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卍のポーズはヨガではないようです
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「ぴぃぴぃ」
「…………」
「ぴ?」
「…………」
首を捻りながら、何かを相談しているような我が子たちを見つめる。亀には声帯がないので、偶然音が発生するだけ無言だ。当然、何を言ってるのかさっぱりわからない。ボディランゲージか雰囲気でなんとなく悟っている。
声帯があるとはいえ、ペンギン語も全く理解不能。
でも、なんとなく子供たちが遊びの相談をしているのがわかって、微笑ましい。
今日は、私たち4人の他に、おじいちゃんや侍女さんたち、そして子供たちと大所帯で、インテークが私にくれたファイアーオパールの原産国の島国に来ている。トータス国よりも温暖だから、皆過ごしやすそう。
もう、それってキャンピングカーどころか、大型トラックの箱をいくつもくっつけたレール要らずの列車なんじゃないのっていう4輪どころか30輪もタイヤがある、特注の改造大型バイク数台でやってきた。箱の中は、豪華な客室で、お風呂キッチントイレつき。勿論、大きなベッドも。
要所要所でバイクをとめて、各国で観光しながらの旅行の全日程は半年の予定だ。
こんなバイク、この世界のフューエルさんにしか準備出来ないと思う。
すでに人化を自由自在に操れるようになったお兄ちゃんお姉ちゃんたちが、本性のリクガメ姿で、上からみたら卍のポーズで日光浴をのんびりしている。
お兄ちゃんリクガメが、チビッコたちに向かって視線をやると、もふもふの綿毛みたいなアデリーペンギンの妹と、フロントとの子であるリクガメの弟が顔を見合わせた。
どうやら、お兄ちゃんの意見(?)が通ったようで、ミニマムな弟妹がお兄ちゃんたちのマネをして卍のポーズをとった。とはいえ、ペンギンの妹のほうはマンジのポーズじゃなくて、腹ばいでぴーんと体を伸ばし、羽を広げているだけなんだけど。
なんのポーズかさっぱりわからなくて、ヨガ風にマネをしてみたところ、おじいちゃんが、あれは温度調節のために脇とかをがらあきにさせているんだという。
すごくリラックスしているから、外敵がきたら一瞬で食べられてしまうポーズなんだって。
「そうなんだー」
子供たちが卍のポーズと卍もどきポーズを庭で並んでしているのを見て、微笑ましくてうんうん頷いていた。
「リア、また首を縦に振ってる。気を付けて」
「あ、ごめんなさい。どうしても、無意識に頷いちゃうの」
「ここには俺たち以外、じいしかいないから大丈夫だが、他の男の側では絶対ダメだ。男がリア様に求愛されていると思うからな」
「う、うん」
「なんとも、私の種族と違って、声がでないから少しの仕草が色んな意味を持つリクガメ族は興味深いな」
「だよね。何気ない普通の仕草が求愛とか決闘とか……」
私は、よく首を縦に振っている。ペチるのと同じくらい愛を示す行動らしく、謝罪やお礼の時の頭を下げるのも、ちょっとした角度の違いで求愛になってしまうと聞いた時には目が飛び出るかと思った。
「決闘は、まあなんとかなるんだが、求愛を示す仕草をすると、四人目以降の夫が出来るから注意してね? リアには僕たちだけでいいでしょう?」
「うん」
「俺も、リア様に4人目の夫が出来るのは嫌だな」
「うん、それは私も。フロントとインテーク、フューエルさんだけで、私はいっぱいだよ」
「リア様は、本当にかわいいな。私たちをこれ以上のめり込ませてどうしたいんだ」
「え? きゃぁ!」
「じい、子供たちを頼んだよ」
「わかりましたですじゃー。次のお子はどちらの種族ですかなー」
「え? え?」
