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「改めて自己紹介をしよう。私の名は、チジン。チジン・ビスカ。ブロック国の侯爵だ」
「そのような方が、どうして私に?」
考えていた以上に、眼の前の男は物凄い立場のようだ。裏切り者が自分を攫ったように、人を攫うのが普通の岩の国で、どうして彼だけが穏便に自分に会いたがったのか、ますますわからなくなった。
「その質問に応える前に、いくつか質問しても?」
「どうぞ」
「君の母親は、グリーン国のカデュエ伯爵夫人で間違いないかい?」
「……産んだのは、その方だと聞いています」
「父親は、ゼアト伯爵」
「お父様のお名前は、そうだったと思いますが……」
チジンは、フェルミの応え方に違和感を感じたが、話しを進めた。
「君は、母親から何も聞いていない?」
「あの、何をおっしゃりたいのでしょうか? 伯爵夫人とは、何かを聞く関係ではないというか、産まれてから、お会いしたのは1度だけです。しかも、5分にも満たない時間でした」
フェルミは、母親のことを聞いても、前ほど胸が痛むことがなくなっていた。それも、無意識に母を切望する心の痛みを、ファーリやカインたちが温めてくれたからだろうと、瞼に浮かんだ彼らの姿に感謝する。
「は? 数ヶ月前、君が生家でひどい扱いを受けていたと聞いた時には、まさかと思っていたが……。思った以上だったのか。すまない、私がもっと早く君の存在を知っていれば……」
「どうして、侯爵様が謝罪を? 私は幼少期に病死したことになっておりましたし、フレイム国に来た時に、初めて自分が生きていけるようにゲブリオ公爵様がたが取り計らってくれました。ですので、数ヶ月前に、初めて私という存在を侯爵様が知ったのも当然ですよね?」
「いや、それはそうなんだが。身も蓋もないというか。君が、生家でないがしろにされたのは、その髪の色と瞳の色のせいだろう?」
「それもあったようですが、決定打は植物を枯らすスキルを持っていたからです」
以前なら、こんな風に胸を張ってスキルのことを言えなかっただろう。だが、今のフェルミにとって、このスキルは恥でも呪いでもない、自らの誇りであった。
「気付かないかい?」
さっきから、侯爵は何を言いたいのか。怪訝な表情で彼を見つめる。彼の瞳は、自分と同じような色合いをしている。よくよく見れば、髪の色もそっくりだと思った。
「フェルミ、詳しい親子鑑定は神殿でなさねばならないが。君は、20年ほど前、グリーン国に外交で赴いた時に出来た、私の子だ、と思う」
「え? いま、なんて……」
侯爵は不確かだといいつつ、ほぼ100%の自信があるのだろう。だが、彼の言う通りのほうがしっくりくるほど、自分とチジンの色はそっくりだ。
「当時、私は仮面舞踏会で運命の女性に出会った。その人とは、本当は一夜限りにするつもりはなかったんだ。帰国後、既婚者である彼女を娶ろうと計画をしていたんだが、君を攫おうとしていた一派と争っていてね。忙しかったというのは言いわけでしかないが、キシロ伯爵家に子供が産まれたのを聞いたのは、君が病死したという時だった……。産まれてすぐ、カデュエが私に連絡をしてくれれば、すぐに迎えに行ったんだが……」
侯爵は、寂しそうにうつむいた。自分の子かもしれない女児の死亡の報せを聞き、彼はひと月ほど寝込むほどショックを受けたらしい。
その後、カデュエだけでも迎えに行こうとしたが、彼女が伯爵の子を次々設けたこともあり、侯爵は彼女のことを諦めて、別の女性と結婚したのだという。
「妻とは子供が出来なくてね。今回の件が片付いたら、ピスティを後継者にしようと思っている。その際、君がよければいとこ同士になるが結婚してもらいたいとも考えていた」
「ええ? 私とピスティさんが、ですか? それは彼に失礼ですし、ありえないです」
「ははは、その反応を見るに、本当にピスティは範疇外だったんだな。いや、甥から全く脈がないと聞いているから、ふたりの結婚はないだろうと思っていたが」
「そ、そうですか」
フェルミは、まだ、侯爵を父親と認識したわけではない。ずっと、伯爵家で自分を影から守ってくれていたゼアトが父親だと思っていた。
しかも、ピスティと自分がどうこうなるなど考えてもいなかったので反応に困る。
「ゲブリオ侯爵やフレイム国の人々は、君に縁談をたくさん準備しただろう?」
「縁談というか……」
お茶会などに出かけるたびに異様なほど男性を紹介されたし、騎士たちから少しはアプローチされていた。他国の貴族や皇族にも紹介されたこともあるので、自分が誰に嫁ぐのかも、国家間で重要視されているのかもしれないと考えていた。
そもそも、男性との未来を想像できないし、どこの誰を選んでもトラブルが起こりそうなため、特定の人を作るつもりはなかった。
「そうか、君は独身のまま過ごしたいというんだね?」
「こればっかりは、縁というものかと。今のところ、誰ともそういうことは望みません」
それから、他愛のない会話が続いた。
「今回、君を攫おうとした奴らは、帰国後すぐになんとかする。というより、君を攫おうとした今回のことで、処罰を与えることが出来ると言ったほうがいいな。生家や名ばかりの婚家には戻りたくないのだろう? どうだろう、これから、ブロック国も住みやすくなる。だからというわけではないが、良かったら私と一緒にブロック国に来ないか? 妻も、娘ができるのを待っているんだ」
フェルミは、出会って間もないというのに、チジンのことをすんなり受け入れていた。色だけでなく、どことなく自分にパーツが似ているからだろうか。神殿での親子鑑定は間違いがないような気がしていた。
「……ひとつ、いいですか?」
「ひとつどころか、娘のことなら、なんだって叶えよう」
「グリーン国に帰って、伯爵夫人と話しがしたいんです」
「君を虐……ないがしろにしていたのに? しかも、彼女は牢に入っていると聞いたが」
フェルミの願いに、侯爵は驚いた。顎に手をあてて、考え込む。
「少し前、騎士団長様を介して、同じことを頼んでみたんです。それと、ゲブリオ公爵には何度も手紙を送りました。ですが……」
「危険だから許可できないとでも言われたかな?」
「はい。ですので、夫人と会うのは、正攻法では不可能なんです。今なら、私が攫われたと思われている今なら、グリーン国に行けるかと。行ってしまえば、ゲブリオ公爵も、私を受け入れざるを得ませんし、夫人に会ったら、グリーン国の国王陛下がたののぞみも叶えると交渉しようかと」
フェルミの決意が硬いものだと知り、侯爵は彼女の気持ちを計りかねた。
「なぜ、会いたいんだ? 二度と会いたくないと言われる方がしっくりくるんだが」
「……私が、侯爵様の娘であるのなら、夫人は、若い頃に過ちを犯したんですよね? 今更、娘だと受け入れないと分かっています。私を、あれほど執拗に遠ざけた理由が、このせいなのか、他に理由があるのか知りたいんです。お父様がいなければ、私は、とうの昔に女神様のもとに還っていたでしょうから、お父様は騙されていたんですよね……知らせることが正しいのかわかりませんが、お父様に、夫人がやったことを知ってもらいたいっていう気持ちがあります 」
血の繋がった母を夫人と、血の繋がりのない伯爵をお父様と呼ぶ。そんな彼女の呼び方に、ふたりへの気持ちが現れていた。
チジンは、そんな彼女の願いを、条件付きで協力することを約束したのであった。
「そのような方が、どうして私に?」
考えていた以上に、眼の前の男は物凄い立場のようだ。裏切り者が自分を攫ったように、人を攫うのが普通の岩の国で、どうして彼だけが穏便に自分に会いたがったのか、ますますわからなくなった。
「その質問に応える前に、いくつか質問しても?」
「どうぞ」
「君の母親は、グリーン国のカデュエ伯爵夫人で間違いないかい?」
「……産んだのは、その方だと聞いています」
「父親は、ゼアト伯爵」
「お父様のお名前は、そうだったと思いますが……」
チジンは、フェルミの応え方に違和感を感じたが、話しを進めた。
「君は、母親から何も聞いていない?」
「あの、何をおっしゃりたいのでしょうか? 伯爵夫人とは、何かを聞く関係ではないというか、産まれてから、お会いしたのは1度だけです。しかも、5分にも満たない時間でした」
フェルミは、母親のことを聞いても、前ほど胸が痛むことがなくなっていた。それも、無意識に母を切望する心の痛みを、ファーリやカインたちが温めてくれたからだろうと、瞼に浮かんだ彼らの姿に感謝する。
「は? 数ヶ月前、君が生家でひどい扱いを受けていたと聞いた時には、まさかと思っていたが……。思った以上だったのか。すまない、私がもっと早く君の存在を知っていれば……」
「どうして、侯爵様が謝罪を? 私は幼少期に病死したことになっておりましたし、フレイム国に来た時に、初めて自分が生きていけるようにゲブリオ公爵様がたが取り計らってくれました。ですので、数ヶ月前に、初めて私という存在を侯爵様が知ったのも当然ですよね?」
「いや、それはそうなんだが。身も蓋もないというか。君が、生家でないがしろにされたのは、その髪の色と瞳の色のせいだろう?」
「それもあったようですが、決定打は植物を枯らすスキルを持っていたからです」
以前なら、こんな風に胸を張ってスキルのことを言えなかっただろう。だが、今のフェルミにとって、このスキルは恥でも呪いでもない、自らの誇りであった。
「気付かないかい?」
さっきから、侯爵は何を言いたいのか。怪訝な表情で彼を見つめる。彼の瞳は、自分と同じような色合いをしている。よくよく見れば、髪の色もそっくりだと思った。
「フェルミ、詳しい親子鑑定は神殿でなさねばならないが。君は、20年ほど前、グリーン国に外交で赴いた時に出来た、私の子だ、と思う」
「え? いま、なんて……」
侯爵は不確かだといいつつ、ほぼ100%の自信があるのだろう。だが、彼の言う通りのほうがしっくりくるほど、自分とチジンの色はそっくりだ。
「当時、私は仮面舞踏会で運命の女性に出会った。その人とは、本当は一夜限りにするつもりはなかったんだ。帰国後、既婚者である彼女を娶ろうと計画をしていたんだが、君を攫おうとしていた一派と争っていてね。忙しかったというのは言いわけでしかないが、キシロ伯爵家に子供が産まれたのを聞いたのは、君が病死したという時だった……。産まれてすぐ、カデュエが私に連絡をしてくれれば、すぐに迎えに行ったんだが……」
侯爵は、寂しそうにうつむいた。自分の子かもしれない女児の死亡の報せを聞き、彼はひと月ほど寝込むほどショックを受けたらしい。
その後、カデュエだけでも迎えに行こうとしたが、彼女が伯爵の子を次々設けたこともあり、侯爵は彼女のことを諦めて、別の女性と結婚したのだという。
「妻とは子供が出来なくてね。今回の件が片付いたら、ピスティを後継者にしようと思っている。その際、君がよければいとこ同士になるが結婚してもらいたいとも考えていた」
「ええ? 私とピスティさんが、ですか? それは彼に失礼ですし、ありえないです」
「ははは、その反応を見るに、本当にピスティは範疇外だったんだな。いや、甥から全く脈がないと聞いているから、ふたりの結婚はないだろうと思っていたが」
「そ、そうですか」
フェルミは、まだ、侯爵を父親と認識したわけではない。ずっと、伯爵家で自分を影から守ってくれていたゼアトが父親だと思っていた。
しかも、ピスティと自分がどうこうなるなど考えてもいなかったので反応に困る。
「ゲブリオ侯爵やフレイム国の人々は、君に縁談をたくさん準備しただろう?」
「縁談というか……」
お茶会などに出かけるたびに異様なほど男性を紹介されたし、騎士たちから少しはアプローチされていた。他国の貴族や皇族にも紹介されたこともあるので、自分が誰に嫁ぐのかも、国家間で重要視されているのかもしれないと考えていた。
そもそも、男性との未来を想像できないし、どこの誰を選んでもトラブルが起こりそうなため、特定の人を作るつもりはなかった。
「そうか、君は独身のまま過ごしたいというんだね?」
「こればっかりは、縁というものかと。今のところ、誰ともそういうことは望みません」
それから、他愛のない会話が続いた。
「今回、君を攫おうとした奴らは、帰国後すぐになんとかする。というより、君を攫おうとした今回のことで、処罰を与えることが出来ると言ったほうがいいな。生家や名ばかりの婚家には戻りたくないのだろう? どうだろう、これから、ブロック国も住みやすくなる。だからというわけではないが、良かったら私と一緒にブロック国に来ないか? 妻も、娘ができるのを待っているんだ」
フェルミは、出会って間もないというのに、チジンのことをすんなり受け入れていた。色だけでなく、どことなく自分にパーツが似ているからだろうか。神殿での親子鑑定は間違いがないような気がしていた。
「……ひとつ、いいですか?」
「ひとつどころか、娘のことなら、なんだって叶えよう」
「グリーン国に帰って、伯爵夫人と話しがしたいんです」
「君を虐……ないがしろにしていたのに? しかも、彼女は牢に入っていると聞いたが」
フェルミの願いに、侯爵は驚いた。顎に手をあてて、考え込む。
「少し前、騎士団長様を介して、同じことを頼んでみたんです。それと、ゲブリオ公爵には何度も手紙を送りました。ですが……」
「危険だから許可できないとでも言われたかな?」
「はい。ですので、夫人と会うのは、正攻法では不可能なんです。今なら、私が攫われたと思われている今なら、グリーン国に行けるかと。行ってしまえば、ゲブリオ公爵も、私を受け入れざるを得ませんし、夫人に会ったら、グリーン国の国王陛下がたののぞみも叶えると交渉しようかと」
フェルミの決意が硬いものだと知り、侯爵は彼女の気持ちを計りかねた。
「なぜ、会いたいんだ? 二度と会いたくないと言われる方がしっくりくるんだが」
「……私が、侯爵様の娘であるのなら、夫人は、若い頃に過ちを犯したんですよね? 今更、娘だと受け入れないと分かっています。私を、あれほど執拗に遠ざけた理由が、このせいなのか、他に理由があるのか知りたいんです。お父様がいなければ、私は、とうの昔に女神様のもとに還っていたでしょうから、お父様は騙されていたんですよね……知らせることが正しいのかわかりませんが、お父様に、夫人がやったことを知ってもらいたいっていう気持ちがあります 」
血の繋がった母を夫人と、血の繋がりのない伯爵をお父様と呼ぶ。そんな彼女の呼び方に、ふたりへの気持ちが現れていた。
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