15 / 17
フレイム視点⑥ ラッコのヘタレさん、困ってしまって ※Rスタート
しおりを挟む スタッフを連れて戻った時、愛する人がいなくなった。世界が終わったかと思うほどの喪失感が俺を襲う。
どこのどいつが、俺の妻を……!
彼女が勝手に何処かに行くわけがない。誰かが俺の愛する人を連れ去ったに違いないと思い、瞬時に普段あまり使わない魔力を開放して、リフレーシュの気配を手繰った。すると、人混みからかなり離れた暗い繁みに、彼女が着ていた服が乱雑に落ちているのを見つける。
「リフレーシュ……!」
スタッフも、俺の婚約者が行方不明という事態に騒然とし、彼女の捜索を開始するが、いかんせん雑多な人混みの中だ。
即時に出入り口には、怪しい人物が出入りしないように警備が配置され、恐らくは獣の姿になっているリフレーシュを見かけたら、すぐに連絡が入るようにしてくれた。とりあえず、誘拐されてどこかに連れていかれるような事態にはならないだろう。だが、園内で酷い目にあっていないだろうか。
きっと、ひとり寂しく泣いているに違いない。
つい先ほど、二度と彼女を泣かすものかと誓ったばかりだというのに、なんという体たらく。安全な場所だし、足が痛そうだからといって、彼女をひとりになどするんじゃなかった。
必死にあちこちを探していると、待ち合わせ場所から随分離れた観覧スペースで彼女が俺を呼ぶ声が聞こえて来た。耳を塞ぎたくなるほどの人の雑多な声と、パレードが始まる前のファンファーレの中、俺だけに聞こえる誰よりも大切な人の音色。
その音だけを頼りに、俺は走る事が困難な人混みを避けるために跳躍した。人と人のつくる僅かなスペースに着地して、何度かジャンプすると、女性スタッフの腕の中で「ぴぇ~!」と俺の名を繰り返す愛しい人の姿が見えた。
そっと彼女をスタッフから返してもらう。
汗をかき、息を荒げた俺の中で、初めて抱きしめた時以来の姿で縋り付いて来るリフレーシュの高い体温を感じ、ようやく俺の心臓が再び動き出したかのように感じた。
俺の名と、待ち合わせの場所から離れてごめんなさいと謝り続ける彼女の涙と鳴き声は、俺の胸をぎゅうっと締め付ける。
徐々に落ち着きを取り戻した俺たちを、スタッフが地下通路を使い、予定してた観覧のバルコニーに案内してくれた。
ウォンバット姿のリフレーシュもとっても愛らしい。俺に全身全霊で縋って甘えてくるとか、可愛い以外の何者でもないだろう。
撫でて撫でてって強請られたら、断るなどという選択肢は俺にはない。望むところだ。
パレードそっちのけで、彼女のもふっとした毛皮に指を入れて撫でる。毛の流れに沿って、外敵を粉砕できるという厚い皮に覆われたおしりやしっぽまで。おしりに触れた時、恥ずかしがって身もだえた彼女はとても愛らしい。
流石に、足の間の女の子の部分はやめておいたが、背中を毛の流れに逆らって、スーっと撫でると、くすぐったいのか、ぶわっと毛が逆立って震えたりする彼女の反応が、いちいち可愛くてたまらない。
「ぴぃ、ぴ……」
「ああ、俺もずっと撫でていたい。いいか?」
「ちゃちゃ」
彼女が言うには、ずっと撫でて貰いたかったらしい。メモリ殿下は、ウォンバットの生態にあまり詳しくないから、撫でまわされすぎると、本気でリフレーシュが俺を嫌がって嫌われると思っていたようだ。
まあ、リフレーシュの場合、撫で撫でして欲しい気持が、他のウォンバットよりも強いみたいだから、思う存分、これからは撫でまわせると思うと滅茶苦茶嬉しい。
だが……
愛する彼女に触れ、体中を触る事が出来ている。うん、確かに望んでいた。望んでいたが……
ちょっと、コレジャナイ感がする。
俺と彼女は婚約者同士で。今日こそ、彼女に触れたかった。彼女の全てを知り、思う存分イチャイチャしたかった。
イチャイチャ……は、出来ている。うん。甘えてくれて、俺も撫でて。ふたりの気持ちは最高潮に盛り上がり、甘いムードが漂っている。
だが、やっぱりコレジャナイ。
悶々とした釈然としない何かの正体は分かり切っている。この状態は、もふもふを堪能して幸せなだけだ。十分幸せなのだが、俺としては、もっとこう……
だが、安心しきって俺に体全体を預けている、愛しい彼女に、どう伝えたらいいのかわからない。
「ぷぅ?」
どうしたの? と、俺の様子が少しおかしいのを察した彼女が、顔をあげてピュアでつぶらな、清純そのものの瞳を向けて来る。
うっ……
俺の心にある、邪な下心が、100%濃縮ピュア成分に押しやられて怯む。
「いや……その……。リフレーシュ、あの、だなー……」
穢れが、清浄を通り越した涅槃寂静すらない、無の彼女に、俺と一夜を共にして欲しいなどと言えるだろうか?
