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フェルナンドと魔法の杖②
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「ジョナサン、フェルが使っていた初心者用の杖が壊れてしまったのよ」
そう言いながらお母様が使用人に目配せすると、使用人は壊れた杖をジョナサンに見せた。軽くジョナサンの目が見開かれた。そしてすぐに口角を上げてこちらを見た。
「なるほど、さすがは坊ちゃんだ。もうそんな強力な魔法を作りだしているとは。それならば初心者用の杖ではいけませんな」
何だかとてもうれしそうな小声である。両親はそろってドヤ顔をしている。すぐにそんな態度をするから「親バカ」って陰で言われるんだよ。
そして俺はジョナサンにも盛大に勘違いされている。シャーベットを作る魔法が完成したらジョナサンに披露して誤解を解いておこう。
ジョナサンは巻き尺を手に取ると、俺の手の長さや身長、足の長さを測定し始めた。何だろう。まるで服をオーダーメイドしにきたかのような感じである。
「素材はどうしますかな?」
ウキウキ、といった感じでジョナサンが尋ねる。今から作るのが楽しみ、そんな感じである。
これはもしかして、思っていたのと違うパターンなのかな? どうやら杖は出来合い品から選ぶのではなく、あつらえ品のようである。ガーンだな。出鼻をくじかれた。
「そうだな、土台は世界樹にしてもらおう。それにフェニックスの尾羽とグリフォンの羽、フェザードラゴンの羽根の組み合わせで頼む」
なにその組み合わせ。羽根系統に偏ってるんだけどいいのかな? ジョナサンがしきりにうなずいているところを見ると、問題ないみたいだけど。
「それなりの値段になりますな」
「それで構わない。一番いいのを頼む」
確かに粗悪品をつかまされるよりかはいいのかも知れないけど、どれだけ高価なものが出来上がるのかを考えると、今から頭が痛い。一方で、両親の好意を無駄にはしたくない。
「お父様、お母様、ありがとうございます。ジョナサン、よろしく頼むよ」
「お任せ下さい。究極の一品をあつらえますよ」
自信たっぷりに言った。これは失敗したかも知れない。オーパーツが出来てしまったらどうしよう。もしかして、俺のせい?
数日後、俺専用の新しい杖が出来上がった。これがもう、ドン、と机とたたきたくなるほど素晴らしいできだった。これまでの初心者用の杖とはまったく違う。
イメージ通りに何でもやってくれる、とてつもない代物だった。まるで杖に意志があって、俺の希望を聞き入れてくれているかのようである。
そして新魔法「シャーベット」が完成した。すぐさま料理長の前で披露すると、料理長を含めた全ての料理人が教えて欲しいとお願いしてきた。もちろん教えた。隠す必要はないからね。プリンと綿菓子、アイスクリームを作る魔法もみんなに教えてある。我が伯爵家の甘味事情は実に優秀であった。
シャーベットは好評だった。天然の果物をそのまま使えるため、ほどよい甘みと酸味が大変受けが良かった。杖のお礼もかねて、ジョナサンたちにもシャーベットを振る舞った。お孫さんにも大好評だ。
そしてジョナサンは「まさか」みたいな顔をしていた。そう、そのまさかなのだよ、ジョナサン君。分かっているよね? 庶民の間に変なウワサを流さないよね? 俺が視線を合わせると、すぐに目をそらされた。
……これはすでに手遅れだな。庶民の間では俺が危険な魔法を開発しているとウワサになっているのかも知れない。そのうち「漆黒の堕天使」とか言われるようになるんだろうな。ゲーム上でつけられて「二つ名」みたいに。しょんぼり。
そう言いながらお母様が使用人に目配せすると、使用人は壊れた杖をジョナサンに見せた。軽くジョナサンの目が見開かれた。そしてすぐに口角を上げてこちらを見た。
「なるほど、さすがは坊ちゃんだ。もうそんな強力な魔法を作りだしているとは。それならば初心者用の杖ではいけませんな」
何だかとてもうれしそうな小声である。両親はそろってドヤ顔をしている。すぐにそんな態度をするから「親バカ」って陰で言われるんだよ。
そして俺はジョナサンにも盛大に勘違いされている。シャーベットを作る魔法が完成したらジョナサンに披露して誤解を解いておこう。
ジョナサンは巻き尺を手に取ると、俺の手の長さや身長、足の長さを測定し始めた。何だろう。まるで服をオーダーメイドしにきたかのような感じである。
「素材はどうしますかな?」
ウキウキ、といった感じでジョナサンが尋ねる。今から作るのが楽しみ、そんな感じである。
これはもしかして、思っていたのと違うパターンなのかな? どうやら杖は出来合い品から選ぶのではなく、あつらえ品のようである。ガーンだな。出鼻をくじかれた。
「そうだな、土台は世界樹にしてもらおう。それにフェニックスの尾羽とグリフォンの羽、フェザードラゴンの羽根の組み合わせで頼む」
なにその組み合わせ。羽根系統に偏ってるんだけどいいのかな? ジョナサンがしきりにうなずいているところを見ると、問題ないみたいだけど。
「それなりの値段になりますな」
「それで構わない。一番いいのを頼む」
確かに粗悪品をつかまされるよりかはいいのかも知れないけど、どれだけ高価なものが出来上がるのかを考えると、今から頭が痛い。一方で、両親の好意を無駄にはしたくない。
「お父様、お母様、ありがとうございます。ジョナサン、よろしく頼むよ」
「お任せ下さい。究極の一品をあつらえますよ」
自信たっぷりに言った。これは失敗したかも知れない。オーパーツが出来てしまったらどうしよう。もしかして、俺のせい?
数日後、俺専用の新しい杖が出来上がった。これがもう、ドン、と机とたたきたくなるほど素晴らしいできだった。これまでの初心者用の杖とはまったく違う。
イメージ通りに何でもやってくれる、とてつもない代物だった。まるで杖に意志があって、俺の希望を聞き入れてくれているかのようである。
そして新魔法「シャーベット」が完成した。すぐさま料理長の前で披露すると、料理長を含めた全ての料理人が教えて欲しいとお願いしてきた。もちろん教えた。隠す必要はないからね。プリンと綿菓子、アイスクリームを作る魔法もみんなに教えてある。我が伯爵家の甘味事情は実に優秀であった。
シャーベットは好評だった。天然の果物をそのまま使えるため、ほどよい甘みと酸味が大変受けが良かった。杖のお礼もかねて、ジョナサンたちにもシャーベットを振る舞った。お孫さんにも大好評だ。
そしてジョナサンは「まさか」みたいな顔をしていた。そう、そのまさかなのだよ、ジョナサン君。分かっているよね? 庶民の間に変なウワサを流さないよね? 俺が視線を合わせると、すぐに目をそらされた。
……これはすでに手遅れだな。庶民の間では俺が危険な魔法を開発しているとウワサになっているのかも知れない。そのうち「漆黒の堕天使」とか言われるようになるんだろうな。ゲーム上でつけられて「二つ名」みたいに。しょんぼり。
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