32 / 66
気弱なハムチュターンのあまがみ② R15
しおりを挟む
ついに、俺の切っ先から運命の番に捧げるべき熱が出てしまうと思った。
その時、
「ハムちゃん、元気になって良かったね~。ふふふ」
と、彼女がとても嬉しそうに言ってきた。
ああ、元気だ。彼女のせいでとんでもなく元気になってしまった俺の象徴の奥からせりあがる衝動を解き放とうとした。
「チィ……!」
──ああ、受け止めてくれっ!
ぞくぞくする。凄まじい快楽に腰が抜けてしまうほど。
「あ、そうだ。うーんと確かヒマワリの種があったはず~」
彼女の指が、股間から鼻先まで密着して、まるで丸太のように産毛を撫でていた。仰向けで指を前足できゅっと握り、後ろ足で下から抱え込んでいた。
撫でられながらこちらもスリスリ擦っていたのをぐっと切っ先を指に押し付けた瞬間、あれほどくっついていた指が離れて行ってしまう。
──待ってくれ……!
あろうことか、机の上に降ろされてしまった。
「チ? チチッ! チ……チィ……」
突然今までの甘いひと時に冷水をかけられたように、先ほどの股間の衝動が一瞬で治まってしまった気がする。いや、高ぶったまま完全に解き放たれずに、ピクピクしたまま放置されたのだ。
先端からぬるりとしたものが勢いを無くしてたらりと垂れて下腹の毛を濡らした。
──そ、そんな……! ああ、お願いだ、もっと擦って……!
俺は呆然とした。彼女に祈るように必死に懇願してしまうけれど、柔らかな指が戻って来る事はなかった。
勢いよく彼女に付けるはずの物が俺の股間だけを濡らしてしまって気持ちが悪い。
何よりも、俺の自慢のそこは半分ほど勃ったまま、ダラダラと雫を流し続けており、ぞくぞくするような感覚も解放されず残ったまま放置された。
「チィ~……」
なんて酷い女の子なんだ。
股間を遠慮なしに悪戯された上、こんな意地悪な扱いをされた事なんてない。
故郷で15になるまでの間、俺はモテていた。世界にきっといるはずの番のために大事にとっておいたそこを、初対面の見知らぬ女の子に弄ばれて、しかも、中途半端に可愛がられたのである。
番のための大事なここなのに、と思いつつ、なぜか、そんな風に俺を翻弄する彼女のやることなすこと全てを受け入れてしまう。
彼女にならどんな扱いをされてもいいとさえ思った。
※※※※
俺は、混乱したまま、解放しきれなかった股間のむず痒いような気持ち悪さをどうすることも出来ずに、旅立つ前に散々聞かされていた両親の言葉を思い出していた。
『番が現れたらすぐわかるわよ』
『どうやって?』
『まず匂いだな。とてもいい香りがしてずっと嗅ぎたくなる』
『やだわ、あなたったら。子供の前なのに。クスクス』
父が母の首筋に鼻をあててスンスン吸うと、母が照れる。両親は同族内ですぐに見つかった番同士なのだ。年がら年中ラブラブで、俺には沢山の兄弟姉妹がいる。多産系だからな。
南にある小さな国だが、ハムチュターン族は多い。食糧は、ハムチュターンの姿になってしまえば困る事がない。肥沃な大地に食料は際限なく実るから一年を通して豊穣が続く。
やや熱いが気候は安定していて大きな災害もない住みやすい土地である。
『あとは、番の全てを無条件で受け入れられる。誓って、嫌な事をされたなど一度もないが、例え意地悪されても、何をされても許す──とも違うな。どんな事も自然と受け入れて望む通りにしたくなるんだ』
『まあ、わたくしだってあなたの全てを受け入れていますわよ?』
『わかっているよ、私の愛しい番……』
『あん。くすぐったいですわ』
俺は、両親の怪しい雰囲気を察して、一緒に聞いていた弟妹たちを連れて部屋を出ていったのである。
※※※※
──ひょっとして、君が俺の番なのか? きっと、そうだ。やっと、やっと見つけた! 俺の番、俺の唯一、俺の愛しい人……!
「チ? チチ」
後ろ足で立ち上がり、彼女に抱き着きたくなった。後ろ足をピンっと伸ばす。
──俺と抱き締め合おう……! …………今は小さかった……。そうだ、抱っこしてくれ!
そして、上を向けた鼻先よりも下にしか行かないけれど、短い両腕を目一杯伸ばして彼女に差し出した。
「ん? ハムちゃんどうしたのー? あ、ヒマワリの種がわかったのかな? はいどうぞ」
俺は、番が戸棚から出した肉厚でふっくらしたヒマワリの種を、伸ばした両手に持たされた。ちょうど、尖った先っぽが口の下にあったから、条件反射でアーンとかじる。
──ん? 滅茶苦茶うまぁ~い! ああ、これはひょっとして、憧れの、愛する人にするという給餌求愛行動というやつか? なんてことだ。俺と同じように彼女は人間だというのに、俺を番だと認識してくれているのか?
俺は、今は完全に番だと彼女を認識している。彼女が手づからくれたヒマワリの種に彼女の香りがついていて、それが最高のスパイスになった。
夢中で食べた。かじってごくんと少しだけ飲み込むと、残りは大切にしようと頬袋に収納する。
──俺の番は、なんて可愛くていじらしいんだ。
きっと股間のあれこれも、照れ屋で純粋で素直で積極的な所もある彼女の決死のアプローチだったに違いない。いや、ひょっとしたら、俺の股間なんて知らない無垢で無知な子なのかも。
うん、きっとそうだ。そうに違いない。
だからあんな風にされたんだろうな。健気な彼女が俺への深い愛を示したのだたから、充分以上に応えるしかないだろう。でも、上手く応えられるかなぁ?
「ふふふ、私たち仲良しね!」
「チッ!」
愛しい人が、俺がここにいるだけで、そんな風に笑ってくれるから俺も嬉しくなってしょうがない。
長い間探し求めた番をジーっと見る。やはりぼんやりしてしまって顔が分からない。
──髪は、たぶん黒かな? 瞳の色は何色なんだ? 魔力が戻ったらすぐにでも人化して君をしっかり見て抱きしめたい……! で、でも、いきなりそんな事をして嫌われたらどうしよう……。でも、大丈夫だよな? な?
すでに彼女に夢中だ。世界一の番を得た俺はご機嫌で、再び差し出された指先をペロペロ舐めまくったのである。
その時、
「ハムちゃん、元気になって良かったね~。ふふふ」
と、彼女がとても嬉しそうに言ってきた。
ああ、元気だ。彼女のせいでとんでもなく元気になってしまった俺の象徴の奥からせりあがる衝動を解き放とうとした。
「チィ……!」
──ああ、受け止めてくれっ!
ぞくぞくする。凄まじい快楽に腰が抜けてしまうほど。
「あ、そうだ。うーんと確かヒマワリの種があったはず~」
彼女の指が、股間から鼻先まで密着して、まるで丸太のように産毛を撫でていた。仰向けで指を前足できゅっと握り、後ろ足で下から抱え込んでいた。
撫でられながらこちらもスリスリ擦っていたのをぐっと切っ先を指に押し付けた瞬間、あれほどくっついていた指が離れて行ってしまう。
──待ってくれ……!
あろうことか、机の上に降ろされてしまった。
「チ? チチッ! チ……チィ……」
突然今までの甘いひと時に冷水をかけられたように、先ほどの股間の衝動が一瞬で治まってしまった気がする。いや、高ぶったまま完全に解き放たれずに、ピクピクしたまま放置されたのだ。
先端からぬるりとしたものが勢いを無くしてたらりと垂れて下腹の毛を濡らした。
──そ、そんな……! ああ、お願いだ、もっと擦って……!
