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20 指輪を望む彼は R18
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私は、一番めの相思相愛で結婚した夫が、結婚後に真実の愛を見つけたので快く離婚してあげた女性だという噂が流れた。
実際は、そんなロマンスなんてないのに。
リーマは、調査に行ったまま帰ってきていない。トーチさんも、例の夫の元で暮らしていて、社交界に出てこない代わりに、彼女の家の使用人からあることないことリークされている。それだけでも恥ずかしいことなのだが、どうやら、人格が変わり、別人のように大人しく質素に暮らしているみたい。
今日は、お兄さまと彼女さんの結婚式。再建されたドーナツ屋は、うちの支援もうけたこともあり、今や行列のできる大きなスイーツ店になった。
美しい花嫁さんが投げたブーケは、カナキリさんがキャッチした。3メートルくらい離れていたのに、他の男性たちを押しのけてダッシュで行ったのには、まさに電光石火だと周囲の笑いを誘った。
「やった。やりました。ライトさん、次の花婿は私です!」
「え、ええ……」
食い気味に、ずいッと来た彼に、ちょっとだけドン引きしてしまった。
「ブーケがもらえたら、考えてくれるって言ってましたよね? ね?」
「ええ。勿論」
彼の大きな指のサイズは、23号。
随分前から、彼が結婚指輪を望んでいるのはわかっていた。ブーケを片手に、私に何かをいいたそうにしているけど、あまりしつこいとフラれるよというアドバイスでも受けたのか何もいってこない。
目は口ほどにおしゃべりだというけど。
私は、現実にはないしっぽをふりふりしている彼に微笑んだ。
「カナキリさん、ちょっと手をこっちにもってきて。そそ、そこ。で、パーをしてみて?」
私は、彼からブーケを受け取り、両手を広げた状態のまま、私のお腹あたりで、手の甲を空に向けさせた。
期待と不安かな? 目を少しうるうるさせた彼が、自分の左手の薬指と私の手を交互に見つめている。
私の親指と人指指の間には、硬い輪っかがある。剣を握る彼の手にふさわしく、飾り気のないプラチナの輪を、彼の指にゆっくりいれていった。
「あら?」
ところが、第二関節の節が大きくてそれ以上奥にいかない。無理やりやれば指が痛いだろうし、物理的に無理っぽい。
「……ごめんなさい。サイズを変えないと!」
やらかしてしまった。本当なら、素敵なプロポーズにしたかったのに。
「い、いや。ぴったりですから! このままでいいです。このままがいいですから!」
カナキリさんが、無理やりぎゅうぎゅう指輪を押し込めようとする。私は、そんな彼がとてもかわいく思えて、自分から初めて彼にキスをした。
「ライトさん……!」
突然のキスに、彼が唇に両手の指先をあてて、うるうる目を潤ませている。なんか、乙女みたい。
「私のファーストキッスが……。もう、お婿に行けません。責任、とってくれますよね?」
あ、乙女だった。そうだった、彼はこれまでに女性とお付き合いしたことがない。つまり、純潔の童貞。それに、彼の手には、あの時に私の手を握っていたせいで、重度のやけどの跡が残っている。つまり、私が彼をキズモノにしたのだ。
「カナキリ・YSR・パイプベンダ卿、私の夫になってくださいますか?」
「私でよければ、よ、よろこんでっ!」
正直、一度裏切られているから、彼のことをそこまで信用できていない。でも、もしかしたら、彼とは毎日のように永遠を誓える気がする。
義姉になった兄の奥様から、彼女のかぶっていた白いベールを被せられた。どうやら、もともとそのつもりだったようだ。
ここにいる人たちから、温かい拍手と祝福をいただく。主役は兄たちなので、私たちのサプライズのようなイベントはすぐに終わった。他にも、例のごとく若い騎士君たちが、マダムに見初められるというおめでたいことがあり、そんな彼らを羨ましすぎて血の涙を流す一部から、結婚が決まったカナキリさんたちはかなりアルコールを飲まされた。
カナキリさんは、かなり酒に強かったようだ。1ガロンほどの酒を飲まされ、文字通り、頭からアルコールを被せられたにもかかわらず、肌が全く赤くなっていない。ただ、アルコールのせいかなんなのか、気分はかなり高揚しているようで、にこにこ笑顔で私を横抱きにして家に入って行った。
「ライトさん、責任とってくれるんでしょう?」
「ええ」
