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ぴえん超えてぱおん。 ※
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レンチは、ほぼ毎日のようにふたりのどちらかと夜を過ごしていた。ボックスは騎士として鍛えているから、レンチよりもはるかに体力がある。トルクスにしても、ボックスほどではないが、体力おばけだ。
正直、月のもの以外のこんな日がこれ以上続くとなると、できるはずの子もできないのではないだろうかと考えていた。
何よりも、「ふたりとイチャイチャするのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。だが、もうしんどい、勘弁してくれ」これが本音だった。
一緒に寝るだけといいつつ、こしょこしょ触りだしたりすると、最後までしてしまう。きっぱり断ればいいものを、ボックスには反論すらできる隙すら与えてくれず、トルクスからは拾ってくださいと書かれた段ボールの中できゅんきゅん泣いている子猫のように寂しそうにされると断ることができなかった。
今日も、魔の森でモンキーたちがレンチに会えなくて寂しくて暴れだしたと聞き、彼らがあきるまで遊ぶという名のミッションを終えてへとへとだ。
「あのな、ふたりとも。たまにはひとりで寝かせてくれないか?」
ボックスと一緒に帰ったあと、家で仕事をしていたトルクスと三人で、メガネが淹れたルイボスティーを口に含む。トルクスが、レンチのために焼いたフルーツとナッツがいっぱいのケーキを味わいつつ、レンチが申し出た言葉に、ふたりはぴたりと動きを止めた。
「ひとりで、だと? 俺に不満があるのか?」
「そんな、ひとりでなんて……僕に飽きたのですか?」
ふたり同時に放った言葉は、不協和音ながらも一字一句レンチの耳に届く。
「いや、ふたりに問題はない。ただ、疲労がたまっていてな。今日も、皆をなだめるのに疲れたし」
「疲れがたまっているのなら、疲れないようにするが」
「すみません。でも、レンチ様といると、僕……。僕も、もっと気を付けますから、ひとりでねるだなんて言わないでください」
夜の生活のことを話すにはまだ早い時間に、何を話しているのだと、この不毛な会話に滑稽さまで感じた。
「とにかく。ふたりは、交代で休めるし体力があるから大丈夫なのだろうがな。毎日のようにする私の身にもなってくれ」
やぶれかぶれで、ほぼ叫ぶようにふたりに訴えたことで、その日の夜に目が飛び出そうな状況になるだなんて、この時は思ってもみなかった。
※
「なんで、ふたりともがここにいるんだ?」
「なんでって。さっき、チィが俺たちが交代で休めると言っていただろう? チィの気持ちもわかる。だが、俺たちだって、チィと一緒に眠れない日はがまんしているんだ。交代が辛いということはわかってくれるか?」
「う、うん」
「レン、だから、僕たち話し合ったんです。レンのことは大事です。休ませてあげる日も作らなきゃって。でも、それだと、僕たちがひとりで眠る日が増えますよね。僕たちは、ただでさえ我慢しているのに、そんな日が増えるなんて嫌なんです」
「う、うん」
「だから、一緒にねような」
「ですから、一緒にねむりましょう」
「う、うん?」
「うん、と言ってくれたか。チィ、これで三人とも平和に過ごせるな」
「レン、ありがとうございます」
「いやいやいや、シィもルークも。ちょっと待ってくれ、さっきのは、だな」
ふたりに、間髪にいろいろ言われすぎて、レンチは完全にふたりのペースに乗せられていることに気が付いていない。どう答えても、ふたりの望むようになりそうだ。
「ボルトナット家には二言はない。そうだな?」
「そうだけど」
「レンは、三人で眠るのが嫌なのですか?」
「嫌じゃないけど」
「なら、いいよな」
「よかったです」
満面の笑顔のふたりに左右に挟まれて、大きなベッドに横たわる。今日はゆっくりやすもうと、お休みの挨拶をして目を閉じた。
(眠れない……これでは、休むなんて無理だ)
両隣に、でかいガタイの男たちに囲まれ、圧も熱もなにもかもがすごい。ふたりとも、目を閉じていて呼吸も穏やかだから眠っているように思えた。
ふたりの寝顔をきょろきょろ盗み見るのも楽しい。ちょんっと唇の真下を押しても無反応のボックス。人差し指で下唇を少しさげて離すと、ぽんっと音が鳴る。いつもきりっとした真面目な騎士団長の彼のそんな姿がおかしすぎて何度もしてしまった。
「ははは」
反対にいるトルクスも、すやすや眠っている。同じように下唇を引き下げようとしたが、むーっと嫌そうな顔をして唇を閉じられた。少し力を入れると、レモンを食べたかのように口をすぼませる。
「ははは」
どちらの反応も面白くて、何度か繰り返していたところ、ボックスがレンチをいきなり抱きしめてきた。トルクスは目を開けて、いたずらする子供にするようにレンチの額をコツンと指で軽く叩く。
「わわ、ふたりとも起きたのか。起こしてごめん」
「最初から眠っていない。せっかく、我慢して眠らせてやろうとしていたのに。さっきから、誘ってるのか?」
「レンがいるのに、そんな簡単に眠れません」
真夜中すぎのレンチの小さないたずらは、ふたりの夫の何かのスイッチを、しっかりがっちりオンにしたようだ。あれよあれよという間に寝巻を脱がされる。
「ふわぁん」
「チィ、俺の上でそんなにみだらになって。慣れているようだな。いつもルークの上に乗っているのか?」
「そんなこと、いうな」
普段は組み敷かれることのおおいボックスの上にまたがり、自ら腰をふっていた。ボックスの手が、レンチの腰を持ち、彼女を動かしているというほうが正しい。時にやわやわと、時に激しく体をゆさぶられ、レンチは何がなんだかわからないまま、中に与えられる彼の大きな熱の感覚に翻弄されていた。
「いつも、ではありませんが、僕にはあまり可愛がらせてくれないので、こういう風にレンに触れられるのは新鮮で嬉しいです」
「ああ、ルーク。それ、だめ」
そんなレンチの斜め後ろから、ルークは彼女の揺れるぷるんとした胸を口にくわえてかわいがる。右手は、レンチとボックスがつながりあっている付近の彼女の花の芽を弄び、彼女の反応を楽しんだ。
同時多重に与えられる感覚に、レンチはあっという間にのぼりつめ、ひときわ大きく声をあげる。全身の力がこれ以上はないほど入り、ボックスの熱が大きく膨らんだと思うと、体がけいれんしたかのように小刻みに揺れた。
「はぁはぁ」
「レン、辛いでしょうから横になっていて」
「ルーク、でも」
くたんと脱力しきったレンチを、そっとボックスの上からおろし、ルークは彼女を横抱きにして後ろから自身を挿入する。スローペースで揺り動かされ、激しい熱情とは別の、穏やかな優しさが彼女の体中に広がった。
「チィ、気持ちよさそうだな」
「ん……」
前から、横になったボックスがバードキスをする。トルクスの動きに合わせて、彼も優しく彼女の白い肌を撫でた。
「ああ、レン。愛しています」
「うん、ルーク、私もだ」
「愛してる」
「シィ、私も」
まったりとした時間がすぎ、幸せをかみしめる。レンチの負担にならないように、トルクスが腰の動きを速める。 中をトルクスに、唇をボックスに支配されながら、レンチの体が反応する。激しい絶頂ではないものの、トルクスがレンチの中に吐き出すと達した。
その日以来、三人で眠るのが当たり前になったころ、レンチのおなかに小さな命が宿る。
「孫は、ボックスに似たら真面目な騎士か」
「あら、気が早いわ。トルクス君に似たら、きっと愛らしい女の子よぉ。きっと、縁談がわんさかくるわよ」
「レンチ様に似たら、男なら勇敢になるだろうな」
「いえ、きっと世界一かわいらしい女の子ですよ」
本当に気が早すぎるレンチの両親。王都のソケットからも、木製の象の置物が贈られてきた。ボックスは、表面上は変わりなかったが、訓練中も剣を落とすなど普段ではあり得ない行動を繰り返していて、トルクスは、書類を斜めに持ちサインにいたっては、自分が考えた色々な子供の名前がつづられている始末。
「うーん、本当にこの中に子がいるのか?」
全く膨らんでいないおなかをさするレンチは、これまでにないほど優しい表情をしている。そんな彼女の横顔を見ながら、夫たちは微笑ましく見た。
やがて、レンチによく似た元気いっぱいの女の子は、ふたりの父に溺愛されすぎて、求婚者を追い払われてしまう。このままでは婚期を逃しそうだと、母と祖父母のこめかみが痛くなるのは、遠い未来のお話。
R18(複数) 身代わりの夫を受け入れた噂のカイブツ女辺境伯は、ぴえん超えてぱおん──完
ご覧いただき、ありがとうございました。
正直、月のもの以外のこんな日がこれ以上続くとなると、できるはずの子もできないのではないだろうかと考えていた。
何よりも、「ふたりとイチャイチャするのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。だが、もうしんどい、勘弁してくれ」これが本音だった。
一緒に寝るだけといいつつ、こしょこしょ触りだしたりすると、最後までしてしまう。きっぱり断ればいいものを、ボックスには反論すらできる隙すら与えてくれず、トルクスからは拾ってくださいと書かれた段ボールの中できゅんきゅん泣いている子猫のように寂しそうにされると断ることができなかった。
今日も、魔の森でモンキーたちがレンチに会えなくて寂しくて暴れだしたと聞き、彼らがあきるまで遊ぶという名のミッションを終えてへとへとだ。
「あのな、ふたりとも。たまにはひとりで寝かせてくれないか?」
ボックスと一緒に帰ったあと、家で仕事をしていたトルクスと三人で、メガネが淹れたルイボスティーを口に含む。トルクスが、レンチのために焼いたフルーツとナッツがいっぱいのケーキを味わいつつ、レンチが申し出た言葉に、ふたりはぴたりと動きを止めた。
「ひとりで、だと? 俺に不満があるのか?」
「そんな、ひとりでなんて……僕に飽きたのですか?」
ふたり同時に放った言葉は、不協和音ながらも一字一句レンチの耳に届く。
「いや、ふたりに問題はない。ただ、疲労がたまっていてな。今日も、皆をなだめるのに疲れたし」
「疲れがたまっているのなら、疲れないようにするが」
「すみません。でも、レンチ様といると、僕……。僕も、もっと気を付けますから、ひとりでねるだなんて言わないでください」
夜の生活のことを話すにはまだ早い時間に、何を話しているのだと、この不毛な会話に滑稽さまで感じた。
「とにかく。ふたりは、交代で休めるし体力があるから大丈夫なのだろうがな。毎日のようにする私の身にもなってくれ」
やぶれかぶれで、ほぼ叫ぶようにふたりに訴えたことで、その日の夜に目が飛び出そうな状況になるだなんて、この時は思ってもみなかった。
※
「なんで、ふたりともがここにいるんだ?」
「なんでって。さっき、チィが俺たちが交代で休めると言っていただろう? チィの気持ちもわかる。だが、俺たちだって、チィと一緒に眠れない日はがまんしているんだ。交代が辛いということはわかってくれるか?」
「う、うん」
「レン、だから、僕たち話し合ったんです。レンのことは大事です。休ませてあげる日も作らなきゃって。でも、それだと、僕たちがひとりで眠る日が増えますよね。僕たちは、ただでさえ我慢しているのに、そんな日が増えるなんて嫌なんです」
「う、うん」
「だから、一緒にねような」
「ですから、一緒にねむりましょう」
「う、うん?」
「うん、と言ってくれたか。チィ、これで三人とも平和に過ごせるな」
「レン、ありがとうございます」
「いやいやいや、シィもルークも。ちょっと待ってくれ、さっきのは、だな」
ふたりに、間髪にいろいろ言われすぎて、レンチは完全にふたりのペースに乗せられていることに気が付いていない。どう答えても、ふたりの望むようになりそうだ。
「ボルトナット家には二言はない。そうだな?」
「そうだけど」
「レンは、三人で眠るのが嫌なのですか?」
「嫌じゃないけど」
「なら、いいよな」
「よかったです」
満面の笑顔のふたりに左右に挟まれて、大きなベッドに横たわる。今日はゆっくりやすもうと、お休みの挨拶をして目を閉じた。
(眠れない……これでは、休むなんて無理だ)
両隣に、でかいガタイの男たちに囲まれ、圧も熱もなにもかもがすごい。ふたりとも、目を閉じていて呼吸も穏やかだから眠っているように思えた。
ふたりの寝顔をきょろきょろ盗み見るのも楽しい。ちょんっと唇の真下を押しても無反応のボックス。人差し指で下唇を少しさげて離すと、ぽんっと音が鳴る。いつもきりっとした真面目な騎士団長の彼のそんな姿がおかしすぎて何度もしてしまった。
「ははは」
反対にいるトルクスも、すやすや眠っている。同じように下唇を引き下げようとしたが、むーっと嫌そうな顔をして唇を閉じられた。少し力を入れると、レモンを食べたかのように口をすぼませる。
「ははは」
どちらの反応も面白くて、何度か繰り返していたところ、ボックスがレンチをいきなり抱きしめてきた。トルクスは目を開けて、いたずらする子供にするようにレンチの額をコツンと指で軽く叩く。
「わわ、ふたりとも起きたのか。起こしてごめん」
「最初から眠っていない。せっかく、我慢して眠らせてやろうとしていたのに。さっきから、誘ってるのか?」
「レンがいるのに、そんな簡単に眠れません」
真夜中すぎのレンチの小さないたずらは、ふたりの夫の何かのスイッチを、しっかりがっちりオンにしたようだ。あれよあれよという間に寝巻を脱がされる。
「ふわぁん」
「チィ、俺の上でそんなにみだらになって。慣れているようだな。いつもルークの上に乗っているのか?」
「そんなこと、いうな」
普段は組み敷かれることのおおいボックスの上にまたがり、自ら腰をふっていた。ボックスの手が、レンチの腰を持ち、彼女を動かしているというほうが正しい。時にやわやわと、時に激しく体をゆさぶられ、レンチは何がなんだかわからないまま、中に与えられる彼の大きな熱の感覚に翻弄されていた。
「いつも、ではありませんが、僕にはあまり可愛がらせてくれないので、こういう風にレンに触れられるのは新鮮で嬉しいです」
「ああ、ルーク。それ、だめ」
そんなレンチの斜め後ろから、ルークは彼女の揺れるぷるんとした胸を口にくわえてかわいがる。右手は、レンチとボックスがつながりあっている付近の彼女の花の芽を弄び、彼女の反応を楽しんだ。
同時多重に与えられる感覚に、レンチはあっという間にのぼりつめ、ひときわ大きく声をあげる。全身の力がこれ以上はないほど入り、ボックスの熱が大きく膨らんだと思うと、体がけいれんしたかのように小刻みに揺れた。
「はぁはぁ」
「レン、辛いでしょうから横になっていて」
「ルーク、でも」
くたんと脱力しきったレンチを、そっとボックスの上からおろし、ルークは彼女を横抱きにして後ろから自身を挿入する。スローペースで揺り動かされ、激しい熱情とは別の、穏やかな優しさが彼女の体中に広がった。
「チィ、気持ちよさそうだな」
「ん……」
前から、横になったボックスがバードキスをする。トルクスの動きに合わせて、彼も優しく彼女の白い肌を撫でた。
「ああ、レン。愛しています」
「うん、ルーク、私もだ」
「愛してる」
「シィ、私も」
まったりとした時間がすぎ、幸せをかみしめる。レンチの負担にならないように、トルクスが腰の動きを速める。 中をトルクスに、唇をボックスに支配されながら、レンチの体が反応する。激しい絶頂ではないものの、トルクスがレンチの中に吐き出すと達した。
その日以来、三人で眠るのが当たり前になったころ、レンチのおなかに小さな命が宿る。
「孫は、ボックスに似たら真面目な騎士か」
「あら、気が早いわ。トルクス君に似たら、きっと愛らしい女の子よぉ。きっと、縁談がわんさかくるわよ」
「レンチ様に似たら、男なら勇敢になるだろうな」
「いえ、きっと世界一かわいらしい女の子ですよ」
本当に気が早すぎるレンチの両親。王都のソケットからも、木製の象の置物が贈られてきた。ボックスは、表面上は変わりなかったが、訓練中も剣を落とすなど普段ではあり得ない行動を繰り返していて、トルクスは、書類を斜めに持ちサインにいたっては、自分が考えた色々な子供の名前がつづられている始末。
「うーん、本当にこの中に子がいるのか?」
全く膨らんでいないおなかをさするレンチは、これまでにないほど優しい表情をしている。そんな彼女の横顔を見ながら、夫たちは微笑ましく見た。
やがて、レンチによく似た元気いっぱいの女の子は、ふたりの父に溺愛されすぎて、求婚者を追い払われてしまう。このままでは婚期を逃しそうだと、母と祖父母のこめかみが痛くなるのは、遠い未来のお話。
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