56 / 75
誤算の自称ヒロイン
しおりを挟む私は、その手に手を重ねる。
「用意して、朝御飯食べよう」
「うん。化粧する」
「すぐ、泣いちゃうのに?」
「泣いちゃってもするの」
「わかった!してきて!俺、服着替えるから」
「うん」
「凛、昨日のズボン嫌だろ?これ、履いたら?」
拓夢は、ウエストがゴムになってるズボンを渡してくれる。
「いいよ!大丈夫」
私は、そう言って笑って洗面所に行った。鞄から、化粧ポーチを取り出して化粧をした。マスカラとファンデーションと口紅と眉ペンしか入ってなかった。泊まるつもりは、なかったから…。
「はぁー」
もっと、バッチリメイクにしたかった。
「凛、ブラジャー」
「ありがとう」
拓夢は、私のブラジャーを持って現れた。
「つけたげようか?」
「自分で出来るよ」
「つけさせてよ」
「うん、わかった」
私は、拓夢に背を向けてTシャツを脱いだ。
「はい」
「ありがとう」
ブラジャーを受け取ってつける。
「ホック止めるよ」
「うん」
拓夢の指先を背中に感じる。
「出来たよ」
「ありがとう」
目を閉じて、ちょっとだけエッチな想像をしていたのは内緒にしておこう。私は、Tシャツを取って着る。
「凛、エッチな事考えてただろ?」
「そんなの考えてない」
「嘘だ」
「嘘じゃない」
私は、首を左右に振る。バレていたのが、恥ずかしい。
「ここ触られたら弱いからだろ?」
そう言って、Tシャツの上から背中を撫でられる。
「そんな事ないから」
「嘘!じゃあ、もうしない」
「意地悪」
「じゃあ、弱いって言って」
「弱い…」
「良くできました」
そう言って、拓夢は私をギュッーっと抱き締めてくれる。
「行こう」
「うん。行こう」
私は、拓夢の背中に手を回す。
「今日一日、俺と凛は恋人だから」
「うん」
「じゃあ、行こう」
拓夢は、私から離れると手を繋いで引っ張っていく。
「忘れ物ない?」
「待って!見るから」
私は、鞄を確認する。
「スマホ忘れてた」
「あっ!部屋だな」
「うん」
私と拓夢は、部屋に戻る。
「はい」
「ありがとう」
スマホを鞄に入れる。
「じゃあ、行けるな」
「うん」
拓夢は、珍しく斜めがけのバックを下げている。ボディバックってやつだ。
「どこで、ご飯食べるの?」
「駅前のカフェで食べようと思って」
「美味しいの?」
「美味しいよ!それだけじゃないけど」
私と拓夢は、玄関で靴を履いて、家を出る。
「それだけじゃないって?」
歩きながら話す。
「凛がいつか、懐かしいって思って食べれるように…。あっ!勿論。俺もね…」
「この街を離れるから?」
「そうだね」
拓夢は、私の手を握りしめてくる。
「駄目だよ」
「そうだな!あっちまで、これは我慢しとく」
そう言って、手を離した。そして、手が触れるか触れないかの距離を保ちながら、私達は歩いて行く。
「用意して、朝御飯食べよう」
「うん。化粧する」
「すぐ、泣いちゃうのに?」
「泣いちゃってもするの」
「わかった!してきて!俺、服着替えるから」
「うん」
「凛、昨日のズボン嫌だろ?これ、履いたら?」
拓夢は、ウエストがゴムになってるズボンを渡してくれる。
「いいよ!大丈夫」
私は、そう言って笑って洗面所に行った。鞄から、化粧ポーチを取り出して化粧をした。マスカラとファンデーションと口紅と眉ペンしか入ってなかった。泊まるつもりは、なかったから…。
「はぁー」
もっと、バッチリメイクにしたかった。
「凛、ブラジャー」
「ありがとう」
拓夢は、私のブラジャーを持って現れた。
「つけたげようか?」
「自分で出来るよ」
「つけさせてよ」
「うん、わかった」
私は、拓夢に背を向けてTシャツを脱いだ。
「はい」
「ありがとう」
ブラジャーを受け取ってつける。
「ホック止めるよ」
「うん」
拓夢の指先を背中に感じる。
「出来たよ」
「ありがとう」
目を閉じて、ちょっとだけエッチな想像をしていたのは内緒にしておこう。私は、Tシャツを取って着る。
「凛、エッチな事考えてただろ?」
「そんなの考えてない」
「嘘だ」
「嘘じゃない」
私は、首を左右に振る。バレていたのが、恥ずかしい。
「ここ触られたら弱いからだろ?」
そう言って、Tシャツの上から背中を撫でられる。
「そんな事ないから」
「嘘!じゃあ、もうしない」
「意地悪」
「じゃあ、弱いって言って」
「弱い…」
「良くできました」
そう言って、拓夢は私をギュッーっと抱き締めてくれる。
「行こう」
「うん。行こう」
私は、拓夢の背中に手を回す。
「今日一日、俺と凛は恋人だから」
「うん」
「じゃあ、行こう」
拓夢は、私から離れると手を繋いで引っ張っていく。
「忘れ物ない?」
「待って!見るから」
私は、鞄を確認する。
「スマホ忘れてた」
「あっ!部屋だな」
「うん」
私と拓夢は、部屋に戻る。
「はい」
「ありがとう」
スマホを鞄に入れる。
「じゃあ、行けるな」
「うん」
拓夢は、珍しく斜めがけのバックを下げている。ボディバックってやつだ。
「どこで、ご飯食べるの?」
「駅前のカフェで食べようと思って」
「美味しいの?」
「美味しいよ!それだけじゃないけど」
私と拓夢は、玄関で靴を履いて、家を出る。
「それだけじゃないって?」
歩きながら話す。
「凛がいつか、懐かしいって思って食べれるように…。あっ!勿論。俺もね…」
「この街を離れるから?」
「そうだね」
拓夢は、私の手を握りしめてくる。
「駄目だよ」
「そうだな!あっちまで、これは我慢しとく」
そう言って、手を離した。そして、手が触れるか触れないかの距離を保ちながら、私達は歩いて行く。
0
お気に入りに追加
459
あなたにおすすめの小説

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない
かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」
婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。
もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。
ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。
想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。
記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…?
不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。
12/11追記
書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。
たくさんお読みいただきありがとうございました!
【完結】何んでそうなるの、側妃ですか?
西野歌夏
恋愛
頭空っぽにして読んでいただく感じです。
テーマはやりたい放題…だと思います。
エリザベス・ディッシュ侯爵令嬢、通称リジーは18歳。16歳の時にノーザント子爵家のクリフと婚約した。ところが、太めだという理由で一方的に婚約破棄されてしまう。やってられないと街に繰り出したリジーはある若者と意気投合して…。
とにかく性的表現多めですので、ご注意いただければと思います。※印のものは性的表現があります。
BL要素は匂わせるにとどめました。
また今度となりますでしょうか。
思いもかけないキャラクターが登場してしまい、無計画にも程がある作者としても悩みました。笑って読んでいただければ幸いです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる