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「〇△◇~~※※~~」
はい? なんでしょうねえ。何か言われているけれどさっぱり分からない。
「ほわ、ほわっ、あう!」
日本語じゃなさそうだ。英語とかよく聞く言語のどれともちがう。流石異世界転生。言葉が通じず、いきなり詰んだ感がある。
あれ? チートあるんだよね? なのに、なんで? まさか、言語だけはチート除外??
「あーう、あうう、ふぇ、ふええええん」
焦って、イングリッシュプリーズとか言いたくても言えなくて、あうあう、ほわほわだけ繰り返した後に泣いてしまった。これで英語をしゃべられたとしても、ほとんどわからないけれども。英語はぎりぎり英検3級よ。
「&%##=+*{!」
あ、泣いたから向こうも焦り出した。ゆったり体をゆすられる。なんだろう、とってもあったかくてゆらゆらしていると意識が遠のいていく。
「&$#”*P? エミリa*##‘~#」
あ、なんかわかる単語があった。えみり、えみり。えみりなんとかの気がするけれど、きっとそれが名前なのかとなぜかわかった。そのまま、ぼんやりと、多分お母さんっぽい人の優しくて綺麗な子守唄を聞きながら眠った。
※※※※
数人、私をあやして抱っこしておっぱいをくれる。哺乳瓶的なものを口にくわえさせられる事もあったけれど、なかなか美味しく感じる母乳やミルクをたっぷり飲んだ。げっぷをいっぱいする時に、背中をトントンならともかく、つーって指先でなでられると、何やらやめてーって思うほど変な感覚が襲ってのけぞったら、慌てて抱っこしなおしてくれるのが分かって楽しい。
景色がまだぼんやりとしかわからないけれど、香りや抱っこの仕方、体全体で感じる体型で徐々に違いがわかってきた。
「エミリア##、ん、‘*%’$”(ねんね、ねーんね」
本当に少しずつ、なんとなくこうかな? みたいに言葉が分かって来た。日本語とは違うけれど、意味は同じだろう。おとなしく眠りにつく。そして、私の名前はエミリアで間違いなさそう。前世の名前に近くて嬉しい。
私をお世話するのは3人だと思う。
その内、誰がお母さんなんだろう?
3人とも、お世話の仕方は違うけれども、とっても優しいからどの人でもいいかな。
けぽっと、最後にゲップした後、そのまま眠りについた。
※※※※
「エミリア様、あら、起きたのですね? おはようございます。今日もおりこうですね~」
目がはっきりと景色を映すようになった。思った通り、お世話をする人は3人だ。でも、どの人もお母さんじゃない。
お母さんは、あまり私に会いに来ないのだ。あと、どうもお嬢様っぽい感じかも。3人はきっとメイドさんとか、乳母さんとかだと思う。
なかなかの金持ちに生まれたみたいで、貧乏よりはいいかなって思ったけれど、未だにお父さんが来た事がないのだ。お母さんも先週に10分ほど来てから訪れないから寂しい。
ひょっとして、私は要らない、愛されない子なのかも……?
前世では、生活にゆとりがあったわけじゃないけれど、家族が仲良くて笑いが絶える事のない家庭だったから、お金持ちのお嬢様であっても、こんな寂しいのは嫌だなと思うと涙が出て来た。
「うえ、うえぇん」
「あらあら、エミリア様、抱っこしましょうね。ほーら、大丈夫ですよー」
「奥様は、次はいつ’(#&’*P=#)ら?」
「お嬢様は、こんなに可愛いし愛らしい*P#'%!」
「エミリア様、イイコにして=$&(おとうさ”$’()%$おか*&#%~+ですからね~」
ところどころまだわからない言葉が混じるけれど、なんとなく、両親にほったらかされているのを、3人がとっても気の毒に思っている事がわかる。だからこそ、大切にしてくれていて、複雑だけれども嬉しいなって思った。
イイコにしていたら両親がくるかどうかはわからないけれども、反抗してもしょうがないかもしれない。それに、困らせたいとも思わないから、大人しくしていた。
今、抱っこしてくれたのは、一番年上の綺麗な女性だ。ちょっとぽっちゃりしていて、おっぱいの出が一番いい。一番私の扱いになれていて、すぐに楽しい気分になってくるのだ。
ガラガラっぽい、なんだろ、お世話をしてくれている人が何かをかざすと、魔法があるので光が虹色に乱反射すると、空中に見た事のない蝶々や鳥が飛ぶ。
「きゃーい!」
うわあ、きれい!
そう言いたいのに言葉になるのはそんな赤ちゃん言葉のまま。言葉ですらない。でも、私が悦ぶと、3人もとても嬉しそうだ。
いっぱいお世話してもらって、遊んでもらって一日があっという間に終わる。
※※※※
「ヘリヤ、ミンミ、サイニ~。あしょんで~」
すでに立ち上がり歩く事が出来るようになった。相変わらず、母は一月に1~2回しか訪れない。現れても10分ほどで立ち去る。抱っこどころか、手を握りもしない。名前を呼ばれた事もないので、ひょっとしたらエミリアっていう名前な事を知らないかもななんて自虐めいた乾いた笑いが零れる。
父は全く来ないままだ。
会わない親よりも、私は3人になついた。当然だろう。彼女たちは我が子のように可愛がってくれる。危ない目に合いそうな時には、身を挺してかばってくれた。
「はい、エミリアお嬢様。何を致しましょうか?」
「えーと、んーと」
「今日は天気がいいからお外でお花を見ませんか?」
「おしょとー」
「では、お昼もお外で食べましょうか。準備して参りますね」
「わーい、ごはん~」
3人とも、私よりも少し年上の子供がいるらしい。おっぱいが出るんだから出産後なのは当たり前だよね。
皆が交代で家に帰っていた。本当なら子供とずっといたいんじゃないかなと思うと申し訳ないけれど、彼女たちは私にとってもお母さんなのだ。離れて欲しくない。
そんな風に彼女たちと平和で楽しい日々を送っていたのである。
はい? なんでしょうねえ。何か言われているけれどさっぱり分からない。
「ほわ、ほわっ、あう!」
日本語じゃなさそうだ。英語とかよく聞く言語のどれともちがう。流石異世界転生。言葉が通じず、いきなり詰んだ感がある。
あれ? チートあるんだよね? なのに、なんで? まさか、言語だけはチート除外??
「あーう、あうう、ふぇ、ふええええん」
焦って、イングリッシュプリーズとか言いたくても言えなくて、あうあう、ほわほわだけ繰り返した後に泣いてしまった。これで英語をしゃべられたとしても、ほとんどわからないけれども。英語はぎりぎり英検3級よ。
「&%##=+*{!」
あ、泣いたから向こうも焦り出した。ゆったり体をゆすられる。なんだろう、とってもあったかくてゆらゆらしていると意識が遠のいていく。
「&$#”*P? エミリa*##‘~#」
あ、なんかわかる単語があった。えみり、えみり。えみりなんとかの気がするけれど、きっとそれが名前なのかとなぜかわかった。そのまま、ぼんやりと、多分お母さんっぽい人の優しくて綺麗な子守唄を聞きながら眠った。
※※※※
数人、私をあやして抱っこしておっぱいをくれる。哺乳瓶的なものを口にくわえさせられる事もあったけれど、なかなか美味しく感じる母乳やミルクをたっぷり飲んだ。げっぷをいっぱいする時に、背中をトントンならともかく、つーって指先でなでられると、何やらやめてーって思うほど変な感覚が襲ってのけぞったら、慌てて抱っこしなおしてくれるのが分かって楽しい。
景色がまだぼんやりとしかわからないけれど、香りや抱っこの仕方、体全体で感じる体型で徐々に違いがわかってきた。
「エミリア##、ん、‘*%’$”(ねんね、ねーんね」
本当に少しずつ、なんとなくこうかな? みたいに言葉が分かって来た。日本語とは違うけれど、意味は同じだろう。おとなしく眠りにつく。そして、私の名前はエミリアで間違いなさそう。前世の名前に近くて嬉しい。
私をお世話するのは3人だと思う。
その内、誰がお母さんなんだろう?
3人とも、お世話の仕方は違うけれども、とっても優しいからどの人でもいいかな。
けぽっと、最後にゲップした後、そのまま眠りについた。
※※※※
「エミリア様、あら、起きたのですね? おはようございます。今日もおりこうですね~」
目がはっきりと景色を映すようになった。思った通り、お世話をする人は3人だ。でも、どの人もお母さんじゃない。
お母さんは、あまり私に会いに来ないのだ。あと、どうもお嬢様っぽい感じかも。3人はきっとメイドさんとか、乳母さんとかだと思う。
なかなかの金持ちに生まれたみたいで、貧乏よりはいいかなって思ったけれど、未だにお父さんが来た事がないのだ。お母さんも先週に10分ほど来てから訪れないから寂しい。
ひょっとして、私は要らない、愛されない子なのかも……?
前世では、生活にゆとりがあったわけじゃないけれど、家族が仲良くて笑いが絶える事のない家庭だったから、お金持ちのお嬢様であっても、こんな寂しいのは嫌だなと思うと涙が出て来た。
「うえ、うえぇん」
「あらあら、エミリア様、抱っこしましょうね。ほーら、大丈夫ですよー」
「奥様は、次はいつ’(#&’*P=#)ら?」
「お嬢様は、こんなに可愛いし愛らしい*P#'%!」
「エミリア様、イイコにして=$&(おとうさ”$’()%$おか*&#%~+ですからね~」
ところどころまだわからない言葉が混じるけれど、なんとなく、両親にほったらかされているのを、3人がとっても気の毒に思っている事がわかる。だからこそ、大切にしてくれていて、複雑だけれども嬉しいなって思った。
イイコにしていたら両親がくるかどうかはわからないけれども、反抗してもしょうがないかもしれない。それに、困らせたいとも思わないから、大人しくしていた。
今、抱っこしてくれたのは、一番年上の綺麗な女性だ。ちょっとぽっちゃりしていて、おっぱいの出が一番いい。一番私の扱いになれていて、すぐに楽しい気分になってくるのだ。
ガラガラっぽい、なんだろ、お世話をしてくれている人が何かをかざすと、魔法があるので光が虹色に乱反射すると、空中に見た事のない蝶々や鳥が飛ぶ。
「きゃーい!」
うわあ、きれい!
そう言いたいのに言葉になるのはそんな赤ちゃん言葉のまま。言葉ですらない。でも、私が悦ぶと、3人もとても嬉しそうだ。
いっぱいお世話してもらって、遊んでもらって一日があっという間に終わる。
※※※※
「ヘリヤ、ミンミ、サイニ~。あしょんで~」
すでに立ち上がり歩く事が出来るようになった。相変わらず、母は一月に1~2回しか訪れない。現れても10分ほどで立ち去る。抱っこどころか、手を握りもしない。名前を呼ばれた事もないので、ひょっとしたらエミリアっていう名前な事を知らないかもななんて自虐めいた乾いた笑いが零れる。
父は全く来ないままだ。
会わない親よりも、私は3人になついた。当然だろう。彼女たちは我が子のように可愛がってくれる。危ない目に合いそうな時には、身を挺してかばってくれた。
「はい、エミリアお嬢様。何を致しましょうか?」
「えーと、んーと」
「今日は天気がいいからお外でお花を見ませんか?」
「おしょとー」
「では、お昼もお外で食べましょうか。準備して参りますね」
「わーい、ごはん~」
3人とも、私よりも少し年上の子供がいるらしい。おっぱいが出るんだから出産後なのは当たり前だよね。
皆が交代で家に帰っていた。本当なら子供とずっといたいんじゃないかなと思うと申し訳ないけれど、彼女たちは私にとってもお母さんなのだ。離れて欲しくない。
そんな風に彼女たちと平和で楽しい日々を送っていたのである。
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