フロントに手を取られ、インテークに腰を持たれ、フューエルさんに肩を抱かれた状態で、私は夫婦の寝室のある部屋に連れ込まれる。
こんなの、今からエッチしまーすって公開宣言しているようなもので、未だに慣れなくて顔が真っ赤になってしまう。夫たちはそんな私を見て、ますます足の運びを速くするのだ。
子供たちは、のんびりしすぎていて、私たちがそっと消えたのに気付いていないみたい。おじいちゃんたちがいれば、子供たちは大丈夫なんだけど気になって仕方がない。
リクガメのやわらかキッズを10人、ペンギンのもふっこを4人産んでも、彼らは私に飽きないようだ。というよりも、産む度にもっともっとと求められるようになった。
この世界に来た時、私は世間知らず、異世界知らずの女子高校生だった。10年経った今でも、異世界ビギナーな私は、夫たちにあれよあれよと流されて、今では前の世界では考えられないほどの夜を過ごしている。
そして、数か月後──
小さな卵の中からコツコツ殻を叩く音がする。もうすぐ、ケープペンギンの我が子が産まれるようだ。
一番上の子は、愛のペチペチを成功させて、婚約者と一緒に弟か妹の誕生を見守っている。卵がいる保温ばっちりのベビーベッドの周囲は、大勢いすぎて、誰が誰だかわらかないほど渋滞していた。
「あ、ママー。卵に穴が開いたよ!」
少しずつ、少しずつ、卵の殻のヒビも大きくなって、15人めの可愛い赤ちゃんが顔を見せてくれたのであった。
R18 異世界に召喚されたら、いきなり頬を叩かれました。──完
これにて本編完結です。
あとは番外編なんですが、注意書きをタグやあらすじに書き忘れていまして。
好き嫌いわかれるので、別の小話として数日後に投稿します。複数での夜のお話なので、なんでも楽しめる方はよかったらお立ち寄りください。→2022年11月26日引き下げします
テイルのその後のお話は出来ているものの需要ないだろうなあと思い、名前などを変えた別のお話で投稿するかもしれません。
「…………」
「ぴ?」
「…………」
首を捻りながら、何かを相談しているような我が子たちを見つめる。亀には声帯がないので、偶然音が発生するだけ無言だ。当然、何を言ってるのかさっぱりわからない。ボディランゲージか雰囲気でなんとなく悟っている。
声帯があるとはいえ、ペンギン語も全く理解不能。
でも、なんとなく子供たちが遊びの相談をしているのがわかって、微笑ましい。
今日は、私たち4人の他に、おじいちゃんや侍女さんたち、そして子供たちと大所帯で、インテークが私にくれたファイアーオパールの原産国の島国に来ている。トータス国よりも温暖だから、皆過ごしやすそう。
もう、それってキャンピングカーどころか、大型トラックの箱をいくつもくっつけたレール要らずの列車なんじゃないのっていう4輪どころか30輪もタイヤがある、特注の改造大型バイク数台でやってきた。箱の中は、豪華な客室で、お風呂キッチントイレつき。勿論、大きなベッドも。
要所要所でバイクをとめて、各国で観光しながらの旅行の全日程は半年の予定だ。
こんなバイク、この世界のフューエルさんにしか準備出来ないと思う。
すでに人化を自由自在に操れるようになったお兄ちゃんお姉ちゃんたちが、本性のリクガメ姿で、上からみたら卍のポーズで日光浴をのんびりしている。
お兄ちゃんリクガメが、チビッコたちに向かって視線をやると、もふもふの綿毛みたいなアデリーペンギンの妹と、フロントとの子であるリクガメの弟が顔を見合わせた。
どうやら、お兄ちゃんの意見(?)が通ったようで、ミニマムな弟妹がお兄ちゃんたちのマネをして卍のポーズをとった。とはいえ、ペンギンの妹のほうはマンジのポーズじゃなくて、腹ばいでぴーんと体を伸ばし、羽を広げているだけなんだけど。
