【完結】【R18】素敵な騎士団長に「いいか?」と聞かれたので、「ダメ」と言ってみました

にじくす まさしよ

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サンタに頂いたガチャのカプセルを使ってみた件①

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 うす暗い部屋の中、男女の息遣いとベッドの軋む音だけが聞こえる。時折、息を詰めたような声が漏れて艶めかしい空間を作っていた。

「ん……はぁん」

「はあ、愛している……、いいか?」

「……ダメ」

 すでに何一つ身に着けていない。お互いを高めあい、愛しみ、そして絶頂も迎えており準備は整っていた。ぬれそぼった足の付け根に、男の熱い杭が互いから出る交わりの証を根元までまぶすように擦り付けられている。
 時折、蜜口に先端が少し当てられて、彼の欲に満ちた思いの丈を知らせていた。

 女は、このベッドに沈む前に覚悟をしていたはずだった。愛する人に求められ、そして自らも欲しいと強請っていたのに、土壇場になって期待よりも不安が強くなってしまったのである。
 
 逞しく、鍛え上げられた体躯の大きな男は、番である自分よりも小柄な彼女を組み敷いたまま、目を見開きぴたりと動きが止まった。

 いいかと聞いたのは、形式のようなものだ。彼女が恥ずかしそうに、怖がりながらも期待してYESと口にするか、縦に首をふるのだと疑いもしなかったのに。

 この世でただ一人、何よりも大切で愛しい番の言葉は絶対だ。彼女がダメと言ったのならやめるのが男の強さなのかもしれない。
 けれど、彼は勇猛果敢で狙った獲物は逃がさない世界に名だたるハムチュターン族の騎士の頂点に立つ男だ。

 やっと番に求愛を承諾され、今から2週間ほどの蜜月を過ごす初日に、いくら可愛い番がダメと言ったからとて、大切な婚姻の儀でもある交わりをしないわけにはいかなかった。何より、ずっと恋焦がれ彼女だけを求めて来たのである。こんな所で引き返せるわけがない。

「なぜ……?」

 彼女の上から覆いかぶさると、小さくて華奢な体は男の体にやすやすと檻の中に閉じ込められたかのようになる。二人の上がった熱はまだ上昇したまま、少し乱れた髪が汗ばんだ肌に細い川の流れのように張り付き色っぽい。盛り上がる全ての筋肉に覆われて、彼と同じ健康的な小麦色の肌が、月明かりに照らされて一部が光っているが、ほとんどが彼の影になっていた。
 細く、無駄な肉がなく、かといって程よく柔らかさを持つなだらかな曲線は黄金比率もかくやといわんばかり。異性を魅了する彼女の美貌とその体つきは、彼女の番である彼を見るだけで翻弄し溺れさせている。

「だって、だってぇ……おにぃさま、わたくし……」

 頬を真っ赤にして目に涙を浮かべる番の愛らしさや美しさ、そして 情欲をかき立てる姿は、この世の誰も敵わないだろう。

 男は、同族の番にはありえない、頭にぴょこんと生えてピクピク動くティーグレ(虎)の耳に唇を近づけてそれを食んだ。

「ひゃんっ!」

「タニヤ、俺の愛しい番……愛している……」

 タニヤと呼ばれた女は耳を刺激され、ぺろりと舐められた事で全身を軽く跳ねさせた。

 ハムチュターン族の次期女王である彼女にティーグレ獣人の耳がなぜ彼女に生えているかというと……。


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