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67 夜魔よりも誘う雇い主 ※R要素あり

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「はぁ、フェル……」

 指先でほんの少し肌に触れる。たったそれだけで、体を震わせて声をあげる彼女をもっと見たい。

 赤く染まった白い肌。潤んだ瞳も、キスで腫れた唇も、何もかもが愛おしい。まるで、男を誘う夜魔のように淫らで、果実よりも甘くとろける蜜のようだ。

 ぷるんと震える2つの曲線は、指が沈み込むほど柔らかいのに、先端は硬く尖り吸ってくれとせがんでくる。誘われるがまま吸い付くと、高い声と共に彼女が跳ねた。

「ああ、んぅ……はぁん」

 堪らえようと閉じた唇を開けてほしくて、人差指を入れる。すると、だ液で濡れた唇が、ちゅうっと吸い付いた。

「ああ、フェル。かわいい」
「ん、んんっ」

 指を彼女の舌で味わって貰いたい。噛み合わせが開いたと同時に更に差し込む。

「んむぅ、は、んん」

 柔らかく舐り取ろうとする舌先に、絡め取って欲しい。彼女に触れた全てから、どれほど彼女を愛し欲してるのかを知って欲しくなる。

 唇を独占する自分の指先にすら嫉妬を覚えて、胸から口を離して、唇を味わう。彼女のザラザラした舌の感触と甘さを堪能しつつ、胸の尖りを可愛がった。

「カイン、はぁ、はぁ……わ、私、もう……どうしたら……」
「そのまま、逃げないで」
「でも、このままだと、私、おかしくなりそうで怖い……」

 彼女は仮初の夫がいただけで、男との遍歴はないはずだ。最初の積極的なキスのせいで、自分の前に彼女の肌に触れた男がいたのかと、火山の地下で燃えたぎるマグマのような怒りも沸いたが、それは杞憂だったようだ。

 初めての快楽から、助けを求めるように、その手を伸ばしてくる。その感覚をもたらしているのは、他ならぬ自分だというのに。

「怖くない。ほら」
「あ、そこは……ああっ!」

 足の付根に手を差し込むと、下着ごしでもわかるほどぐっしょり濡れていた。小さな粒に、指先を触れさせると、一際大きく嬌声があがる。さすさすと擦ると、それに合わせてビクつき、弾くと腰を踊らせた。

「あ、ああ! そこ、も、やだぁ……」
「自分でも触ったことがないのか?」
「自分でなんて……や、やぁ! んんっ!」

 そんな言葉を出す間にも、指の動きを止めなかった。顔を真赤にして、身悶える彼女がかわいらしくて、中心がずくりと熱を持つ。
 たまらなくなり、クロッチの部分を右に避けた。細い足の間は、しとどに濡れそぼっている。そっと花びらを開くと、早く欲しいと、言わんばかりに小さな口がひくついていた。

「カイン、恥ずかしいわ。お願い、見ないで」
「どこもかしこも、美しくてかわいいのに?」

 ゆっくり人差し指を差し込む。思った以上に狭いそこが、すぐさま指に絡んで奥に引きずり込むかのように吸着した。

「っ!」
「痛い?」
「痛くはない、けど……ああ、何か変……カイン、私、本当に初めてで……どうしよう、どうしたらいいのか……」

 涙が目尻に浮かんでいる。ちゅっと吸い取り慰めながら、すでに勃ち上がりきった自身をあてがう。

「フェル、愛してる。力を抜いて」
「カイン、ああっ、あ、あ……」

 彼女を守るように覆いかぶさり、ぬるりとした液をたっぷりつけた先端を少し入れる。

「カイン、カイン……い、……っ!」
「フェル、ごめん」

 彼女をこの世の誰よりも幸せにしたいのに、誰よりも泣かせているのは自分かもしれない。初めて彼女の中に入り、そしてこの先も自分だけかと思うと、さらにそこが膨れ上がる。
 これから彼女を襲う痛みを少しでも和らげることができるのなら、自分が変わってやりたかった。

 ゆっくり差し入れようとする度に、ぎゅうぎゅう中が締め付けられた。周りを取り囲む柔壁は、指のときは、たしかに奥へと誘おうとしてくれていたのに、痛みのあまり押し返してきた。

「フェル……」

 顔も体も心も、何もかもがいっぱいいっぱいのような彼女を見下ろす。すると、痛そうにしているのに、大丈夫だと小さく笑う彼女がいじらしくて、我慢の糸が切れた。

「あーっ!」
「フェル、ごめん」

 はふはふと、痛みを堪らえようと小さく息をくり返している。
 このまま抜こうかと頭の一部では考えるのに、欲望のまま腰が勝手に動こうとした。彼女の奥深くでつながることで、とてつもない様々な欲が満足するどころか、もっと蹂躙したいと鎌首をもたげる。それを抑えるために、必死にあらがっていると、頬に彼女の手が添えられた。

