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フェルミは、身支度を始めようとした時、初めてここが自分の客室ではないことに気づいた。どうやら病室で看病をされていたようだ。着替えなど手荷物は運ばれており、慣れた手つきで着替えなどを準備した。
さっとシャワーを浴びて着替えを済ませると、貴賓室に案内された。道中、フェルミが起きたことを聞きつけた乗客たちが彼女に近づこうをとするのを、船員たちが必死で防いでいる。船員たちの屈強な体ごしに、人々の熱狂的な声が聞こえる。顔をあげてそちらを向くと、歓声が沸き起こった。
「あ、あの……。私は出来ることをしただけで……。皆様、ご心配をおかけしました」
フェルミは戸惑いながら、何化しなければと思い人々にぺこりと頭を下げた。すると、さらに騒々しくなり、船員たちに早く行くよう言われる。
「フェルミさん、病み上がりなんだから、対応しなくていい。早く行こう」
「はい、カインさん」
カインは、フェルミの護衛どころか夫並みの距離の近さだ。腰に手を当てて隣を歩いていた。船の狭い通路では仕方がないにしても、近すぎる。だが、周囲の状況に圧倒され続けているフェルミは、彼の近さに気づいていなかった。
程なく歩くと、ひときわ豪華な部屋に案内された。そこには、船長や船員数名のほか、初老の男性が座っていた。
「おい、船長。公爵がいるなんて話が違う。この場には、部外者はいないと聞いていたから、彼女を連れてきたんだ」
彼らの姿を見るや否や、カインの眉が吊り上がる。目を細めて船長を射殺さんばかりに睨んでいた。
「そう言うなって。こちらとしても事情があってな。俺は、閣下が同席していたほうがいいと判断した。それに、決めるのはお前じゃない。フェルミさんだろう?」
「だが、彼女は状況も何もかもがわかっていない」
「だからこそ、だ」
ふたりの睨み合いが続く。カインの隣で、フェルミは彼らの顔をじっと見ていた。どの表情も、自分に対する恐怖や嫌悪感がないように見える。それどころか、とても好意的で、フェルミと話をしたがっているようにも思えた。
「あの、カインさん……。私、自分でいうのもなんですが、本当に訳が分かっていなくて。恐らくは状況を聞いても、どうすればいいのか判断がつかないと思うんです。ですから、まずは、皆さんのお話を聞いてみたいです」
フェルミがカインにそう言うと、カインは渋々頷いた。船長の主導で一通り紹介が終わると、フェルミは改めて全員に頭を下げる。
「初めまして。私は、フェルミ・バスタと申します」
すると、一番高齢の男性が彼女に応えた。どうやら、彼は目が覚めた時にカインが対応していた男性のようだ。髪は白くなっているが若草色の瞳をしている。
「フェルミさん、今回、船を動かすために自らを省みずスキルを使ったと聞いた。おかげで、わしは孫娘の結婚式に間に合う。下手をすれば国際問題になりかねなかったのだ。改めて礼を言う」
フェルミは、カインから彼がグリーン国の公爵で、フレイム国の王子と彼の孫娘の結婚式に参列する予定だったのだと聞き、心臓が飛び出そうなほどびっくりした。慌てて頭を深く下げる。
「あ、あの、あの。公爵様、そんな。えーと。わ、私……」
「頭をあげると良い。この船に乗る人々は、それぞれの事情をかかえている。わしのように、到着時刻が遅れれば、取り返しのつかなかった者も多いだろう。そんな彼らにとっても、フェルミさんは大恩人というわけだ」
「畏れ多いことです……」
公爵は、謙遜するフェルミを気に入ったようだ。ともすれば、恩を着せて過大な要求をする者が多い。ちょっとした財産を手に入れることも可能だろう。だというのに、当たり前のことをしただけだと、何も望まないフェルミを、しげしげと見つめていた。
「……フェルミさん、いきなりで失礼だが、君はロキソ伯爵の血縁者ではないか?」
「え……」
フェルミは、バスタと名乗った。彼女の存在は、祝福を受けた日に消されている。彼女自身、伯爵家では離れから出ることもなく、ひっそりと生きてきた。だというのに、なぜ目の前の公爵が知っているのかと身構えた。
「今から20年ほど前、ロキソ伯爵家に赤錆色の令嬢が産まれた。彼女は祝福を受ける際、女神の木の枝を瞬く間に枯らしたという。そこから先は、彼女の痕跡が消えてしまっていた。国への報告書には、産まれて間もなく病死したとされる子、それが、実は生きていた。君のことじゃないのかね?」
「……」
下手なことは言えない。バスタ家から離縁されて、やっと自由の身になれたのだ。ここで、伯爵家に連れ戻されようものなら、ファーリとも離れた今、再び地獄のような日々が始まる。フェルミは俯いたまま、口を堅く閉じていた。
「これでも、主要貴族の家の情報などは掌握しているのでね。君が眠っている間、グリーン国にいる部下たちに調べてもらった。バスタ子爵を調べれば、容易にわかったよ」
船旅をする以上身分査証は罪になる。とはいえ、新たな姓を買う時間もお金もなかった。仕方なくバスタの姓を使ってチケットを手に入れてカインとも雇用契約を結んだ。
子爵たちがロキソ伯爵に度重なる借金をしたことからすぐに素性がばれたのだが、まさか、ここにきて伯爵家の名を聞くとは思っていなかった。
体の底から体温が奪われるような、絶望がフェルミを襲う。
「あのスキルは、使いようによってはとても危険だ。これがどういうことか、わかるかね?」
「……わ、私、捕まるんでしょうか……。公爵様、お願いです。わ、私、あの国には戻りたくありません。もう二度とスキルを使わないと誓います。ですから、どうか、見逃してはいただけないでしょうか?」
フェルミは、必死に公爵に懇願した。ソファから降り、膝をつこうとしたところ、カインが彼女を止めたのである。
さっとシャワーを浴びて着替えを済ませると、貴賓室に案内された。道中、フェルミが起きたことを聞きつけた乗客たちが彼女に近づこうをとするのを、船員たちが必死で防いでいる。船員たちの屈強な体ごしに、人々の熱狂的な声が聞こえる。顔をあげてそちらを向くと、歓声が沸き起こった。
「あ、あの……。私は出来ることをしただけで……。皆様、ご心配をおかけしました」
フェルミは戸惑いながら、何化しなければと思い人々にぺこりと頭を下げた。すると、さらに騒々しくなり、船員たちに早く行くよう言われる。
「フェルミさん、病み上がりなんだから、対応しなくていい。早く行こう」
「はい、カインさん」
カインは、フェルミの護衛どころか夫並みの距離の近さだ。腰に手を当てて隣を歩いていた。船の狭い通路では仕方がないにしても、近すぎる。だが、周囲の状況に圧倒され続けているフェルミは、彼の近さに気づいていなかった。
程なく歩くと、ひときわ豪華な部屋に案内された。そこには、船長や船員数名のほか、初老の男性が座っていた。
「おい、船長。公爵がいるなんて話が違う。この場には、部外者はいないと聞いていたから、彼女を連れてきたんだ」
彼らの姿を見るや否や、カインの眉が吊り上がる。目を細めて船長を射殺さんばかりに睨んでいた。
「そう言うなって。こちらとしても事情があってな。俺は、閣下が同席していたほうがいいと判断した。それに、決めるのはお前じゃない。フェルミさんだろう?」
「だが、彼女は状況も何もかもがわかっていない」
「だからこそ、だ」
ふたりの睨み合いが続く。カインの隣で、フェルミは彼らの顔をじっと見ていた。どの表情も、自分に対する恐怖や嫌悪感がないように見える。それどころか、とても好意的で、フェルミと話をしたがっているようにも思えた。
「あの、カインさん……。私、自分でいうのもなんですが、本当に訳が分かっていなくて。恐らくは状況を聞いても、どうすればいいのか判断がつかないと思うんです。ですから、まずは、皆さんのお話を聞いてみたいです」
フェルミがカインにそう言うと、カインは渋々頷いた。船長の主導で一通り紹介が終わると、フェルミは改めて全員に頭を下げる。
「初めまして。私は、フェルミ・バスタと申します」
すると、一番高齢の男性が彼女に応えた。どうやら、彼は目が覚めた時にカインが対応していた男性のようだ。髪は白くなっているが若草色の瞳をしている。
「フェルミさん、今回、船を動かすために自らを省みずスキルを使ったと聞いた。おかげで、わしは孫娘の結婚式に間に合う。下手をすれば国際問題になりかねなかったのだ。改めて礼を言う」
フェルミは、カインから彼がグリーン国の公爵で、フレイム国の王子と彼の孫娘の結婚式に参列する予定だったのだと聞き、心臓が飛び出そうなほどびっくりした。慌てて頭を深く下げる。
「あ、あの、あの。公爵様、そんな。えーと。わ、私……」
「頭をあげると良い。この船に乗る人々は、それぞれの事情をかかえている。わしのように、到着時刻が遅れれば、取り返しのつかなかった者も多いだろう。そんな彼らにとっても、フェルミさんは大恩人というわけだ」
「畏れ多いことです……」
公爵は、謙遜するフェルミを気に入ったようだ。ともすれば、恩を着せて過大な要求をする者が多い。ちょっとした財産を手に入れることも可能だろう。だというのに、当たり前のことをしただけだと、何も望まないフェルミを、しげしげと見つめていた。
「……フェルミさん、いきなりで失礼だが、君はロキソ伯爵の血縁者ではないか?」
「え……」
フェルミは、バスタと名乗った。彼女の存在は、祝福を受けた日に消されている。彼女自身、伯爵家では離れから出ることもなく、ひっそりと生きてきた。だというのに、なぜ目の前の公爵が知っているのかと身構えた。
「今から20年ほど前、ロキソ伯爵家に赤錆色の令嬢が産まれた。彼女は祝福を受ける際、女神の木の枝を瞬く間に枯らしたという。そこから先は、彼女の痕跡が消えてしまっていた。国への報告書には、産まれて間もなく病死したとされる子、それが、実は生きていた。君のことじゃないのかね?」
「……」
下手なことは言えない。バスタ家から離縁されて、やっと自由の身になれたのだ。ここで、伯爵家に連れ戻されようものなら、ファーリとも離れた今、再び地獄のような日々が始まる。フェルミは俯いたまま、口を堅く閉じていた。
「これでも、主要貴族の家の情報などは掌握しているのでね。君が眠っている間、グリーン国にいる部下たちに調べてもらった。バスタ子爵を調べれば、容易にわかったよ」
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子爵たちがロキソ伯爵に度重なる借金をしたことからすぐに素性がばれたのだが、まさか、ここにきて伯爵家の名を聞くとは思っていなかった。
体の底から体温が奪われるような、絶望がフェルミを襲う。
「あのスキルは、使いようによってはとても危険だ。これがどういうことか、わかるかね?」
「……わ、私、捕まるんでしょうか……。公爵様、お願いです。わ、私、あの国には戻りたくありません。もう二度とスキルを使わないと誓います。ですから、どうか、見逃してはいただけないでしょうか?」
フェルミは、必死に公爵に懇願した。ソファから降り、膝をつこうとしたところ、カインが彼女を止めたのである。
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