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魔法オタクのトーンカッソスは、なんだかんだで嬉しそうにお茶を飲み干した後、すぐに私室に籠った。
彼の部屋には、よくわからない高度な魔法の構築式や陣、専門書や古代魔法の書籍がたくさんある。色んな魔法を研究するための、触りたくないようなおどろおどろしい物や、とっても愛らしいアイテムが棚に並べられていた。
そんな部屋の中で、徹夜状態が数日続いても、彼は寝食風呂など日常一切合切を忘れて一心不乱にやり続ける。
彼の頭の中では、魔法の構築式やありとあらゆる干渉の可能性から考えられる様々な現象について、物凄いスピードで計算が繰り返されているに違いない。わたくしやウールスタが頃合いを見計らって、トーンカッソスの世話をしないと、人知れず倒れているかもしれない。
ウールスタはウールスタで、庭に王都から持ってきたピザ釜と七輪を設置した後、午前中ずっと姿を消していた。恐らく、本邸などに忍び込んで使用人たちの噂話を聞いていたのだろう。
ふたりとの出会いは、特別変わった事などない。幼少期の頃にズタボロの彼らと出会って助けたとか、物語のように、事件があって絆が産まれたとかなかった。
普通に、使用人として雇われた彼らと、ごくごく普通に、彼らが止めるのを聞かずに、わたくしがちょっとした上級魔法で遊んで物を破壊しては大人たちに一緒に叱られたり、共に訓練や勉強をしたりしていただけだ。
なぜかわからないけれど、そんな関係でずっといたからか、ふたりはわたくしと一緒にいてくれる。とても頼もしい、心許せる戦友のような大切な存在なのである。
トーンカッソス抜きで昼食を楽しくとっていると、マシユムールがやってきた。折角、料理長自慢の、低温で揚げた、中はふわっ、外はパリッとしたフライドポテトや、美食家の舌を唸らせるコカトリスの卵のサンドイッチを食べて幸せだった気分が急降下する。
昨日、シュメージュから話を聞いたのか、マシユムールには昨日の勢いが全くなかった。まだ警戒心を解いていなさそうだし、ここに来たくなさそうな雰囲気が隠せていない。ここに来るのがそんなにも嫌なら来るなと言いかけた時、ウールスタが、敵意丸出しで早々に追い出した。そのあと、気分転換に異世界料理を作ろうと思い、ウールスタに材料調達を頼む。
庭に設置したピザ釜は、本格派の職人が、耐火レンガを積み重ねて作った大きなものだ。ピザを同時に5枚焼ける仕様で、魔法で発火してもいいが薪で焼いたほうが美味しく仕上がる。
ピザの発祥は、海を隔てた小国にあり、実はわたくしに求婚していた王子がいる国だ。わたくしがヤーリ王子との婚約を続けていたために、彼が幼馴染のご令嬢と結婚した。わたくしがバヨータージユ公爵家の名代で結婚式に招かれた時に、贈り物の返礼品としていただいたものである。
温度調整が難しいため、これを扱えるのは今のところわたくしだけだ。ウールスタたちは、火の近くにわたくしがいる事を反対するけれど、防御の魔法を発動しているから心配ない。
「薪はないし、ま、食べるのはわたくしたちだけだから魔法でいいでしょ。ファイアー」
火を魔法で作り出すと、釜の中がどんどん熱せられて温度があがる。周囲に熱気がこもり、離れていてもその熱が伝わった。薪はたくさんあっても困らない。今回の事件が落ち着いたら、トーンカッソスに薪を収納する場所を作ってもらう事にしよう。
「お嬢様、お待たせ致しました。新鮮で大きなエリンギがいっぱい採れましたよ」
「まあ、なんて見事なエリンギ……。それにしてもウールスタ、ずいぶんごきげんね。何かいい事でもあったの?」
「ふふふ、はい。とってもいい事をしてきました」
(んん? あった、じゃなくて、してきました、ですって?)
そう言えば、エリンギの群生していた場所は、離れから本邸に向かう途中にある。つまり、本邸に帰っている彼がいたのかもしれない。
さあっと顔から血の気が引く。ウールスタは一度根に持ったら、満足行くまで相手に様々な方法で仕返しをするタイプだ。陰険……、いえ、しつこい、もとい、記憶力がすこぶる良いので、一字一句、彼の言動を覚えているのだろう。
そして、エリンギを入れた籠の上に乗っかっている黒い布の存在がとっても気になる。彼女がエリンギ採取に向かった際に、あんな布を持って行っただろうか? いや、ない。
「ウールスタ……、その籠にかけられた黒いハギレは何なのかしら? とても大きな布だけど」
「途中で調達した布巾ですよ。ピザを焼くんですから汚れますでしょう? あと、ピザピールを掴むのに、このくらいの厚みがないと。ふふふ、いいところに、丁度あったんです!」
どう見ても、紳士服に使われる生地のように見える。どうしても、どんどん悪い方向に思考が傾いていった。
(そう言えば、マシユムールが着ていたのも、これに似た黒檀のように黒い服だったような……。ま、まさか、ねぇ?)
信じたくない。確認して、予想が当たったなど知りたくなくて、ニコニコ満面笑顔でいい仕事をやり切って来ましたと言わんばかりの彼女に訊ねる勇気が出ない。
悶々と考えつつ、ウールスタも愚かではないから、ほどほどにというわたくしの言葉どおりに手加減したはず。
(……よね? 誰か、そうだと言って。あああ、今すぐマシユムールの姿を確認したい。その辺に、ボロ雑巾のように転がっていたりして……。いえ、そんなはずはないわ。ああ、籠からはみ出してだらんと垂れ下がっているのが、執事のズボンの袖のように見えるだなんて、わたくしったら、疲れているのね……ふふふ)
もうどうにでもなれと、背中にたらりと冷や汗が一筋流れるのも、ピザ釜からの熱気のせいだと言い聞かせた。
疑問に思ったらすぐに確認する事がモットーだが、これは決して聞いてはいけない。微笑むウールスタの背後に、空恐ろしい存在が見えて、わたくしは忘れる事にした。
彼の部屋には、よくわからない高度な魔法の構築式や陣、専門書や古代魔法の書籍がたくさんある。色んな魔法を研究するための、触りたくないようなおどろおどろしい物や、とっても愛らしいアイテムが棚に並べられていた。
そんな部屋の中で、徹夜状態が数日続いても、彼は寝食風呂など日常一切合切を忘れて一心不乱にやり続ける。
彼の頭の中では、魔法の構築式やありとあらゆる干渉の可能性から考えられる様々な現象について、物凄いスピードで計算が繰り返されているに違いない。わたくしやウールスタが頃合いを見計らって、トーンカッソスの世話をしないと、人知れず倒れているかもしれない。
ウールスタはウールスタで、庭に王都から持ってきたピザ釜と七輪を設置した後、午前中ずっと姿を消していた。恐らく、本邸などに忍び込んで使用人たちの噂話を聞いていたのだろう。
ふたりとの出会いは、特別変わった事などない。幼少期の頃にズタボロの彼らと出会って助けたとか、物語のように、事件があって絆が産まれたとかなかった。
普通に、使用人として雇われた彼らと、ごくごく普通に、彼らが止めるのを聞かずに、わたくしがちょっとした上級魔法で遊んで物を破壊しては大人たちに一緒に叱られたり、共に訓練や勉強をしたりしていただけだ。
なぜかわからないけれど、そんな関係でずっといたからか、ふたりはわたくしと一緒にいてくれる。とても頼もしい、心許せる戦友のような大切な存在なのである。
トーンカッソス抜きで昼食を楽しくとっていると、マシユムールがやってきた。折角、料理長自慢の、低温で揚げた、中はふわっ、外はパリッとしたフライドポテトや、美食家の舌を唸らせるコカトリスの卵のサンドイッチを食べて幸せだった気分が急降下する。
昨日、シュメージュから話を聞いたのか、マシユムールには昨日の勢いが全くなかった。まだ警戒心を解いていなさそうだし、ここに来たくなさそうな雰囲気が隠せていない。ここに来るのがそんなにも嫌なら来るなと言いかけた時、ウールスタが、敵意丸出しで早々に追い出した。そのあと、気分転換に異世界料理を作ろうと思い、ウールスタに材料調達を頼む。
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ピザの発祥は、海を隔てた小国にあり、実はわたくしに求婚していた王子がいる国だ。わたくしがヤーリ王子との婚約を続けていたために、彼が幼馴染のご令嬢と結婚した。わたくしがバヨータージユ公爵家の名代で結婚式に招かれた時に、贈り物の返礼品としていただいたものである。
温度調整が難しいため、これを扱えるのは今のところわたくしだけだ。ウールスタたちは、火の近くにわたくしがいる事を反対するけれど、防御の魔法を発動しているから心配ない。
「薪はないし、ま、食べるのはわたくしたちだけだから魔法でいいでしょ。ファイアー」
火を魔法で作り出すと、釜の中がどんどん熱せられて温度があがる。周囲に熱気がこもり、離れていてもその熱が伝わった。薪はたくさんあっても困らない。今回の事件が落ち着いたら、トーンカッソスに薪を収納する場所を作ってもらう事にしよう。
「お嬢様、お待たせ致しました。新鮮で大きなエリンギがいっぱい採れましたよ」
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「ふふふ、はい。とってもいい事をしてきました」
(んん? あった、じゃなくて、してきました、ですって?)
そう言えば、エリンギの群生していた場所は、離れから本邸に向かう途中にある。つまり、本邸に帰っている彼がいたのかもしれない。
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そして、エリンギを入れた籠の上に乗っかっている黒い布の存在がとっても気になる。彼女がエリンギ採取に向かった際に、あんな布を持って行っただろうか? いや、ない。
「ウールスタ……、その籠にかけられた黒いハギレは何なのかしら? とても大きな布だけど」
「途中で調達した布巾ですよ。ピザを焼くんですから汚れますでしょう? あと、ピザピールを掴むのに、このくらいの厚みがないと。ふふふ、いいところに、丁度あったんです!」
どう見ても、紳士服に使われる生地のように見える。どうしても、どんどん悪い方向に思考が傾いていった。
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