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不吉な知らせ②

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 プリンが気に入った俺たちは、その後も惜しげもなくカフェに通った。常連になった俺たちは、お持ち帰り用のプリンを特別に用意してもらえる関係になっていた。
 そんなある日。

「え? プリンが売り切れですか!? 一体どうして……。こんなこと、一度もなかったですよ」
「すいません。プリンに使う卵が購入できなくなってしまったのですよ」
「何かあったの?」

 リリアがあごに人差し指を添えて、首を左に傾けていた。卵を産む鳥が動物に襲われちゃったのかな?

「それが、卵を仕入れていた酪農家と、急に連絡が取れなくなったと商業ギルドの窓口で言われたんですよ。心配ではあるんですが、お店がありますからね。様子を見に行けないんですよ」

 カフェの店長も困り顔だった。これはプリン愛好家としては、何とかしなければならない問題だ。ここは一肌脱ぐべきだろう。

「良かったら俺たちが様子を見に行って来ますよ。これでもそれなりに腕の立つ冒険者なんですよ」
「そうだったのですね。まだ若いのに優秀なんですね。でも、依頼をするお金が……」
「そんなの要らないわよ。あたしたちの関係じゃない。ね、フェル?」
「そうですよ。俺たちに任せて下さい」

 俺たちはその酪農家の情報を収集するべく、まずは商業ギルドへと向かった。お店の卵は商業ギルドを通じて購入しているという話だった。

「ここが商業ギルドか。初めて来たけど大きいね」
「そうね。冒険者ギルドと同じくらいの大きさがあるわね」

 冒険者ギルドとは違い、レンガをいくつも積み重ねて作った建物だった。だがその大きさは、リリアが言ったように、砦のようだった冒険者ギルドと同じくらいの大きさがあった。

 それだけ王都には色んなところから商品が集まるということなのだろう。それに港街ボーモンドから入ってきた海外からの輸入品も、一度ここに集まっているという話を聞いたことがある。
 国内だけでなく、国外の商品も管理しているなら、この大きさになってもおかしくはないな。

 俺たちは卵の情報を集めるべく、商業ギルドの中へと入った。中は人でごった返していた。見た感じでは商人ばかりのようである。サンチョさんの服装と似た服を着ている人がたくさんいる。もしかして、サンチョさんもいるかも知れない。そんなわけないか。

「おや、フェルさんじゃないですか」

 いたー! サンチョさんだ。大商人のサンチョさんがいるなら、楽に調査できるかも知れないぞ。

「お久しぶりです、サンチョさん。ちょっと調べたいことがありましてね」
「ほほう、そうですか。ですが今はちょっと問題が起こっているみたいなんですよね」

 サンチョさんが苦笑いしていた。もしかすると、この混み合っている状態は、普段の商業ギルドとは違う光景なのかも知れない。

「問題?」
「はい。どうも、王都に畜産品を供給していた村の一つが、魔物によって壊滅的な被害を受けたそうなのですよ。そこがどうも有名な産地だったそうでしてね」

 畜産品を供給……鳥……卵……。

「フェル、もしかして……」
「うん、もしかするかも知れないね。サンチョさん、その村はプリンを作るのに必要な卵を王都に供給していた場所ですか?」
「おや? フェルさんたちもプリンを食べたことがあるのですね。あれは良いものですよ。あの気品のある黄色いたたずまい……おっと、話がそれましたな。私は畜産品は門外漢なのでハッキリとは言えませんが、可能性は高いと思いますよ。何せ、その村と取り引きがあった人たちがこれだけ集まっているのですからね」

 困ったような顔をするサンチョさん。どうやらサンチョさんは別の要件でここに来たようである。

「サンチョさん、その村の場所は分かりますか?」
「ええ、それは分かりますが……もしかして、行くのですか?」
「はい。直接その村に行ってみようと思います」

 魔物に襲われた村か。ちょっと不吉な知らせだな。これまでそんな話は聞いたことがなかった。魔物の動きが活発になっているのかな?
 取りあえず今はサンチョさんに教えてもらった場所に行ってみることにしよう。
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