私に触れる大きな手が震えている。そっと彼にキスをすると、がばっと覆いかぶさってきた。身動きできない程の巨体に押しつぶされそう。
強いアルコールの香りのするキスは、あっという間に私を酔わせた。いつもの優しいワンコのような彼は、どこに行ったのか。ただ、夢中になって私の体を味わう彼は、まるで必死で獲物を頬張る獰猛な獣にも見える。
私の方はと言えば、まあ初めてではないから若干余裕があると思ったら大間違いで。
ここ数年はご無沙汰だったし、経験の数は同年代のマダムたちよりも遥かに下。だから、彼の動きに合わせるだけでアップアップになった。
「ん」
剣を握っている彼の指は、とてもごつごつしていて硬い。でも、思ったよりも指先が優しくて柔らかだった。もしかして、私のために指先の手入れをしてくれたのだろうか。
慣れていない彼の指の動きが、嬉しいようなもどかしいようなぞくぞくするような変な気分にさせる。息があがるものの、絶頂には程遠い気持ちの良さだけが襲ってくる。
「はあ、ライトさん。もう……」
「私も」
彼が限界に来たようだ。促されるまま足を広げて、彼の腰を受け入れる。数年かけて狭くなったそこは、体の大きな彼に見合った大きな存在を受け入れられるのだろうか。経験したことのない圧迫感に、息がつまった。
「か、はぁ……んんっ」
苦しそうな、でも、恍惚とした彼の表情が、私の体の奥の熱をあげる。やがて、彼とぴったりつくと、ぶるりと彼の体が震えた。
「……」
「……」
あー……
純潔な男性にはままある、いや、よくある事象だ。こういう時は、変に言葉をかけないほうがいいわよとマダムが言っていたのを思い出した。情けなさそうに目を閉じて眉を下げる彼に、ぎゅっと抱き着いた。
なんとなく、そういう気分じゃなくなって、それ以降は、とてもゆったりとした時間を過ごした。
「指輪、サイズ調整にいかなきゃね」
「はい!」
ケロイドになった桃色の隆起は、感覚がするどくなっているのかちょっとした刺激で傷むみたい。指輪をしても大丈夫か気になるが、それでもきちんと指にしたいらしい。
彼の手をきゅっと握ると、同じように返してくれる。
これから先、何が起こっても、この手をお互いに離さないように、彼が私を大切にしてくれる気持ち以上に、私も出来ること全てをかけて彼に返してあげたいと思う。
【R18】結婚指輪を外した夫と、結婚指輪を望む彼 完結
最後までお付き合いいただきありがとうございました
実際は、そんなロマンスなんてないのに。
リーマは、調査に行ったまま帰ってきていない。トーチさんも、例の夫の元で暮らしていて、社交界に出てこない代わりに、彼女の家の使用人からあることないことリークされている。それだけでも恥ずかしいことなのだが、どうやら、人格が変わり、別人のように大人しく質素に暮らしているみたい。
今日は、お兄さまと彼女さんの結婚式。再建されたドーナツ屋は、うちの支援もうけたこともあり、今や行列のできる大きなスイーツ店になった。
美しい花嫁さんが投げたブーケは、カナキリさんがキャッチした。3メートルくらい離れていたのに、他の男性たちを押しのけてダッシュで行ったのには、まさに電光石火だと周囲の笑いを誘った。
「やった。やりました。ライトさん、次の花婿は私です!」
「え、ええ……」
食い気味に、ずいッと来た彼に、ちょっとだけドン引きしてしまった。
「ブーケがもらえたら、考えてくれるって言ってましたよね? ね?」
「ええ。勿論」
彼の大きな指のサイズは、23号。
随分前から、彼が結婚指輪を望んでいるのはわかっていた。ブーケを片手に、私に何かをいいたそうにしているけど、あまりしつこいとフラれるよというアドバイスでも受けたのか何もいってこない。
目は口ほどにおしゃべりだというけど。
私は、現実にはないしっぽをふりふりしている彼に微笑んだ。
「カナキリさん、ちょっと手をこっちにもってきて。そそ、そこ。で、パーをしてみて?」
私は、彼からブーケを受け取り、両手を広げた状態のまま、私のお腹あたりで、手の甲を空に向けさせた。
期待と不安かな? 目を少しうるうるさせた彼が、自分の左手の薬指と私の手を交互に見つめている。
私の親指と人指指の間には、硬い輪っかがある。剣を握る彼の手にふさわしく、飾り気のないプラチナの輪を、彼の指にゆっくりいれていった。
「あら?」
ところが、第二関節の節が大きくてそれ以上奥にいかない。無理やりやれば指が痛いだろうし、物理的に無理っぽい。
「……ごめんなさい。サイズを変えないと!」
やらかしてしまった。本当なら、素敵なプロポーズにしたかったのに。
