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一緒に食べる夕食①
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報酬をもらうと、冒険者ギルドの階段をのぼり、借りている部屋へと向かった。すでに夕暮れになりつつあったので、宿探しは明日からにすることにした。
今日はほぼ一日中歩きっぱなしだったので、足にかなりの疲労がたまっているようだ。足がプルプルしてる。ベッドに座って足をもみほぐしていると、リリアがダメ出ししてきた。
「フェルはもっと体力をつけるべきね」
「自分でもそう思うよ。これからは毎日走って体力をつけないとね」
「それがいいわ。魔法だけに頼っていたらダメよ。ダメダメのフェルになっちゃうわ」
これまで体力作りができる環境じゃなかったことは、言い訳にしかならないな。明日から頑張らないと。
そのまましばらくベッドでゴロゴロすることで、体力を回復させた。
「よし、それじゃ夕食を食べに行こうか。今日は昨日とは別の方向に行ってみよう」
「ついでに他のお店も見て回りましょうよ。今なら少しはお金があるからね」
リリアを肩に乗せて部屋から出る。部屋の中でも声が聞こえていたが、廊下に出たことでもっと大きくなった。一階に下りると、戻って来た冒険者たちであふれ返っていた。
冒険者ギルドに泊まれば宿代はかからない。しかし、この騒々しさとは無縁ではいられなくなる。やはり冒険者ギルドとは別の、もう少し静かな場所に泊まりたいな。
冒険者ギルドから外に出ると、昨日とは逆の方向に進んだ。お店の軒先につるされているランタンが夕闇に染まりつつある道を明るく照らしている。
おっとそうだった。まずはランタンを買わないといけないな。大通り沿いに並ぶ店を見ながらランタンを探す。目的の場所はすぐに見つかった。
「色んな種類があるな。油を使った燃料タイプと、魔石を使った魔道具タイプか。魔道具の方が値段が高いな」
「フェル、ランタンを買うの? 魔法を教えたじゃない」
「確かにそうなんだけど、どうも目立っている気がするんだよね」
はたと何かに気がついたリリアが周囲を見渡した。街の人たちが使っている明かりはすべてランタンであった。
「本当だ、気がつかなかったわ。いつの間にスモール・ライトが使われなくなってるの……」
リリアが絶句している。まさか自分が封印されている間に、こんなことになっているとは思わなかったのだろう。リリアも良かれと思って、俺に色んな種類の生活魔法を教えてくれていたはずだ。
だがその生活魔法も、廃れたのか、失われたのかは分からないが、使われなくなったものがいくつかあるようだ。
「俺たちはもっと慎重に周りを見渡した方が良いかも知れないね」
「そうね……」
落ち込むリリアをなでてあげると、首元にしがみついてきた。どうやらかなり衝撃的だったみたいである。
世間知らずの俺に色々と教えてあげようと思っていたところが、自分も世間知らずだったのだ。落ち込むのも無理はないか。
「ほらリリア、どっちのランタンが良いと思う?」
「そうね、燃料タイプの方が安いけど、荷物が増えることになるわ。その点、魔道具タイプは予備の魔石を持っていてもそれほどかさばらないし、安全性も高いわ。でもその分、高いわね」
「高いね」
燃料タイプのランタンが銀貨二枚なのに対して、魔道具のランタンはその五倍の小金貨一枚。
迷った挙げ句、燃料タイプのランタンにした。お金にもっと余裕ができたら魔道具タイプに買い換えようかな? 燃料には虫除けの効果を兼ねたものがあるらしく、虫除けタイプの燃料を購入した。
さっそくランタンに燃料を入れて火をつける。暖かい光が手元に浮かぶ。
「スモール・ライトの光も良いけど、これはこれで暖かくていいね」
「フェルの言う通りね。何だかホッとするわ」
今日はほぼ一日中歩きっぱなしだったので、足にかなりの疲労がたまっているようだ。足がプルプルしてる。ベッドに座って足をもみほぐしていると、リリアがダメ出ししてきた。
「フェルはもっと体力をつけるべきね」
「自分でもそう思うよ。これからは毎日走って体力をつけないとね」
「それがいいわ。魔法だけに頼っていたらダメよ。ダメダメのフェルになっちゃうわ」
これまで体力作りができる環境じゃなかったことは、言い訳にしかならないな。明日から頑張らないと。
そのまましばらくベッドでゴロゴロすることで、体力を回復させた。
「よし、それじゃ夕食を食べに行こうか。今日は昨日とは別の方向に行ってみよう」
「ついでに他のお店も見て回りましょうよ。今なら少しはお金があるからね」
リリアを肩に乗せて部屋から出る。部屋の中でも声が聞こえていたが、廊下に出たことでもっと大きくなった。一階に下りると、戻って来た冒険者たちであふれ返っていた。
冒険者ギルドに泊まれば宿代はかからない。しかし、この騒々しさとは無縁ではいられなくなる。やはり冒険者ギルドとは別の、もう少し静かな場所に泊まりたいな。
冒険者ギルドから外に出ると、昨日とは逆の方向に進んだ。お店の軒先につるされているランタンが夕闇に染まりつつある道を明るく照らしている。
おっとそうだった。まずはランタンを買わないといけないな。大通り沿いに並ぶ店を見ながらランタンを探す。目的の場所はすぐに見つかった。
「色んな種類があるな。油を使った燃料タイプと、魔石を使った魔道具タイプか。魔道具の方が値段が高いな」
「フェル、ランタンを買うの? 魔法を教えたじゃない」
「確かにそうなんだけど、どうも目立っている気がするんだよね」
はたと何かに気がついたリリアが周囲を見渡した。街の人たちが使っている明かりはすべてランタンであった。
「本当だ、気がつかなかったわ。いつの間にスモール・ライトが使われなくなってるの……」
リリアが絶句している。まさか自分が封印されている間に、こんなことになっているとは思わなかったのだろう。リリアも良かれと思って、俺に色んな種類の生活魔法を教えてくれていたはずだ。
だがその生活魔法も、廃れたのか、失われたのかは分からないが、使われなくなったものがいくつかあるようだ。
「俺たちはもっと慎重に周りを見渡した方が良いかも知れないね」
「そうね……」
落ち込むリリアをなでてあげると、首元にしがみついてきた。どうやらかなり衝撃的だったみたいである。
世間知らずの俺に色々と教えてあげようと思っていたところが、自分も世間知らずだったのだ。落ち込むのも無理はないか。
「ほらリリア、どっちのランタンが良いと思う?」
「そうね、燃料タイプの方が安いけど、荷物が増えることになるわ。その点、魔道具タイプは予備の魔石を持っていてもそれほどかさばらないし、安全性も高いわ。でもその分、高いわね」
「高いね」
燃料タイプのランタンが銀貨二枚なのに対して、魔道具のランタンはその五倍の小金貨一枚。
迷った挙げ句、燃料タイプのランタンにした。お金にもっと余裕ができたら魔道具タイプに買い換えようかな? 燃料には虫除けの効果を兼ねたものがあるらしく、虫除けタイプの燃料を購入した。
さっそくランタンに燃料を入れて火をつける。暖かい光が手元に浮かぶ。
「スモール・ライトの光も良いけど、これはこれで暖かくていいね」
「フェルの言う通りね。何だかホッとするわ」
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