俺は呆然とした。彼女に祈るように必死に懇願してしまうけれど、柔らかな指が戻って来る事はなかった。
勢いよく彼女に付けるはずの物が俺の股間だけを濡らしてしまって気持ちが悪い。
何よりも、俺の自慢のそこは半分ほど勃ったまま、ダラダラと雫を流し続けており、ぞくぞくするような感覚も解放されず残ったまま放置された。
「チィ~……」
なんて酷い女の子なんだ。
股間を遠慮なしに悪戯された上、こんな意地悪な扱いをされた事なんてない。
故郷で15になるまでの間、俺はモテていた。世界にきっといるはずの番のために大事にとっておいたそこを、初対面の見知らぬ女の子に弄ばれて、しかも、中途半端に可愛がられたのである。
番のための大事なここなのに、と思いつつ、なぜか、そんな風に俺を翻弄する彼女のやることなすこと全てを受け入れてしまう。
彼女にならどんな扱いをされてもいいとさえ思った。
※※※※
俺は、混乱したまま、解放しきれなかった股間のむず痒いような気持ち悪さをどうすることも出来ずに、旅立つ前に散々聞かされていた両親の言葉を思い出していた。
『番が現れたらすぐわかるわよ』
『どうやって?』
『まず匂いだな。とてもいい香りがしてずっと嗅ぎたくなる』
『やだわ、あなたったら。子供の前なのに。クスクス』
父が母の首筋に鼻をあててスンスン吸うと、母が照れる。両親は同族内ですぐに見つかった番同士なのだ。年がら年中ラブラブで、俺には沢山の兄弟姉妹がいる。多産系だからな。
南にある小さな国だが、ハムチュターン族は多い。食糧は、ハムチュターンの姿になってしまえば困る事がない。肥沃な大地に食料は際限なく実るから一年を通して豊穣が続く。
やや熱いが気候は安定していて大きな災害もない住みやすい土地である。
『あとは、番の全てを無条件で受け入れられる。誓って、嫌な事をされたなど一度もないが、例え意地悪されても、何をされても許す──とも違うな。どんな事も自然と受け入れて望む通りにしたくなるんだ』
『まあ、わたくしだってあなたの全てを受け入れていますわよ?』
『わかっているよ、私の愛しい番……』
『あん。くすぐったいですわ』
俺は、両親の怪しい雰囲気を察して、一緒に聞いていた弟妹たちを連れて部屋を出ていったのである。
※※※※
──ひょっとして、君が俺の番なのか? きっと、そうだ。やっと、やっと見つけた! 俺の番、俺の唯一、俺の愛しい人……!
「チ? チチ」
後ろ足で立ち上がり、彼女に抱き着きたくなった。後ろ足をピンっと伸ばす。
──俺と抱き締め合おう……! …………今は小さかった……。そうだ、抱っこしてくれ!
そして、上を向けた鼻先よりも下にしか行かないけれど、短い両腕を目一杯伸ばして彼女に差し出した。
「ん? ハムちゃんどうしたのー? あ、ヒマワリの種がわかったのかな? はいどうぞ」
俺は、番が戸棚から出した肉厚でふっくらしたヒマワリの種を、伸ばした両手に持たされた。ちょうど、尖った先っぽが口の下にあったから、条件反射でアーンとかじる。
──ん? 滅茶苦茶うまぁ~い! ああ、これはひょっとして、憧れの、愛する人にするという給餌求愛行動というやつか? なんてことだ。俺と同じように彼女は人間だというのに、俺を番だと認識してくれているのか?
俺は、今は完全に番だと彼女を認識している。彼女が手づからくれたヒマワリの種に彼女の香りがついていて、それが最高のスパイスになった。
夢中で食べた。かじってごくんと少しだけ飲み込むと、残りは大切にしようと頬袋に収納する。
──俺の番は、なんて可愛くていじらしいんだ。
きっと股間のあれこれも、照れ屋で純粋で素直で積極的な所もある彼女の決死のアプローチだったに違いない。いや、ひょっとしたら、俺の股間なんて知らない無垢で無知な子なのかも。
うん、きっとそうだ。そうに違いない。
だからあんな風にされたんだろうな。健気な彼女が俺への深い愛を示したのだたから、充分以上に応えるしかないだろう。でも、上手く応えられるかなぁ?
「ふふふ、私たち仲良しね!」
「チッ!」
愛しい人が、俺がここにいるだけで、そんな風に笑ってくれるから俺も嬉しくなってしょうがない。
長い間探し求めた番をジーっと見る。やはりぼんやりしてしまって顔が分からない。
──髪は、たぶん黒かな? 瞳の色は何色なんだ? 魔力が戻ったらすぐにでも人化して君をしっかり見て抱きしめたい……! で、でも、いきなりそんな事をして嫌われたらどうしよう……。でも、大丈夫だよな? な?
すでに彼女に夢中だ。世界一の番を得た俺はご機嫌で、再び差し出された指先をペロペロ舐めまくったのである。
0
お気に入りに追加
585
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる