上 下
80 / 84

74 ※R要素あり

しおりを挟む
 荒れ地に来てから半年が経過した。フェルミは、時々依頼される、はびこり過ぎている根の深い雑草や、どこまでも伸びて侵食していく蔓性植物などを、スキルで枯らす仕事をこなすくらいで、ほとんど何もせず生活をしている。

「他の人達は、休む間もなく仕事をしているのに、私だけ、こんなにも楽をさせてもらっていいのかしら?」
「フェルの仕事は、ここに来ていることだけで他のやつらよりも貢献している。本来なら、俺と結婚して、好きな場所で過ごしているのに。俺はとしては、今すぐにでも、こんなところはおさらばしたいんだが」

 そういうカインは、フェルミの護衛として彼女と一緒にいる。裏はないが無遠慮に彼女に近づこうとする人々を追い払い、フェルミを手に入れようとする害虫駆除するなど、護衛としての役割をこなしていた。

 時間を持て余して、図書館で読書をしたり、誘われたお茶会などに参加したりと、住む場所と関わる人々が変わる以外、平和な毎日を過ごした。

 研究者の仮説は概ね合っていたようで、フェルミを中心とした半径50キロほどの広大な領地に、その場所にいるだけで植物が反応することがわかった。
 フェルミが赴任する前とあとでは、雑草ですら成長が緩やかになっているという。とはいえ、直接手でふれていないので枯れることはなく、理想的な成長スピードを保っているらしい。

 それを元に、専門家が国を巡るポイントを決めていくことになった。

 必要な期間は、こればかりは諸条件が違うため、現地に行って調査してみないと不明だとのことだが、この地方は、あと2ヶ月もすれば問題がなくなるとのことだった。
 ただ、この地を離れたあとの植物の動きも注視しなければならず、その結果によっては、フェルミは一生この国を巡回し続けなければならないかもしれないと言われた。

 その夜、ベッドで愛を確かめあったあと、いつものようにカインに抱きかかえられて風呂に入る。彼の膝の上で、湯船に浮いたシャボンを手に取り、ふうっと息を吹きかけて飛ばす。

 そんな風に遊んでいると、カインが後ろからぎゅうっと抱きしめてくれる。今の一瞬が涙が出そうなほど嬉しくて、こんな風に優しい時間だけがあればいいと、幸せな時に浸っていた。

 ぽすんと彼の胸に背を預ける。すると、カインの手が彼女の大きな膨らみに伸びてきた。

「もう、カインったら」
「これは、俺のだから自由にしていいんだ」
「私のなんだけど」

 水で浮いた、膨らみの先端に少しだけ着いた泡を、カインが指で取り除く。たちまち、ぞわっとした感覚がフェルミをぴくつかせて、甘い声が漏れた。

「ふわぁん! もう、やめてったら……ぁんっ!」
「どうしようかな? だって、俺のだし」

 カインが笑いながら、先端を指でつまむ。こりこりに尖ったそこを、こねたり弾いたりと、自分勝手に弄ばれた。

「あっ、ああっ!」

 彼の指先の動きに翻弄される。はぁはぁと、荒く甘い息を吐きながら、後手にカインの反り返った杭を握って反撃した。

「フェル、そこは反則」
「こ、ここは、私のだから」
「それはそうだけど、フェル、だけど、そんなことをされたら……うっ」

 自分で言っててものすごく恥ずかしい。彼に反撃しようとすればするほど、特大ブーメランになって自分自身に返ってきている。当のカインは、そんなフェルミの攻撃に、ノーダメージどころか、すごくうれしそうだ。
 フェルミは、彼がもたらした小さな快楽や湯船の温度だけではなく、真っ赤になった。

「はぁ、俺の女神は、本当に淫らで愛らしいな」
「カインのえっち」
「フェルもだろ。ほら」
「ああんっ!」

 カインの右手が、フェルミの足の付根に入り込む。浴槽の水のなかだというのに、ぬるりとぬかるんだそこは、彼の指をやすやすと侵入させた。
 粒を手のひらで擦りながら、浅いところを刺激される。ふるりと体が揺れ、お腹の奥が寂しさを訴えてきた。
 カインの指が、体の中から出ていき、腰に手をあてられた。

「ああ、もう挿れたい。腰をあげて」
「ん……」

 おしりをあげて、指先で先端を蜜口に誘導する。ゆっくり体を落としていると、腰にあてられたカインの手が体を下に落とした。

「ああっ!」
「くっ」

 突然の強い衝撃に息がつまる。びりびりと電気が体に走ったかのようだ。口を大きく開け、だ液が流れ落ちた。ざぶざぶと、激しい水の音がする。時に静まり、奥を切っ先でぐりぐりと刺激された。

「ん、んあっ!」
「フェル、フェル……ああ、しぼりとられそうだ」

 最高に気持ちいいと、カインが耳元でささやく。その言葉で、フェルミは嬌声をあげて体をのけぞらせた。ぴくぴくと体が震え、きゅうきゅうと彼の杭を締め付ける。

「あ、あっ……カイン、カイン!」

 奥にぐいっとあてられ、彼の熱が中で広がる。もっと、それで体の中をいっぱいにして欲しいと腰を揺らした。

「フェル、はぁ……愛してる」
「あぁ……はぁ、私も……」

 体も心も脱力して、何も考えられない。カインも、まだまだ元気そうだが、体を洗って外に出た。

「あ……」

 どろりと、彼の白い熱が、恥ずかしい道を通って流れ落ちる。その小さな刺激すら、フェルミの体を震わせた。

「俺としては、早く子供が欲しいんだが」
「ん……わたしも……」

 この地方に来てから、カインはあるものを入手してきた。それは、体に安全な避妊の薬草茶だった。少し臭みがあり苦い。国家のプロジェクト中に妊娠するわけにはいかない。カインが淹れたそれを、こくりこくりと飲み干す。

 お腹をそっと手で擦り、いつかここに、カインの血を継ぐ新たな生命が産まれたらと願った。

「カイン、あのね……。私のスキルって、とても恐ろしいものだと思うの。今は、植物の成長が早すぎるから、私のスキルで、平常通りの成長を促すためのバランスが取れるから、結果的に良い結果になるんでしょうけど……これが平時なら、私の存在自体は、本当に忌むべきものだったんじゃないかって」
「フェル……それを言うのなら、俺のスキルだって恐ろしいものだ。火は全てを焼き尽くすことができるからね。どの属性のスキルも、使いようだろ?」
「カインたちは、自分の意志でコントロール出来るでしょ。でも私は、いるだけで周囲に影響があるじゃない……」

 ただ、ここにいるだけで広範囲の自然に影響を及ぼすスキルなど、聖女様の浄化のような強力なものくらいだ。普通の環境下なら、まず間違いなく、自分は世界にとって排除しなければならない存在だろう。

「なんだ、そんなこと。コントロール出来るようになったらいいだろ?」
「どうやって? 研究者の方々すら、まだ未知数のスキルだからわからないことが多いって仰っているのに……」
「だからこそ、だ。フェルミだけがコントロールするんじゃなくてさ。いつか、皆で土地を守りながら収穫高をコントロール出来るようになるかもしれないし、別の方法で策を講じることが出来るかもしれない。だろう、かもしれないって話しになるんだけどね。国やフェルの今の行動の評価は、そうだなあ……俺達が一緒に天に召されてから、それこそ孫やひ孫の代にしかわからないんじゃないか?」

 カインは、フェルミを元気づけるためにも、いつだって前向きな意見をくれる。それは、何を考えても仕方がないと、能天気に話しをしているのとほぼ同じことだった。

 フェルミも彼の言うことを理解していた。けれど、時々、自分以外の全てが、枯れ果てた植物の周りで倒れ世界が終わるような考えがふとよぎるのだ。
 胸が潰れそうなほどの不安が押し寄せ、それを振り払うために、カインを求めて抱いたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

孕まされて捨てられた悪役令嬢ですが、ヤンデレ王子様に溺愛されてます!?

季邑 えり
恋愛
前世で楽しんでいた十八禁乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したティーリア。婚約者の王子アーヴィンは物語だと悪役令嬢を凌辱した上で破滅させるヤンデレ男のため、ティーリアは彼が爽やかな好青年になるよう必死に誘導する。その甲斐あってか物語とは違った成長をしてヒロインにも無関心なアーヴィンながら、その分ティーリアに対してはとんでもない執着&溺愛ぶりを見せるように。そんなある日、突然敵国との戦争が起きて彼も戦地へ向かうことになってしまう。しかも後日、彼が囚われて敵国の姫と結婚するかもしれないという知らせを受けたティーリアは彼の子を妊娠していると気がついて……

【R18】軍人彼氏の秘密〜可愛い大型犬だと思っていた恋人は、獰猛な獣でした〜

レイラ
恋愛
王城で事務員として働くユフェは、軍部の精鋭、フレッドに大変懐かれている。今日も今日とて寝癖を直してやったり、ほつれた制服を修繕してやったり。こんなにも尻尾を振って追いかけてくるなんて、絶対私の事好きだよね?絆されるようにして付き合って知る、彼の本性とは… ◆ムーンライトノベルズにも投稿しています。

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。 あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。 そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。 翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。 しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。 ********** ●早瀬 果歩(はやせ かほ) 25歳、OL 元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。 ●逢見 翔(おうみ しょう) 28歳、パイロット 世界を飛び回るエリートパイロット。 ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。 翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……? ●航(わたる) 1歳半 果歩と翔の息子。飛行機が好き。 ※表記年齢は初登場です ********** webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です! 完結しました!

スパダリ猟犬騎士は貧乏令嬢にデレ甘です!【R18/完全版】

鶴田きち
恋愛
★初恋のスパダリ年上騎士様に貧乏令嬢が溺愛される、ロマンチック・歳の差ラブストーリー♡ ★貧乏令嬢のシャーロットは、幼い頃からオリヴァーという騎士に恋をしている。猟犬騎士と呼ばれる彼は公爵で、イケメンで、さらに次期騎士団長として名高い。 ある日シャーロットは、ひょんなことから彼に逆プロポーズしてしまう。オリヴァーはそれを受け入れ、二人は電撃婚約することになる。婚約者となった彼は、シャーロットに甘々で――?! ★R18シーンは第二章の後半からです。その描写がある回はアスタリスク(*)がつきます ★ムーンライトノベルズ様では第二章まで公開中。(旧タイトル『初恋の猟犬騎士様にずっと片想いしていた貧乏令嬢が、逆プロポーズして電撃婚約し、溺愛される話。』) ★エブリスタ様では【エブリスタ版】を公開しています。 ★「面白そう」と思われた女神様は、毎日更新していきますので、ぜひ毎日読んで下さい! その際は、画面下の【お気に入り☆】ボタンをポチッとしておくと便利です。 いつも読んで下さる貴女が大好きです♡応援ありがとうございます!

冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!

仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。 18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。 噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。 「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」 しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。 途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。 危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。 エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。 そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。 エルネストの弟、ジェレミーだ。 ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。 心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

処理中です...