完結 R18 拝啓、ポンコツ女神様。今更あなたの手違いだったと言われましても。

19 拝啓、ポンコツ女神様。手違いはこれで最後にしてくださいね

　スドオシさんは、護衛につく時にあらかじめ打診があったそうで、私が手紙の内容を相談すると、「マール様さえよかったら」と、非常に前向きな返答をもらった。

　本当に、範疇外というか、そういう相手として考えていなかったけど、彼もまた「俺はツガイ以外の女性とどうこうするつもりはないんです」と、再婚する相手が誰であれ、男女の関係を望んでいないし、護衛という立場でも名ばかりの夫としての立場でもどっちでもいいというスタンスだ。彼のツガイさんは、この世では早くに別れが来てしまったけれど、とっても幸せな生涯だったんじゃないかなと思う。

　私を狙っているのは、何も暗殺者だけというわけではなく、王位継承権がまだある娘の父という立場を望む人もいるから、純粋に守ってくれる彼と再婚するのが最良だと思えた。

「私の相談相手というか、家族になって、娘の義父として一緒にすごしていただけませんか？」
「喜んで」

　コーキさんに、書類上だけだからと心のなかで断りをいれる。なんだか、すねたような、怒ったような彼の姿や、今回ばかりはしょうがないなという受け入れているような姿が見えたような。

　娘はもうひとりのお父様の存在に戸惑っているみたいだけど、もともと気に入っていた人だからすぐに打ち解けたみたい。

　再婚して半年くらい経った頃、ヒキサゲくんが奥さんといっしょに、もこもこの茶色いもふもふを連れてきた。

「ピピッピー」

　おかしいな。ヒキサゲくんの色合いのペンギンからは、灰色と白の有名なかわいいヒナじゃないのかなーと思いつつ、あれはエンペラーだったかもと茶色いヒナをまじまじ観察した。想像とは違うけど、キウイみたいなこのコもかわいい。

　本性のヒキサゲくんたちよりもおおきなヒナをもふもふさせてもらった。

　ヒキサゲくんたちが、そろそろ帰ろうとすると、ヒナがうちの娘をがしっと小さな羽でかかえて離れようとしなかった。娘も、もっふもふに体を半分は言いすぎだけど四分の一くらいめり込ませて抱きついている。

「あらあら、これはひょっとして？」
「……娘から今すぐ離れろ。いくら生まれたばかりのヒナでもゆるさん」

　こんなにも早く、ツガイに会えるのも珍しいみたい。大抵は、家族で過ごし、思春期から成人の頃に出会うのがほとんどだ。

「あらあら、また、メ・ガーミの手違いかしら……」

　私の時は、かなり遅かった上に、年齢もだいぶ離れててしまっていた。それに比べたら、早くにツガイに出会えた娘はラッキーなのかも。

　義理とはいえ、父になったスドオシさんとしては、もう娘を他の男にとられると怒っているけど。

「僕も、義理のお父様になるんですよ！」
「ひきしゃげも？　やったー。おとうしゃまが3人だー」

　細かなことはおいといて、娘が喜んでいるのなら、こんな手違いも悪くはないと思う。

「何が、義理のお父様だ。娘はお前らにはやらんからな」
「団長、それは横暴というやつですよ。愛し合うツガイを引き離すなんて、鬼ですか」
「鬼ではない。アザラシだ」

　きっと、コーキさんも彼と同じような反応になったと思う。

　いつか、私も天に帰る時、彼が心配しなくていいように幸せだったと胸を張って言えるように、この時を大事にしたい。


　今一歩ツメが甘い、ポンコツメ・ガーミ様、
　子どもたちには、私やスドオシさんのようなさみしい思いをしなくてすむように、手違いもこれで最後にしてくださいね。



R18　拝啓、ポンコツ女神様。今更あなたの手違いだったと言われましても。　完結

　最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。