狂愛サイリューム

須藤慎弥

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41❤︎新境地

41❤︎5※

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 大きな転機となり得そうなCM出演決定の報告を、今日ようやく葉璃に伝えられたとあって聖南はどうにも感情を抑えきれなかった。

 葉璃が認められて嬉しい。

 これからももっともっと広い世界に羽ばたいてゆくであろう恋人のことが、とても誇らしい。

 どんなに葉璃にその自覚が無かろうと、世間と業界が〝ハル〟を認めた。

 CROWNのバーターでなく、事務所のプッシュでもなく、当然ながら誰かの影武者でもないこれは、あくまでも葉璃個人が企業から見初められた結果のとてつもなく大きな仕事だ。

 自慢して歩きたいとは常日頃から思っているが、今回ばかりは先輩として、公の場で大いに〝後輩〟を盛り立てようと心に決めている聖南である。

 興奮冷めやらぬ聖南がいくら「マジでおめでとう」と祝っても、当の葉璃はどこか他人事なのがまたいい。

 帰りの車中でも、自宅に帰ってきてからも葉璃の返事は浮かなかった。

 報告を聞いただけでは信じられない、といったところだろうが、聖南はその葉璃の控えめな反応に心を射抜かれた。


「ん……っ」
「気持ちい?」
「ん、……」


 向かい合ってキスをすると、頬をピンク色に染め照れたように顔を背ける葉璃は、他に例えようがないくらい可愛い。

 明日の仕事は二人とも早朝から。普段よりやや早めの七時半には家を出なくてはならない。

 仕事に差し支えてもいけないので、聖南は葉璃の体を気遣い「今日は挿れねぇ」とバスルームで豪語した。

 ギンギンに育った下半身を華奢な腰に押し当てての、何とも説得力の無い豪語は葉璃の爆笑を誘った。


「でもなんか……は、はずかしい、です……っ」
「俺も」
「えっ?」


 挿れないとは言ったが、〝出さない〟とは言っていない。

 葉璃が家の中をウロついているだけで欲情する聖南が、我が恋人への嬉しい報告の後の興奮を抑えられるはずもなく、こうして向かい合って性器を握ってみたはいいがどうにも照れくさい。


『聖南さん、それ……我慢できるんですか?』
『いやこの状況で我慢なんか出来るか!!』
『じゃあどうするんですか』
『待て、そう焦るな。心配しなくても今日は挿れねぇよ』
『そんな心配してるわけじゃなくて、聖南さんのそれがものすごい存在感を……』
『俺のムスコはこれでも半勃ちだ!』
『えぇ!? こ、これ完全体じゃないんですか!?』
『よく見てみろ! 触ってもいいよ!』
『は、はいっ』


 ……このようにバスルームでイチャついていた二人は、ベッドルームに場所を移し妥協案を探り合った。

 自分が舐めて治めると言って聞かない葉璃に、誕生日でもないのにそれはダメだと拒否した聖南のひらめきで、今に至る。

 舐められるのは勘弁だが、葉璃の手のひらで触られた時に心と性器が弾んだのだ。

 葉璃とは数えきれないほどセックスしてきたが、そういえば手で扱かれたことがないと聖南は思った。

 フェラチオよりも手コキに心が躍った聖南だった。


「聖南さんも恥ずかしいんですか……?」
「なんだろうな、このいけないコトしてる感。俺らもっとエロいことしてんのに。気持ちいけど恥ずかしいよな」
「は、はい……」


 俯き加減で儚く照れる葉璃の性器を、聖南は自分のと一緒くたに握った。

 恥ずかしいと言いつつしっかり反応している小ぶりな性器が可愛くて、先ほどから柔く握ってはキスに逃げている。

 明らかに長さの違う両方の性器の先端から、先走りが滲んでいた。視線を絡ませ触れ合うだけのキスにも興奮し、互いのドキドキが伝染し合っていてかなり気恥ずかしい。

 葉璃に握らせようものなら、あっという間に射精してしまいそうなほどにはムードに呑まれている。


「あっ……せなさん……っ! だめ、早くしたら、俺……っ」
「イっちゃいそ?」
「う、ん……っ、い……っちゃう」


 ──はぁ……かわいー……。


 あげく、万人に自慢したい恋人がこんなにも可愛い。

 少しばかり強く握って上下に扱いただけで、聖南の胸に寄りかかって悩ましい吐息を漏らすのだ。

 高い嬌声と共に、背中と腰を震わせて射精する葉璃より先に自分がイくわけにはいかないと、目下煽られまくっている聖南は躍起になった。


「あっ……あっ、せなさんっ……だめだって、言っ……!」


 自分のムスコはさておき、葉璃のものだけを握って背中を抱き寄せる。

 人差し指と中指を巧みに使い、亀頭とくぼみを重点的に攻めると葉璃は呆気なく息を詰めた。

 「んっ」と小さく啼き、小刻みに震える葉璃の体の振動が聖南の腕に伝わる。と同時に、聖南の引き締まった腹にピュッと滑り気のある精子が放たれた。

 だが聖南は扱くのをやめない。二、三度に分けて放たれる葉璃の射精の癖を熟知しているので、掴まれた肩に爪が食い込んでいるうちは絶頂の最中。

 くたりとその身体が聖南に寄りかかるまで、しつこく竿を扱いてやった。


「……ん、一発目全部出た?」
「ふぁ……っ? んっ……」


 脱力した葉璃からとろんと見上げられ、聖南はたまらず口付ける。半開きになったそこから覗いた真っ赤な舌に誘われてしまった。

 だが、遊ばせるように舌を絡ませたのみで離れた聖南は、自分で自分に拍手を送った。

 唾液の交換までもしてしまうと、欲望に忠実な聖南の体が〝挿入したい〟と騒ぎ出す。葉璃を抱き寄せている右手が、魅力的な穴めがけて這い回る前にやめたのだ。

 しかもまだ葉璃の唇はいくつか切れている。

 今の淡白なキスでもほのかに血の味がした。


「葉璃かわい。いっぱい出たな。俺の腹にも飛んでるよ」
「も……そういうこと、言わ、ないで……っ」
「もう一発イけそ?」
「そ、そんなすぐには……! 聖南さんじゃないんだからっ」
「あはは……っ、俺だったらどうなの」


 射精後でふにゃりと強度を失った葉璃の性器を解放し、聖南は軽口を叩いて可愛い瞳に口付けた。




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