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後悔先に立たず①
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パメラにマントを着せ、フードのなかにそのふわふわした美しい髪を隠すと高級住宅街にある商店街へと向かった。ここには値段が高いがそれ相応の品々がそろっている。ここの商品なら伯爵令嬢が身につけても問題ないだろう。
まずはパメラの服を買わないといけないな。さすがに家に女性用の衣装は置いていない。だからと言って、いつまでも暑苦しくて地味なフード付きマントを着せておくわけにはいかないだろう。
当然のことながら女性物の服など買ったことない。その辺りはパメラ頼みである。
「パメラ、君には服が必要だ。好きなのを選んでくれ」
「よろしいのですか?」
「もちろんだ。お金の心配はしなくていい」
プラチナ級冒険者が受ける依頼の報酬は高額である。仮にその依頼が魔物の討伐依頼であれば、その素材を売ってさらにお金を稼ぐことができる。
パメラを買うときに白金貨十枚を出したが、手元にはまだ白金貨千枚以上残っている。とてもではないが使い切れない。高位貴族でもなければ、これほどお金を持っている人物はいないだろう。
パメラを連れて女性専門の服屋へと入った。パメラがマントを取ると、店員の女性たちが口をひらき、目を丸くしてハッと息を飲んだ。白くて滑らかな肌に、背中を流れる美しい髪。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるナイスなプロポーション。
そうだろう、そうだろう。女性でもそうなるよね。男ならなおさらだろう。口角が上がりそうになるのをグッとこらえて、努めて平静を装った。
「この子に合う服が欲しい。この子の希望に合わせてくれ。金の上限は決めてない」
「か、かしこまりました!」
店員の目の色が変わった。パメラの注文を受けて慌ただしく動きだした。特にすることもないので、設置されているソファーに深く腰掛けると背もたれに体をあずけて大人しく待つことにした。
数分後、俺はパメラに任せたことを後悔していた。
「エル様、あの、これはどうでしょうか……?」
モジモジしながらパメラが俺の前に立った。すでにほほはバラ色になっており、耳の色も同じ色に染まりつつある。
恥ずかしいのなら、そんなスケスケのネグリジェを選ぶんじゃありません! 下着が透けてるから! 目のやり場に困るから!
ドクンドクンと脈打つ心臓などを隠すべく、太ももに肘を当て、手を顔の前で組んで前傾姿勢をとった。これでよし。
「パメラ、どうしてそれを選ぼうと思ったんだ?」
「あの、殿方が好きだって言われたもので……」
俺の物言いにパメラが怯んだ。感情を押し殺したためにちょっと声が低くなりすぎたようだ。目つきも悪くなっているかも知れない。
だがあえて問いたい。一体だれに言われたんだよ。店員か? それともお義母様か? もうやだ、ため息が出そう。
「そうか。良く似合っているぞ。それも買おう。だがもう少し露出が少ない、普段着の服も選んでくれ。目のやり場に困る。他の人に見られたらどうするんだ?」
俺はジロリと店員を見た。だが店員はこちらの思っていた反応ではなく、「キャー」と黄色い声を発した。またなんか俺、妙なこと口走っちゃいましたかね?
「分かりましたわ。それでは他の方に見られても大丈夫な服も用意しますわ。ウフフ、二人だけの秘密にしておきたいですものね」
意味ありげに、店員の一人がそう言った。
違う、そうじゃない。「二人だけのときなら何でもオッケー!」って言う意味じゃないんだ。ほらパメラ、全身を赤くしてうつむかない。その前に、そのスケスケルックを何とかしなさい!
その後は店員さんたちが色々と手を貸してくれたらしく、あれ以来、俺の前でファッションショーをすることなくパメラの洋服の買い物が終わった。大量の洋服が入った袋を渡されたが、正直、中身を確認するのが怖い。
プラチナ級冒険者の俺をここまで怖がらせるとは、パメラ、恐ろしい子……!
釣りはいらんと白金貨をポイと渡すと大いに驚かれた。分かっていると思うが、口止め料も入っているからな、それ。
俺が視線で合図すると、店員さんたちはコクコクと首を縦に振った。さすがは高所得者向けの店。しつけが行き届いているようである。
俺がすべての服を【奈落の落とし穴】にしまうのを、あっけにとられた様子で見ていた。
まずはパメラの服を買わないといけないな。さすがに家に女性用の衣装は置いていない。だからと言って、いつまでも暑苦しくて地味なフード付きマントを着せておくわけにはいかないだろう。
当然のことながら女性物の服など買ったことない。その辺りはパメラ頼みである。
「パメラ、君には服が必要だ。好きなのを選んでくれ」
「よろしいのですか?」
「もちろんだ。お金の心配はしなくていい」
プラチナ級冒険者が受ける依頼の報酬は高額である。仮にその依頼が魔物の討伐依頼であれば、その素材を売ってさらにお金を稼ぐことができる。
パメラを買うときに白金貨十枚を出したが、手元にはまだ白金貨千枚以上残っている。とてもではないが使い切れない。高位貴族でもなければ、これほどお金を持っている人物はいないだろう。
パメラを連れて女性専門の服屋へと入った。パメラがマントを取ると、店員の女性たちが口をひらき、目を丸くしてハッと息を飲んだ。白くて滑らかな肌に、背中を流れる美しい髪。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるナイスなプロポーション。
そうだろう、そうだろう。女性でもそうなるよね。男ならなおさらだろう。口角が上がりそうになるのをグッとこらえて、努めて平静を装った。
「この子に合う服が欲しい。この子の希望に合わせてくれ。金の上限は決めてない」
「か、かしこまりました!」
店員の目の色が変わった。パメラの注文を受けて慌ただしく動きだした。特にすることもないので、設置されているソファーに深く腰掛けると背もたれに体をあずけて大人しく待つことにした。
数分後、俺はパメラに任せたことを後悔していた。
「エル様、あの、これはどうでしょうか……?」
モジモジしながらパメラが俺の前に立った。すでにほほはバラ色になっており、耳の色も同じ色に染まりつつある。
恥ずかしいのなら、そんなスケスケのネグリジェを選ぶんじゃありません! 下着が透けてるから! 目のやり場に困るから!
ドクンドクンと脈打つ心臓などを隠すべく、太ももに肘を当て、手を顔の前で組んで前傾姿勢をとった。これでよし。
「パメラ、どうしてそれを選ぼうと思ったんだ?」
「あの、殿方が好きだって言われたもので……」
俺の物言いにパメラが怯んだ。感情を押し殺したためにちょっと声が低くなりすぎたようだ。目つきも悪くなっているかも知れない。
だがあえて問いたい。一体だれに言われたんだよ。店員か? それともお義母様か? もうやだ、ため息が出そう。
「そうか。良く似合っているぞ。それも買おう。だがもう少し露出が少ない、普段着の服も選んでくれ。目のやり場に困る。他の人に見られたらどうするんだ?」
俺はジロリと店員を見た。だが店員はこちらの思っていた反応ではなく、「キャー」と黄色い声を発した。またなんか俺、妙なこと口走っちゃいましたかね?
「分かりましたわ。それでは他の方に見られても大丈夫な服も用意しますわ。ウフフ、二人だけの秘密にしておきたいですものね」
意味ありげに、店員の一人がそう言った。
違う、そうじゃない。「二人だけのときなら何でもオッケー!」って言う意味じゃないんだ。ほらパメラ、全身を赤くしてうつむかない。その前に、そのスケスケルックを何とかしなさい!
その後は店員さんたちが色々と手を貸してくれたらしく、あれ以来、俺の前でファッションショーをすることなくパメラの洋服の買い物が終わった。大量の洋服が入った袋を渡されたが、正直、中身を確認するのが怖い。
プラチナ級冒険者の俺をここまで怖がらせるとは、パメラ、恐ろしい子……!
釣りはいらんと白金貨をポイと渡すと大いに驚かれた。分かっていると思うが、口止め料も入っているからな、それ。
俺が視線で合図すると、店員さんたちはコクコクと首を縦に振った。さすがは高所得者向けの店。しつけが行き届いているようである。
俺がすべての服を【奈落の落とし穴】にしまうのを、あっけにとられた様子で見ていた。
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