11 / 17
はじめましてで、いきなり睨み合いなのだけれども。⑤ ※
しおりを挟む
「レンチ様、僕との約束を守ってくださってありがとうございます」
「う、うん」
コンビたちとの通信を終え、満面のトルクスと、微妙な顔のボックスに挟まれながらランチをとるレンチ。左右に大きな男たちが、我先にと彼女の口に美味しそうな料理を運んでいた。
「レンチ様、ほら。コック長の特性コカトリステリヤキサンドイッチがあるぞ。好きだろう? 口を開けて」
「う、うん」
ボックスは、どれほど睨んでも邪魔者が消えないことに胸が気持ちの悪さを伴うざわめきがあるものの、喜びのほうが大きい。
ネーションがああ言ったものの、コンビが、夫のすり替えを無断で行ったことは王家にも報告せねばらなない事態だと、トルクスの処遇を一旦保留にした。とはいえ、レンチが一度受け入れている以上、当事者さえよければこのまま辺境に滞在しても良いと許可をした。
一方、ボックスに対しては、この結婚は白紙のようなものだという彼の主張と、何よりも以前から申し込みがあり、辺境を熟知しているボックスが夫となるのに不足はない。
男女問わず、領主には複数の配偶者を持つことができる法律があり、トルクスとの婚姻関係がどうなるか不透明な以上、ボックスとの密約を優先させることにした。
『そんなぁ、父上。それでは、私の意思はどうなるんだ?』
『我らの意見に従うと言ったのだろう? 我がボルトナット家に二言はない。トルクス殿と結婚継続になろうが白紙になろうが、ボックスを夫にするんだ。それとも、ボックスのことが嫌なのか?』
『嫌じゃないけど』
『あら、じゃあ好きなの? まったくもう。ボックスもタイミングがかなり遅かったけれど、うちの娘も大概だったのねぇ。ふふふ、似たもの夫婦でお似合いじゃない』
『母上、違うから。そういうんじゃなくて。ボックスにぃのことは好きだ。だけど、それは兄のようなもので』
『レンチ、あのな、このままトルクス殿との結婚が継続されたとして、彼との子ができなければ、遅かれ早かれ、第二第三の夫を迎えなければならない。今ボックスを逃せば、その時にはボックスも嫁を貰っているだろう。そうなると、また見ず知らずの男が夫になる。というよりも、次のまともな婿の来てがあるかどうかも怪しい。これまでの自分の行動が撒いた種だ。悪いことは言わん。ボックスとも結婚しろ。いいな?』
『うー。そりゃ、私だってわけわからない男よりもボックスにぃのほうがいいけどさ。わかった、ボックスにぃがいいなら、それでいいよ!』
そんなやり取りの中、兄としてでも自分のことが好きだと言い切ったレンチを見て目尻が下がり、口角があがる。
現時点では、トルクスよりも遥かに優位だ。トルクスが手を出せない今のうちに、レンチと男女の仲を深めようと、今まで以上にレンチを大切にした。
日中は、トルクスが、ボックスの意図を把握して側から離れようとしない。だが──
※
「ああ、ボックスにぃ。もう……」
「呼び方。にぃじゃない。なんと呼ぶんだ? きちんと言わなければ」
「んん、あー」
深夜の夫婦の寝室。あの日から、連日レンチの寝室にはボックスがいる。広いシーツが波を作り、スプリングが軋んでベッドがボックスの腰の動きに合わせて揺れていた。
レンチの初めての男にはなれなかったが、ほぼ無垢な彼女を、この数日で自分の手で翻弄し女にしていく喜びに、ボックスの自尊心がくすぐられる。
「あああ、シィ、シィ」
「そうだ。いい子だな。チィ」
「そんな、ちゃんと言ったのに、ふわあん」
「ああ、だからもっと、だろ」
体の奥を、ボックスの槍に深く穿たれ、すでに数度絶頂を迎えた彼の女が胸をそらせる。知り合って間もない子供の頃の互いの呼び名に、快楽の芽がぐらぐら大きく刺激され、つま先までピンと伸び力がこもった彼女の中が、熱く蠢き、彼の槍をきつく締め上げた。
それと同時に、彼女の奥深くに自分自身を勢いよく放つ。ボックスもすでに3度たっぷり吐き出しており、レンチの小さな下腹部の中は満杯になっていた。
やや硬度を落とした槍が、ずるりと彼女の中から引き出される。追いかけるように出てきたふたりの液がシーツを汚した。
むわっとした熱気と、淫靡なその光景に、ボックスの槍は瞬く間に天を向く。
けだるい体を持て余したぼんやりした視界の角に入ったレンチは驚愕する。
「うそぉ。もう、無理、だから」
「チィ、俺の、俺だけのチィ。無理ならこれで最後にしよう」
トルクスは挿入しただけで、子種を吐き出していないと無理やり聞き出した。今のうちにレンチの中を自分だけで満たし、他の男の存在を一ミリだりとも入れたくない。
ただでさえ長年焦がれた女性を手に入れたばかりの体力がありあまる彼の激しさに、レンチは連日ヘトヘトになった。
レンチが指一本すら動かせなくなるほど、ベッドで彼のおおきすぎる愛を叩き込んだあとは、バスルームで彼女を優しく洗う。もう一滴も出ないと思われた彼の欲棒は、そんななかでも存在感をあらわにした。
「チィ、気持ちいいか?」
「うん……すぅ、すぅ」
「おやすみ、いい夢を」
どこもかくしていない姿で無防備に、寝息を立てながらも返事をする彼女が愛おしい。流石にこれ以上は負担になりすぎると、知り合ったばかりの少女のような穏やかな寝顔にキスを落とした。
