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銀の居待ち月亭①
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ランプの魔道具の明かりを消してベッドに潜り込む。すぐにリリアが胸元に張り付いてきた。リリアのお気に入りの場所であり、今は大の字で張り付いている。
何でもそうやって魔力を補充しているらしい。今日はそれなりに魔法を使ったからね。いつもよりも補充量が多いのかも知れない。
「うーん、やっぱりこの方法は効率が悪いわね」
「効率が悪い? って、リリア、何してるの!?」
リリアが俺の服の中に潜り込んできた。こんなの初めてだ。モゾモゾと動いている。
「ちょっとリリア、くすぐったいよ」
「もう、男の子なら大人しくしなさい!」
くすぐったいのに男の子も女の子もないと思うんだけど……そんなことを思っていると、胸にぺったりとした感触があった。それはまるで、肌と肌が密着する感触だ。
「リリア!?」
「あっ、ダメ! 今引っ張り出したらダメ! 裸だから!」
服の中からリリアを引っ張り出そうとしていた手を慌てて戻した。裸!? 何でそんなことに……。
「こうやって肌と肌で触れあった方が魔力の受け渡しの効率が良いのよ。勉強になった?」
「ハイ」
「そう。それじゃ、寝ましょうか」
「ハイ」
疲れているけど眠れるかな? 意識してはならぬ。悟りを開くんだ、悟りを。
翌朝、目を覚ますとリリアが顔に張り付いていた。だが魔力の補充は終わったようであり、しっかりと服を着ていた。残念なような、これで良かったような、そんな複雑な気持ちだった。
すでに日が昇っている。どうやら昨日は思った以上に疲れていたようだ。改めて、体力がないことを情けなく思ってしまった。今日から頑張ろう。目指せ、マッスルフェル。
「おはよう、リリア」
「おふぁよー、フェル」
まだ半覚醒状態のリリアをなでて、リリアがしっかり起きるのを待った。リリアからは良い匂いがしている。……何かがおかしい。こんな香り、今までしてたっけ?
何だか頭の中がモヤがかかったようにもうろうとしてきた。リリアに怒られると分かっていながらも匂いをスンスンと嗅いでしまった。
「ちょっと、フェル! 起きなさいよ!」
ペチンとリリアにたたき起こされた。あれ? いつの間にか二度寝してた?
「ごめんごめん、起きたよ」
「まったく、お寝坊さん何だから。他の冒険者たちはもう仕事に行ってるわよ」
「面目ない」
ベッドから降りてすぐに服装を整える。と言っても、寝間着なんて気の利いたものはないので、脱いだ上着を着るだけである。
一階に下りるとそのまま外に出た。途中の屋台で買った肉と野菜が挟んであるパンをリリアと一緒に食べながら今日の予定を話す。
「まずは宿探しだな。それが見つかったら、宿の周囲を探索してからコリブリの街の外周を走る」
「宿はできるだけ冒険者ギルドに近い方が良いわね。きっとその方が便利よ」
「そうだね。まずは近場から探してみるとしよう。コリブリの街のマッピングもかねてね」
オート・マッピングの魔法を使って、さっそく行動を開始した。
やはりと言うか、当然と言うか、冒険者ギルドに近い宿はすでにどこも冒険者で一杯だった。どうやら少し離れた場所になりそうだ。
「しょうがないわね。それならそれで、居心地の良い宿を探しましょう」
「そうした方が良いね。宿にいる間くらいはゆっくりしたいし、むしろそっちの方が良いかも知れないね」
方針を変えて、静かな住宅地で宿を探すことにする。裏通りをいくつか入れば、一軒家が建ち並ぶ住宅街になっていた。石の土台の上に木でできた家が建っており、ベランダには洗濯物が干してある。玄関周りには花が咲いていた。
「一軒家を借りるのも良いわね」
「さすがにそれはまだ無理かな? でも、家を借りるのも良いね。掃除や洗濯が大変そうだけど」
「そこは魔法で何とかするのよ」
「なるほど」
確かにリリアが教えてくれた生活魔法を使えばあっという間に終わるだろう。もっと定期的にお金を稼ぐことができるようになったら一軒家を借りるとしよう。
裏通りを進んで行くと、おしゃれな木の看板が見えた。そこには「銀の居待ち月亭」と書いてあった。たぶん宿屋だと思う。
何でもそうやって魔力を補充しているらしい。今日はそれなりに魔法を使ったからね。いつもよりも補充量が多いのかも知れない。
「うーん、やっぱりこの方法は効率が悪いわね」
「効率が悪い? って、リリア、何してるの!?」
リリアが俺の服の中に潜り込んできた。こんなの初めてだ。モゾモゾと動いている。
「ちょっとリリア、くすぐったいよ」
「もう、男の子なら大人しくしなさい!」
くすぐったいのに男の子も女の子もないと思うんだけど……そんなことを思っていると、胸にぺったりとした感触があった。それはまるで、肌と肌が密着する感触だ。
「リリア!?」
「あっ、ダメ! 今引っ張り出したらダメ! 裸だから!」
服の中からリリアを引っ張り出そうとしていた手を慌てて戻した。裸!? 何でそんなことに……。
「こうやって肌と肌で触れあった方が魔力の受け渡しの効率が良いのよ。勉強になった?」
「ハイ」
「そう。それじゃ、寝ましょうか」
「ハイ」
疲れているけど眠れるかな? 意識してはならぬ。悟りを開くんだ、悟りを。
翌朝、目を覚ますとリリアが顔に張り付いていた。だが魔力の補充は終わったようであり、しっかりと服を着ていた。残念なような、これで良かったような、そんな複雑な気持ちだった。
すでに日が昇っている。どうやら昨日は思った以上に疲れていたようだ。改めて、体力がないことを情けなく思ってしまった。今日から頑張ろう。目指せ、マッスルフェル。
「おはよう、リリア」
「おふぁよー、フェル」
まだ半覚醒状態のリリアをなでて、リリアがしっかり起きるのを待った。リリアからは良い匂いがしている。……何かがおかしい。こんな香り、今までしてたっけ?
何だか頭の中がモヤがかかったようにもうろうとしてきた。リリアに怒られると分かっていながらも匂いをスンスンと嗅いでしまった。
「ちょっと、フェル! 起きなさいよ!」
ペチンとリリアにたたき起こされた。あれ? いつの間にか二度寝してた?
「ごめんごめん、起きたよ」
「まったく、お寝坊さん何だから。他の冒険者たちはもう仕事に行ってるわよ」
「面目ない」
ベッドから降りてすぐに服装を整える。と言っても、寝間着なんて気の利いたものはないので、脱いだ上着を着るだけである。
一階に下りるとそのまま外に出た。途中の屋台で買った肉と野菜が挟んであるパンをリリアと一緒に食べながら今日の予定を話す。
「まずは宿探しだな。それが見つかったら、宿の周囲を探索してからコリブリの街の外周を走る」
「宿はできるだけ冒険者ギルドに近い方が良いわね。きっとその方が便利よ」
「そうだね。まずは近場から探してみるとしよう。コリブリの街のマッピングもかねてね」
オート・マッピングの魔法を使って、さっそく行動を開始した。
やはりと言うか、当然と言うか、冒険者ギルドに近い宿はすでにどこも冒険者で一杯だった。どうやら少し離れた場所になりそうだ。
「しょうがないわね。それならそれで、居心地の良い宿を探しましょう」
「そうした方が良いね。宿にいる間くらいはゆっくりしたいし、むしろそっちの方が良いかも知れないね」
方針を変えて、静かな住宅地で宿を探すことにする。裏通りをいくつか入れば、一軒家が建ち並ぶ住宅街になっていた。石の土台の上に木でできた家が建っており、ベランダには洗濯物が干してある。玄関周りには花が咲いていた。
「一軒家を借りるのも良いわね」
「さすがにそれはまだ無理かな? でも、家を借りるのも良いね。掃除や洗濯が大変そうだけど」
「そこは魔法で何とかするのよ」
「なるほど」
確かにリリアが教えてくれた生活魔法を使えばあっという間に終わるだろう。もっと定期的にお金を稼ぐことができるようになったら一軒家を借りるとしよう。
裏通りを進んで行くと、おしゃれな木の看板が見えた。そこには「銀の居待ち月亭」と書いてあった。たぶん宿屋だと思う。
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