狂愛サイリューム

須藤慎弥

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31♡迫る足音

31♡7※

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 ルンルンで俺をバスルームに運んだ聖南は、欲望に忠実で可愛かった。

 今日はベッドがいいって言うと、俺の体を洗いながら必死で我慢してくれてる聖南も可愛かった。

 一度昂ぶった熱が引く事はなくて、切羽詰まった様子で「湯船は後でいい?」と俺に確認を取ってきた、隠しきれない欲情も可愛かった。


「葉璃、……挿れたい」
「んっ……」


 濡れた瞳で見おろされ、ちゅっと軽いキスをしてきた聖南の指はローションでドロドロだ。

 目が合っても、俺も聖南も笑い返す余裕が無い。丁寧に何十分もかけて解された孔が、引き抜かれてしまった指の代わりを待ちわびるようにヒクついた。

 聞かれるまでもなく、俺は聖南の肩を引き寄せて広い背中を抱き締める。

 そうやって俺からの了承を得た聖南は、優しい声とは裏腹のギラついた瞳で俺を眩しげに見た。


「痛かったら言って」
「う、ん……」


 聖南、可愛い……。挿れる前に必ずこの台詞を言ってお伺いを立ててくる。

 俺がどんなに飛びかけてても、ヤキモチ焼いて怒ってる時でも。

 いつも大体が甘々な聖南は、いきなり挿れたりしない。性器を握って、ちょっと扱きながら堪える。

 「いい? もう挿れてもいい?」って、〝待て〟されたワンちゃんみたいにそこはすごく我慢強い。この例えが合ってるのかは分かんないけど。

 バスルームからここまで運んでくるのも、孔を解してる最中もすごく我慢してるのに、挿れる間際まで俺を気遣ってる。


「ふぁ……っ、ん……っ」
「あ、葉璃ちゃん。今日はゴムあり? 無し?」
「えっ? せ、せなさんはどっちがいいっ?」
「そりゃ無しだけど。……あ、久々に着けようかな」
「…………っ」


 欲情した聖南の瞳が、ギラギラと妖しく光る。

 俺の瞳を凝視しながら片手でゴムを着けてる時の聖南は、どんな時よりセクシーでいやらしい。

 気まぐれでコンドームを使う事のある聖南の思惑は、俺には分からなかった。

 中が精液で汚れないようにっていうのは、すでに今ローションでドロドロなんだからあんまり意味がないような気がして。

 今日は着けたい気分なのかな。

 なんか俺、今日すごくおかしい。

 聖南がやる事なす事ぜんぶが可愛く見える。

 さすがに、今まさに俺の孔にあてがわれたそれは愛でたいと思えるような色形はしてないけど、聖南のものだから愛おしいんだ。

 滅多にたべさせてくれないけど。


「力抜いて」
「ぅん、……んぁぁ……っ! せな、さん……っ!」


 うわ……っ。きた……っ。

 ぐじゅっと先端がめり込んでくる感覚がたまらなくて、聖南を挟んで広げた両足がビクンッと跳ねた。

 孔が……聖南のもので拡がっていく。指とはまるで違う質量に、瞼をギュッと閉じて気を散らしながら受け入れないと心も体も保たない。

 少しずつ、少しずつ、聖南が動く度に内側が圧迫されて、痛くなんてないのについ背中に爪を立ててしまう。


「あー……気持ちいい……」
「んっ、……んっ……」


 聖南の吐息があまりにエッチで、入ってくる性器の熱さも相まって全身が火照る。
 

「葉璃、舌」
「んむぅ……っ!」


 半分くらい挿れられたところで、サイドの髪を耳にかけた聖南から激しく唇を押し当てられた。

 薄めを開けて「聖南かっこいい……」と見惚れる暇もない。荒々しい舌が、俺の唾液と呼吸を奪ってく。

 上顎と下の前歯を押されて口を大きく開かされると、もれなく聖南から唾液が送り込まれた。

 絡み合った舌の根本に少しずつ溜まってく唾液を、キスの合間に飲み下すように俺を仕込んだのは聖南だ。


「……かわいーな。喉動いてる」
「だって……唾液いっぱい……っ」
「そうだな。俺の飲んでくれたんだよな」
「……っ、……?」


 唇の端からこぼれ落ちそうだった唾液を舐め取った聖南が、腰を進めながらしみじみ呟いた。

 薄い膜越しにも感じる聖南の熱量。

 拡がった孔が聖南で満たされて、熱くて蕩けそうでも自分じゃどうにも出来ない。

 背中に爪を立てて、閉じそうになる両足を浮かせて、聖南が奥まで挿れられるように腰を上げて……中を抉られる気持ち良さに意識を飛ばさないようにする事くらいしか──。


「これが普通だと思っちゃいけねぇ。葉璃が俺を受け入れてくれてんのも、好きにさせてくれんのも、唾液飲んでくれんのも、……こんなの普通じゃねぇよな」
「んっ……どうしたの……? 聖南さん、……?」
「葉璃、俺の事愛してる?」
「……っっ! あ、あい、……っ? そ、そりゃあ……そうじゃなきゃ、こんなこと……」
「だよな」


 俺の肌を撫でながら、いつも以上に時間をかけてゆっくり挿れてくれた聖南が、俺の瞳をジッと見て儚く微笑んだ。

 ぐんっと奥を突かれて背中をしならせると、少しだけ浮いた俺の体を痛いほど抱き締めてくる。

 ちょっとだけ中を擦られたけど、すぐに止まっては俺の首筋や乳首を舐めた。

 聖南、どうしたんだろ……?

 今日は甘えん坊の日なのかな……?

 どくん、どくん、と内側から聖南の鼓動を確かに感じてるのに、性急に動こうとしない聖南はまるで俺に甘えてるみたいだった。


「聖南さん、……動かないの……?」
「んー、ちょっとこうしてたい。ダメ?」
「い、いや……っ、ダメじゃない、けど……!」


 気使わないで動いていいのに、と無意識に促した俺の方が、我慢できない子みたいになっちゃったよ……っ。

 俺を抱き締めたまま動かない聖南は、奥まで入った性器をビクビクと脈打たせて、しなくてもいい〝我慢〟をしてるように見えたんだ。

 ほっぺたから耳たぶに唇が移動して、痕がつかない程度に首筋を吸われる。繋がったまま俺の体をギュッと抱き締めて、至るところにたくさんキスの雨を降らせてくる。



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