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16 右手がまだ恋人になる時がある男は、痴漢被害に合っていた一目ぼれの彼女に幸せを貰い続けるようです
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翌日、いつの間にかやんだ雪は太陽に照らされて思ったほど残ってはいなかった。だけど、電車は運休のままで、会社から自宅待機指示が出た。
「ラッキー。今日はいろはとずっといられる」
「ほんと?」
朝の柔らかな光が、カーテンの隙間から入ってきて彼女の肌を照らす。もう一度繋がりたいとわがまま言う立ち上がった息子を𠮟りつけて、彼女にキスをした。
「ん……」
「いろは、愛しているよ」
「私も。愛してます……ひふみ」
思わず、いろはって大きな声で呼んで今日の一発目をするために襲い掛かるところだった。でも、初めての彼女の中はまだ傷ついているからがまんをする。
一緒にお風呂に入りたかったけれど、彼女が嫌がったのでまた今度の楽しみに取っておく事にした。シャワーの中でムクムク立ち上がる息子には、元カノの右手を宛がう。
「ちょっと我慢したら、また彼女とエッチできる……」
昨日の彼女の大きな揺れる胸やアソコ、蕩けた表情を思い出しては元カノの右手に何度か世話になった。
服を着て、だらだら俺の部屋で過ごしていると、彼女のご両親から連絡があった。ホテルとの話し合いでは、クリーニング代も、レストランのキャンセル料もすべてあちらが持つ事になったそう。
そして、俺たちの次の記念日には、是非レストランで食事をして欲しいと招待券を頂く。
「うーん、結構散々だった気もするけど、今は幸せだからもうどうでもいいや。ふふふ」
そんな事を笑顔で言う彼女は、俺をまっすぐに見てくれる。昨日と変わってないような日常。でも、確かに、俺たちの何かが変わった。
後日、俺の家族に彼女を紹介すると長兄が本気で彼女に見惚れてしまった。次兄も、彼女がフリーなら絶対狙っていただろう。俺たちはごはんも着るものも嗜好が似ている。まさか、女の子の趣味まで似るとは思わなかった。
「……いろはは俺のだからな」
「そう言うなって。義理の妹になるんだ。いろはちゃん、仲良くしようね」
チャラい次兄がそんな風に言って彼女の手を強引にとって握手をする。次兄はまだいい。問題は、完全に一目ぼれで堕ちたっぽい長兄のほうだ。
二人にはなるべくいろはを見せないようにしないとと決意した。
「あの、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。香河いろはと申します。よろしくお願いいたします」
「まあまあ。ふふふ、何てかわいいのかしら。数日ここにいるんでしょう? 私と一緒に色んな所にお出かけしましょうね」
実家に滞在中、兄たちを警戒していたら最大の敵は母だという事がわかった。夜も彼女を離さないくらい気に入ってしまった。でも、彼女がとても幸せそうに笑っているのがとても嬉しい。
何よりも、俺の側でだけしか見せない沢山の表情がある。次兄はヤレヤレって感じで俺たちを見て、長兄は寂しそうにしていた。いずれ兄たちにも、俺だけの恋人のような存在が出来るはずだ。早く見つけて、いろはにちょっかいを出すのをやめて欲しいと切に願う。
彼女は在学中に経営を学び出した。勿論俺が全面的に支援しつつ、実家の系列の会社でアルバイトから始め卒業する頃には会社の一つである小さな事務所を任されるようになっていた。
「いろは」
俺は、4年前に一目ぼれした愛しい彼女が、白いウエディングドレス姿でお義父さんに連れられてくるのを教会の奥で待っていた。彼女が、ゆっくり俺に近づく。頬を紅潮させ、前は猫背気味だった背を伸ばし、胸を張って堂々と俺を愛していると全身で訴えながら。
「ひふみ」
お義父さんの手から、大切な彼女を譲り受ける。
「娘を頼む」
「はい。この世の誰よりも幸せにしてみせます」
そして、二人で手を取りお互いに視線を交わらせながら微笑み合う。そして、同じ方向を向いて結婚を誓い合い場所を一緒に見つめて歩みを進めるのだった。
【R18】猫背ぎみのコンプレックス女子は、痴漢から助けてくれた男の子に大切にされています【改題】──完
「ラッキー。今日はいろはとずっといられる」
「ほんと?」
朝の柔らかな光が、カーテンの隙間から入ってきて彼女の肌を照らす。もう一度繋がりたいとわがまま言う立ち上がった息子を𠮟りつけて、彼女にキスをした。
「ん……」
「いろは、愛しているよ」
「私も。愛してます……ひふみ」
思わず、いろはって大きな声で呼んで今日の一発目をするために襲い掛かるところだった。でも、初めての彼女の中はまだ傷ついているからがまんをする。
一緒にお風呂に入りたかったけれど、彼女が嫌がったのでまた今度の楽しみに取っておく事にした。シャワーの中でムクムク立ち上がる息子には、元カノの右手を宛がう。
「ちょっと我慢したら、また彼女とエッチできる……」
昨日の彼女の大きな揺れる胸やアソコ、蕩けた表情を思い出しては元カノの右手に何度か世話になった。
服を着て、だらだら俺の部屋で過ごしていると、彼女のご両親から連絡があった。ホテルとの話し合いでは、クリーニング代も、レストランのキャンセル料もすべてあちらが持つ事になったそう。
そして、俺たちの次の記念日には、是非レストランで食事をして欲しいと招待券を頂く。
「うーん、結構散々だった気もするけど、今は幸せだからもうどうでもいいや。ふふふ」
そんな事を笑顔で言う彼女は、俺をまっすぐに見てくれる。昨日と変わってないような日常。でも、確かに、俺たちの何かが変わった。
後日、俺の家族に彼女を紹介すると長兄が本気で彼女に見惚れてしまった。次兄も、彼女がフリーなら絶対狙っていただろう。俺たちはごはんも着るものも嗜好が似ている。まさか、女の子の趣味まで似るとは思わなかった。
「……いろはは俺のだからな」
「そう言うなって。義理の妹になるんだ。いろはちゃん、仲良くしようね」
チャラい次兄がそんな風に言って彼女の手を強引にとって握手をする。次兄はまだいい。問題は、完全に一目ぼれで堕ちたっぽい長兄のほうだ。
二人にはなるべくいろはを見せないようにしないとと決意した。
「あの、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。香河いろはと申します。よろしくお願いいたします」
「まあまあ。ふふふ、何てかわいいのかしら。数日ここにいるんでしょう? 私と一緒に色んな所にお出かけしましょうね」
実家に滞在中、兄たちを警戒していたら最大の敵は母だという事がわかった。夜も彼女を離さないくらい気に入ってしまった。でも、彼女がとても幸せそうに笑っているのがとても嬉しい。
何よりも、俺の側でだけしか見せない沢山の表情がある。次兄はヤレヤレって感じで俺たちを見て、長兄は寂しそうにしていた。いずれ兄たちにも、俺だけの恋人のような存在が出来るはずだ。早く見つけて、いろはにちょっかいを出すのをやめて欲しいと切に願う。
彼女は在学中に経営を学び出した。勿論俺が全面的に支援しつつ、実家の系列の会社でアルバイトから始め卒業する頃には会社の一つである小さな事務所を任されるようになっていた。
「いろは」
俺は、4年前に一目ぼれした愛しい彼女が、白いウエディングドレス姿でお義父さんに連れられてくるのを教会の奥で待っていた。彼女が、ゆっくり俺に近づく。頬を紅潮させ、前は猫背気味だった背を伸ばし、胸を張って堂々と俺を愛していると全身で訴えながら。
「ひふみ」
お義父さんの手から、大切な彼女を譲り受ける。
「娘を頼む」
「はい。この世の誰よりも幸せにしてみせます」
そして、二人で手を取りお互いに視線を交わらせながら微笑み合う。そして、同じ方向を向いて結婚を誓い合い場所を一緒に見つめて歩みを進めるのだった。
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