「カインも、痛い?」
「いや、気持ち良すぎて、堪えるのが大変なだけだ。痛くしてごめん」
「きもち、良い? ほんと? なら、続けていいよ?」

 愛しい人とひとつになれただけでも幸せなのに、その言葉に甘えて、思うまま腰を打ち付けたくなる。

「はぁ、フェルがかわいすぎて困る」
「カイン?」
「ごめん、なるべく優しくするから、もう少しだけ付き合って」
「ええ。カイン、愛している」

 どうすれば、彼女の一挙手一投足によって翻弄される醜い欲望を抑えることができるのだろうか。無自覚にカインを挑発して誘惑してくる愛しい人が、本気で夜魔の一種のように思える。

 彼女の様子を伺いながら腰を引く。辛そうにしているものの、耐えれなくはなさそうだ。腰を押し付け、奥に先端を口づけさせると、彼女の身体が上にあがる。
 ふるりと大きな胸が揺れ、赤い尖りに吸い付きながら、右手の指で、結合部のすぐ上の粒をいじった。

「ああっ! あっ、あっ!」

 少しは、痛みから気を紛らわせることができたようだ。きゅうっと中が締まった。

「う、フェル……」

 腰が蕩けそうだ。女性の中が、これほどのものだとは思っていなかった。すぐにでも持っていかれそうになる。

 男たちが、この行為をしたがる理由がやっと分かった気がした。

 いつの間にか、パンパンと高く肌を打つ音が速くなっていた。程なくして、吐き出したいと、ぶるりと下半身が震える。急速にせりあがってくるそれを、彼女の中で果たくて仕方がなかったが、さっと引き抜き、薄い腹に数度吐き出した。

 足をだらしなく軽く広げて、やや放心状態の彼女の体に、自分の邪なそれがついている。積りたての雪に、初めて足跡を残したのが自分だという証の用に思えた。

 全部出しきったはずなのに、半ば硬度をなくした下半身に血が集中した。だが、ひとつになっていた場所に赤いものが見えた瞬間、一斉に収まっていく。

「はぁ、はぁ……カイン?」
「フェル、はぁ。まだ痛い?」
「ううん。ちょっとだけヒリヒリするくらい。それよりも、カインとこうしていられて、とても幸せなの。え、っと。カインは?」
「俺のほうが、もっと幸せだと思う。それに、最高によかった。だけど、これだけでは足らないな」
「足らない?」
「ああ。でも、今日はもういいよ」

 出血していることを伝えると、彼女は真っ赤になりシーツに隠れてしまった。

「早く、治療しないとね」
「え?」

 体の中に傷が出来ている以上、治療が必要だろうと思った。だが、フェルミは、そもそも薬がないという。数日かけて、自然に治癒するのを待つらしい。

 それならば、早く休もうと、力が入らなくなった彼女を浴室に連れて行った。ここは、皇室関係者がとまるような、上級の部屋だ。ベッドは大きいし、バスルームにはシャワーだけでなく湯船もある。

 水の国出身の船員のスキルによって、海水から真水に変換された水が使用できる。蛇口をひねると充分すぎるほど水が出た。
 カインは、自分のスキルであっという間に適温まで水温を調節し、フェルミと一緒に湯船に浸かる。

「カイン、私、ひとりで洗えるから……」
「ダメ。ほら、力が入らないだろ?」
「きゃあっ!」

 太ももに乗せた、丸いおしりを揺らす。すると、バランスを失った彼女がしがみついてきた。

「ははは、大人しく言うことを聞いて」
「もう、わざとでしょ? カインったら、やっぱり意地悪だわ」
「そうか?」

 ぷうっと頬を膨らませて拗ねる彼女も、たまらなく好きだ。

「そうよ。意地悪で…………嘘よ、とても優しくて……好き」
 
 拗ねながらも、こうして素直に俺にすがってくる彼女もまた、愛おしさを募らせる。

 湯船に浮かぶふたつの丸い山が、俺の胸にぴたりとくっつき形を変える。

「え? カイン?」
「本当にまいったな……。フェルがかわいすぎるのが悪い、暫くしたらおさまるよ」

 折角静まったのに、股間の欲が起き出した。彼女のおしりに触れたのだろう、気づかれたようだ。

「え、っと……たしか、こうやって、こう、だったはず」
「フェル? 何を? うわ!」

 フェルミが、あろうことか手でそれを掴んできた。まだ敏感なそこが、あっというまにビキビキに大きく膨らむ。

 イラストつきの本で、男を喜ばせる方法を覚えたらしい。あっという間に陥落し、彼女の肌を再び汚したのは言うまでもない。


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