61 / 214
いざ王都へ②
しおりを挟む
「リリア、朝だよ。今日は王都に到着する日だよ。甲板から王都を見るんだろう?」
「うーん、あと五分~」
「それ、さっきも言ったよ。ほら起きて。起きて服を着てよ」
裸のリリアをタオルでくるみ、ベッドの上に寝かせている。朝から裸のリリアが顔のすぐ隣で寝ているという刺激的な光景は、俺を一気に目覚めさせるのに十分だった。
慌ててタオルでくるんだが、暑いのか、寝相が悪いのか、俺がちょっと目を離したすきに、とんでもない格好になっていた。
ようやく起きたリリアが服を着替えた。
……何で大人の女性が着るようなランジェリーなんだ? まだ寝ぼけているみたいだが、一体だれにそんな服を教えてもらったんだ?
ハッ! まさか、サンチョさんの奥さんのミースさん!? 確かにあのとき、仲よさそうに話していたな。
とてもではないが、この格好のリリアを食堂に連れて行くわけにはいかない。俺は魔法袋から保存用の食料を取り出して朝食にした。
「もう、フェルのエッチ!」
「ごめんなさい。そんなつもりはなかったんです」
朝食を食べて、顔を洗ったリリアがようやく目覚めた。
それは良かったのだが、自分の格好を見て真っ赤になり、悲鳴を上げた。そしてすぐにいつもの格好に着替えた。
……リリアの恥ずかしさの判断基準が良く分からないな。お風呂での裸は良くて、ランジェリーはアウトなのか。一体どうしてそうなった。
平謝りして何とか許してもらった俺は、リリアを連れて甲板に上がった。甲板の上では今日も心地良い風が吹き抜けている。昨日ウォータードラゴンが襲ってきたのがウソのようである。
「おはようございます、フェルさん」
「おはようございます。順調に進んでいますか?」
「ええ、順調です。お昼過ぎには王都が見えてくるはずですよ」
船員さんが声をかけてくれた。名前を覚えているということは、俺はちょっとした有名人になっているようである。これはもう仕方がないな。あそこで自分たちだけ逃げるわけにはいかなかったしね。
早めの昼食を食べ終わると、甲板の上にある展望台に登った。そこではすでに何人もの人が王都が見えるのを待っていた。色んな人に挨拶を返しながらそのときを待った。
「王都が見えて来たぞ!」
だれかがそう叫んだ。その声につられて前を見ると、周囲をグルリと壁に囲まれた街が見えて来た。船が進むほど、どんどん大きくなって行く。とても大きな街だ。コリブリの街とエベランの街を足しても、まだ足りないだろう。
「すごい! あんなに大きい街を良く作ったわね」
頭の上に乗っているリリアが驚きの声を上げていた。悠久の時を生きているはずのリリアが驚くくらいだ。本当に大きな街なのだろう。さすがはフォーチュン王国の首都だけはあるな。
王都フォーチュンは大きな三つの城壁によって区分けされているようである。もちろん、一番外にある城壁の外側にも街が続いている。街の真ん中には白亜のお城がある。それを中心に王都は作られているようだ。
「見てよ、リリア。王都の向こう側に海が見えるよ。初めて見た」
「本当ね。この護衛依頼が終わったら行ってみましょうか。港町もあるみたいだしね」
リリアの言った通り、海岸線の近くに町があるみたいである。海の上に小さな船も見え始めた。
「おいしいものはあるかな?」
「きっとあるわよ! おいしいお酒もあるかも」
お酒は、うん、ちょっとにしておこうか。展望台の中がさらににぎやかになってきたころ、船内に「もう少しで王都に到着するので、下船の準備をお願いします」という放送が流れた。俺たちも部屋に戻り、準備を整える。
「やっぱり王都で降りる人が一番多いのかしら?」
「そうだろうね。でもこの船はそのまま港町まで行くみたいだから、全員が降りるわけではなさそうだね」
港から折り返して運ばれてくる商品もあるはずだ。それらもまた、王都に運ばれて来るのだろう。魔導船は非常に効率がいい輸送手段のようである。川が近くにある街が栄える理由が良く分かる。
準備が終わるとサンチョさんたちと合流した。お互いに身だしなみを確かめ合い、船が到着するのを待った。甲板から見える景色には王都の港と、川を行き交うたくさんの船が見えた。魔導船は大きな桟橋のところで泊まった。
ほどなくして、俺たちがエベランの街で利用した木の橋が架けられた。船員たちのチェックが済むと、乗船客や荷馬車が次々と降り始めた。
「さて、名残惜しいが私たちも降りるとしよう」
ハウジンハ伯爵の声を皮切りに、俺たちも船を降り始めた。
「うーん、あと五分~」
「それ、さっきも言ったよ。ほら起きて。起きて服を着てよ」
裸のリリアをタオルでくるみ、ベッドの上に寝かせている。朝から裸のリリアが顔のすぐ隣で寝ているという刺激的な光景は、俺を一気に目覚めさせるのに十分だった。
慌ててタオルでくるんだが、暑いのか、寝相が悪いのか、俺がちょっと目を離したすきに、とんでもない格好になっていた。
ようやく起きたリリアが服を着替えた。
……何で大人の女性が着るようなランジェリーなんだ? まだ寝ぼけているみたいだが、一体だれにそんな服を教えてもらったんだ?