なんのポーズかさっぱりわからなくて、ヨガ風にマネをしてみたところ、おじいちゃんが、あれは温度調節のために脇とかをがらあきにさせているんだという。
すごくリラックスしているから、外敵がきたら一瞬で食べられてしまうポーズなんだって。
「そうなんだー」
子供たちが卍のポーズと卍もどきポーズを庭で並んでしているのを見て、微笑ましくてうんうん頷いていた。
「リア、また首を縦に振ってる。気を付けて」
「あ、ごめんなさい。どうしても、無意識に頷いちゃうの」
「ここには俺たち以外、じいしかいないから大丈夫だが、他の男の側では絶対ダメだ。男がリア様に求愛されていると思うからな」
「う、うん」
「なんとも、私の種族と違って、声がでないから少しの仕草が色んな意味を持つリクガメ族は興味深いな」
「だよね。何気ない普通の仕草が求愛とか決闘とか……」
私は、よく首を縦に振っている。ペチるのと同じくらい愛を示す行動らしく、謝罪やお礼の時の頭を下げるのも、ちょっとした角度の違いで求愛になってしまうと聞いた時には目が飛び出るかと思った。
「決闘は、まあなんとかなるんだが、求愛を示す仕草をすると、四人目以降の夫が出来るから注意してね? リアには僕たちだけでいいでしょう?」
「うん」
「俺も、リア様に4人目の夫が出来るのは嫌だな」
「うん、それは私も。フロントとインテーク、フューエルさんだけで、私はいっぱいだよ」
「リア様は、本当にかわいいな。私たちをこれ以上のめり込ませてどうしたいんだ」
「え? きゃぁ!」
「じい、子供たちを頼んだよ」
「わかりましたですじゃー。次のお子はどちらの種族ですかなー」
「え? え?」
フロントに手を取られ、インテークに腰を持たれ、フューエルさんに肩を抱かれた状態で、私は夫婦の寝室のある部屋に連れ込まれる。
こんなの、今からエッチしまーすって公開宣言しているようなもので、未だに慣れなくて顔が真っ赤になってしまう。夫たちはそんな私を見て、ますます足の運びを速くするのだ。
子供たちは、のんびりしすぎていて、私たちがそっと消えたのに気付いていないみたい。おじいちゃんたちがいれば、子供たちは大丈夫なんだけど気になって仕方がない。
リクガメのやわらかキッズを10人、ペンギンのもふっこを4人産んでも、彼らは私に飽きないようだ。というよりも、産む度にもっともっとと求められるようになった。
この世界に来た時、私は世間知らず、異世界知らずの女子高校生だった。10年経った今でも、異世界ビギナーな私は、夫たちにあれよあれよと流されて、今では前の世界では考えられないほどの夜を過ごしている。
そして、数か月後──
小さな卵の中からコツコツ殻を叩く音がする。もうすぐ、ケープペンギンの我が子が産まれるようだ。
一番上の子は、愛のペチペチを成功させて、婚約者と一緒に弟か妹の誕生を見守っている。卵がいる保温ばっちりのベビーベッドの周囲は、大勢いすぎて、誰が誰だかわらかないほど渋滞していた。
「あ、ママー。卵に穴が開いたよ!」
少しずつ、少しずつ、卵の殻のヒビも大きくなって、15人めの可愛い赤ちゃんが顔を見せてくれたのであった。
R18 異世界に召喚されたら、いきなり頬を叩かれました。──完
これにて本編完結です。
あとは番外編なんですが、注意書きをタグやあらすじに書き忘れていまして。
好き嫌いわかれるので、別の小話として数日後に投稿します。複数での夜のお話なので、なんでも楽しめる方はよかったらお立ち寄りください。→2022年11月26日引き下げします
テイルのその後のお話は出来ているものの需要ないだろうなあと思い、名前などを変えた別のお話で投稿するかもしれません。
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