【完結】【R18】クリスマスイブの前夜に初めて出来た恋人にフラれました~転生先で、気弱な絶倫もふもふに溺愛されちゃいます

にじくす まさしよ

文字の大きさ
上 下
16 / 66

アフターフォローは一度だけよ?④

しおりを挟む
「元カレ君は、貴女の事を一生引きずるのよね。あと、彼女の事も放っておけないまま裏切られ続ける感じかしら。まだ聞きたいかな?」

「アキ君の事とかはもういいです。なんか、スッキリしないというか、モヤモヤしただけでしたし、彼が今後、幸せでも不幸せでもどうでもいいかなーって。だから? へぇ? ふーんみたいな」


「そう? じゃあ、もういいかしら?」


 その後の事もなんとなく想像がつく。もういいやと思いそう言うと女神が帰ろうとした。


 その時、これだけは聞かなきゃいけない事を思い出してとっさに縋る。

「ま、待ってください! 約束が違うじゃないですか! 皆に好かれてチートで悠々自適な楽勝人生だったんじゃないんですか?」

「あら、嘘は言ってないわよ。あの時、説明を拒否したのはあなたじゃない」

 確かに、説明を聞かなくていいのかと問われた気がする。

「そんな! だって、あの二択なら、誰だってこっち選びますよね?」

「そうでもないわよ? あの時に余った悪役令嬢の枠に転生した男の子は、なんか罠がないか根掘り葉掘りそっちの人生や設定、可能性の高い未来の事まで全部聞いたもの」

「え? 男の子が悪役令嬢に? え? 性別違うのに??」

「転生なんだから性別なんてどうとでもなるわよ。彼? 彼女? とにかくその子は産まれてから決められていた婚約者を寝取られて婚約破棄した後に、本当に愛する人と結ばれて幸せになる人生を送っているわよ?」

「……は?」

「虫唾が走るほど大嫌いだった婚約者と別れられて良かったんじゃないかな? 悪役令嬢というのもたんなる噂だし、とても可愛い令嬢だからね。彼女を幼い頃からずっと愛していた義理のお兄さんとのハッピーエンドストーリーよ」

「…………ちょっと、こっちとえらく違いませんか? 確かにお金は困らないですけどね、両親にネグレクトされてるんですけど。好かれてません、どころか憎まれているというか、無関心なんですけどおおお?」

「あー、それね。あっちだと、両親の溺愛も漏れなくついていたのよね」

「私、今からそっちになりたいんですけど……」

「もう無理よ? だって、こっちの貴女はもう存在しているし、あっちはもう彼が転生しちゃってるもの」

 チェンジなんて無理かなって思ってた。だけど、このままネグレクト状態で成長するのも嫌だ。

「じゃあ、こっちはこれからどうなるんですかあああ? このままネグレクトのあげく殺されるとかないですよね?」

「えーとね、10歳の時に転機が訪れるわ。その時、貴女の選んだ道で未来が変わるんだけれど……」

「え? また二択ですか?」

「二択というわけじゃないんだけどねえ」

「い、一番幸せになれる選択肢を教えてくださいっ!」

「それは教えられないわ。その時に望む通りにすれば時間はかかるけれど幸せになれるわよ?」

「ヒント、ヒントだけでもおおおお」

「うーん。そうね、西の国のエライーンや他の国についてよーく調べておきなさいな。あと、先立つものをきちんと自分で使えるようにする事」

「……、それってエライーンって国に亡命かなんかしなきゃいけない事件が起きるみたいな嫌な予感しかしないですけれども」

「亡命とは違う、…………、かな? 一応、その国に行かなくても、このままの家で育ってもそこそこのハッピーエンドだよ? キット、キノモチヨウじゃない?」

「そんなの、気の持ちようとかって、一般的にアンハピって事ですよね?」

「うーん。浮気しないすっごい優しいイケメンに溺愛されちゃうわよ? ちょっとその溺愛具合が深いというか、まあ、彼以外見ちゃダメとか、閉じ込めたりとか、時々足に鎖をつけたりとかね? 貴女の世界で、一部で大流行りのタイプだから幸せだと思うけど?」

「ぎゃーー! ノー! ノーサンキューヤンデレ! 物語ならいいけど、実際となるとやだあああ!」

「あ、やっぱり? じゃあ、とにかく、10歳の時に後悔しないように色々学んで準備しておきなさいな」


 なんという事だ。このままのほほんと勉強もせずに成長したら、メリーバッドエンドまっしぐらっぽい。

「メリバは嫌だから頑張ります! あの、幸せになれるんですよね? ね?」

「ふふふ、それは保障するわ。そうねぇ、選んだ先にある未来の可能性の二つほどは最上級の幸せよ?」

「気の持ちようで?」

「いいえ。誰もが憧れるハッピーエンドよ」

「いよっしゃあああああ! 頑張りまーす」

「じゃあね」

 勢いよく叫ぶと、女神は笑いながら去って行った。

 ヤンデレとの執着監禁なんていうメリーバッドエンドを回避するために、必死に学び、そして、小遣いを貯めた。令嬢が行方知れずになると、世話係が罰を受けると知って、その対策も頑張った。そのために、チート能力も一生懸命開発して使えるようにしたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

処理中です...