「う、うん」
コンビたちとの通信を終え、満面のトルクスと、微妙な顔のボックスに挟まれながらランチをとるレンチ。左右に大きな男たちが、我先にと彼女の口に美味しそうな料理を運んでいた。
「レンチ様、ほら。コック長の特性コカトリステリヤキサンドイッチがあるぞ。好きだろう? 口を開けて」
「う、うん」
ボックスは、どれほど睨んでも邪魔者が消えないことに胸が気持ちの悪さを伴うざわめきがあるものの、喜びのほうが大きい。
ネーションがああ言ったものの、コンビが、夫のすり替えを無断で行ったことは王家にも報告せねばらなない事態だと、トルクスの処遇を一旦保留にした。とはいえ、レンチが一度受け入れている以上、当事者さえよければこのまま辺境に滞在しても良いと許可をした。
一方、ボックスに対しては、この結婚は白紙のようなものだという彼の主張と、何よりも以前から申し込みがあり、辺境を熟知しているボックスが夫となるのに不足はない。
男女問わず、領主には複数の配偶者を持つことができる法律があり、トルクスとの婚姻関係がどうなるか不透明な以上、ボックスとの密約を優先させることにした。
『そんなぁ、父上。それでは、私の意思はどうなるんだ?』
『我らの意見に従うと言ったのだろう? 我がボルトナット家に二言はない。トルクス殿と結婚継続になろうが白紙になろうが、ボックスを夫にするんだ。それとも、ボックスのことが嫌なのか?』
『嫌じゃないけど』
『あら、じゃあ好きなの? まったくもう。ボックスもタイミングがかなり遅かったけれど、うちの娘も大概だったのねぇ。ふふふ、似たもの夫婦でお似合いじゃない』
『母上、違うから。そういうんじゃなくて。ボックスにぃのことは好きだ。だけど、それは兄のようなもので』
『レンチ、あのな、このままトルクス殿との結婚が継続されたとして、彼との子ができなければ、遅かれ早かれ、第二第三の夫を迎えなければならない。今ボックスを逃せば、その時にはボックスも嫁を貰っているだろう。そうなると、また見ず知らずの男が夫になる。というよりも、次のまともな婿の来てがあるかどうかも怪しい。これまでの自分の行動が撒いた種だ。悪いことは言わん。ボックスとも結婚しろ。いいな?』
『うー。そりゃ、私だってわけわからない男よりもボックスにぃのほうがいいけどさ。わかった、ボックスにぃがいいなら、それでいいよ!』
そんなやり取りの中、兄としてでも自分のことが好きだと言い切ったレンチを見て目尻が下がり、口角があがる。
現時点では、トルクスよりも遥かに優位だ。トルクスが手を出せない今のうちに、レンチと男女の仲を深めようと、今まで以上にレンチを大切にした。
日中は、トルクスが、ボックスの意図を把握して側から離れようとしない。だが──
※
「ああ、ボックスにぃ。もう……」
「呼び方。にぃじゃない。なんと呼ぶんだ? きちんと言わなければ」
「んん、あー」
深夜の夫婦の寝室。あの日から、連日レンチの寝室にはボックスがいる。広いシーツが波を作り、スプリングが軋んでベッドがボックスの腰の動きに合わせて揺れていた。
レンチの初めての男にはなれなかったが、ほぼ無垢な彼女を、この数日で自分の手で翻弄し女にしていく喜びに、ボックスの自尊心がくすぐられる。
「あああ、シィ、シィ」
「そうだ。いい子だな。チィ」
「そんな、ちゃんと言ったのに、ふわあん」
「ああ、だからもっと、だろ」
体の奥を、ボックスの槍に深く穿たれ、すでに数度絶頂を迎えた彼の女が胸をそらせる。知り合って間もない子供の頃の互いの呼び名に、快楽の芽がぐらぐら大きく刺激され、つま先までピンと伸び力がこもった彼女の中が、熱く蠢き、彼の槍をきつく締め上げた。
それと同時に、彼女の奥深くに自分自身を勢いよく放つ。ボックスもすでに3度たっぷり吐き出しており、レンチの小さな下腹部の中は満杯になっていた。
やや硬度を落とした槍が、ずるりと彼女の中から引き出される。追いかけるように出てきたふたりの液がシーツを汚した。
むわっとした熱気と、淫靡なその光景に、ボックスの槍は瞬く間に天を向く。
けだるい体を持て余したぼんやりした視界の角に入ったレンチは驚愕する。
「うそぉ。もう、無理、だから」
「チィ、俺の、俺だけのチィ。無理ならこれで最後にしよう」
トルクスは挿入しただけで、子種を吐き出していないと無理やり聞き出した。今のうちにレンチの中を自分だけで満たし、他の男の存在を一ミリだりとも入れたくない。
ただでさえ長年焦がれた女性を手に入れたばかりの体力がありあまる彼の激しさに、レンチは連日ヘトヘトになった。
レンチが指一本すら動かせなくなるほど、ベッドで彼のおおきすぎる愛を叩き込んだあとは、バスルームで彼女を優しく洗う。もう一滴も出ないと思われた彼の欲棒は、そんななかでも存在感をあらわにした。
「チィ、気持ちいいか?」
「うん……すぅ、すぅ」
「おやすみ、いい夢を」
どこもかくしていない姿で無防備に、寝息を立てながらも返事をする彼女が愛おしい。流石にこれ以上は負担になりすぎると、知り合ったばかりの少女のような穏やかな寝顔にキスを落とした。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる