだろう。

  そんな事、許さない。

  わたくしは、痛みを堪えながら、一番太い部分まで入れた。

「い……っ」

  涙が溢れるくらい痛い。痛い、痛い。

  自分がしているのに、こんな痛みを覚えさせた彼に怒りと自分の情けなさでいっぱいになる。

「ヴィー!  どくんだ」
「嫌です……!」

  目を閉じて、叫んだと同時に一気に彼のそれを全て入れたのだった。



 
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