「い、いや。ぴったりですから! このままでいいです。このままがいいですから!」
カナキリさんが、無理やりぎゅうぎゅう指輪を押し込めようとする。私は、そんな彼がとてもかわいく思えて、自分から初めて彼にキスをした。
「ライトさん……!」
突然のキスに、彼が唇に両手の指先をあてて、うるうる目を潤ませている。なんか、乙女みたい。
「私のファーストキッスが……。もう、お婿に行けません。責任、とってくれますよね?」
あ、乙女だった。そうだった、彼はこれまでに女性とお付き合いしたことがない。つまり、純潔の童貞。それに、彼の手には、あの時に私の手を握っていたせいで、重度のやけどの跡が残っている。つまり、私が彼をキズモノにしたのだ。
「カナキリ・YSR・パイプベンダ卿、私の夫になってくださいますか?」
「私でよければ、よ、よろこんでっ!」
正直、一度裏切られているから、彼のことをそこまで信用できていない。でも、もしかしたら、彼とは毎日のように永遠を誓える気がする。
義姉になった兄の奥様から、彼女のかぶっていた白いベールを被せられた。どうやら、もともとそのつもりだったようだ。
ここにいる人たちから、温かい拍手と祝福をいただく。主役は兄たちなので、私たちのサプライズのようなイベントはすぐに終わった。他にも、例のごとく若い騎士君たちが、マダムに見初められるというおめでたいことがあり、そんな彼らを羨ましすぎて血の涙を流す一部から、結婚が決まったカナキリさんたちはかなりアルコールを飲まされた。
カナキリさんは、かなり酒に強かったようだ。1ガロンほどの酒を飲まされ、文字通り、頭からアルコールを被せられたにもかかわらず、肌が全く赤くなっていない。ただ、アルコールのせいかなんなのか、気分はかなり高揚しているようで、にこにこ笑顔で私を横抱きにして家に入って行った。
「ライトさん、責任とってくれるんでしょう?」
「ええ」
私に触れる大きな手が震えている。そっと彼にキスをすると、がばっと覆いかぶさってきた。身動きできない程の巨体に押しつぶされそう。
強いアルコールの香りのするキスは、あっという間に私を酔わせた。いつもの優しいワンコのような彼は、どこに行ったのか。ただ、夢中になって私の体を味わう彼は、まるで必死で獲物を頬張る獰猛な獣にも見える。
私の方はと言えば、まあ初めてではないから若干余裕があると思ったら大間違いで。
ここ数年はご無沙汰だったし、経験の数は同年代のマダムたちよりも遥かに下。だから、彼の動きに合わせるだけでアップアップになった。
「ん」
剣を握っている彼の指は、とてもごつごつしていて硬い。でも、思ったよりも指先が優しくて柔らかだった。もしかして、私のために指先の手入れをしてくれたのだろうか。
慣れていない彼の指の動きが、嬉しいようなもどかしいようなぞくぞくするような変な気分にさせる。息があがるものの、絶頂には程遠い気持ちの良さだけが襲ってくる。
「はあ、ライトさん。もう……」
「私も」
彼が限界に来たようだ。促されるまま足を広げて、彼の腰を受け入れる。数年かけて狭くなったそこは、体の大きな彼に見合った大きな存在を受け入れられるのだろうか。経験したことのない圧迫感に、息がつまった。
「か、はぁ……んんっ」
苦しそうな、でも、恍惚とした彼の表情が、私の体の奥の熱をあげる。やがて、彼とぴったりつくと、ぶるりと彼の体が震えた。
「……」
「……」
あー……
純潔な男性にはままある、いや、よくある事象だ。こういう時は、変に言葉をかけないほうがいいわよとマダムが言っていたのを思い出した。情けなさそうに目を閉じて眉を下げる彼に、ぎゅっと抱き着いた。
なんとなく、そういう気分じゃなくなって、それ以降は、とてもゆったりとした時間を過ごした。
「指輪、サイズ調整にいかなきゃね」
「はい!」
ケロイドになった桃色の隆起は、感覚がするどくなっているのかちょっとした刺激で傷むみたい。指輪をしても大丈夫か気になるが、それでもきちんと指にしたいらしい。
彼の手をきゅっと握ると、同じように返してくれる。
これから先、何が起こっても、この手をお互いに離さないように、彼が私を大切にしてくれる気持ち以上に、私も出来ること全てをかけて彼に返してあげたいと思う。
【R18】結婚指輪を外した夫と、結婚指輪を望む彼 完結
最後までお付き合いいただきありがとうございました
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