完結 R18(複数) 身代わりの夫を受け入れた噂のカイブツ女辺境伯は、ぴえん超えてぱおん

にじくす まさしよ

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はじめましてで、いきなり睨み合いなのだけれども。⑤ ※

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「レンチ様、僕との約束を守ってくださってありがとうございます」
「う、うん」

 コンビたちとの通信を終え、満面のトルクスと、微妙な顔のボックスに挟まれながらランチをとるレンチ。左右に大きな男たちが、我先にと彼女の口に美味しそうな料理を運んでいた。

「レンチ様、ほら。コック長の特性コカトリステリヤキサンドイッチがあるぞ。好きだろう? 口を開けて」
「う、うん」

 ボックスは、どれほど睨んでも邪魔者が消えないことに胸が気持ちの悪さを伴うざわめきがあるものの、喜びのほうが大きい。

 ネーションがああ言ったものの、コンビが、夫のすり替えを無断で行ったことは王家にも報告せねばらなない事態だと、トルクスの処遇を一旦保留にした。とはいえ、レンチが一度受け入れている以上、当事者さえよければこのまま辺境に滞在しても良いと許可をした。

 一方、ボックスに対しては、この結婚は白紙のようなものだという彼の主張と、何よりも以前から申し込みがあり、辺境を熟知しているボックスが夫となるのに不足はない。

 男女問わず、領主には複数の配偶者を持つことができる法律があり、トルクスとの婚姻関係がどうなるか不透明な以上、ボックスとの密約を優先させることにした。

『そんなぁ、父上。それでは、私の意思はどうなるんだ?』
『我らの意見に従うと言ったのだろう? 我がボルトナット家に二言はない。トルクス殿と結婚継続になろうが白紙になろうが、ボックスを夫にするんだ。それとも、ボックスのことが嫌なのか?』
『嫌じゃないけど』
『あら、じゃあ好きなの? まったくもう。ボックスもタイミングがかなり遅かったけれど、うちの娘も大概だったのねぇ。ふふふ、似たもの夫婦でお似合いじゃない』
『母上、違うから。そういうんじゃなくて。ボックスにぃのことは好きだ。だけど、それは兄のようなもので』
『レンチ、あのな、このままトルクス殿との結婚が継続されたとして、彼との子ができなければ、遅かれ早かれ、第二第三の夫を迎えなければならない。今ボックスを逃せば、その時にはボックスも嫁を貰っているだろう。そうなると、また見ず知らずの男が夫になる。というよりも、次のまともな婿の来てがあるかどうかも怪しい。これまでの自分の行動が撒いた種だ。悪いことは言わん。ボックスとも結婚しろ。いいな?』
『うー。そりゃ、私だってわけわからない男よりもボックスにぃのほうがいいけどさ。わかった、ボックスにぃがいいなら、それでいいよ!』

 そんなやり取りの中、兄としてでも自分のことが好きだと言い切ったレンチを見て目尻が下がり、口角があがる。
 現時点では、トルクスよりも遥かに優位だ。トルクスが手を出せない今のうちに、レンチと男女の仲を深めようと、今まで以上にレンチを大切にした。

 日中は、トルクスじゃまものが、ボックスの意図を把握して側から離れようとしない。だが──




「ああ、ボックスにぃ。もう……」
「呼び方。にぃじゃない。なんと呼ぶんだ? きちんと言わなければ」
「んん、あー」

 深夜の夫婦の寝室。あの日から、連日レンチの寝室にはボックスがいる。広いシーツが波を作り、スプリングが軋んでベッドがボックスの腰の動きに合わせて揺れていた。
 レンチの初めての男にはなれなかったが、ほぼ無垢な彼女を、この数日で自分の手で翻弄し女にしていく喜びに、ボックスの自尊心がくすぐられる。

「あああ、シィ、シィ」
「そうだ。いい子だな。チィ」
「そんな、ちゃんと言ったのに、ふわあん」
「ああ、だからもっと、だろ」

 体の奥を、ボックスの槍に深く穿たれ、すでに数度絶頂を迎えた彼の女が胸をそらせる。知り合って間もない子供の頃の互いの呼び名に、快楽の芽がぐらぐら大きく刺激され、つま先までピンと伸び力がこもった彼女の中が、熱く蠢き、彼の槍をきつく締め上げた。
 それと同時に、彼女の奥深くに自分自身を勢いよく放つ。ボックスもすでに3度たっぷり吐き出しており、レンチの小さな下腹部の中は満杯になっていた。
 やや硬度を落とした槍が、ずるりと彼女の中から引き出される。追いかけるように出てきたふたりの液がシーツを汚した。

 むわっとした熱気と、淫靡なその光景に、ボックスの槍は瞬く間に天を向く。
 けだるい体を持て余したぼんやりした視界の角に入ったレンチは驚愕する。

「うそぉ。もう、無理、だから」
「チィ、俺の、俺だけのチィ。無理ならこれで最後にしよう」


 トルクスは挿入しただけで、子種を吐き出していないと無理やり聞き出した。今のうちにレンチの中を自分だけで満たし、他の男の存在を一ミリだりとも入れたくない。
 ただでさえ長年焦がれた女性を手に入れたばかりの体力がありあまる彼の激しさに、レンチは連日ヘトヘトになった。

 レンチが指一本すら動かせなくなるほど、ベッドで彼のおおきすぎる愛を叩き込んだあとは、バスルームで彼女を優しく洗う。もう一滴も出ないと思われた彼の欲棒は、そんななかでも存在感をあらわにした。

「チィ、気持ちいいか?」
「うん……すぅ、すぅ」
「おやすみ、いい夢を」

 どこもかくしていない姿で無防備に、寝息を立てながらも返事をする彼女が愛おしい。流石にこれ以上は負担になりすぎると、知り合ったばかりの少女のような穏やかな寝顔にキスを落とした。

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