女の子の相手に慣れている殿下とかなら、自然と誘って本願を果たしているだろうが。いかんせん、俺は未経験だし、女の子の扱いなんてこれっぽっちも知らない。どうやって誘えばいいんだ?
「……?」
もぞりと動いた彼女が、心配そうに俺の悩んでいる顔を覗き込んでペロっと舐めてくれた。厚いおしりが、体を起こしたために、俺の中心に当たったため、むくりと俺の欲望が鎌首を持ち上げてきて焦る。
「ああ、なんでもないというか……その。リフレーシュ」
言うんだ。散々、彼女を離接するホテルに誘って、めくるめく愛の一夜を過ごすためのセリフを練習してきたじゃないか。
困り果てた俺は、さりげなく誘う言葉を出せるはずもなく、別に準備していた下心を感じない言葉を彼女に贈る事にした。
「誕生日、おめでとう。本当は、観覧車でお祝いしてプレゼントを渡すつもりだったんだ」
今日は、彼女が成人になる記念日。一生に一度きりのその日に、一緒に過ごしたいとずっと思っていた。
「ち……!」
彼女が驚いて、体全体を感激で震えさせて俺に抱き着いて来る。ぎゅっと抱きしめて、今言うしかないと決心した。
「リフレーシュ……今日は、離れたくない。君の、18になった今日、俺と一緒にずっと過ごしてくれないか?」
俺は、ポケットに忍ばせた指輪を彼女に見せた。獣化状態なので、指にはめる事は出来ないが、セットのネックレスに通して首にかける。
「……」
少し黙った彼女は、その真意を理解したのか、俺をじーっと見つめて、そして、俺といたいと言ってくれたのであった。
レイトー殿下とメモリ殿下が、今回のお詫びに、隣接するホテルのスイートルームを抑えてくれている。俺は、彼女の返事を聞くや否や、まだパレードが終わっていないにも拘らず、彼女を抱えてテーマパークを後にした。
正直、頭が沸騰しそうなほど嬉しい。やっと、女の子と、しかも、最愛の人とあんな事や、こんな事が出来るんだ。興味なさげに振舞っていたが、俺も男だから、ずっと興味はあったしシたいとは思っていた。
だが、やっと。苦節18年と少し。ようやく、俺も経験する事になるんだ。
彼女も勿論初めてだろう。怖がらせないように、彼女にとっても一生に一度の、最高の思い出にしたい。
魔力認証で簡単に開く扉。自動で閉まるその時間すら惜しい。
「リフレーシュ……人化してくれないか? 君と愛し合いたい」
早速キスをしようとしたが、ウォンバット姿の彼女と、人化状態の俺ではサマにならない。ラッコの姿になったとしても、少々やりづらい事もあり、彼女に頼んだ。
俺の腕の中で、逡巡した彼女が、ぷるりと震えて姿形を変えて人化してくれた。
「フレイム、さま……」
「リフレーシュ、愛している」
頬を真っ赤にした彼女が、瞳を潤ませて俺を見つめて来る。人化した全裸の彼女は、もじもじして恥ずかしそうだ。もう、たまらん。
「あまり、見ないでください……」
「……」
俺としては、全てを隅から隅まで見たいに決まっている。だが、今日は俺たちの初夜だ。彼女の願いを叶えるべく、室内を照らすライトを魔法で消した。
「フレイムさま……あっ……」
俺は、暗がりの中でも見える彼女の白くてきめ細やかな柔肌を抱きしめながら、ふんわりした唇にキスを落し、そっとその柔らかなふくらみに右手を当てたのだった。
清浄(せいじょう):10の-21乗
涅槃寂静(ねはんじゃくじょう):10の-24乗
どこのどいつが、俺の妻を……!
彼女が勝手に何処かに行くわけがない。誰かが俺の愛する人を連れ去ったに違いないと思い、瞬時に普段あまり使わない魔力を開放して、リフレーシュの気配を手繰った。すると、人混みからかなり離れた暗い繁みに、彼女が着ていた服が乱雑に落ちているのを見つける。
「リフレーシュ……!」
スタッフも、俺の婚約者が行方不明という事態に騒然とし、彼女の捜索を開始するが、いかんせん雑多な人混みの中だ。
即時に出入り口には、怪しい人物が出入りしないように警備が配置され、恐らくは獣の姿になっているリフレーシュを見かけたら、すぐに連絡が入るようにしてくれた。とりあえず、誘拐されてどこかに連れていかれるような事態にはならないだろう。だが、園内で酷い目にあっていないだろうか。
きっと、ひとり寂しく泣いているに違いない。
つい先ほど、二度と彼女を泣かすものかと誓ったばかりだというのに、なんという体たらく。安全な場所だし、足が痛そうだからといって、彼女をひとりになどするんじゃなかった。
必死にあちこちを探していると、待ち合わせ場所から随分離れた観覧スペースで彼女が俺を呼ぶ声が聞こえて来た。耳を塞ぎたくなるほどの人の雑多な声と、パレードが始まる前のファンファーレの中、俺だけに聞こえる誰よりも大切な人の音色。
その音だけを頼りに、俺は走る事が困難な人混みを避けるために跳躍した。人と人のつくる僅かなスペースに着地して、何度かジャンプすると、女性スタッフの腕の中で「ぴぇ~!」と俺の名を繰り返す愛しい人の姿が見えた。
そっと彼女をスタッフから返してもらう。
汗をかき、息を荒げた俺の中で、初めて抱きしめた時以来の姿で縋り付いて来るリフレーシュの高い体温を感じ、ようやく俺の心臓が再び動き出したかのように感じた。
俺の名と、待ち合わせの場所から離れてごめんなさいと謝り続ける彼女の涙と鳴き声は、俺の胸をぎゅうっと締め付ける。
徐々に落ち着きを取り戻した俺たちを、スタッフが地下通路を使い、予定してた観覧のバルコニーに案内してくれた。
ウォンバット姿のリフレーシュもとっても愛らしい。俺に全身全霊で縋って甘えてくるとか、可愛い以外の何者でもないだろう。
撫でて撫でてって強請られたら、断るなどという選択肢は俺にはない。望むところだ。
パレードそっちのけで、彼女のもふっとした毛皮に指を入れて撫でる。毛の流れに沿って、外敵を粉砕できるという厚い皮に覆われたおしりやしっぽまで。おしりに触れた時、恥ずかしがって身もだえた彼女はとても愛らしい。
流石に、足の間の女の子の部分はやめておいたが、背中を毛の流れに逆らって、スーっと撫でると、くすぐったいのか、ぶわっと毛が逆立って震えたりする彼女の反応が、いちいち可愛くてたまらない。
「ぴぃ、ぴ……」
「ああ、俺もずっと撫でていたい。いいか?」
「ちゃちゃ」
彼女が言うには、ずっと撫でて貰いたかったらしい。メモリ殿下は、ウォンバットの生態にあまり詳しくないから、撫でまわされすぎると、本気でリフレーシュが俺を嫌がって嫌われると思っていたようだ。
まあ、リフレーシュの場合、撫で撫でして欲しい気持が、他のウォンバットよりも強いみたいだから、思う存分、これからは撫でまわせると思うと滅茶苦茶嬉しい。
だが……
愛する彼女に触れ、体中を触る事が出来ている。うん、確かに望んでいた。望んでいたが……
ちょっと、コレジャナイ感がする。
俺と彼女は婚約者同士で。今日こそ、彼女に触れたかった。彼女の全てを知り、思う存分イチャイチャしたかった。
イチャイチャ……は、出来ている。うん。甘えてくれて、俺も撫でて。ふたりの気持ちは最高潮に盛り上がり、甘いムードが漂っている。
だが、やっぱりコレジャナイ。
悶々とした釈然としない何かの正体は分かり切っている。この状態は、もふもふを堪能して幸せなだけだ。十分幸せなのだが、俺としては、もっとこう……
だが、安心しきって俺に体全体を預けている、愛しい彼女に、どう伝えたらいいのかわからない。
「ぷぅ?」
どうしたの? と、俺の様子が少しおかしいのを察した彼女が、顔をあげてピュアでつぶらな、清純そのものの瞳を向けて来る。
うっ……
俺の心にある、邪な下心が、100%濃縮ピュア成分に押しやられて怯む。
「いや……その……。リフレーシュ、あの、だなー……」
穢れが、清浄を通り越した涅槃寂静すらない、無の彼女に、俺と一夜を共にして欲しいなどと言えるだろうか?
女の子の相手に慣れている殿下とかなら、自然と誘って本願を果たしているだろうが。いかんせん、俺は未経験だし、女の子の扱いなんてこれっぽっちも知らない。どうやって誘えばいいんだ?
「……?」
もぞりと動いた彼女が、心配そうに俺の悩んでいる顔を覗き込んでペロっと舐めてくれた。厚いおしりが、体を起こしたために、俺の中心に当たったため、むくりと俺の欲望が鎌首を持ち上げてきて焦る。
「ああ、なんでもないというか……その。リフレーシュ」
言うんだ。散々、彼女を離接するホテルに誘って、めくるめく愛の一夜を過ごすためのセリフを練習してきたじゃないか。
困り果てた俺は、さりげなく誘う言葉を出せるはずもなく、別に準備していた下心を感じない言葉を彼女に贈る事にした。
「誕生日、おめでとう。本当は、観覧車でお祝いしてプレゼントを渡すつもりだったんだ」
今日は、彼女が成人になる記念日。一生に一度きりのその日に、一緒に過ごしたいとずっと思っていた。
「ち……!」
彼女が驚いて、体全体を感激で震えさせて俺に抱き着いて来る。ぎゅっと抱きしめて、今言うしかないと決心した。
「リフレーシュ……今日は、離れたくない。君の、18になった今日、俺と一緒にずっと過ごしてくれないか?」
俺は、ポケットに忍ばせた指輪を彼女に見せた。獣化状態なので、指にはめる事は出来ないが、セットのネックレスに通して首にかける。
「……」
少し黙った彼女は、その真意を理解したのか、俺をじーっと見つめて、そして、俺といたいと言ってくれたのであった。
レイトー殿下とメモリ殿下が、今回のお詫びに、隣接するホテルのスイートルームを抑えてくれている。俺は、彼女の返事を聞くや否や、まだパレードが終わっていないにも拘らず、彼女を抱えてテーマパークを後にした。
正直、頭が沸騰しそうなほど嬉しい。やっと、女の子と、しかも、最愛の人とあんな事や、こんな事が出来るんだ。興味なさげに振舞っていたが、俺も男だから、ずっと興味はあったしシたいとは思っていた。
だが、やっと。苦節18年と少し。ようやく、俺も経験する事になるんだ。
彼女も勿論初めてだろう。怖がらせないように、彼女にとっても一生に一度の、最高の思い出にしたい。
魔力認証で簡単に開く扉。自動で閉まるその時間すら惜しい。
「リフレーシュ……人化してくれないか? 君と愛し合いたい」
早速キスをしようとしたが、ウォンバット姿の彼女と、人化状態の俺ではサマにならない。ラッコの姿になったとしても、少々やりづらい事もあり、彼女に頼んだ。
俺の腕の中で、逡巡した彼女が、ぷるりと震えて姿形を変えて人化してくれた。
「フレイム、さま……」
「リフレーシュ、愛している」
頬を真っ赤にした彼女が、瞳を潤ませて俺を見つめて来る。人化した全裸の彼女は、もじもじして恥ずかしそうだ。もう、たまらん。
「あまり、見ないでください……」
「……」
俺としては、全てを隅から隅まで見たいに決まっている。だが、今日は俺たちの初夜だ。彼女の願いを叶えるべく、室内を照らすライトを魔法で消した。
「フレイムさま……あっ……」
俺は、暗がりの中でも見える彼女の白くてきめ細やかな柔肌を抱きしめながら、ふんわりした唇にキスを落し、そっとその柔らかなふくらみに右手を当てたのだった。
清浄(せいじょう):10の-21乗
涅槃寂静(ねはんじゃくじょう):10の-24乗
10
お気に入りに追加
420
あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?
うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。
濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる