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3♡「ルイ」
3♡⑧※
しおりを挟む俺が力なく握ったのを確認して、聖南はまた指先を中に挿れ込んだ。
蠢く二本指が、今まで押さえずにいた前立腺を執拗に擦る。
「んあぁっ……あっ……あぁ、っ……せな、さん……っ、だめ、……だめっ」
「手止まってんぞー」
「……う、ぅぅ……っ……やだ……はずかし、……もう……、はずかしい……よぉ……」
「いいから手動かしてみてよ。 中感じてんだろ? そこだけに集中するんだ」
「……できな……っ、できない……! せなさん、……っ、いじわる……! いじわる……!」
「出来るから。 葉璃が自分で扱いてイくとこ見せて」
……や、やっぱりそれが目的だったんだ……!
振り返るのが怖いくらい、聖南の声が嬉々としてる。
俺がそれに弱いって分かってて、しきりに耳元で囁いてくるんだ。
「み、みないで……! 手動かすから、見ないで!」
「それは無理。 見たいもん」
「せなさん……っ」
「ほらほら、早くしねぇと扱かないでイっちまうよ? 葉璃ちゃんの体はナカの気持ち良さ知ってんだから」
「……せなさんー……っっ」
いつになく聖南が意地悪だ。
もういいよ、そんなに葉璃ちゃんが嫌がるなら今日はやめとこっか、……この言葉を期待したのに、またもや早くって急かされた。
しばらく自分でしてないから、扱き方なんか忘れてる。 聖南が握ってくれてたり、いっぱい突かれて知らない間にイっちゃってる事が多いせいだ。
握る強さはどうだった?
先端まで擦れば良かったっけ?
扱く速さってどのくらい?
そう問い掛けようもんなら、今の聖南なら喜んで教えてくれそうだからもっと恥ずかしい事になる。
「はーる」
「…………っっ」
耳の後ろを舐められながら甘く名前を囁かれて、ぶるっと腰が揺れた。
追い立てる指先は一層の快感を引き出そうとしてきて、それと一緒に聖南の声が拍車をかける。
力が抜けそうだ。 左腕が震えて、支えてられない。
でも……イきたい。
聖南の指先が俺を犯すから、恥ずかしくても扱かずにはいられなかった。
最初に穴に触れる時みたく、握った性器をじわっと上下に扱く。
流れ続けるシャワーからの温水が床を踊っている様は、滲んだ視界から見ると綺麗だなとふと思った。
項垂れた俺は性器を握って頼りなげに扱き、先走りの雫もその温水と共に流れていく。
俺の拙い動きとは真逆の、前立腺を刺激し続ける聖南の指先は興奮しか生まなくて、無意識にお尻を揺らしてしまっていた。
「……っうぅっ……っ……」
「葉璃はな、もっとギュッと握って扱かねぇとイけないかも。 あとさぁ、お尻揺らすのやめてー。 挿れたくなるー」
「で、でも……っ、……っでも……っ」
そんな事言われても、どちらに意識を持っていけばいいのか分からないんだよっ。
物足りない俺の手のひらは、なかなか言う事を聞いてくれない。
聖南ならもっと強く握る。 大きな手のひらで器用に玉も愛撫してくれて、先端の割れ目に指を入れてくにくにってしてくれる。
痛気持ちいいそれを思い出して、同じようにやってみようとしても怖くて出来なかった。
「せな、さ……んっ、……できない……できないよ……」
「なんで決め付けんだよ。 やってみりゃ出来るかもしれねぇだろ? 葉璃は成長途中だって言ったの聞いてなかったのか?」
「きっ、聞いてたけど……! あれとこれとは違っ……!」
「違わねぇ。 葉璃はやれば出来る子だよ。 てか俺マジで限界迫ってるから、俺のためにやるって考えてしてみて」
「……えっ……? せなさんの、ため……?」
「そう。 「聖南さんは俺がイかなきゃ挿れられないって言ってる!可哀想!」って」
「えぇ……せなさん、……な、何言ってるの……」
巧みに中を動き回る指先はそのままに、背後で俺を真似た猿芝居に笑ってしまったのも束の間、ずるっと指を引き抜いた聖南はもどかしい いたぶりを始めた。
三本に増やした指先、第一関節だけを挿れてぐにぐにとそこを押し拡げるように蠢かせる。
ビリビリと全身を駆け抜ける気持ち良さが恋しくて腰を揺らしてみても、浅いところをひたすら掻き回すだけだ。
扱かないならいいとこを擦ってやらないとでも言うように、ヒクつくそこをぐにぐにと拡げられていく。
今日は、聖南の指先までもが意地悪だった。
「ほらほら、どうすんの? 指だけでイっていいのか? 前触りてぇんだろ? もっと強い刺激ちょーだいって思ってんじゃねぇの?」
「ぅぁっ……っ、も、いじわる……しないで……っ。 ……っ……ぁっ……」
「今日は助けてやんない」
「……ぅ、ぅぅっ……っ……んっ……んっ……」
おずおずと扱いていた俺に聖南からの決定打が打たれた。
助けて、くれない。
でもやらなきゃ、許してくれない。
……どうしたらいいの……っ?
「めちゃくちゃショックだったんだから」
「……っはぁっ、……はぁ、……ん……っ……っ」
俺が扱く様を見ていた聖南の声が、遠くに感じる。
許してくれないなら、俺はやれば出来る子なら、もうやるしかないと思って気持ち強めに性器を握ってみた。
ひとりでした事を思い出しながら、上下に動かす。 温水で濡れた性器が、扱く度にぴちゃぴちゃと音を立てて先端から雫を溢れさせた。
呻きながら扱く姿を見て、意地悪に穴を弄んでいた聖南の指先がぐにゅっと挿入ってくる。
俺の動きに合わせて巧妙に中を抉られた。 意地悪く避けられていた前立腺を、前触れもなくグリッと擦られた瞬間、とてつもない波が押し寄せて意識が射精へと引っ張られた。
「……っん、……は、はぁぁ……っやぁ……っ──!」
中の刺激に耐え兼ねて、上下に動かしていた手のひらが射精と同時に床へと舞い戻る。
聖南にお尻を突き出し、喉の奥からせり上がる声と共に、腰と背中をビクビクと揺らしながら床に精液を飛ばしていた。
それはすぐにシャワーのお湯で流されていって、ぼんやりとその様を見届けてから上体を床に沈める。
「……はぁ……っ……はぁっ……はぁ……っ、」
ヒクつく中からじわっと指を抜いた聖南が、俺の体を抱き起こしながら「かわいかった」と褒めてくれたけど、何にも嬉しくない。
「二度と俺に冷たくするなよ」
呼吸が整わない中、大きな子どもなのか拗ねた猛獣なのか判断の難しい声が、鼓膜と全身を震わせた。
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