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1 恋人が、ずっと右手だった男
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いつものやつです。すみません。
ザ────ッ!
蛇口を目一杯回して少し温めのシャワーを浴びる。外は成人式だったというのに日の落ちる前から降り続く大雪で、底冷えするほど寒い。すでに電車などは止まっている。祝日出勤の人は、早期帰宅命令が出された人は軒並み帰り、会社に残り翌日まで過ごす人や、帰宅難民がいるようでニュースはその話でもちきりだった。
こんな日は熱い湯船に浸かりたいものだ。だが、体が火照り心も胸もカウントダウン0間近の男には今の少し冷たいくらいの38度の湯が必要だった。
「う……、はぁ」
男は身長185センチで鍛え上げられた肉体には狭い、ワンルームの賃貸の部屋に備え付けられているユニットバスの洗い場で、立ったままだと頭がシャワーヘッドよりも高いため足を開き座っている。体躯に見合った下半身の男にしかついていない器官は、普段のそれよりもはるかに大きく太いと自分でも思う。
ビキビキと血管が浮き、剥き出しの先端からは透明のぬるぬるした液体がこぼれ落ちていた。シャワーが勢いよくそこや、それを覆っている血管が浮き出ているごつごつした大きな右手に当たりぬめりを落としていく。
「……、……うぅ……!」
息を詰め数秒後、すでに数回吐き出されたというのに、勢いよく白いものが太い線を描いて前方の壁を目掛けて飛び散った。
「はぁはぁ……おさまらない」
男は眉をハノ字にして情けない表情を浮かべていた。バスルームには湯がやや温いとはいえもうもうと湯気が充満している。前かがみのような恰好で座っているため、盛り上がった広背筋が時々ピクピクと動きシャワーがから落ちて来た湯の流れを変えていた。
「くそっ、彼女が待ってんのに……」
彼女が待っているからこそのこの衝動。おさめたいがおさまるはずもなく。一生懸命ムカつく上司の小言や嫌味、おっさんギャグを思い出そうとするけれど、彼女の微笑む表情を一瞬でも思い出せば一撃で勃ち上がる。
大学を卒業して親の経営する会社ではなく、まずは甘えず大海を見て来いと言われて自力で入職できた会社はそこそこ大手だった。けれど、この時代にペーパーや印鑑、ファックスなどが必須で頭の固い旧体質の家族経営のようなところだったため、外部入職の自分には厳しい。
給料はそこそこいいがまっさらのスタートを切るために、その給料に見合った都心から少し離れた小さな賃貸マンションを借りた。
サービス残業当たり前、クレームは勉強だからと新人に行かせる。新人が行くことで、子供のような年代の子にひどい言葉は言えないという心理を狙っているという面もあるだろう。だが、新人を寄こすなんてと、さらに種火に原油を投下する事もあるわけで。
何かがあれば中堅どころの先輩たちに全てをかぶせて自分は悠々自適で帰るような上司の推定ウエスト100センチのメタボな腹を思い浮かべた。
よし、これで大丈夫だろう。
俺はしょんぼりした今のうちに、なるべく彼女を思い出さないようにバスルームを出た。
「……全裸で戻るのはNGとして……」
──バスタオルだけか?
いや、それだとあからさますぎるし万が一テントを張れば彼女が怯えて折角のエロいあれこれができなくなるだろう。
──ならば、パジャマか?
大切にそだてられた幼稚舎の頃からずっと女子校だった純粋培養のような彼女の事だ。そんな姿で戻れば笑顔で寝ようと、天使のような明るい声で悪魔なセリフを伝えてきそうだ。
──うーん……彼女は今、振り袖を脱いで、ぶかぶかの俺のトレーナー上下を着ているから、無難にトレーナーか……
最終的にたどり着いたトレーナーを着こむ。そして、俺のトレーナーをブラもつけずにダボダボの袖口で胸元を隠して恥ずかしがっていた彼女を思い出し、またも血が集中したソコを鎮めるために必死に上司を思い出さねばならなかった。
──なんだって、こんな日に上司を思い浮かべなきゃなんないんだよ……
非常に不服である。彼女一色に心も体も浸りたいのに。思わず顔をしかめつつ、やはり油断すると現れる昼間の振り袖姿の彼女が浮かんでしまうのであった。
ザ────ッ!
