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どうしてこうなった
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部屋に案内されると、そこは二人部屋だった。
一体だれとペアなのかな? と思っていたら、どうやらユリウスが私のペアのようである。
確かに私とユリウスは仲良しだし、ベストマッチな選択なのかも知れない。部屋にはすでに持って来た荷物が置かれていた。いつの間に。素早いな。まさか忍者が……。
荷物は着替えだけである。課外活動の期間は毎日制服で過ごすことになるので、服を選ばなくて済むので非常に楽である。
それもそうよね。普段着ているようなドレスは、使用人に手伝ってもらわなければ、とてもではないが一人で着ることはできない。ここには個人の使用人を連れて来ることができないのだからなおさらだ。
王立学園の入学準備要項で、「一人で制服に着替えられるようになっていること」という条件が書かれていたが、それがここにきて生きてきたわけだ。
「夕食までにはまだ時間があるわよね。ユリウス、何してようか?」
晩餐の準備が整ったら呼びに来る、と言ってもどれだけ時間がかかるか分からない。せっかくの機会だし、何かできることはないかしら? トランプとか、ボードゲームとか、カードゲームとか、この世界にもあったら良かったのに。
「そうですね、さすがに部屋にいないといけないですから、外に出るわけには……ん? だれか来ましたよ」
ユリウスがそう言うや否や、ドアがノックされる。
もう夕食の準備ができたのかしら? さすがに早すぎない?
ユリウスも不審に思ったのか、私を手で制すると、油断なくドアを開けた。
「師匠! どうして私と同室じゃないんですか!」
そこには憤慨したローレンツの姿が。
コイツは一体何を言っているのか分かっているのだろうか。脳筋過ぎて、私とローレンツが異性であることを失念しているようである。
どうやらユリウスも私と同じことを思ったみたいで、残念な目をローレンツに向けていた。
「ローレンツ、男女が同じ部屋になるわけがないだろう?」
「男女だなんて、とんでもない! 俺と師匠は師弟の関係ですよ。恐れおおいですよ」
ダメだコイツ。これは何を言っても無駄だろう。あきれた表情でこちらを見てきたユリウスに、首を左右に振って応えた。これはもうダメかも分からんね。
ローレンツが私たちの部屋で駄々をこねていると、さらにだれかがやってきたようである。再びドアがノックされた。今度はだれだ? フィル王子か? それともルークか? どちらもありそうで怖いわ。
ユリウスがドアを開けた先には、なんと攻略対象の一人であるレオナールが立っていた。
あっと驚く私とローレンツに対して、ユリウスは気にすることもなくレオナールに尋ねた。
「君、何か用かい?」
「イザベラ様に挨拶に参りました」
「え? 私?」
私は一体、今度は何をしでかしてしまったのか。レオナールには自分の正体を明かしてはいない。よって私の身分など知らないはずである。いつもは「イザベラ」と読んでもらっているので、様付けで呼ばれたのは初めてだ。どうしてこうなった。
「イザベラ様、知らなかったとは言え、無礼な言葉遣いをしてしまい申し訳ありませんでした」
「ちょっと、レオナール、やめてちょうだい!」
頭を下げたレオナールを慌ててとめた。
あれから私はソフィアの情報収集も兼ねて、何度かローレンツと一緒にレオナールのいるFクラスに行ったことがあるのだ。
その際、Fクラスの生徒たちとはある程度の知り合いになっている。ソフィアはいつ行っても不在なので、結局知り合うことはなかったけどね。
「そうだぞ、レオナール。師匠はそんな小さなことを気にするような人物ではない。もっと偉大な人物……」
「ローレンツもやめてちょうだい。とにかく、全然気にしてないから、いつも通りでいいわよ。それで、レオナールはなぜここに?」
「……いや、さすがにそれは無理でしょう」
レオナールは困惑しながらそう言った。うーん、さすがは常識人代表のレオナール。頭が固いぞ。
レオナールの話によると、Fクラスの生徒たちの一部も、この課外活動に参加しているらしい。
平民たちが集まるFクラスとは言え、平民なのに王立学園に入学することができるほどの優秀な人材である。そうなれば当然、王立学園を卒業してから貴族の下で働く者も多い。
そのため、この課外活動でそのための練習をさせてもらえることになっているそうである。
「なるほどね。確かにこの課外活動なら練習にもちょうどいいわよね。ついでに将来の領主たちとも知り合いになれるし、まさに一石二鳥だわ」
「一石二鳥……?」
三人が私の一石二鳥発言を聞いて、こちらを向いた。もしかして、この世界には一石二鳥という言い回しはないのかしら? これはまずいわね。
「一石二鳥って言うのはね、一つの石を投げて、二羽の鳥を落とすこと、すなわち、一つのことをして二つの利益を得ることをさすのよ」
「そうなんですね。さすがはイザベラ様。物知りですね!」
レオナールとローレンツは絶賛してくれたが、ユリウスはそんな言葉があったかな? と首をひねっていた。こまけぇことはいいんだよ!
