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筋トレ4日目2/2 運命の乙女と保健室のベッドで……。 R15ラキスケ程度
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「……? フランチェスコ様……?」
彼女も落ち着いたのか、ようやく状況を認識したようだ。俺を見下ろすかのように頭をあげて行った。
剥き出しの肩から伸びた小さな手が俺の肩付近に添えられる。
そして……、赤いリボン越しに、白くて柔らかな二つのカーブが重力で少しだけ下がり、その先端だけが俺の胸にふにゃってくっついているのが見えた。
谷間が深くなっているそこに視線が釘付けになる。窓から入る光のせいで、その大きさを示すがごとく光っていた。
──……お……ぱい……俺の胸に、くっついて、形がかわって……
俺は天国に来たに違いない。
俺が見つめた女神が、その神秘の二つの柔らかな、誰にも触れさせたことが無いに違いないそこを、俺にくっつけてくれているだなんて。
「フランチェスコ様……、どこを見て……? え? きゃあ! いやああん!」
彼女が俺の視線を辿る。そこには、勿論彼女のおっぱいがあって。
一瞬で真っ赤になった彼女が俺の視線の途中に手で壁を作るかのように、必死にリボン付近で手のひらでガードした。
そのせいで見えなくなり残念極まりない。
「……」
俺はまぬけな顔をしているに違いない。鮮明に、目と心と脳の海馬のほとんどに焼き付いたその光景を思い出してぼーっとする。
夢か現か幻か。
現状を理解しようと脳がフル回転するがバグって思考が上手く働かない。
ふと、右手がマシュマロのような大きな何かを掴んでいる事に気付き、なんだろうと不思議に思った。
──左手は、守ろうと支えた彼女の腰に当てられている。その左手よりも足元のほうに右手があるという事は……
女の子のおしりに手を当てるなんて、今まで一度もない。現実離れした陶酔にも似た何かの感情で俺の心身が埋まって行く。
事実をこうして把握するだけで精一杯で、それが何を意味するのか理解出来ない。俺は体を、手を動かせなかった。
彼女が胸元を見下ろした顔を俺のほうにしっかりと向けた。顔を真っ赤にして、瞳に軽く涙を浮かべて潤ませている。
──なんてかわいいんだ……好き、だ……たとえ、嫌われていても、好きだ……
俺は、彼女に一目ぼれをし、そして深く彼女に堕ちた事を確信した。そう自覚する度に嫌われているという事実が俺の心を抉る。
「べ、ベアトリー……」
せめて、俺の気持ちだけでも受け取って欲しい。知って欲しいと思った。でも、今を逃せば言えなくなるに違いない。
愚かな事に、おしりに手を当てたまま、彼女の名を口にしようとした時。
「いやああああ!」
彼女は悲鳴をあげて、俺の腕と手からあっという間に逃れ体から降りた。彼女の重みと温もり、柔らかさが消えてしまい寂しさを感じる。
彼女は、ベッドの側に立ちスカートの乱れを素早く直した。
「変態っ! こ、ここここ、こういうはしたない事は、いつものようにそういった女子生徒としたらいいでしょう? 誰でもいいんですか! ばかあ! えっち!」
ぽろりと綺麗で透明な涙を流しながら、可愛くて美しい顔を歪める彼女も、またかわいらしい。
でも、俺はその顔を見た時、彼女のおしりを触るという変態で痴漢行為をしてしまった事を、バグっていた脳がようやく理解したのである。
「うわあああ! ご、ごめ……! わ、わざとじゃ……!」
俺はとんでもない事をしてしまったと思い焦る。
どうやら、わざと彼女をベッドに連れ込んだと勘違いされているようだ。
胸が嫌な音を大きく速く鼓動を打ち、冷や汗が吹き出す。
すぐに謝ろうとした。
「二度と、私に近づかないで! 視界に入らないでください!」
だけど、彼女は涙目で睨み付けながら大きな声で俺にそう言った後、保健室から、俺から離れて行ってしまった。
「は、ははは……」
俺はベッドで天井を見ながら、泣きたいのに、口からは乾いた小さな笑い声しか出なかった……。
──おわった……
俺は、俺自身の手で人生終了の鐘を鳴らしてしまったのであった。
※
状況に全くついていけていないザビー。ただでさえ嫌われているというのに、ラキスケという名の絶望が更に彼を追い詰めた。
