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ある日、森の中、ブラックドラゴンに出会った②
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うーむ、と父上がうなり声をあげた。だが俺たちがやるべきことは決まっている。その原因を絶つのが俺たちの仕事だ。そのために、魔法使いの一族として定評のある俺たちがやってきたのだ。
「それでは、我々が対処するとしよう」
重々しい口調で父上が言った。先にここに来たのは、少しでも情報がないかと思ってのことからである。しかしどうやら、空振りに終わったようである。
「テオドール、お前はどうする?」
「もちろん同行しますよ。これまでの修行の成果、父上にお見せいたしましょう!」
うむ、と父上が首を縦に振った。少しは頼もしいと思ってくれただろうか? 以前、婚約破棄の件で父上の顔に泥を塗ってしまったのだ。ここで汚名返上と行きたいところである。
「それではすぐに向かおう。森まで案内してもらえるか?」
「もちろんでございます。……ご武運を」
申し訳なさそうに参謀が頭を下げた。森の奥では何が待ち構えているか分からない。危険が危ないことは重々承知していることだろう。
少数精鋭を連れて森の奥へと向かった。残りの魔法騎士団はすべて、襲撃されている村の援護へと向かわせた。どうやら森から魔物が出てくる方向は一定の方向のみであり、森の中に生息するすべての魔物が四方八方へと大移動しているわけではないようだ。
森から出てきたのはそのうちの一部だけ。そうでなければ、とても抑えられなかったことだろう。
森の中では何匹かの魔物と交戦したが、護衛の騎士たちが次々と倒して行った。さすがは屈強と名の知れた我がモンドリアーン子爵家の魔法騎士団である。強いな。魔導師たちは派手な魔法は使わず、補助魔法を優先して使っている。魔力の温存と言うわけだ。
どのくらい森の奥へと進んだだろうか? 突如、魔力探知の魔法を使っていた魔導師が慌てて進行を止めた。どうやら犯人を見つけたようである。
「御館様、見つかるには見つかりましたが、魔力量が多すぎます! この魔力量ですと、上位種のドラゴンかも知れません」
ザワザワと騒ぎが起こった。並のドラゴンくらいならどうにでもなるだろうが、上位種となれば話は別だ。それにうちの魔法騎士団の精鋭魔導師が青い顔をしているのだ。ただの魔物ではなさそうである。
そのとき、地響きの音が近づいてきた。その音は明らかに大きくなってきている。
「こりゃ向こうにもボクたちの場所がバレたね」
ミケが事もなげに言った。こちらが魔法で相手を感知しているとき、相手もまた、こちらを感知していたのだ。
敵の数が少ないうちに倒してしまおうと思ったのかも知れない。それだけこちらの数が増えると厄介だと思っているというわけだ。さすがだな、俺ら。
そうこうしている間に木々をなぎ倒しながらそいつが現れた。黒い鱗に身を包んだ黒い竜。
「ブ、ブラックドラゴン!?」
悲鳴のような声がどこからかあがった。
「それでは、我々が対処するとしよう」
重々しい口調で父上が言った。先にここに来たのは、少しでも情報がないかと思ってのことからである。しかしどうやら、空振りに終わったようである。
「テオドール、お前はどうする?」
「もちろん同行しますよ。これまでの修行の成果、父上にお見せいたしましょう!」
うむ、と父上が首を縦に振った。少しは頼もしいと思ってくれただろうか? 以前、婚約破棄の件で父上の顔に泥を塗ってしまったのだ。ここで汚名返上と行きたいところである。
「それではすぐに向かおう。森まで案内してもらえるか?」
「もちろんでございます。……ご武運を」
申し訳なさそうに参謀が頭を下げた。森の奥では何が待ち構えているか分からない。危険が危ないことは重々承知していることだろう。
少数精鋭を連れて森の奥へと向かった。残りの魔法騎士団はすべて、襲撃されている村の援護へと向かわせた。どうやら森から魔物が出てくる方向は一定の方向のみであり、森の中に生息するすべての魔物が四方八方へと大移動しているわけではないようだ。
森から出てきたのはそのうちの一部だけ。そうでなければ、とても抑えられなかったことだろう。
森の中では何匹かの魔物と交戦したが、護衛の騎士たちが次々と倒して行った。さすがは屈強と名の知れた我がモンドリアーン子爵家の魔法騎士団である。強いな。魔導師たちは派手な魔法は使わず、補助魔法を優先して使っている。魔力の温存と言うわけだ。
どのくらい森の奥へと進んだだろうか? 突如、魔力探知の魔法を使っていた魔導師が慌てて進行を止めた。どうやら犯人を見つけたようである。
「御館様、見つかるには見つかりましたが、魔力量が多すぎます! この魔力量ですと、上位種のドラゴンかも知れません」
ザワザワと騒ぎが起こった。並のドラゴンくらいならどうにでもなるだろうが、上位種となれば話は別だ。それにうちの魔法騎士団の精鋭魔導師が青い顔をしているのだ。ただの魔物ではなさそうである。
そのとき、地響きの音が近づいてきた。その音は明らかに大きくなってきている。
「こりゃ向こうにもボクたちの場所がバレたね」
ミケが事もなげに言った。こちらが魔法で相手を感知しているとき、相手もまた、こちらを感知していたのだ。
敵の数が少ないうちに倒してしまおうと思ったのかも知れない。それだけこちらの数が増えると厄介だと思っているというわけだ。さすがだな、俺ら。
そうこうしている間に木々をなぎ倒しながらそいつが現れた。黒い鱗に身を包んだ黒い竜。
「ブ、ブラックドラゴン!?」
悲鳴のような声がどこからかあがった。
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