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アフターフォローは一度だけよ?④
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「元カレ君は、貴女の事を一生引きずるのよね。あと、彼女の事も放っておけないまま裏切られ続ける感じかしら。まだ聞きたいかな?」
「アキ君の事とかはもういいです。なんか、スッキリしないというか、モヤモヤしただけでしたし、彼が今後、幸せでも不幸せでもどうでもいいかなーって。だから? へぇ? ふーんみたいな」
「そう? じゃあ、もういいかしら?」
その後の事もなんとなく想像がつく。もういいやと思いそう言うと女神が帰ろうとした。
その時、これだけは聞かなきゃいけない事を思い出してとっさに縋る。
「ま、待ってください! 約束が違うじゃないですか! 皆に好かれてチートで悠々自適な楽勝人生だったんじゃないんですか?」
「あら、嘘は言ってないわよ。あの時、説明を拒否したのはあなたじゃない」
確かに、説明を聞かなくていいのかと問われた気がする。
「そんな! だって、あの二択なら、誰だってこっち選びますよね?」
「そうでもないわよ? あの時に余った悪役令嬢の枠に転生した男の子は、なんか罠がないか根掘り葉掘りそっちの人生や設定、可能性の高い未来の事まで全部聞いたもの」
「え? 男の子が悪役令嬢に? え? 性別違うのに??」
「転生なんだから性別なんてどうとでもなるわよ。彼? 彼女? とにかくその子は産まれてから決められていた婚約者を寝取られて婚約破棄した後に、本当に愛する人と結ばれて幸せになる人生を送っているわよ?」
「……は?」
「虫唾が走るほど大嫌いだった婚約者と別れられて良かったんじゃないかな? 悪役令嬢というのもたんなる噂だし、とても可愛い令嬢だからね。彼女を幼い頃からずっと愛していた義理のお兄さんとのハッピーエンドストーリーよ」
「…………ちょっと、こっちとえらく違いませんか? 確かにお金は困らないですけどね、両親にネグレクトされてるんですけど。好かれてません、どころか憎まれているというか、無関心なんですけどおおお?」
「あー、それね。あっちだと、両親の溺愛も漏れなくついていたのよね」
「私、今からそっちになりたいんですけど……」
「もう無理よ? だって、こっちの貴女はもう存在しているし、あっちはもう彼が転生しちゃってるもの」
チェンジなんて無理かなって思ってた。だけど、このままネグレクト状態で成長するのも嫌だ。
「じゃあ、こっちはこれからどうなるんですかあああ? このままネグレクトのあげく殺されるとかないですよね?」
「えーとね、10歳の時に転機が訪れるわ。その時、貴女の選んだ道で未来が変わるんだけれど……」
「え? また二択ですか?」
「二択というわけじゃないんだけどねえ」
「い、一番幸せになれる選択肢を教えてくださいっ!」
「それは教えられないわ。その時に望む通りにすれば時間はかかるけれど幸せになれるわよ?」
「ヒント、ヒントだけでもおおおお」
「うーん。そうね、西の国のエライーンや他の国についてよーく調べておきなさいな。あと、先立つものをきちんと自分で使えるようにする事」
「……、それってエライーンって国に亡命かなんかしなきゃいけない事件が起きるみたいな嫌な予感しかしないですけれども」
「亡命とは違う、…………、かな? 一応、その国に行かなくても、このままの家で育ってもそこそこのハッピーエンドだよ? キット、キノモチヨウじゃない?」
「そんなの、気の持ちようとかって、一般的にアンハピって事ですよね?」
「うーん。浮気しないすっごい優しいイケメンに溺愛されちゃうわよ? ちょっとその溺愛具合が深いというか、まあ、彼以外見ちゃダメとか、閉じ込めたりとか、時々足に鎖をつけたりとかね? 貴女の世界で、一部で大流行りのタイプだから幸せだと思うけど?」
「ぎゃーー! ノー! ノーサンキューヤンデレ! 物語ならいいけど、実際となるとやだあああ!」
「あ、やっぱり? じゃあ、とにかく、10歳の時に後悔しないように色々学んで準備しておきなさいな」
なんという事だ。このままのほほんと勉強もせずに成長したら、メリーバッドエンドまっしぐらっぽい。
「メリバは嫌だから頑張ります! あの、幸せになれるんですよね? ね?」
「ふふふ、それは保障するわ。そうねぇ、選んだ先にある未来の可能性の二つほどは最上級の幸せよ?」
「気の持ちようで?」
「いいえ。誰もが憧れるハッピーエンドよ」
「いよっしゃあああああ! 頑張りまーす」
「じゃあね」
勢いよく叫ぶと、女神は笑いながら去って行った。