次回、失意のどん底にいるザビーの前に現れるのは、更に突き落とす敵か、それとも逆風を払いのけるための味方か……。
彼女も落ち着いたのか、ようやく状況を認識したようだ。俺を見下ろすかのように頭をあげて行った。
剥き出しの肩から伸びた小さな手が俺の肩付近に添えられる。
そして……、赤いリボン越しに、白くて柔らかな二つのカーブが重力で少しだけ下がり、その先端だけが俺の胸にふにゃってくっついているのが見えた。
谷間が深くなっているそこに視線が釘付けになる。窓から入る光のせいで、その大きさを示すがごとく光っていた。
──……お……ぱい……俺の胸に、くっついて、形がかわって……
俺は天国に来たに違いない。
俺が見つめた女神が、その神秘の二つの柔らかな、誰にも触れさせたことが無いに違いないそこを、俺にくっつけてくれているだなんて。
「フランチェスコ様……、どこを見て……? え? きゃあ! いやああん!」
彼女が俺の視線を辿る。そこには、勿論彼女のおっぱいがあって。
一瞬で真っ赤になった彼女が俺の視線の途中に手で壁を作るかのように、必死にリボン付近で手のひらでガードした。
そのせいで見えなくなり残念極まりない。
「……」
俺はまぬけな顔をしているに違いない。鮮明に、目と心と脳の海馬のほとんどに焼き付いたその光景を思い出してぼーっとする。
夢か現か幻か。
現状を理解しようと脳がフル回転するがバグって思考が上手く働かない。
ふと、右手がマシュマロのような大きな何かを掴んでいる事に気付き、なんだろうと不思議に思った。
──左手は、守ろうと支えた彼女の腰に当てられている。その左手よりも足元のほうに右手があるという事は……
女の子のおしりに手を当てるなんて、今まで一度もない。現実離れした陶酔にも似た何かの感情で俺の心身が埋まって行く。
事実をこうして把握するだけで精一杯で、それが何を意味するのか理解出来ない。俺は体を、手を動かせなかった。
彼女が胸元を見下ろした顔を俺のほうにしっかりと向けた。顔を真っ赤にして、瞳に軽く涙を浮かべて潤ませている。
──なんてかわいいんだ……好き、だ……たとえ、嫌われていても、好きだ……
俺は、彼女に一目ぼれをし、そして深く彼女に堕ちた事を確信した。そう自覚する度に嫌われているという事実が俺の心を抉る。
「べ、ベアトリー……」
せめて、俺の気持ちだけでも受け取って欲しい。知って欲しいと思った。でも、今を逃せば言えなくなるに違いない。
愚かな事に、おしりに手を当てたまま、彼女の名を口にしようとした時。
「いやああああ!」
彼女は悲鳴をあげて、俺の腕と手からあっという間に逃れ体から降りた。彼女の重みと温もり、柔らかさが消えてしまい寂しさを感じる。
彼女は、ベッドの側に立ちスカートの乱れを素早く直した。
「変態っ! こ、ここここ、こういうはしたない事は、いつものようにそういった女子生徒としたらいいでしょう? 誰でもいいんですか! ばかあ! えっち!」
ぽろりと綺麗で透明な涙を流しながら、可愛くて美しい顔を歪める彼女も、またかわいらしい。
でも、俺はその顔を見た時、彼女のおしりを触るという変態で痴漢行為をしてしまった事を、バグっていた脳がようやく理解したのである。
「うわあああ! ご、ごめ……! わ、わざとじゃ……!」
俺はとんでもない事をしてしまったと思い焦る。
どうやら、わざと彼女をベッドに連れ込んだと勘違いされているようだ。
胸が嫌な音を大きく速く鼓動を打ち、冷や汗が吹き出す。
すぐに謝ろうとした。
「二度と、私に近づかないで! 視界に入らないでください!」
だけど、彼女は涙目で睨み付けながら大きな声で俺にそう言った後、保健室から、俺から離れて行ってしまった。
「は、ははは……」
俺はベッドで天井を見ながら、泣きたいのに、口からは乾いた小さな笑い声しか出なかった……。
──おわった……
俺は、俺自身の手で人生終了の鐘を鳴らしてしまったのであった。
※
状況に全くついていけていないザビー。ただでさえ嫌われているというのに、ラキスケという名の絶望が更に彼を追い詰めた。
次回、失意のどん底にいるザビーの前に現れるのは、更に突き落とす敵か、それとも逆風を払いのけるための味方か……。
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