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君たち女の子
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さてどうするか。どうすれば悪役令嬢らしく、華麗な嫌がらせをすることができるだろうか。
ここはあれか? ユリウスの秘密をほのめかして、「私はお前の秘密を知っているんだぞ」感を出すべきか? これならば上から目線で傲慢な態度をとることができる。
相手の秘密を握っているのでこちらが優位に立てるだろう。実にいやらしい作戦だ。けしからん。
だが、悪くない。
「それにしてもユリウス様、随分と日に焼けておりますね。せっかくの美しいお肌が台無しですわ」
オホホ。私のセリフにほんのちょっぴりユリウスの顔色が変わったのが分かる。
悔しかろう、悔しかろう! 女の子なら、日焼けには十分に気を使うはずだからね。
「外での訓練がほとんどだからね。日に焼けるのは仕方がないさ。別に日に焼けることを気にしてないよ」
そう言いながらも、私の陶器のような白い肌を食い入るように見つめているユリウス。その視線を感じたのか、ルークが私の前に出て私を隠した。邪魔!
負けじと再度、前に出る。
「そうなのですか? でも、毎日ちゃんとお肌のケアをしておけば、私のように美しい肌を保つことができますわよ。どうです? ユリウス様も一緒にどうですか?」
ニヤニヤとユリウスを見る。ユリウスはハッとしたような表情になっていた。この顔は、「こいつ、何で自分の秘密を知っているんだ!?」という驚きの顔であろう。
それに対して、わけが分からないルークとフィル王子。しかし、合点が行ったようである。
「まさかイザベラ、ユリウスみたいなのが好みなのかい!?」
ルークがギョッとした表情をしている。まあユリウスは可愛らしい顔をしているので、嫌いじゃないけどね。
「そうなの!?」
王子も驚きの表情でこちらを見つめている。
違う、全然違う。しかしここでユリウスの秘密をバラすわけにはいかない。そんなことをすれば、せっかく優位に立てたのが台無しだ。どうするべきか。
「そうですわね、ユリウス様のことは好きですわ。もちろん、異性として好き、というわけではないですが」
私の言葉を聞いて、みるみるほほが赤くなっていくユリウス。
あれ~? 何か思っていた反応と違うぞ。間違ったかな?
「ああ、なるほど。友達として好き、と言うこと何だね。それとも、ルークと同じように兄弟のような感じでの好き、の方かな?」
グワッと、すぐ隣のルークから黒い波動が上がった。フィリップ王子、君、わざとじゃないよね? 兄弟のような感じのくだりは、別にいらなかったわよね?
これは一触即発なのでは? とオロオロしていると、意を決したかのように、ユリウスが口を開いた。
「ぼ、僕もイザベラ様のことをお慕いしています!」
待てやオイ。何その百合モードに突入しそうな感じは。違うでしょユリウスちゃん! あなたは私に秘密を握られて、顔を青ざめなければいけないはずよ。どうしたの、何か変なものでも食べた?
どうにも微妙な顔をしていると、講師役と思われる先生がやって来た。立派な白いあごひげと、とんがり帽子をかぶった「ザ・魔法使い」そのものの姿であった。
まさか絵に描いたような魔法使いのおじいちゃんがリアルに存在するとは思わなかった。
マイペースなのか、おじいちゃんは私たちのことなどそっちのけで、王子とともに魔法の訓練を始めた。残された私たちは、取りあえず見学席から様子をうかがうことにした。
もちろんユリウスも一緒である。
「あの魔法使いはこの国の優秀な賢者の一人らしいですよ。王子が黄金属性の魔法が使えることが分かったから、特別に呼ばれたみたいです」
ユリウスが説明を入れてくれた。実際のゲームの中でも、匂わせ程度に賢者の存在は出てきていた。しかし、実際に話の中に出てくることはなかった。そのため、その存在をこの目で確認できたことに、一種の感動的なものがあった。
あのゲームの中で誰も知らないことを私だけが知っている。何だか特別な存在のように思えてきた。アメちゃんをくれてもいいのよ?
だが、そんな感動も一時的なものだった。王子の訓練をただひたすら見ているだけ。それも、王子は魔法の練習に苦労しているようである。私なら一回でできるのに。
そんなことを思いつつ隣のルークを見ると、「あれが普通だ」とささやかれた。どうやら、魔法の訓練の見学が許された理由はここにあったようだ。
イザベラに普通を知ってもらいたい。
そんな切なる願いがこの魔法訓練の見学には込められているようである。そう言えば、ユリウスは魔法の訓練をしなくてもいいのかな? 確かユリウスは風属性の魔法が得意だったはずである。
「ユリウス様は魔法の訓練はなさらないのですか?」
「え? そ、そうだね。魔法は得意じゃなくてね……」
うーん、確かゲームの中のユリウスが得意とする魔法は補助魔法だったかな? こちらの行動速度を速くしたり、弓矢や魔法を風の壁を作って弱体化したりするのが得意だったわね。
「そうなのですか? でも、風魔法で飛んでくる攻撃を防ぐのは便利だと思いますけど」
「それは、そうかも知れませんが……あれ? 僕が風属性が得意だって話、しましたっけ?」
そう言えばしてなかったような気がする。つい前世の知識で語ってしまったわ。どうしましょう。
う、ルークの視線が痛い。「お前いつの間に魔眼を使ったんだ?」って書いてある。このままでは、また、お母様にチクられてしまう。何とか誤魔化さねば。
「ウフフ、ユリウス様のことは何でもお見通しですわ」
またしても赤く染まるユリウス。何だか先ほどから言葉のチョイスが悪いような気がしてならないんですけど、何でなん。
ここはあれか? ユリウスの秘密をほのめかして、「私はお前の秘密を知っているんだぞ」感を出すべきか? これならば上から目線で傲慢な態度をとることができる。
相手の秘密を握っているのでこちらが優位に立てるだろう。実にいやらしい作戦だ。けしからん。
だが、悪くない。
「それにしてもユリウス様、随分と日に焼けておりますね。せっかくの美しいお肌が台無しですわ」
オホホ。私のセリフにほんのちょっぴりユリウスの顔色が変わったのが分かる。
悔しかろう、悔しかろう! 女の子なら、日焼けには十分に気を使うはずだからね。
「外での訓練がほとんどだからね。日に焼けるのは仕方がないさ。別に日に焼けることを気にしてないよ」
そう言いながらも、私の陶器のような白い肌を食い入るように見つめているユリウス。その視線を感じたのか、ルークが私の前に出て私を隠した。邪魔!
負けじと再度、前に出る。
「そうなのですか? でも、毎日ちゃんとお肌のケアをしておけば、私のように美しい肌を保つことができますわよ。どうです? ユリウス様も一緒にどうですか?」
ニヤニヤとユリウスを見る。ユリウスはハッとしたような表情になっていた。この顔は、「こいつ、何で自分の秘密を知っているんだ!?」という驚きの顔であろう。
それに対して、わけが分からないルークとフィル王子。しかし、合点が行ったようである。
「まさかイザベラ、ユリウスみたいなのが好みなのかい!?」
ルークがギョッとした表情をしている。まあユリウスは可愛らしい顔をしているので、嫌いじゃないけどね。
「そうなの!?」
王子も驚きの表情でこちらを見つめている。
違う、全然違う。しかしここでユリウスの秘密をバラすわけにはいかない。そんなことをすれば、せっかく優位に立てたのが台無しだ。どうするべきか。
「そうですわね、ユリウス様のことは好きですわ。もちろん、異性として好き、というわけではないですが」
私の言葉を聞いて、みるみるほほが赤くなっていくユリウス。
あれ~? 何か思っていた反応と違うぞ。間違ったかな?
「ああ、なるほど。友達として好き、と言うこと何だね。それとも、ルークと同じように兄弟のような感じでの好き、の方かな?」
グワッと、すぐ隣のルークから黒い波動が上がった。フィリップ王子、君、わざとじゃないよね? 兄弟のような感じのくだりは、別にいらなかったわよね?
これは一触即発なのでは? とオロオロしていると、意を決したかのように、ユリウスが口を開いた。
「ぼ、僕もイザベラ様のことをお慕いしています!」
待てやオイ。何その百合モードに突入しそうな感じは。違うでしょユリウスちゃん! あなたは私に秘密を握られて、顔を青ざめなければいけないはずよ。どうしたの、何か変なものでも食べた?
どうにも微妙な顔をしていると、講師役と思われる先生がやって来た。立派な白いあごひげと、とんがり帽子をかぶった「ザ・魔法使い」そのものの姿であった。
まさか絵に描いたような魔法使いのおじいちゃんがリアルに存在するとは思わなかった。
マイペースなのか、おじいちゃんは私たちのことなどそっちのけで、王子とともに魔法の訓練を始めた。残された私たちは、取りあえず見学席から様子をうかがうことにした。
もちろんユリウスも一緒である。
「あの魔法使いはこの国の優秀な賢者の一人らしいですよ。王子が黄金属性の魔法が使えることが分かったから、特別に呼ばれたみたいです」
ユリウスが説明を入れてくれた。実際のゲームの中でも、匂わせ程度に賢者の存在は出てきていた。しかし、実際に話の中に出てくることはなかった。そのため、その存在をこの目で確認できたことに、一種の感動的なものがあった。
あのゲームの中で誰も知らないことを私だけが知っている。何だか特別な存在のように思えてきた。アメちゃんをくれてもいいのよ?
だが、そんな感動も一時的なものだった。王子の訓練をただひたすら見ているだけ。それも、王子は魔法の練習に苦労しているようである。私なら一回でできるのに。
そんなことを思いつつ隣のルークを見ると、「あれが普通だ」とささやかれた。どうやら、魔法の訓練の見学が許された理由はここにあったようだ。
イザベラに普通を知ってもらいたい。
そんな切なる願いがこの魔法訓練の見学には込められているようである。そう言えば、ユリウスは魔法の訓練をしなくてもいいのかな? 確かユリウスは風属性の魔法が得意だったはずである。
「ユリウス様は魔法の訓練はなさらないのですか?」
「え? そ、そうだね。魔法は得意じゃなくてね……」
うーん、確かゲームの中のユリウスが得意とする魔法は補助魔法だったかな? こちらの行動速度を速くしたり、弓矢や魔法を風の壁を作って弱体化したりするのが得意だったわね。
「そうなのですか? でも、風魔法で飛んでくる攻撃を防ぐのは便利だと思いますけど」
「それは、そうかも知れませんが……あれ? 僕が風属性が得意だって話、しましたっけ?」
そう言えばしてなかったような気がする。つい前世の知識で語ってしまったわ。どうしましょう。
う、ルークの視線が痛い。「お前いつの間に魔眼を使ったんだ?」って書いてある。このままでは、また、お母様にチクられてしまう。何とか誤魔化さねば。
「ウフフ、ユリウス様のことは何でもお見通しですわ」
またしても赤く染まるユリウス。何だか先ほどから言葉のチョイスが悪いような気がしてならないんですけど、何でなん。
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