ヤンデレとの執着監禁なんていうメリーバッドエンドを回避するために、必死に学び、そして、小遣いを貯めた。令嬢が行方知れずになると、世話係が罰を受けると知って、その対策も頑張った。そのために、チート能力も一生懸命開発して使えるようにしたのであった。
「アキ君の事とかはもういいです。なんか、スッキリしないというか、モヤモヤしただけでしたし、彼が今後、幸せでも不幸せでもどうでもいいかなーって。だから? へぇ? ふーんみたいな」
「そう? じゃあ、もういいかしら?」
その後の事もなんとなく想像がつく。もういいやと思いそう言うと女神が帰ろうとした。
その時、これだけは聞かなきゃいけない事を思い出してとっさに縋る。
「ま、待ってください! 約束が違うじゃないですか! 皆に好かれてチートで悠々自適な楽勝人生だったんじゃないんですか?」
「あら、嘘は言ってないわよ。あの時、説明を拒否したのはあなたじゃない」
確かに、説明を聞かなくていいのかと問われた気がする。
「そんな! だって、あの二択なら、誰だってこっち選びますよね?」
「そうでもないわよ? あの時に余った悪役令嬢の枠に転生した男の子は、なんか罠がないか根掘り葉掘りそっちの人生や設定、可能性の高い未来の事まで全部聞いたもの」
「え? 男の子が悪役令嬢に? え? 性別違うのに??」
「転生なんだから性別なんてどうとでもなるわよ。彼? 彼女? とにかくその子は産まれてから決められていた婚約者を寝取られて婚約破棄した後に、本当に愛する人と結ばれて幸せになる人生を送っているわよ?」
「……は?」
「虫唾が走るほど大嫌いだった婚約者と別れられて良かったんじゃないかな? 悪役令嬢というのもたんなる噂だし、とても可愛い令嬢だからね。彼女を幼い頃からずっと愛していた義理のお兄さんとのハッピーエンドストーリーよ」
「…………ちょっと、こっちとえらく違いませんか? 確かにお金は困らないですけどね、両親にネグレクトされてるんですけど。好かれてません、どころか憎まれているというか、無関心なんですけどおおお?」
「あー、それね。あっちだと、両親の溺愛も漏れなくついていたのよね」
「私、今からそっちになりたいんですけど……」
「もう無理よ? だって、こっちの貴女はもう存在しているし、あっちはもう彼が転生しちゃってるもの」
チェンジなんて無理かなって思ってた。だけど、このままネグレクト状態で成長するのも嫌だ。
「じゃあ、こっちはこれからどうなるんですかあああ? このままネグレクトのあげく殺されるとかないですよね?」
「えーとね、10歳の時に転機が訪れるわ。その時、貴女の選んだ道で未来が変わるんだけれど……」
「え? また二択ですか?」
「二択というわけじゃないんだけどねえ」
「い、一番幸せになれる選択肢を教えてくださいっ!」
「それは教えられないわ。その時に望む通りにすれば時間はかかるけれど幸せになれるわよ?」
「ヒント、ヒントだけでもおおおお」
「うーん。そうね、西の国のエライーンや他の国についてよーく調べておきなさいな。あと、先立つものをきちんと自分で使えるようにする事」
「……、それってエライーンって国に亡命かなんかしなきゃいけない事件が起きるみたいな嫌な予感しかしないですけれども」
「亡命とは違う、…………、かな? 一応、その国に行かなくても、このままの家で育ってもそこそこのハッピーエンドだよ? キット、キノモチヨウじゃない?」
「そんなの、気の持ちようとかって、一般的にアンハピって事ですよね?」
「うーん。浮気しないすっごい優しいイケメンに溺愛されちゃうわよ? ちょっとその溺愛具合が深いというか、まあ、彼以外見ちゃダメとか、閉じ込めたりとか、時々足に鎖をつけたりとかね? 貴女の世界で、一部で大流行りのタイプだから幸せだと思うけど?」
「ぎゃーー! ノー! ノーサンキューヤンデレ! 物語ならいいけど、実際となるとやだあああ!」
「あ、やっぱり? じゃあ、とにかく、10歳の時に後悔しないように色々学んで準備しておきなさいな」
なんという事だ。このままのほほんと勉強もせずに成長したら、メリーバッドエンドまっしぐらっぽい。
「メリバは嫌だから頑張ります! あの、幸せになれるんですよね? ね?」
「ふふふ、それは保障するわ。そうねぇ、選んだ先にある未来の可能性の二つほどは最上級の幸せよ?」
「気の持ちようで?」
「いいえ。誰もが憧れるハッピーエンドよ」
「いよっしゃあああああ! 頑張りまーす」
「じゃあね」
勢いよく叫ぶと、女神は笑いながら去って行った。
ヤンデレとの執着監禁なんていうメリーバッドエンドを回避するために、必死に学び、そして、小遣いを貯めた。令嬢が行方知れずになると、世話係が罰を受けると知って、その対策も頑張った。そのために、チート能力も一生懸命開発して使えるようにしたのであった。
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