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移籍②
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手続きが終わるまでの間、依頼が貼られているボードを見て回った。先ほどの俺たちとギルド職員の話を聞いていたのか、冒険者たちからの視線を感じる。
「注目されてるわね」
「そうだね。でもそれもすぐに落ち着くさ。プラチナランクの冒険者は他にもいるだろうからね。ほら見てよ。プラチナランクの依頼があるよ。えっと……魔境での希少錬金術素材の入手か。大変そうだな」
他にも、希少生物からの素材採取依頼や、オーガの巣の破壊依頼、鉱山に現れた魔物の討伐依頼などもあった。プラチナランクに依頼するくらいなのだから、きっと難易度が高いのだろう。
つらつらと依頼を見ていると、手続きが終わったようである。名前を呼ばれたので、再び受付カウンターに行く。
「お待たせしました。こちらがプラチナランクの冒険者証になります」
渡された冒険者証は金と、銀でできており、中央で斜めに混じり合っていた。簡単に曲がらないところを見ると、どうやら何かしらの特殊な加工がしてあるみたいだ。
「ありがとうございます」
「さっそく何か依頼を受けますか?」
「いえ、今日はこれから王都を見て回るつもりです。まだ王都をすべて見て回れてないのですよ」
そう言って俺たちは冒険者ギルドをあとにした。先日、四分の一くらいは見て回れたので、残りはあと四分の三だ。案内人がいたとしても、今日中に見て回るのは無理だな。あきらめてゆっくりと見て回ることにしよう。
「次は宿屋ね。なるべく冒険者ギルドに近い方が良いから、この辺りから探さないとね」
「そうだね。まあ、この辺りの宿はすでに一杯だろうから、ちょっと離れたところになりそうだけどね」
「お、案内所らしき場所発見!」
「よし、行ってみよう」
案内所でお金を払っておすすめの宿を聞いた。ここから少し離れているが、それでも冒険者ギルドに通える範囲にあるらしい。教えてもらった場所に向かうと、どうやらその辺りは冒険者用の宿屋街になっているみたいだった。
この辺りは冒険者ギルドに近い宿屋に泊まることができなかった冒険者が集まっているようである。その中でも、少し値が張るが、マナーが良い冒険者がたくさん泊まっているという宿を教えてもらった。
教えてもらった宿は木造の宿だった。話を聞いたところによると、東方でよく見られる宿の形らしい。何だろう、ものすごく声が隣に聞こえそう何だけど……。
宿屋には大きな文字で「なごみ」と書いてあった。変わった名前だ。
「すいません、案内所で聞いてやってきたのですが、部屋は空いていますか?」
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「えっと、妖精を入れて二人ですね」
「妖精……なるほど。それでは二人部屋を用意しますね」
従業員は台紙に書かれたページをペラペラとめくっていた。門構えはそれほど大きくなかったのだが、もしかして、奥行きが広いのかな?
「ねえ、音とか大丈夫なのかしら? さすがに周りがうるさかったら我慢できないわよ」
「そのご心配には及びません。全室に防音の魔道具を設置させていただいております」
「防音の魔道具?」
「はい。それを使えば部屋の中の音が外に漏れないようになっているのですよ」
そんな魔道具があるのか。どうしてもうるさかったら防音の魔法で何とかしようと思っていたのだが、どうやらその必要はなさそうだな。二人でうなずいて納得していると、部屋が決まったようで案内してもらった。
「こちらがお部屋になります。トイレとお風呂がついております。ご自由にお使い下さい。使い方はこちらに書いてあります」
そう言って、食堂のメニュー表のようなものを渡された。どうやらこれに、この部屋にあるすべての設備についてのことが書いてあるらしい。あとでよく見ておこう。
「それではごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
部屋の一室は畳と呼ばれるものが敷いてあった。これも東方のものらしい。部屋の壁は真っ白で、部屋を仕切る壁は木枠と紙でできていた。ちょっとビックリだ。
それにしても、お風呂つきとは思わなかった。さすが一泊、小金貨二枚だけはあるな。
「注目されてるわね」
「そうだね。でもそれもすぐに落ち着くさ。プラチナランクの冒険者は他にもいるだろうからね。ほら見てよ。プラチナランクの依頼があるよ。えっと……魔境での希少錬金術素材の入手か。大変そうだな」
他にも、希少生物からの素材採取依頼や、オーガの巣の破壊依頼、鉱山に現れた魔物の討伐依頼などもあった。プラチナランクに依頼するくらいなのだから、きっと難易度が高いのだろう。
つらつらと依頼を見ていると、手続きが終わったようである。名前を呼ばれたので、再び受付カウンターに行く。
「お待たせしました。こちらがプラチナランクの冒険者証になります」
渡された冒険者証は金と、銀でできており、中央で斜めに混じり合っていた。簡単に曲がらないところを見ると、どうやら何かしらの特殊な加工がしてあるみたいだ。
「ありがとうございます」
「さっそく何か依頼を受けますか?」
「いえ、今日はこれから王都を見て回るつもりです。まだ王都をすべて見て回れてないのですよ」
そう言って俺たちは冒険者ギルドをあとにした。先日、四分の一くらいは見て回れたので、残りはあと四分の三だ。案内人がいたとしても、今日中に見て回るのは無理だな。あきらめてゆっくりと見て回ることにしよう。
「次は宿屋ね。なるべく冒険者ギルドに近い方が良いから、この辺りから探さないとね」
「そうだね。まあ、この辺りの宿はすでに一杯だろうから、ちょっと離れたところになりそうだけどね」
「お、案内所らしき場所発見!」
「よし、行ってみよう」
案内所でお金を払っておすすめの宿を聞いた。ここから少し離れているが、それでも冒険者ギルドに通える範囲にあるらしい。教えてもらった場所に向かうと、どうやらその辺りは冒険者用の宿屋街になっているみたいだった。
この辺りは冒険者ギルドに近い宿屋に泊まることができなかった冒険者が集まっているようである。その中でも、少し値が張るが、マナーが良い冒険者がたくさん泊まっているという宿を教えてもらった。
教えてもらった宿は木造の宿だった。話を聞いたところによると、東方でよく見られる宿の形らしい。何だろう、ものすごく声が隣に聞こえそう何だけど……。
宿屋には大きな文字で「なごみ」と書いてあった。変わった名前だ。
「すいません、案内所で聞いてやってきたのですが、部屋は空いていますか?」
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「えっと、妖精を入れて二人ですね」
「妖精……なるほど。それでは二人部屋を用意しますね」
従業員は台紙に書かれたページをペラペラとめくっていた。門構えはそれほど大きくなかったのだが、もしかして、奥行きが広いのかな?
「ねえ、音とか大丈夫なのかしら? さすがに周りがうるさかったら我慢できないわよ」
「そのご心配には及びません。全室に防音の魔道具を設置させていただいております」
「防音の魔道具?」
「はい。それを使えば部屋の中の音が外に漏れないようになっているのですよ」
そんな魔道具があるのか。どうしてもうるさかったら防音の魔法で何とかしようと思っていたのだが、どうやらその必要はなさそうだな。二人でうなずいて納得していると、部屋が決まったようで案内してもらった。
「こちらがお部屋になります。トイレとお風呂がついております。ご自由にお使い下さい。使い方はこちらに書いてあります」
そう言って、食堂のメニュー表のようなものを渡された。どうやらこれに、この部屋にあるすべての設備についてのことが書いてあるらしい。あとでよく見ておこう。
「それではごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
部屋の一室は畳と呼ばれるものが敷いてあった。これも東方のものらしい。部屋の壁は真っ白で、部屋を仕切る壁は木枠と紙でできていた。ちょっとビックリだ。
それにしても、お風呂つきとは思わなかった。さすが一泊、小金貨二枚だけはあるな。
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