蛇口を目一杯回して少し温めのシャワーを浴びる。外は成人式だったというのに日の落ちる前から降り続く大雪で、底冷えするほど寒い。すでに電車などは止まっている。祝日出勤の人は、早期帰宅命令が出された人は軒並み帰り、会社に残り翌日まで過ごす人や、帰宅難民がいるようでニュースはその話でもちきりだった。
こんな日は熱い湯船に浸かりたいものだ。だが、体が火照り心も胸もカウントダウン0間近の男には今の少し冷たいくらいの38度の湯が必要だった。
「う……、はぁ」
男は身長185センチで鍛え上げられた肉体には狭い、ワンルームの賃貸の部屋に備え付けられているユニットバスの洗い場で、立ったままだと頭がシャワーヘッドよりも高いため足を開き座っている。体躯に見合った下半身の男にしかついていない器官は、普段のそれよりもはるかに大きく太いと自分でも思う。
ビキビキと血管が浮き、剥き出しの先端からは透明のぬるぬるした液体がこぼれ落ちていた。シャワーが勢いよくそこや、それを覆っている血管が浮き出ているごつごつした大きな右手に当たりぬめりを落としていく。
「……、……うぅ……!」
息を詰め数秒後、すでに数回吐き出されたというのに、勢いよく白いものが太い線を描いて前方の壁を目掛けて飛び散った。
「はぁはぁ……おさまらない」
男は眉をハノ字にして情けない表情を浮かべていた。バスルームには湯がやや温いとはいえもうもうと湯気が充満している。前かがみのような恰好で座っているため、盛り上がった広背筋が時々ピクピクと動きシャワーがから落ちて来た湯の流れを変えていた。
「くそっ、彼女が待ってんのに……」
彼女が待っているからこそのこの衝動。おさめたいがおさまるはずもなく。一生懸命ムカつく上司の小言や嫌味、おっさんギャグを思い出そうとするけれど、彼女の微笑む表情を一瞬でも思い出せば一撃で勃ち上がる。
大学を卒業して親の経営する会社ではなく、まずは甘えず大海を見て来いと言われて自力で入職できた会社はそこそこ大手だった。けれど、この時代にペーパーや印鑑、ファックスなどが必須で頭の固い旧体質の家族経営のようなところだったため、外部入職の自分には厳しい。
給料はそこそこいいがまっさらのスタートを切るために、その給料に見合った都心から少し離れた小さな賃貸マンションを借りた。
サービス残業当たり前、クレームは勉強だからと新人に行かせる。新人が行くことで、子供のような年代の子にひどい言葉は言えないという心理を狙っているという面もあるだろう。だが、新人を寄こすなんてと、さらに種火に原油を投下する事もあるわけで。
何かがあれば中堅どころの先輩たちに全てをかぶせて自分は悠々自適で帰るような上司の推定ウエスト100センチのメタボな腹を思い浮かべた。
よし、これで大丈夫だろう。
俺はしょんぼりした今のうちに、なるべく彼女を思い出さないようにバスルームを出た。
「……全裸で戻るのはNGとして……」
──バスタオルだけか?
いや、それだとあからさますぎるし万が一テントを張れば彼女が怯えて折角のエロいあれこれができなくなるだろう。
──ならば、パジャマか?
大切にそだてられた幼稚舎の頃からずっと女子校だった純粋培養のような彼女の事だ。そんな姿で戻れば笑顔で寝ようと、天使のような明るい声で悪魔なセリフを伝えてきそうだ。
──うーん……彼女は今、振り袖を脱いで、ぶかぶかの俺のトレーナー上下を着ているから、無難にトレーナーか……
最終的にたどり着いたトレーナーを着こむ。そして、俺のトレーナーをブラもつけずにダボダボの袖口で胸元を隠して恥ずかしがっていた彼女を思い出し、またも血が集中したソコを鎮めるために必死に上司を思い出さねばならなかった。
──なんだって、こんな日に上司を思い浮かべなきゃなんないんだよ……
非常に不服である。彼女一色に心も体も浸りたいのに。思わず顔をしかめつつ、やはり油断すると現れる昼間の振り袖姿の彼女が浮かんでしまうのであった。
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