「それよりも、もしかしてソフィアさんもこの課外活動に参加しているのかしら?」
「ソフィアが? アレが参加するわけないでしょう。「人に仕えるなんて、自分をばかにしているのか」って先生に詰め寄ってましたよ」
何それ、どう言うことなの。ソフィアがどこに向かっているのかは分からないが、私の知らないソフィアに向かっていることだけは良く分かった。
そしてそれを矯正することができないことも分かった。
「そ、そうなのね。それじゃ、レオナール、よろしくね」
「もちろんですよ、イザベラ様。お任せ下さい!」
「いいや、レオナール。お前のお世話などいらない。なぜならおれが……」
「お黙り、ローレンツ」
私の言葉にショボンとなったローレンツを、残念なものを見るような目でユリウスが見ていた。
本当にごめんね、ユリウス。こんな子に育てるつもりはなかったのよ。
一体だれとペアなのかな? と思っていたら、どうやらユリウスが私のペアのようである。
確かに私とユリウスは仲良しだし、ベストマッチな選択なのかも知れない。部屋にはすでに持って来た荷物が置かれていた。いつの間に。素早いな。まさか忍者が……。
荷物は着替えだけである。課外活動の期間は毎日制服で過ごすことになるので、服を選ばなくて済むので非常に楽である。
それもそうよね。普段着ているようなドレスは、使用人に手伝ってもらわなければ、とてもではないが一人で着ることはできない。ここには個人の使用人を連れて来ることができないのだからなおさらだ。
王立学園の入学準備要項で、「一人で制服に着替えられるようになっていること」という条件が書かれていたが、それがここにきて生きてきたわけだ。
「夕食までにはまだ時間があるわよね。ユリウス、何してようか?」
晩餐の準備が整ったら呼びに来る、と言ってもどれだけ時間がかかるか分からない。せっかくの機会だし、何かできることはないかしら? トランプとか、ボードゲームとか、カードゲームとか、この世界にもあったら良かったのに。
「そうですね、さすがに部屋にいないといけないですから、外に出るわけには……ん? だれか来ましたよ」
ユリウスがそう言うや否や、ドアがノックされる。
もう夕食の準備ができたのかしら? さすがに早すぎない?
ユリウスも不審に思ったのか、私を手で制すると、油断なくドアを開けた。
「師匠! どうして私と同室じゃないんですか!」
そこには憤慨したローレンツの姿が。
コイツは一体何を言っているのか分かっているのだろうか。脳筋過ぎて、私とローレンツが異性であることを失念しているようである。
どうやらユリウスも私と同じことを思ったみたいで、残念な目をローレンツに向けていた。
「ローレンツ、男女が同じ部屋になるわけがないだろう?」
「男女だなんて、とんでもない! 俺と師匠は師弟の関係ですよ。恐れおおいですよ」
ダメだコイツ。これは何を言っても無駄だろう。あきれた表情でこちらを見てきたユリウスに、首を左右に振って応えた。これはもうダメかも分からんね。
ローレンツが私たちの部屋で駄々をこねていると、さらにだれかがやってきたようである。再びドアがノックされた。今度はだれだ? フィル王子か? それともルークか? どちらもありそうで怖いわ。
ユリウスがドアを開けた先には、なんと攻略対象の一人であるレオナールが立っていた。
あっと驚く私とローレンツに対して、ユリウスは気にすることもなくレオナールに尋ねた。
「君、何か用かい?」
「イザベラ様に挨拶に参りました」
「え? 私?」
私は一体、今度は何をしでかしてしまったのか。レオナールには自分の正体を明かしてはいない。よって私の身分など知らないはずである。いつもは「イザベラ」と読んでもらっているので、様付けで呼ばれたのは初めてだ。どうしてこうなった。
「イザベラ様、知らなかったとは言え、無礼な言葉遣いをしてしまい申し訳ありませんでした」
「ちょっと、レオナール、やめてちょうだい!」
頭を下げたレオナールを慌ててとめた。
あれから私はソフィアの情報収集も兼ねて、何度かローレンツと一緒にレオナールのいるFクラスに行ったことがあるのだ。
その際、Fクラスの生徒たちとはある程度の知り合いになっている。ソフィアはいつ行っても不在なので、結局知り合うことはなかったけどね。
「そうだぞ、レオナール。師匠はそんな小さなことを気にするような人物ではない。もっと偉大な人物……」
「ローレンツもやめてちょうだい。とにかく、全然気にしてないから、いつも通りでいいわよ。それで、レオナールはなぜここに?」
「……いや、さすがにそれは無理でしょう」
レオナールは困惑しながらそう言った。うーん、さすがは常識人代表のレオナール。頭が固いぞ。
レオナールの話によると、Fクラスの生徒たちの一部も、この課外活動に参加しているらしい。
平民たちが集まるFクラスとは言え、平民なのに王立学園に入学することができるほどの優秀な人材である。そうなれば当然、王立学園を卒業してから貴族の下で働く者も多い。
そのため、この課外活動でそのための練習をさせてもらえることになっているそうである。
「なるほどね。確かにこの課外活動なら練習にもちょうどいいわよね。ついでに将来の領主たちとも知り合いになれるし、まさに一石二鳥だわ」
「一石二鳥……?」
三人が私の一石二鳥発言を聞いて、こちらを向いた。もしかして、この世界には一石二鳥という言い回しはないのかしら? これはまずいわね。
「一石二鳥って言うのはね、一つの石を投げて、二羽の鳥を落とすこと、すなわち、一つのことをして二つの利益を得ることをさすのよ」
「そうなんですね。さすがはイザベラ様。物知りですね!」
レオナールとローレンツは絶賛してくれたが、ユリウスはそんな言葉があったかな? と首をひねっていた。こまけぇことはいいんだよ!
「それよりも、もしかしてソフィアさんもこの課外活動に参加しているのかしら?」
「ソフィアが? アレが参加するわけないでしょう。「人に仕えるなんて、自分をばかにしているのか」って先生に詰め寄ってましたよ」
何それ、どう言うことなの。ソフィアがどこに向かっているのかは分からないが、私の知らないソフィアに向かっていることだけは良く分かった。
そしてそれを矯正することができないことも分かった。
「そ、そうなのね。それじゃ、レオナール、よろしくね」
「もちろんですよ、イザベラ様。お任せ下さい!」
「いいや、レオナール。お前のお世話などいらない。なぜならおれが……」
「お黙り、ローレンツ」
私の言葉にショボンとなったローレンツを、残念なものを見るような目でユリウスが見ていた。
本当にごめんね、ユリウス。こんな子に育てるつもりはなかったのよ。
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