ハッ! まさか、サンチョさんの奥さんのミースさん!? 確かにあのとき、仲よさそうに話していたな。
とてもではないが、この格好のリリアを食堂に連れて行くわけにはいかない。俺は魔法袋から保存用の食料を取り出して朝食にした。
「もう、フェルのエッチ!」
「ごめんなさい。そんなつもりはなかったんです」
朝食を食べて、顔を洗ったリリアがようやく目覚めた。
それは良かったのだが、自分の格好を見て真っ赤になり、悲鳴を上げた。そしてすぐにいつもの格好に着替えた。
……リリアの恥ずかしさの判断基準が良く分からないな。お風呂での裸は良くて、ランジェリーはアウトなのか。一体どうしてそうなった。
平謝りして何とか許してもらった俺は、リリアを連れて甲板に上がった。甲板の上では今日も心地良い風が吹き抜けている。昨日ウォータードラゴンが襲ってきたのがウソのようである。
「おはようございます、フェルさん」
「おはようございます。順調に進んでいますか?」
「ええ、順調です。お昼過ぎには王都が見えてくるはずですよ」
船員さんが声をかけてくれた。名前を覚えているということは、俺はちょっとした有名人になっているようである。これはもう仕方がないな。あそこで自分たちだけ逃げるわけにはいかなかったしね。
早めの昼食を食べ終わると、甲板の上にある展望台に登った。そこではすでに何人もの人が王都が見えるのを待っていた。色んな人に挨拶を返しながらそのときを待った。
「王都が見えて来たぞ!」
だれかがそう叫んだ。その声につられて前を見ると、周囲をグルリと壁に囲まれた街が見えて来た。船が進むほど、どんどん大きくなって行く。とても大きな街だ。コリブリの街とエベランの街を足しても、まだ足りないだろう。
「すごい! あんなに大きい街を良く作ったわね」
頭の上に乗っているリリアが驚きの声を上げていた。悠久の時を生きているはずのリリアが驚くくらいだ。本当に大きな街なのだろう。さすがはフォーチュン王国の首都だけはあるな。
王都フォーチュンは大きな三つの城壁によって区分けされているようである。もちろん、一番外にある城壁の外側にも街が続いている。街の真ん中には白亜のお城がある。それを中心に王都は作られているようだ。
「見てよ、リリア。王都の向こう側に海が見えるよ。初めて見た」
「本当ね。この護衛依頼が終わったら行ってみましょうか。港町もあるみたいだしね」
リリアの言った通り、海岸線の近くに町があるみたいである。海の上に小さな船も見え始めた。
「おいしいものはあるかな?」
「きっとあるわよ! おいしいお酒もあるかも」
お酒は、うん、ちょっとにしておこうか。展望台の中がさらににぎやかになってきたころ、船内に「もう少しで王都に到着するので、下船の準備をお願いします」という放送が流れた。俺たちも部屋に戻り、準備を整える。
「やっぱり王都で降りる人が一番多いのかしら?」
「そうだろうね。でもこの船はそのまま港町まで行くみたいだから、全員が降りるわけではなさそうだね」
港から折り返して運ばれてくる商品もあるはずだ。それらもまた、王都に運ばれて来るのだろう。魔導船は非常に効率がいい輸送手段のようである。川が近くにある街が栄える理由が良く分かる。
準備が終わるとサンチョさんたちと合流した。お互いに身だしなみを確かめ合い、船が到着するのを待った。甲板から見える景色には王都の港と、川を行き交うたくさんの船が見えた。魔導船は大きな桟橋のところで泊まった。
ほどなくして、俺たちがエベランの街で利用した木の橋が架けられた。船員たちのチェックが済むと、乗船客や荷馬車が次々と降り始めた。
「さて、名残惜しいが私たちも降りるとしよう」
ハウジンハ伯爵の声を皮切りに、俺たちも船を降り始めた。
10
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる